ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

失業手当に思うこと

2011-06-14 12:24:00 | 社会・政治・一般
豊かさは、時として人の心を腐敗させる。

長きにわたる不況が続く日本では、企業が求人募集をかけると応募が殺到する。その会社でも、一年に数回、募集をかけることがある。

人事を担当しているA君の机の上は、送られてきた履歴書が山となして机の片隅を占拠している。だが、ため息まじりでA君はぼやく。

この履歴書を読むだけの書類選考で、全体の9割以上が弾かれると。職歴をみれば分るんですよ。だいたい、2~3年務めると止めて、半年から一年無職の期間が続き、再び就職する。これを繰り返す若者が増えている、と。

つまり無職の期間は失業手当で食いつないでいる人たちでもある。A君に言わせれば、失業手当目的で短期間働く人たちであり、彼らからの応募は読む気にさえならない。

彼らは本気で仕事を覚え、スキルをアップさせて会社に貢献する気がない。出来る限り働かずに金(失業手当)をもらえるように努力するらしい。

だから、彼らからの応募は、端から就職する気がない応募であることが多い。どう考えても通えない場所からの応募は、まず自分は求職活動をしていますよと、職安にアピールする根拠のための応募だそうだ。

A君は、ボクの仕事は、この手のいい訳応募を除外して、面談者を決めることなんですよ、と嘆く。20代が多いらしいが、30代でもけっこういるらしい。40代は微妙で、50代以上は向き不向きを考えない必死なものが多い。

ちなみにこの会社が求めている人材は、20代で雑用もこなせる事務職なのだ。正直、年配者は馴染めないというか、無理なのでお断りするしかない。

今の法律では、性別差別、年齢差別を禁じているので、無駄な応募が必然的に来てしまう。あまりに現実離れしている雇用機会均等法なのは明らかなのだが、未だ改善されるとの報は聞いていない。

それはさておき、このような働かずに金をもらうことに汲々としている若者が近年目立つ。当たり前のことだが、彼らの所得は低い。とりあえず食べていける程度の収入であり、貯金も少ない。

でも、最大の問題は彼らの将来だろう。短期間しか働かないので、ビジネス・スキルがまったく伸びない。若いうちはそれでもいいらしいが、年代を重ねるごとに辛くなるのは必然だ。

はっきり言えば、使い捨ての短期労働者でしかない。まさに格差社会の中核を担う存在なのだろう。A君に言わせれば、あの連中は玉の輿を夢見ているので、それで構わないそうですよと吐き捨てる。

夢を見るのは自由だが、そんなだらしない人間が玉の輿を目指すこと自体、不遜ではないかい?まァ、だらしないからこそ、現実の厳しさが分っていないのだろう。

そんな成れの果てを見たければ、開店前のパチンコ屋に並ぶ人たちを探せばいい。行列のなかに一人や二人、必ずお年を召した若作りの女性がいるから。

もっともA君に言わせれば、女性はまだいいらしい。問題は若い男の子にも、似たような職歴を持つ子が増えていることだと力説する。私が本当かい?と問うと、履歴書をみせてくれた。

ふむ、たしかに短期間に就職と失業を繰り返している。しかも、もう30代に入っている。これでマネージャー希望だというから笑ってしまう。管理職が楽な仕事だと思っているらしい。

要するに、同じ金を得るならば、楽にもらえるに越したことないと考えているようだ。失業手当を施されるのと、稼いで給金を貰うのを同等に考えているのだろう。

これが全ての若者だとは言わない。言わないが、このような若者が増えているのは間違いないらしい。おそらくは、未来の生活保護候補者でもある。

なにか、おかしくないかい。どこか、おかしくないかい。

社会的弱者に対する優しさは、過剰に過ぎるとむしろ却って社会を腐敗させると、私は思うね。
コメント
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