presented by hanamura
桜も開花し、
いよいよ春の到来かと喜んでいたら、
ここ何日か真冬のような寒さがぶり返しています。
そのおかげというのも変ですが
今年は桜が開花してから
桜の花があっという間に散ることなく、
長く楽しめています。
家の近くにある公園の桜も、
1 週間前に開花し、
今も少しずつ花が開いています。
その桜の下で春休みの子どもたちが、
元気に遊んでいる姿は、
なんだかとても絵になります。
子どもたちにとって、
この寒さはなんでもないようですね。
子どもたちの元気な姿を見ていると、
こちらも元気になっていきます。
子どもたちが元気に遊ぶ姿が
微笑ましく、好ましく思えるのは
今も昔も変わらないのでしょう。
子どもたちがモチーフとなっている意匠は
古くから日本にも数多くあります。
今日は、そのなかから「御所人形文様」について
お話ししましょう。
御所人形文様とは、
「御所人形」という名前の
お人形を意匠化した文様です。
御所人形とは、
江戸時代の中頃に京都で創案された
色が真っ白で、頭が大きく、
ぽっちゃりとした三頭身の赤子の人形です。
艶のある真っ白な肌の色や、
豊かな肉づき、
大きな頭は幼児の健康を、
小さな目鼻は平安時代の貴族から受け継いだ
理想的な顔立ちをあらわしています。
裸体のものが多いのですが、
衣装を着けたものもあり、
中国から伝えられた唐子文様にも
似ています。
当時の朝廷ではこの御所人形を
ご出産やご結婚の際に
子どもの健やかな成長と、
禍から身を守るという願いを込めてつくり、
飾りました。
また、参勤交代の際には
西国の大名に贈られた品物の返礼としても
贈られました。
当時、朝廷は「御所」ともよばれていたため、
「御所人形」というよび名も
そこから付けられたようです。
御所人形の素材には、高品質な桐が用いられます。
そして彫り出された母型に、
胡粉(ごふん)と呼ばれる
牡蠣の貝殻から採った染料を何重にも塗ります。
その肌を磨いて艶をだし、
最後に目鼻などを描きます。
完成するまでに 1 年はかかるとされ、
人形の中でも精緻で品格があることで、
現在でも人気が高い御所人形ですが、
おもに江戸時代の頃は
京都の御所や公卿たちが手にするもので、
庶民には手の届かないものでした。
しかし、帯や着物の文様に用いられはじめると
人々の間にも広まるようになり、
人気を博しました。
上の御所人形文様は、
さまざまな衣装や被り物をした姿が
愛らしいものです。
上の写真のように、
文様ではひとつの意匠に
たくさんの御所人形が
表されていることもあり、
見ているだけでも楽しめます。
ご自分の子ども時代はどんなだったか、
どの御所人形がご自分に近いか
探してみるのもおもしろいですね。
※写真の御所人形文様の名古屋帯は花邑銀座店にて取り扱っています。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は4月6日(火)予定です。
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