ヌマンタの書斎

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政治と宗教

2022-08-12 13:20:31 | 社会・政治・一般
近代化は宗教の怖さを教えることに憶病だ。

現在、旧統一教会と自民党政治家との関係について危ぶまれているが、私に言わせれば遅すぎるの一言に尽きる。

選挙により選ばれる政治家にとって、なにより欲するのは選挙における一票である。これを取りまとめて数百、数千の投票を確約してくれる宗教団体の誘惑を断るのは至難の業だ。

それに加えて選挙資金の援助に、選挙スタッフの無償援助と至れり尽くせりである。これを断れるのは、大衆人気のあるタレント政治家か、先代、先々代からの支持票を持つ大物政治家くらいだ。

いや、その大物政治家であっても宗教団体からの支援を断るのは難しい。なぜならば敵に回られては面倒だからだ。それを恐れるが故に政治家は、宗教団体からの支援の申し出を断れない。

古来より東西を問わず、政治権力と宗教勢力は密接な関係であった。時には敵対することもあったが、心を支配する宗教の恐ろしさは、武力で支配してきた政治家にとっても警戒すべき存在であった。

理性により物事を論理的に考える近代は「神は死んだ」とまで言い切るほどに宗教を危うんだ。中世から近世のヨーロッパ史を鑑みれば、宗教の影響なくして戦争は語れない。そのものずばり、宗教戦争が頻発していた。

だからこそ近代は宗教を政治から切り離した。切り離したはずであった。でもじわじわと宗教は政治家に取り入った。

日本の歴史教育では教えていないが、第二次世界大戦においてアメリカが日本を敵視するに至った背景には、キリスト教の意向が大きく働いている。中国大陸をキリスト教布教の地と見定めたアメリカのキリスト教勢力にとって、布教の邪魔となったのが日本である。

その日本を敵視して、シナの無知なる大衆の支持を得たいと願ったキリスト教勢力は、政治に積極的に働きかけて、日本との対決方向にアメリカの政治家を誘導した。

このキリスト教の暗躍を指摘して抗議したが故に、当時のアメリカ国務省勤務のタウンゼントという外交官が闇に葬られたことを知る日本人は極めて少ない。

日本は明治維新以来、強烈に近代化を志向したがゆえに、宗教を無視し、過小評価することを良しとしてしまった。だから、アメリカが日本を敵視するに至った過程におけるキリスト教の存在を直視せずに済ませている。

呆れたことに、現代の日本の歴史教育においても、戦争と宗教の密接な関わりを正面切って教える教師は少ない。いや、稀少だと断言しても良い。

実際、私自身、アメリカの政策におけるキリスト教勢力の影響について知ったのは20代後半である。当時、病気療養中で図書館通いが自由に出来たが故である。

私は提言したい。宗教団体からの政治献金を禁止せよ、と。もちろん迂回する悪知恵はいくらでもあろうが、公式に禁止することの意味は大きい。大事なことなのに誤解している方が多いので再度言います。

信教の自由とは、神と個人の関係における心の自由であって、宗教団体を自由にさせることではありませんよ。
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