ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

今そこにある危機

2011-06-01 13:17:00 | 社会・政治・一般
危機に気がつかないことは恐ろしい。

おそらく来年に行われる衆議院選挙は、与党民主党の大敗で終わる。これは誰しもが分っているはずの必然の結果である。分っていない、分りたくないのは民主党だけだろう。

だからといって自由民主党が与党として復活できるとは限らない。なぜなら、未だに小泉・鋳??vに代表される構造改革路線からの脱却が出来ていないからだ。

つまり先の衆院選での敗北の反省を十分していない。それは未だに財務省の手先になることに違和感を感じない谷垣氏を総裁に据えていることからも明らかだろう。

繰り返して恐縮だが、自民党が与党から野党へ転落した最大の原因が、財政赤字縮小を至上の命題とした構造改革路線であった。

膨大する一方の国の負債を憂えた財務省が、必死の思いで自民党に飲ませた構造改革であった。私とて、多額の借金を未来の子供たちに背負わせることには危機感を持っていた。

だから、小泉をはじめ自民党の政治家も、構造改革路線を支持した。少子高齢化により日本の経済規模が徐々に縮小していくことを思えば、必然的な選択であり、やらねばならぬことだと私も認めている。

しかし、やり方が拙かった。

人類が国家というものを作り上げて以来、国家財政の赤字削減は、古今東西至難の事業であることに変わりない。成功例は少なくないが、共通するのは施政者自らが出費を抑え、倹約に努めて範を見せているケースだ。

逆に失敗例の大半は、施政者が自らの特権を保持しつつ、増税と出費削減による負担を下に押し付けたケースだ。この場合、民の反感を招き、叛乱が起きて国が乱れ、亡国に至ったケースもある。

そして、小泉・鋳??vは、結果的に後者になってしまった。金融機関の統廃合は、弱者切捨てと金儲け優先を正当化させ、本来の公共的役割を捨てさせてしまった。公共事業の削減は、元請が弱い立場の下請けを切り捨て、踏み潰すことまでして生き残ろうと図ったため、膨大な貧困者を産みだす結果となった。

この切り捨てられ、踏み潰され、未来への希望を失くした人たちが自民党に見切りをつけた。その結果が、衆議院選挙での自民党の歴史的敗北であり、民主党の飛躍的躍進であった。

民主党に投票した人の大半は、マニュフェストなんか読みはしなかった。ただ、自民党政治から変わって欲しかった。自分たちを裏切り、切捨て、追いやった奴らへの復讐的投票行動に過ぎなかった。

ところが、困ったことに民主党の政治家は、この有権者の気持ちを分らなかった。いや、元々自分たちは良い人であり、自分たちの良心的姿勢を有権者が支持してくれたのだと曲解した。

その結果が今の政治的惨状である。当然、民主党政権は次の衆議院選挙までの命運だ。これだけ有権者の期待を裏切った以上、当然の末路だと思う。

今や自民党は、お口を空けて果実がこぼれ落ちてくるのを待つだけで良いと思い込んでしまっている。自分たちが努力しなくても、政権の座が転がり込んでくるはずだと、内心ほくそ笑んでいる。

だが、有権者はその愚かな自民党の態度を見透かしている。それは地方選挙の結果からも読み取れる。有権者は、自民党の政治家たちが、有権者が何を求めているのかを分っていないことを嗅ぎつけている。

今の状況で予測できるのは、どの政党も単独では過半数をとれず、結果として連立内閣が作られる。そうなると、大きな方針転換は見込めない。ちまちまと、どうでもいい改革だけが言い訳のように行われて、政治は停滞する。

小躍りするのは官僚ばかり。自分では何もできない素人政治屋たちに、手取り足取り指導してあげて、自分たちの政策を実現させる。

結果は分っている。現状維持の問題先送りと、事なかれ主義が政治の根幹となる。

かつては構造改革路線を支持していた私ですが、現在は否定しています。いくら財務省主導の構造改革を推し進めても、この巨大な財政赤字は解消できません。やはり、インフレを穏やかに引き起こしてコントロールするのが一番の良策だと考えています。

本当はスーパーインフレーションを引き起こして、貨幣価値を劇的に低下させて結果的に国債の償還負担を減らす以外、あれだけの巨額の国債は償還不能だと思います。でも、それをやったら大混乱は必然。

人だけでなく、企業さえもが老衰を起している日本で、その大混乱に対応できるのか不安なので、これはお薦めしかねる。ただ、地球規模の災害等、不測の事態が起きた時、結果的にそうなる可能性があるのが恐ろしい。

このことについては、いずれ書き記したいと思っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする