ホリエモン

　電車で札幌に向かった。この３月に入っても結構降っているし、車で行くよりは電車が安全かなということで電車にした。駅までは結構な吹雪だったが電車の遅れも無く、ほぼ予定通り。
　大正５年１月生まれの８９歳のお爺ちゃんがインターネットで我が社のHPにたどり着き、物件を売りたいとの連絡を受けたのが１ヶ月ほど前。８９歳でインターネットか、と思いながら伺った。義息がいたが対応は一人。よだれが１～２滴垂れたがその他は毅然としたもの。耳も目も正常。字も丁寧に書く、というより早くは書けないと。６０歳定年で沼津から札幌に住みすみ、８０歳、奥さんが亡くなるまで年間７０日滑っていた。７０歳からパラグライダーをやりっていて、息子に家を譲ってニセコに住もうとしたが息子が沼津に家を建てたのでその必要も無くなり、手放すことにしたとのことだ。無事終了し、急いでホリエモンの会場へ。
　本当にこの時期にホリエモンは札幌に来るのか、と思いながら駅から昼飯を食べずに会場に向かった。前日、主催者が側にアクセスして会場を確認するが、既に定員オーバーで締め切られ、会場も変更になっていた。会場について驚いた。エレベーターの前はホリエモンの到着を待つ関係者が２列に並び、その周辺は取材する関係者で一杯だった。ギリギリに着いたので後のほうしか席は空いていなかったし、会場は熱気に包まれていた。開始１５分間だけ取材が許可されていたためマイクやカメラを持った人たちで通路は混んでいた。
　ホリエモンが到着した。本当に来たのだ。札幌証券取引所のアンビシャスクラブという札幌版ジャスダックみたいな団体が呼んだのだ。その依頼なので講演内容は●若者よ、会社を興せ、起業せよ●起業のメリットとわずかなデメリット●起業したら上場せよ●失敗しても再度立ち直れる●起業資金くらいは家族、友人からかき集めろ●その位集められなければやってもうまくはいかない等だ。３２歳で堂々としたものだ。話も変に受けを取るのでは理路整然と真面目に話している。金に固執している、金儲け主義だと背広の大人は批判するが、彼は、子供の将来の夢にスポーツ選手ばかりではなく『起業家』になりたい、という希望が出てきても良い、年寄りになって金を貯め込んでも有効なお金は使えない、等により若者が起業することにより世の中が活性化する、という内容の講演だ。俺の３２歳は酒と麻雀。随分違うな、この男とは。でも学校を卒業し、会社に入り、年功序列かゴマすりかで社長になる。それよりも一から会社を興し、その会社と肩を並べ、３２歳が戦っている。たいしたモンだよ。その取材と会場の熱気が凄かった。会場も俺みたいな若手がほとんどだった。
　この計画は１月中旬依頼したものでその後、ホリエモン騒動で関係者もヤキモキしたらしい。本当に来てくれるのかと。『約束は守ります』とのことで彼は来て、無償で講演を行った、との関係者の挨拶があった。
　終わって遅い昼飯、貸し切りでラーメンを食べた後、駅に向かった。３時４５分に着いた。ニセコに行く直通電車は３時２８分を逃すと６時４４分まで無かった（前もってそんなの調べておけよ）。それより前の電車で行っても小樽止まりか、倶知安止まり。倶知安からはタクシーで５千円以上はかかる。３時間ほど電車を待ったというよりスーパー爺さんやホリエモンにあやかりたくなり、たまにはということで寿司屋で一杯始めた。何年か前、一杯飲んだときはまあまあの寿司屋だったが今回は外した。もう来ないな俺の名前が一字着いたこの寿司屋には。
　夜、９時１３分にニセコについた。札幌から２時間半。東京から京都の距離だ。長いはずだ。３月１０日雪が降っている。今日も雪かな。三寒四温はまだまだかな。