映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

ホーンブロアー 海の勇者

2008-01-12 | TVドラマ
今回は久々にTVドラマを取り上げます。
「懐かしの」でも「最新の」でもなく、1998年から2003年までに制作された、「知っている人はお気に入り、知らない人は全く知らない」イギリス海洋冒険ドラマです。

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ホーンブロアー 海の勇者 HORNBLOWER
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英米では人気小説で、架空の人物であるにもかかわらず、他の小説やドラマに登場したり、「スタートレック」のカーク船長のキャラクターにも影響を与えているらしいのです。
原作はC・S・フォレスターの小説、
時は18世紀末、フランス革命前から19世紀中ごろまで、
主人公ホレイショー・ホーンブロアが海軍士官候補生から提督になるまでのドラマです。
TVドラマは17歳から27歳までを描いており、3部構成で第一部4本、第2部2本、第3部2本、
1本105分程で見ごたえたっぷりです。

去年の秋頃だったでしょうか、日経夕刊のテレビコラムで「ホーンブロアー第2部・第3部」の放映をケーブルテレビのミステリーチャンネルで開始すること、面白い番組であることなどが紹介されていました。(Tさん、教えてくれてありがとう)
途中から見始めたのですが、面白くって毎回楽しみでした。
しかし、1作105分って映画1本見るのと同じというのはちとキツイ。
でも、よくもまあこんな豪華なTVシリーズ作っちゃったもんです。
実際の帆船も使っているようだし、海軍の青、陸軍の赤の制服も再現され、戦闘シーンや爆破シーンなど等大掛かりで、俳優さんたちもさぞや肉体的に厳しい撮影だったのではと思われます。

ヨアン・グリフィスという俳優さんを御存知でしょうか?
「ファンタスティックフォー」のリーダー「Mrファンタスティック」にしてジェシカ・アルバの恋人役で体がゴムみたいに伸びる人をやっている方です。
             

まあ、はっきり言って「この人誰?」「何で主役やってんの?」「主役なのにいまひとつインパクトに欠けるなぁ」という印象だったのですが、本シリーズを見て、すっかり態度を改めました。
大きなお世話ですが、歳とっちゃいましたね。
ホーンブロアー自体、勇敢で責任感が強く、部下思いで機知に富む、っていいとこだらけのキャラなのですが、ヨアン・グリフィスがこれまた爽やかで、次々と困難に直面しながらも前向きに成長していくホーンブロアーにピッタリなんです。
第1部の17歳という設定は、か・な・り無理がありますが、彼の爽やかな魅力に免じてよしとしましょう。

また脇を固める俳優陣がうまい。
皆さん英国の俳優さんで、日本ではあまりお目にかかれない方が多いのが残念です。アメリカ人俳優と違って、派手さはないけれど落ち着いた重厚な感じが良いですね。
水兵マシューズとスタイルズ役の方々は本当に船乗りなんじゃないかと思うほどのはまり様です。縞々Tシャツのマシューズはいい味出してます。

         

今回このドラマを選んだのは、お正月2日から毎日、ケーブルの「ミステリーチャンネル」で全シリーズ再放送があり、前回見逃した第1部が見れたこと、また、たまたま2日の朝、ディズニーの「102(101匹ワンちゃんの続編です)」をちらっと見たら、ホーンブロアーが、いえヨアン・グリフィスが主役で出ているじゃありませんか。偶然とはいえ、これは何かのサインかも?

昔から、「板子一枚下は地獄」なんて船乗り稼業が危険であると言われていますが、ひとたび出帆すると限られた空間・食料の中で生活を共にする一種の運命共同体、ましてやフランスやスペインと戦闘状態に入ったりするわけだから、規律を保ち協力しなければとんでもないことになるわけです。
上官の命令は絶対で、背けば縛り首です。
和を乱す行為を行ったときは、鞭打ちです。
戦闘に負け降伏する時は、将棋の「負けました」宣言よろしく、艦長が自分のサーベルの向きを変え、敵の艦長に渡すのです。
敵に対しても約束を守り、敵ながら天晴れな行為に対しては称えるという美しい騎士道精神が生きています。
勿論人間ですから、妬みや誹謗中傷もあり、足を引っ張る嫌な奴も登場します。

     

古参仕官の陰湿なイジメに耐え、戦い(ピストルでの決闘シーンでは西部劇とは違い、少し離れたところから向かい合って同時に撃つって、この距離じゃ相打ちが多かったんじゃないかしら?)
フランスやスペインの捕虜になったり、
「バウンティー号の叛乱」のように、おかしくなった船長を解任したことで軍法会議にかけられたり(船長がかつて名を馳せた英雄だったりすると尚大変)、
英国軍艦長がアイルランド出身で秘かにフランス軍と手を結びアイルランド独立のために裏切り行為に及んだり(英国のアイルランド抑圧は16世紀に始まっている)、
様々な困難に立ち向かいながら、友情を育み、潔く、時には命がけで解決に向かっていく姿には、荒くれ水兵たちのみならず視聴者の信頼をも獲得し、ファンを増やしてきたのだと思います。

残念ながら制作会社が続編制作を打ち切ったようなのですが、アメリカの熱心なファンによって続編制作嘆願キャンペーン「Save the Hornblower series!」が行われ、多くの日本人ファンもオンライン署名参加されたようです(現在終了)。

近くのビデオ屋さんには残念ながら置いていません。
このシリーズを見るにはNHKやミステリーチャンネルの再放送を待つか、DVDボックスを買うしかないんでしょうか?(めっちゃ高~い)


***** おまけ *****
 
1951年グレゴリー・ペック主演で「艦長ホレーショ」が公開されています。
 見てみたい!

        


***** 今週見た映画 *****

  1月6日  ラスト・キング・オブ・スコットランド