映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

しあわせの雨傘

2011-02-05 | 映画 さ行
冒頭、三本ラインの赤のジャージに身を包み、カーラーを巻いた髪にネット姿のドヌーブが
楽しそうにジョギングです 
全編、ノスタルジックな70年代の雰囲気で、フランス~、フランス、おフラン~ス
私の好きなタイプのフランス映画です。
カンヌ映画祭で賞を取ったりする映画は難しくって・・・。


                      

             しあわせの雨傘  Potiche

                       


 < ストーリー >
スザンヌは詩作を趣味に、朝のジョギングを日課とする優雅でノー天気なブルジョワ主婦。
婿養子の夫ロベールは傘工場の社長で「妻は美しく着飾って夫の言うことをきいていればいい」という
横暴な亭主関白。秘書のナデーシュは愛人だ。
ある日、待遇改善を求める従業員たちとの揉め事など、心労で発作を起こし倒れるロベール。
急遽、代わりに工場を運営することになったスザンヌは持ち前の機転と明るさで従業員と話し合い
父の家族的な経営方針にのっとり和解し、傾きかけた工場を軌道に乗せる。
生きがいを見つけ張り切るスザンヌだが、元気になった夫が復帰し・・・。

           
          中の4人が家族。両脇の二人は夫々の愛人。

仕事もしなくていい、家事も家政婦がするからしなくていい、着飾って綺麗にしていればいいって、
まぁ何とも羨ましいご身分のブルジョア主婦スザンヌ。
しかし、何もするなって・・・辛いかも?
原題の「potishe」は公式サイトによると、「贅沢で高価だが実用性のない壺や花瓶」
転じて「美しいが夫の陰に隠れ自分のアイデンティティーを持たない妻」を軽蔑的に形容する言葉だそうです。
そういえば、映画の中でスザンヌのことを何度も「飾り壺」と言ってました。キツイなぁ~。
娘のジョエル曰く、「私はママみたいにはならないわ」って・・・母の人生全否定やないの?
こんなこと娘に言われたら母は辛いなぁ。

ついでに英語では、
金や権力のある男性が迎える若くて美人の妻のことを「trophy wife トロフィーワイフ」、
若い男と付き合おうとする女性を「cougar クーガー」と呼び、
若い男と付き合うために中年女性がする整形を「cougar lift クーガーリフト」と言うそうです 


映画の時代設定である60年代後半から70年代のフランスは、学生、労働者、革新的市民層を中心とする
反ドゴール体制運動「五月革命」が起こり、労組が賃上げなどの待遇改善を要求して工場はストライキに突入、大学でもストに突入など、政府の危機に直面し軍隊を出動させて鎮圧するという熱い時代だったのですね。

そんなこんなで、傘工場でもストライキ。
夫に代わって組合と直談判、市長に掛け合い円満解決~。
息子も娘も母をサポートし傘工場で働くことになる。ハッピーハッピーかと思ったら・・・
夫、復活~。ずっと休んでくれればいいのに・・・。

一度働く歓び、必要とされている実感、自分の力を試し自信をつけた妻は、もはや「飾り壺」の地位に
甘んずることなどできません。
ここから、彼女の自立を賭けた戦いが始まる。

といっても、そこはそれフランス映画。
色鮮やかな雨傘やスザンヌの素敵な衣装、ドヌーブとドパルデューの歌と踊りで華を添えながら、
(ドヌーブは「ロシュフォールの恋人たち」でも歌って踊ってましたね)
息子の出生の秘密
息子の結婚
娘の家庭の事情
昔の恋の再燃
などを絡め、驚きの彼女の転身へと話は進みます。

ただのお飾り妻かと思ったら、フランス女性はなかなかしたたか。
あちらこちらでさらっとアバンチュール 、旦那の浮気に負けてません。二人ともお盛んではある。
夫を尻目に、見事に自立を勝ち取ります。
夫の愛人である秘書の女性が、すっかりスザンヌ信奉者に変わっているのが面白い。

女性には痛快なストーリーだけれど、男性はどうお感じになるんでしょうか?

      チラシの石川三千花さんのイラスト

オゾン監督の「リッキー」で、リッキーの父親役で出演していたスペイン人俳優が、
こちらにもチョイ役で登場しますよ。




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