花邑の帯あそび
1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…
 




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ここ東京でも梅雨が明け、ぐんと暑さが増してきました。
先日、街を歩いていると「夏本番」を告げるように
蝉の声が聞こえてきました。

蝉の声だけでなく、
お祭りや花火大会などがあるためでしょうか、
浴衣や着物を着た人の姿を多く見かけるようになりました。

そこで、今日は浴衣や夏の着物に合わせて大活躍する、
博多織の帯についてお話しします。

博多織とは、もちろんその名前のとおり、
博多(福岡県福岡市の周辺)で
昔からつくられている伝統の絹織物です。

生地そのものに厚みと張りがあるので、
帯芯を入れずに八寸帯や半巾帯、角帯として仕立てられます。
柄行きはシンプルな織文様で、
生地がとても丈夫で長持ちすることもあってか、
「祖母から譲り受けた」というように
ご親族から譲られたものを着用されている方が多いようですね。



博多織は経糸が多い点に特徴があります。
細い経糸を何本も使い、
そこへ太い緯糸を強く打ちこむことで、
丈夫で張りのある生地になります。
また、浮き織りの技法を用いて、
文様部分の経糸と緯糸を浮かしながら織っていくので、
織り上げられたときには文様に立体感が生まれるのです。

次回は博多織りの歴史と文様についてのお話しです。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は8月4日(火)予定です。


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七夕を過ぎて、だいぶ暑くなってきました。
湿気があるためでしょうか。
歩いていると額に汗がじんわりとでてきます。
そこで今回は、湿気の多い日本にピッタリな「麻」についてお話します。

麻は、通気性と吸水性に優れているので、
体の熱を外に発散し、汗も吸い取ってくれます。

とても丈夫なのでジャブジャブとご家庭で洗うことができ、
また、乾きも早いので夏の衣料の素材に最適ということは
皆さんもよくご存じでしょう。

麻は、たいへん古くから衣料に用いられてきました。
その発祥は紀元前5000年前にまで遡ります。
エジプトのピラミッドの壁画に、
麻の種を蒔く人や麻糸を紡ぐ人の姿が描かれているぐらいです。



日本でも、縄文時代にはすでに麻は一般的で、
15世紀末頃に木綿が日本全土に広まるまでは衣料素材の主流でした。
当時の日本において「布」といえば麻のことを指したようです。
その後も、繊維の細かい上等な麻は「上布」として幕府の献上品に、
繊維の粗いものは庶民の衣料に用いられていました。

麻の種類は20種類以上もありますが、
着物や帯の素材として用いられるものでは、
前回までにお話しした、
宮古上布などの高級な麻織物に使われる
「芋麻(ちょま)」が有名です。

昔は、「赤麻(あかそ)」や「大麻」などからも
麻織物がつくられていました。
麻の種類により、織り方には若干の違いがありますが、
茎の繊維から紡いだ糸を用いる点ではどれも同じです。



麻の種は4月ごろに蒔かれ、ぐんぐんと成長し、
7月下旬の収穫時には人の背丈を越すような長さまで育ちます。
忍者が跳躍力を養うために、成長速度の速い麻を飛び越える修練を日々行った
というエピソードは皆さんも耳にされたことがあるでしょう。

麻の茎は、根元から収穫します。
収穫したものはお湯の中で数分間煮て、
害虫を殺し繊維を丈夫にします。

その後ひなたで干し、さらにまたお湯で煮て、乾燥させます。
乾燥させた麻は、茎の表皮を剥ぎとって繊維だけを取り出し、
その繊維を陰干しします。

麻の繊維はお湯に浸して手作業で細かく裂いていきます。
そして、裂いた繊維を1本1本つなぎ、撚りをかけて糸にします。

この一連の作業は麻積み(おうみ)とよばれ、
高い技術力を必要とする繊細な作業です。

たいへんな手間をかけてできた麻の糸が
さらに手間をかけて織り上げられ、
さらさらとした麻ならではの肌ざわりが生まれるのです。

気持ち良く夏を過ごすための衣料の素材である麻織物は、
薄手でその織り目には隙間がありますが
その織り目の間には、作り手さんの根気と愛情が
たくさん詰まっているんですね。

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次回の更新は7月21日(火)予定です。


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今日は七月七日、七夕の日ですね。
町には短冊がぶら下がった笹が飾られています。
その短冊には、子どもの無邪気なお願いから、
大人の切実なお願いまで、
さまざまな願いが書かれていました。

この七夕はむかし、中国から日本に伝えられたものです。
中国では、女性の針仕事の上達を願う祭事だったようですが、
日本ではお盆と一緒になり、
日本独自の伝統行事になりました。

また、みなさんもご存知のように、
織女星と牽牛星の伝説の中で
織女は機織を天職としていますね。
織女が織りあげる布は五色に光り輝き、
季節ごとに色を変える布でした。

七夕のお話しは織物にとてもつながりがあるんですね。
むかしの人が、織物を生活の糧にしていたからこそ
できた伝説なのでしょう。
もちろん、織り上げられた布はとても貴重なものとして、
大切に扱われていました。

さて、牽牛星と結婚した織女は、
機織の仕事を怠けてしまったため
父の天帝に牽牛との仲を引き裂かれてしまいます。
七夕の日は、天の川にかささぎの群れの橋ができて、
引き裂かれた二人が会うことができる日です。
今日は、その物語にちなんで、水に関係した文様をいくつかご紹介します。



上の写真は、水辺の風景を意匠化したもので、
流水(りゅうすい)文様が描かれています。
のびやかに描かれる流水文様は、
涼を誘い、この季節にぴったりです。
水は古くから文様化されていましたが、
流水文様はすでに弥生時代に土器や銅鐸にあらわされていました。

下の写真は、青海波(せいがいは)文様です。
この文様はもともと、宮中で演じられた
舞楽の演目である「青海波」の装束のために
海をイメージして考案されたものです。
シンプルですが目を引く意匠ですね。



海の波をモチーフにしたものはほかにもあります。
下の写真は、立波(たつなみ)文様です。
激しく砕ける波が意匠化されています。
立波文様が用いられるようになったのは桃山時代のことです。
ダイナミックな文様が当時の豪放磊落な武将たちに愛用されたのでしょう。



文様には水をモチーフとしたものが数多くあります。
全体の柄行きに動きを与えるために、
ポイントとしても用いられます。

七夕が過ぎると、いよいよ夏本番です。
もうそろそろ梅雨も終わりですが、
あとすこしだけ、
水の季節を楽しみたいですね。

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次回の更新は7月14日(火)予定です。


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