映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

ゴッドファーザー1.2.3

2008-03-28 | 映画 か行
今回は、誰もが知ってる、泣く子も黙る?渋~い映画三部作です。

男性でこの映画が嫌いな方はいらっしゃらないですよね?

DVD4枚、トータル9時間に及ぶパートⅠ・Ⅱ・Ⅲを一気に見ると
流石にちょっと(いえ、かなり)疲れましたが、
見ごたえのあるイタリア移民親子3代にわたる大河ドラマでした。


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  ゴッドファーザー  The Godfather   1972・1974・1990

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アメリカ人男性の野球好きは筋金入り。
野球がテーマの映画は山ほどあるが、映画の中で、
何年のどこ対どこの試合で、何回の表、誰が誰からどんな球を打って、結果どうなったか
などというマニアックな会話の場面をよく見かける。
「野球トリビアゲーム」なんてのもあるんですね。

もう一つ時々お目にかかるのが「ゴッドファーザー」の台詞。
会話をしている二人は勿論のこと、映画を見ている観客も
「あっ、ゴッドファーザーのあの台詞」とすぐにわかるらしい。

「ユー・ガット・メール You’ve got mail」の中でも、
トム・ハンクスがマーロン・ブランド演ずる主人公ビト・コルレオーネの物まねをしながら、
「The Godfather answers all of life's questions. ゴッドファーザーは人生の疑問に全て答えてくれる」なんて言ったりする。

ビト・コルレオーネが息子たちやファミリーメンバーに語る言葉が人生訓として多くの人の心に
深く刻まれているようです。


誰もが知っているニーノ・ロータのテーマ曲

役を獲得する為に、マーロン・ブランドーが太ったり痩せたりしたことや、
アカデミー賞授賞式で主演男優賞を受賞したにもかかわらず、
「映画界における、ネイティブアメリカンの扱いが不当である」
というよくわからぬ理由で受賞を辞退し、ネイティブアメリカンらしき三つ編み女性(実際は違っていた)が代理で声明を読み上げたことなど、
エピソードには事欠かない。


   
マフィアの出自が何故イタリア・シチリア島なのか、ずっと不思議だった。
「マフィア」の語源は諸説ある。

①アラビア語で採石場を意味し、十一世紀までイスラム教徒に支配され、反抗した者や犯罪者が
採石場に逃げ込んだというところからきているというもの、

②「シチリア晩鐘事件」のフランス軍への抵抗運動の合言葉の頭文字からきているというもの、

③シチリア方言の「乱暴な態度」という否定的なもの、

④同じく方言の「美しい」「誇り高い」「尊敬に値する」という好意的なもので、トラブル解決に一役買った地元実力者が「マフィオージ」と呼ばれ勢力を伸ばすことになったことからなどなど。

紀元前8世紀にギリシャの植民地になって以来、1861年イタリアに統一されるまで、
ローマ、アラブ、ノルマン、スペイン、フランス、オーストリアなど外国からの支配が途切れることなく続き、抑圧を受けてきた悲しい歴史から、警察や司法機関といった公権力は当てにせず
共同体としての団結こそが抵抗し生き延びる道となったとか。

政治の空白がマフィアを生んだということでしょうか。


    
父ビト・コルレオーネをマーロン・ブランド、
若き日のビトをロバート・デニーロ(ハンサムだったのね~)、
三作を通して二代目を継ぐマイケルをアル・パチーノ、
マイケルの姉コニーを監督コッポラの実妹タリア・シャイア(「ロッキー」の妻役)が演じている。

      

一作目の冒頭、娘が暴行され警察に訴えたが裁判結果が納得できないと泣きつく男に、
「何故警察に行く前にここに来なかったか」と詰め寄るビト・コルレオーネ。
ドンを頼る者は、法によっては得られない保護を依頼し、お金ではなく、いつかその恩に報いる。
「ギブアンドテイク」「ご恩と奉公」なんて言葉が頭をよぎるが、
礼を重んじ、ファミリーメンバーを大切にし、強い絆?で結ばれて、
いえいえ「I’m gonna make him an offer he can’t refuse. 嫌だなんて言わせない」ってことですね。
「タダより怖いものはない」って言いますもんね。
バイオレンスでありながら、ある意味強い、いえ怖い「家族愛」を描いている。

ビトはメンバーに
「“A man that doesn’t spend time with his family can never be a real man”
家族と過ごしきちんと面倒を見てこそ本当の男だ」と諭す。
家族との過ごし方、大事ですね。うん、うん。

       
父ビトの時代は、
彼を中心として家族が結束、
家業を嫌っていた次男マイケルまでもが堅気を捨て裏の世界に入り、ファミリーの絆を深めていく。
暗黒街といえど、まだまだ麻薬取引が登場する前の、古き善き時代です。
ビトは「Drugs is a dirty business.」と言う。


               
一方二代目マイケルの時代は、
家族を思い、合法的な事業を目指すが妻も息子も離れていき、
最愛の娘は自分の身代わりとなって死ぬ。
マイケルは年老いて孤独の中、シチリアで死ぬ。
兄を殺し、多くの人を死に追いやったものは悲惨な死で犯した罪を贖わねばならないということか。

麻薬が資金源になったという時代の流れもあるが、二人は対照的に描かれる。


       
パートⅡでは革命前夜のキューバで、
ゲリラが手榴弾で憲兵を道ずれに自爆するのを目撃したマイケルが、
「金のためでなく無償で戦うゲリラの革命は成功する」と言い政府への賄賂を止める。

言葉の端々、態度、状況などから相手の真意を測り
最大の利益を追求するタフネゴシエーターぶりは常に瀬戸際外交交渉のようだ。

「Finance is a gun. Politics is knowing when to pull the trigger.
金融は銃だ。政治とは引き金を引く時を知ることだ。」と敵のボスも言っている。

 
       
パートⅢではシシリー島とバチカンのサンピエトロ大聖堂が舞台となり、
新法王を決定するコンクラーベや法王決定を知らせる白い煙が屋根から上がるシーンがある。
新法王の暗殺や、使い込みをしマフィアに泣きつく大司教など、
バチカンから抗議は無かったのかしら?と気になったが、
実際に1978年教皇在位33日目でのヨハネ・パウロ一世の不可解な死、
1982年ヴァチカンの資金を預かるアンブロシアーノ銀行の倒産と
テムズ川に架かるブラックフライヤーズ橋での頭取ロベルト・カルヴィーの首吊り死体の発見、と
事実は映画以上にミステリアスでスキャンダラスだ。



Ⅲにはヘンリー・フォンダの孫娘ブリジット・フォンダや
ビスコンティ監督「ルードビッヒ」主演の二枚目ヘルムート・バーカーが前方禿げ頭で登場する。

今や「ロストイントランスレーション」「マリーアントワネット」で監督として注目を集めるコッポラの娘ソフィアもマイケルの娘で準主役出演している。

父(音楽の一部を作曲したカーマイン・コッポラ)・妹・娘の参加で、
ゴッドファーザーはコッポラファミリーの家族愛ストーリーでもある。

お酒の好きな方は、
カクテル「ゴッドファーザー」
(スコッチウイスキーとアーモンドの香りがするイタリアのリキュール、アマレットを3対1の割合)を飲みながら、9時間の3部作に挑戦してみませんか?

ベースのウイスキーをウオッカに変えると「ゴッド・マザー」、
ブランデーに変えるとジーン・ハックマンがポパイ刑事で活躍した「フレンチコネクション」になりますよ。