のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

あいちトリエンナーレ・レポ4

2010-09-23 | 展覧会
ジャン・ホァン作品とは対照的に繊細さで印象に残ったのが宮永愛子氏の「結(ゆい)」でございました。

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MIZUMA ART GALLERY : 新着情報 : 宮永愛子があいちトリエンナーレ2010に参加します

塩の神殿とでも申しましょうか。床から天井までいく筋も張られた糸には塩の結晶が付着しており、会場内の淡い光を受けて霜のようにちらちらと輝いております。この塩は名古屋市内を流れる堀川の水から精製したものなのだとか。
淡い光の光源は部屋の中央に置かれている古びたカヌーでございます。中をのぞいてみると、アクリル板で蓋をされた船の中にナフタリンでできた真っ白な靴が置かれております。↑の写真では全ての靴が完全な形をしておりますが、時間とともに気化していくため、ワタクシが見た時にはだいぶ欠けてきており、中にはほとんどなくなっているものもございました。気化したぶんはどこへ行ったかと申しますと、透明な蓋の内側に、今度は自然なかたちの結晶となって点々と付着しております。生物も無生物も、存在する「もの」全てが、時とともに形を変えつつも存在し続ける、何かの消滅が別なものの生成に繋がっている、そんなことを思わしめる作品でございました。

この他にもフィロズ・マハムド Firoz Mahmud 氏の穀物で覆われた戦闘機(21世紀の戦い、軍国主義や火器は全て人民の生存権の搾取によるものである---アーティスト自身の言葉より)や、真っ暗な部屋の中でHELL(地獄)、MORTAL(死すべき者)、FATE(運命)といった言葉が床を這いずっては消えて行き、しまいには床を覆い尽くす白い光となって轟音とともに観客を包み込む、まことに陰鬱なツァン・キンワ Tsang Kin Wah氏の作品、それからオリバー・ヘリング Oliver Herring 氏による、マサチューセッツ、ニューヨーク、そして名古屋のお年寄りたちによる無性に楽しい映像コラボ作品などなど、面白ものがたくさんございましたけれども、あまりに長くなりますので芸術文化センター会場についてはこのへんで。

あと2回ぐらい続きます。


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