presented by hanamura
「洗い」について
あんなに聞こえていたセミの声も静かになってきましたね。
夜には虫の音が聞こえて、秋の訪れを感じさせてくれます。
そろそろ、夏に着た着物や帯をお手入れにだそうと
考えている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、夏の着物や帯のお手入れについて
お話しをします。
夏の着物で、気になるのはやはり汗じみですよね。
そこで、悉皆屋さんに「汗じみを取る方法」を聞いてみました。
『汗をかく場所は決まっていますから、
プロは霧を吹いて汗がしみになっているかを
チェックします。
汗をかいているところは水が生地に入っていかず、
水滴になって残るので、その部分を集中してやります。
プロはほんのわずかアンモニアを垂らして生地に水分を吸収させますが、
アンモニアが強すぎると脱色する危険があるので、
個人の場合はタオルをちょっとぬらして上下からたたき、あとは吊るしておけば
いいでしょう。
たたくことで汚れを下におとしますから。』
水を含ませたタオルで生地をたたくだけで、汗じみがとれるんですね。
それならば、プロの方に頼まなくても大丈夫そうです。
しかし、素材によっては注意が必要です。
『水は汗取りにものすごく効果があります。
しかし、麻や縮緬のように縮まないものはいいんですが、
縮んだものをのばすのは、素人の方には厄介です。』
縮みやすい生地のものは、
やはり、プロにおまかせした方が良さそうですね。
それでも心配なこともあるようです。
『染み抜き屋の場合、水で縮んだ生地をまた伸ばすのですが、
そうすると当然工程が増えてしまいます。
だから忙しいときには水を使うのをはしょって、
絶対に縮まない溶剤を使うことがあります。
溶剤を使うと生地に大きなダメージを与えてしまいます。
それを水で中和して戻すのが原則なんですが、
目に見えて分かる加工ではないので、はしょってしまうんです。』
プロが使う溶剤は、着物や帯のような繊細な生地にとっては、
とても強いものなんですね。
そのため、しみは落ちやすいようですが、
水で中和させないと大変なことになってしまうこともあるようです。
『それがそのまま箪笥の肥やしになると、
数年後に箪笥からだすと原因不明のしみになっているというわけです。
結局、面倒だからと工程をはしょったつけが、
数年後に表にでてくるのです。』
しみを取るということは、簡単なようでやはりむずかしいんですね。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は9月2日(火)予定です。
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