花邑の帯あそび
1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…
 




presented by hanamura ginza


早いもので、7月も半ばを過ぎました。
東京では梅雨明け宣言が出され、
太陽が照りつける暑い日が続いています。

ただいま、神社やお寺などでは、
朝顔市やほおずき市などが開催されていて、
この季節ならではの風物詩を楽しみに、
大勢の人々が訪れているようです。

この季節に咲く花々は、
夏の陽射しの下で眺めると、
より美しく見えるものですね。

日本の最南端に位置する沖縄で咲く
ブーケンビリアやハイビスカスなどの花々も、
沖縄の青く澄んだ空の下でみると、
夏の光を乱反射するような美しさが感じられます。

その沖縄の伝統的な染色品といえば
「紅型」が最も有名ですね。
紅型の持つ豊かな色彩は、
沖縄に咲く極彩色の花々を
写し取ったようにも思えるほどです。

その紅型のうち、古美術品と称されるほどに
永きに渡って収蔵、保管されてきた逸品の数々が
ただいま、乃木坂にあるサントリー美術館にて
「紅型展」として展示されています。

梅雨明け間近の真夏日となった先週、
その紅型展へ足を運びました。

今回の紅型展では、
おもに18世紀から19世紀に琉球王朝で実際に用いられた
尚家伝来のものが多数展示され、
その中には、今年で復帰40年となる沖縄を記念して
80年ぶりに一般公開された貴重な紅型もあります。

「紅型展」には若い人からご年配の方まで、
多くの人たちが訪れていて、
紅型の人気の高さが窺えました。

その展示会場に入り、
まず圧倒されたのは、
紅型ならではの鮮やな色彩じたいはもちろんのこと、
素朴で大胆なタッチであらわされていながらも
その配色美には緻密な計算が窺えます。

型紙や染め付けの作業に見られる丹念な手仕事は、
鮮やかで、おおらかな意匠に優美な趣きをもたらし、
思わず見入ってしまうような
美しさが感じられました。

会場に展示された紅型の多くは、
琉球王朝の貴族たちが使用したものです。
こうした紅型は当時の琉球王朝が
手厚く庇護した選りすぐりの職人が作りあげたもので、
一般の庶民には身につけることができませんでした。

染料には、沖縄で自生している福木や琉球藍などの他にも、
中国から輸入した高級染料の石黄などが用いられ、
型紙には、日本で作られた伊勢の型紙が使用されているなど、
たいへん手が込んでいます。

意匠のモチーフには、鶴や松、梅など、
沖縄には存在しない日本の草木や動物が多く登場し、
能装束のような見栄えがして格式が高いものが多いのも特徴です。

当時つくられた紅型を見ると、
日本や中国、インドネシアなどの
さまざまな国の文化をたくみに取り入れた
琉球王朝の高い技術力と、豊かな文化が感じられます。

このような紅型を沖縄の青い空の下で
身にまとった貴族たちの出で立ちは、
ブーゲンビリアやハイビスカスのように
とても華やかなものだったことでしょう。

紅型は、明治時代に廃藩置県が行われ、
王朝が解体されるとともに衰退していき、
多くの紅型職人たちも職をなくしてしまいます。

しかし、昭和初期に沖縄の高等女学校に赴任した鎌倉芳太郎氏が
紅型のすばらしさに驚嘆し、紅型の技法を調べあげ、
資料に書き記しました。
東京に戻った鎌倉氏はその資料によって
紅型とともにその文化を育んだ沖縄の生活様式などを
東京の知識人に広めることに成功し、
多くの人々が沖縄に対して興味を抱くようになりました。

鎌倉氏の著した資料は、
現在ではたいへん貴重なものとなっているようです。
ちなみに、今回の紅型展には
鎌倉氏が収集した多くの型紙も展示されています。

鎌倉氏の資料の影響もあって、
紅型はその後も多くの作家に影響を与え、
同じく紅型に魅了された人間国宝の芹沢けいすけ氏は、
紅型の技法にヒントを得て型絵染という技法を生み出しました。

また、紅型で用いられた意匠を模倣したものも、
多く作られるようになりました。

下の写真は、昭和中期頃につくられた綿紅梅のお着物から
お仕立て替えした名古屋帯です。
やさしい色使いで
紅型の図柄があらわされています。



また、東京や京都で紅型の技法を取り入れてつくられた型染めもあり、
こうした紅型は江戸紅型や京紅型とよばれています。

「多彩で華やかな夢のような美しさ」
と評された紅型の魅力が感じられる
「紅型展」は7月22日(日)まで
開催されています。

暑いこの季節だからこそ
なおのこと南国の沖縄で生まれた紅型の魅力が
心深く堪能できそうです。

上の写真の「水辺文様 綿紅梅 名古屋帯 」は、花邑銀座店でご紹介している商品です。

花邑 銀座店のブログ、「花邑の帯あそび」次回の更新は 7 月 26 日(木)予定です。

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