映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

レイルウエイ 運命の旅路  The Railway Man

2014-05-16 | 映画 ら行
昨年末の安倍総理の靖国参拝を受け、今年の初めに駐英中国大使と駐英日本大使が相次いで
デイリー・テレグラフ紙に寄稿した論説でエリック・ローマックスと永瀬隆両氏の存在、
本作が4月に公開されることを知り、その流れで往年の「戦場にかける橋」を見ました。
   詳しいことはこちらです → エリック・ローマックスと永瀬隆

公開が始ったことは知っていたのですが横浜地区では「横浜ブルク13」のみ。
主演のコリン・ファレルも真田広之さんも、随分前からとても好きな役者さんです。
主人公エリックが日本軍の捕虜となり拷問を加えられたことでPTSDを患い、苦しみの中
憲兵隊通訳永瀬と対峙し和解するという重いテーマがどのように描かれているのか、
ちょっと胸がざわつき、見るのを先延ばしにしてしまいました。
公開終了前にと、断捨離の手を休め、重い腰を上げ見てきました。


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          レイルウェイ 運命の旅路 
                The Railway Man

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 < ストーリー >
鉄道好きのエリックは、電車で運命的な出会いをした女性パトリシアと結婚し幸せな生活を送っていたが
過酷な戦争体験の後遺症に苦しめられていた。
50年前、英国の通信兵として従軍したエリックは、シンガポール陥落後捕虜となり、タイとビルマを結ぶ
泰緬鉄道建設のために強制労働に就いていた。そこで秘かにラジオを作りBBC放送を聞いていたことで
スパイの嫌疑をかけられ拷問を受けたのだった。
夫の姿に心を痛めるパトリシア。戦友から拷問に立ち会っていた通訳永瀬が戦争体験を伝える為、
今もタイにいることを聞き、意を決してタイへと向かい…。

実話に基づくストーリーです。
原題は「The Railway Man」。このまま訳したら「鉄道員」で健さんの「ぽっぽや」に
なっちゃうから「レイルウェイ」にしたのかな?

戦争は「生きるか死ぬか?やるかやられるか?」の特殊な状況だから…ね。
国が勝っても負けても、人生を狂わされるという意味ではどちらの側にいてもみんなが被害者と
いえるでしょう。極限状態の中で行われたことを正義の名のもとで裁くことができるのか。

戦争がなければ、鉄道好きの利発な好青年であったろうエリック。
鉄道好きとメカに詳しかったこと、正義感が強かったことが災いし、過酷な拷問を受け
その傷を一生引きずることになる。

一方の永瀬隆も英語が堪能で一本気な青年だ。
拷問の場に立ち会ったことで、彼もまた人生の方向を変え、一生罪の意識を抱えて人生を
おくることになる。

何とも不幸で悲しいこと。
戦争を体験した世代は辛く苦しい思いを抱えておられる方が大勢いらっしゃったのだろうと
改めて思い知らされます。

冒頭のパトリシアとの出会いが素敵で、中年のロマンス映画かと思ってしまうほど。
彼女との出会いが、戦後の人生で唯一輝いていたというのは、悲しいけれどホッとします。

パトリシアの後押しを得て、タイに渡り永瀬と対峙。
戦後長らく抱えて来た、怒り・苦しみをぶつけ、なじるエリック。
しかし暴力に訴えることは思い留まる。
一方の永瀬も、この日のために生きてきたとエリックの怒りを受けとめる。
最後の一線を超えることがなかったのは、ふたりが共に品行方正な人だから。
そして互いの人格を認めることができたから。
憎しみは何も生まない。
再会後、ふたりは親交を深めたそうです。なかなかできることじゃないです。
戦争の辛く苦しい体験・トラウマを越えて和解に至ったお二人、支えた奥様の姿に
強く心打たれました。

主演の三人(コリン・ファース、真田広之、ニコール・キッドマン)は言うに及ばず、
ふたりの若い時を演じたジェレミー・アーヴィン、石田淡朗、
戦友を演じたステラン・スカルスガルドら、みなさん素晴らしいです。
        
尺八を使って和のテイストを取り入れた音楽が画面の緊張を醸し出していました。

この映画を通して、このお二人のストーリーが多くの人が知るところとなったのは良いことだと思います。



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 ***** 見た 映画 *****

 5月14日 「レイルウェイ 運命の旅路」 @横浜ブルク13

        「WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~」@109シネマズ横浜MM