映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

ローマ帝国に挑んだ男 パウロ Saint Paul 2000

2009-10-08 | 映画 ら行
私、生まれてこのかた宗教色のあるところに身を置いたのは幼稚園のみ。
園長さんが寺の住職さんだったので仏教系?という程度で特に仏教の指導もなかったような。
家から一番近かったから、近所の子ども達が通っていたというだけの理由で通っておりました。
そんなわけで、宗教については学校の「倫理社会」や「世界史」で習った常識的な範囲の知識しかなく、
しかも、うん十年もの時が過ぎ、忘却のかなたへ~。
「倫理社会」をもっと真面目に受けとくんだったよ・・・。

そんな私がずっと疑問に思うこと、それは・・・
クリスチャンという人たちは神の子としてキリストさんを崇拝するけれど、
キリストさんも彼らが差別するユダヤ人であるというところに矛盾は無いのか?ということです。
クリスチャンの方や、外国人の方にもこの疑問を投げかけましたが、
「イエスは人種とかそういうものを越えた存在」とか「そんなこと聞かれたこと無いよ」
という反応で、答えは得られず。


1947年アカデミー賞を3部門獲得した「紳士協定」はエリア・カザン監督、グレゴリー・ペック主演で、
主人公が名前を変えユダヤ人を装ってユダヤ人排斥の実態を暴くドラマでした。
つまり顔つきでは識別できないけれど、名前を聞けばユダヤ人だとわかるということです。
名前でユダヤ人ってのはわかるんだとか、ユダヤ人だとこういう風に扱われるのかと
人種というものを意識するきっかけとなった衝撃的な映画でした。

ハリウッドを牛耳っているのがユダヤ人で、脚本家もユダヤ人ってことで若干差し引いたとしても
西洋社会の中のユダヤ人差別から、どこにでもだれにでもある無意識の差別意識を問う、
素晴らしい社会派映画として今も心に残ってます。
   ハンサムなグレゴリー・ペック


そしてビデオショップで何気なく手にし、借りて見た本作「聖パウロ」。
正直「聖パウロ」って何した人だっけ~?状態。  無知ってこわいわ

何をした人か御存知でしたか?
何を隠そう(隠してませんが)この人こそが、キリスト教を世界宗教にするきっかけをつくった
功労者なのでした!
この人がいなかったら・・・
ユダヤ教からでた新興宗教の一つ?程度でこれほど世界中に広まることは無かったかもしれません。

ユダヤ名サウロ。古代ローマの属州キリキアの州都タルソス(現トルコのタルスス)生まれのユダヤ人。
すべてのキリスト教会は彼を使徒と認め崇敬するが、イエス死後に信仰の道に入ってきたため
イエスの直弟子ではなく十二使徒の中には入ってません。

     

当時ユダヤ教にはパリサイ派とサドカイ派があり、そこにキリスト教が登場した。
パウロは生まれつきのローマ市民権保持者でユダヤ教パリサイ派に属し、当初キリスト教徒を
迫害する目的でダマスコへ行く途中、「なぜ私を迫害するのか」というキリストの声を聞き、
その後、目が見えなくなる。アナニアというキリスト教徒が神のお告げによってパウロのために祈ると
パウロの目から鱗のようなものが落ちて、目が見えるようになった。
「目から鱗が落ちた」という言葉の語源らしいです。
こうしてパウロはイエスの奇蹟を体験し、キリスト教徒となった。
パウロ版「余は如何にして基督信徒となりし乎」って話が前編です。

この映画はイタリア・チェコ・ドイツ合作で台詞は英語、どうもテレビ用に作られたようで
前・後編に別れ全部で約3時間の大作です。
後半は、キリスト教に回心したパウロが、サドカイ派やローマ人の迫害を受けながら
布教に専心する姿を描いています。
キリスト教もユダヤ人の宗教だったので、ユダヤの戒律・習慣(割礼など)の遵守は基本でした。
パウロは異邦人(非ユダヤ人)に布教する為にはユダヤの戒律や習慣に固執すべきではないと主張し
ユダヤの戒律にこだわるペテロやヤコブらを説得しローマでの布教を目指して旅立ちます。

ここで、ローマを目指すまでずっとパウロと行動を共にしするバルナバという人が登場します。

この名前を聞いて私の目からも鱗が落ちました
バルナバとは、キプロス島生まれのユダヤ人で、妻とともに入信し布教を続けた人です。

日本ではあまり耳にしない名前ですが、大阪市天王寺に1873年に開設し古くから
産婦人科や小児科など母子の医療に力を入れている日本聖公会最古の病院「聖バルナバ病院」があり、
私はここで生まれたのでした。
昔から「バルナバで産まれたのよ」と聞いておりましたが、この年になるまで、この映画を見るまで
「バルナバ」が何なのかを知りませんでした この映画を見てよかったよ~
生まれた時だけキリスト教に接点があったわけですね。

そして、そんな「バルナバ」演じているのはG・W・ベイリー!
ポリスアカデミーシリーズで間抜けな上官を演じていたこの方です。驚きました。
   
 最近はテレビシリーズ「クローザー」にも出演中です。

パウロって・・・英語読みならポールです。
聖パウロ→聖ポール、つまりセイント・ポールってチャールズ皇太子とダイアナ妃が
結婚式を挙げたイギリス国教会の大聖堂@ロンドンは聖パウロに捧げられているわけですね。

パウロがいなかったら世界は変わっていたかもねぇ~。

「クリスチャンという人たちは神の子としてキリストさんを崇拝するけれど、
キリストさんも彼らが差別するユダヤ人であるというところに矛盾は無いのか?」
という長年にわたる疑問の答えをご存知の方、いらっしゃいましたらご教授下さいませ


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