ヌマンタの書斎

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封神演戯 藤崎竜

2011-06-28 14:22:00 | 

タイトルを見たとき、思わず「やられた~」と思った。

それが週刊少年ジャンプに掲載されていた表題の作品だった。いわゆるシナの怪奇小説の一つであり、私がかねてから読みたいと切望していたものだ。

その名を知ったのは、中学生の時だった。当時、私は無謀にも史記に手を出しており、一応読了したが理解できたのは、そのほんの一部だけであった。

私はそのことを、けっこう気にしていて、それゆえ何時かしっかりと再読したいとも願っていた。率直に言って、当時の私の国語力では、史記はいささか敷居が高かったと思う。

勉強などほとんどしなかった私だが、「史記」に関してだけは、先生に質問に行くことがあった。落ちこぼれの私が質問に職員室を訪れるのは珍しかったので、他の先生までもが不思議そうにしていたことはよく覚えている。

そのため、担当ではないにも関らず、漢文に詳しい先生が質問に答えてくれることがあった。その時だったと思う。雑談の際に、太公望が活躍する怪異小説のようなものがあると教えられた。

その先生が持っていたのは、明治時代に抄訳されたもので、文語体であったため読みにくかった。珍しい本であったので、貸してはくれなかったが、いつか読んでやろうと思っていた。それが表題の原作であった。

その後、しばらくは忘れていたのだが、30になり社会復帰を目指している頃に、現代語訳された「封神演戯」が出版されていることが分り、是非とも読みたいと思っていた矢先のことだった。

なんと、ジャンプで漫画化されていたのだ。これにはビックリした。私は原作を読んでから、漫画化された作品を読みたいと常々思っていたので、いささか悔しい思いをしたが、反面読んでみたい気持ちは抑え切れなかった。

結局、漫画喫茶で全巻読破したが、相応に納得の出来るものでしたよ。もちろん、ジャンプ得意の対決路線を踏襲しつつも、きわめて日本的な自然観に基づく「封神演戯」となっていました。

飄々とした太公望の態度は、シナ人的価値観からはかけ離れているし、敵でさえも最後は友達にしてしまう日本的感覚は、敵の死体の頭蓋骨をもって酒盃を作るシナ人の感覚からは、大きく離反しています。

それでも、日本人の読者、とりわけ子供たちを対象とする漫画としては悪くない。ただ、この感覚でシナ人を理解してもらっては困りますがね。

私としては、後は原作に忠実に訳されたとされる日本語訳の「封神演戯」を読んでみて、対比したいところです。シナ人の神仙思想が、今日のシナ人にどれほど痕跡を残しているか、興味津々なのです。

コメント (4)
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