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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

グリーフサポートと死生学③

2024年05月13日 | 苦しみは成長のとびら
『グリーフサポートと死生学』 (放送大学教材・2024/3/20・石丸彦・山崎浩司著)からの転載です。

3)プロセス
 ただし,個別的で多様である現代のグリーフにも,特定の構造があることがこれまでの研究で明らかになっている。その構造とは,グリーフは変化を遂げながら発展するプロセスである,というものである。グリーフをプロセスとして捉える概念や理論は複数あり,以下にその代表的なものを挙げる。
・ グリーフワーク(喪の作業)
 グリーフワーク(grief work)という用語は精神医学者エリック・リンデマンによる造語であり,精神分析学の創始者ジークムント・フロイトの喪の作業(または悲哀の仕事。英語ではmouming work,原語ドイツ語ではTrauerarbeit)に由来する。フロイトによれば,大切な存在を喪失した現実に繰り返し向き合い,故人に対する愛着や絆を断ち切って,故人のいなくなった現実世界に適応することをもって喪の作業が完了する(自我の解放が起きる)。そして,この故人との分離プロセスがうまくいかずに逸脱が起きると,メランコリー(病的な悲哀)が生じるという。
・ 段階(位相)モデル
 段階(位相)モデル(stage modelまたはphase mode1)の代表的なものとして,心理学者ジョン・ボウルビイの愛着理論に基づくモデルと,精神医学者エリザベス・キューフラー=ロスの死の受容理論に基づくモデルがある。両モデルとも,グリーフのプロセスを,喪失体験者の心理面や行餘面の時系列的な展開に照準して説明する。ボウルビイの4段階モデルは,・無感覚と不信,・思慕と探究,・混乱と絶望,・再建,キューフラー=ロスの5段階モデルは,・否認,・怒り,・取引,・抑うつ,・受容,で構成されている。なお,段階は必ずしも順番に推移しない。逆行する,重複する,ある段階が飛ばされることがあると考えられている。
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