ヌマンタの書斎

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EV車に思うこと

2022-08-01 15:46:35 | 経済・金融・税制
あくまで日本限定ではあるが、もしEV車への乗り換えをお考えの方がいたら、しばし待てと言いたい。

余計なお節介であることは承知している。でも昨今のEV車報道には、いささか閉口している。

EV車そのものには、たいして文句はない。もともとダイムラーが自動車を作った時代から動力源として電気駆動は考えられていた。なぜならエネルギー効率が非常に高いからだ。ただ当時の技術では蓄電池の能力が低かった。それゆえガソリンを燃焼させるエンジンが選ばれた。

しかし、リチウム電池が開発されて状況が一変した。繰り返すが、エネルギーの転換効率は圧倒的に電気が勝る。ただし、100年を超す歴史を持つガソリン(ディーゼルも含む)エンジン車のほうが社会資本が整っているが故に、単純に電気有利とはいえない。

だから電気自動車は、その開発が足踏み状態であった。しかし、環境問題が事態を一変させた。いわゆる地球温暖化問題である。まだ科学的に立証された訳ではないが、化石燃料の燃焼により排出されるCO2が、地球規模の温暖化になんらかの影響を与えていると考えられる。

そうなると、ガソリンエンジンを止めて、電気で駆動するEV車にすることが正解とされる。

ここまでは、多少の異論があるが、理解は出来る。だが、昨今のEV車報道には隠された本音が透けてみえる。

まず第一に私が胡散臭く思っているのは、原油の枯渇問題がスルーされていることだ。既に21世紀中には、原油は枯渇する可能性が高いことは、20世紀後半には予測されていた。何故にこの重大問題を取り上げないのか。

次に私は嫌らしく思うのは、欧米、とりわけ欧州の日本メーカー排除の意図が見え見えであることだ。自動車は確かに欧州で生まれて、世界に広がった。しかし、20世紀後半からアジアでの自動車生産が急拡大し、日本、韓国、シナの三カ国で過半を占める有り様である。

これが癇に障るのだろう。EUのEV車戦略には明白に日本メーカー排除の企みが潜んでいる。トヨタが怒るのも無理ないと思う。

更に付け加えるのならば、EV車の普及には致命的問題がある。それは電気の供給不足である。日本に関して云えば、現状でさえ電力不足の報道がしばしば散見する。原発を止めているから余裕がないのは分かるが、新規の発電所の建設は進んでいない。風力や太陽光発電は不安定すぎて、産業用には不向きだ。第一、発電量が少なすぎる。

現状、日本ではEV車はまるで普及していないが、仮に3割の車がEV車となった場合、電力不足が加速化するのは目に見えている。EVステーションは一台当たり30分程度は充電にかかるが、数が少ないので大混雑すること請け合いである。

以前にも書いたが、EV車は案外と低気温にも耐えられるが、酷暑には弱い。またEVステーションどころかガソリンスタンドさえ稀な僻地には不向きな動力源である。加えて日本には世界屈指の豪雪がある。

いや、豪雪が降る地域は世界各地にあるが、日本はその豪雪地帯に都市がある。雪で交通が遮断されたらEV車では命の危険がある。だから、日本では豪雪の降る地域でのEV車の普及率は極めて低い。

マスコミは最先端の情報に囚われがちで、地道な取材と現場検証をサボる傾向が強い。この先、当分EV車が正義的な報道は続くと思うが、くれぐれもマスコミの煽動記事に騙されないように。
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