超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

パジャマな彼女。 3巻/濱田浩輔

2012-10-04 20:47:25 | 漫画(新作)






いよいよ今年一杯頑張って書いてきた「パジャマな彼女。」の感想も終わりですね。
これまでお付き合い頂いてた皆様本当にありがとうございました。






ただ、実は言うと本誌の最終回の感想で言いたい事は全部言い切ったので
パジャマな彼女。 第26話(最終回)「一番近くで」 感想
思ったより書く事は少ない・・・一つ言える事は
やっぱり読者層の問題かなあ、って事だけで
安易にそっちに責任転嫁するのも良くはないことなんですけど(笑
うーんしかしあとがきの文章を読んでると正直本意でなかった部分の方が大きいのかな・・・と。
色々と考えさせられてしまいました。

また、新展開にするならするで正直もう少し様子を観て欲しかったのが本音ですね。
そうじゃないのなら、もっときれいに終われるかたちは必ずあったはず
その辺を考慮するとやっぱり「踊らされた感」は否めない
まあ要するにこの雑誌との波長があってなかったんでしょうね。だからこそ、WJとの決別宣言も付いてますが
多分この漫画のファンはきっと誰もがゆっくりと書ける雑誌で良い漫画を描いて欲しいと思ってる、とか
個人的には想像してる
その時が来るのを今はゆっくりと待つ事にします。
ともかく、改めて半年間本当にお疲れ様でした。個人的には最後まで夢中になれた一作、でしたね。


しかし、こうやって改めて単行本で読むと
明らかにこの辺のお話は一話一話単位で作られてる
連続している感覚があまりない
それすなわちもう毎回毎回勝負しなきゃいけないくらい追い込まれてたんだろうなあ・・・と
そう思うと必死過ぎて泣けてきます(馬鹿にする意味ではなく)
それくらい懸けてた、って事なんでしょうけど・・・
ある意味WJの厳しさを体現するような作品
でも、作者本人もその辺の苦戦に関しては自覚気味のコメントを残してるので
次こそはこの作者にあった場所で勝負してもらいたい。誰もが誰もジャンプの明るい作風に向いてる訳でなし
いつかもうちょっと静かに勝負できる場所で、確かな名作を紡いでいってもらいたい。
そう思えるくらいには濱田さんのポテンシャルを十二分に感じられる連載でした
だからこそ、
それが潰されてしまったのが悔しくて仕様がない・・・。
色々と紆余曲折はあったけど、リアルなペーソスの表現や容赦のない残酷な決断の数々には
本気で陶酔させて頂きました。内容としては2巻までの方が一貫はしてますけど
正直な本音としては
例え方向性が違っていても、ボーナストラックみたいな感じで延々と読んでいたかったんだよな~(笑
少なくとも、本誌で読んでた時はそんな感じでした。

私が推して来た作品の中では「面白い」よりも「好き」という感情のが際立って高い漫画で
恐らくこの漫画より面白いラブコメは他にいっぱいあると思うし
そもそもが低人気に悩んでた作品なので
テコ入れに必死になり過ぎた感は否めない、それでも変わらず「好き」度だけは抜群に高かった
だからこそ熱量の篭った感想を毎週バカみたいに必死に書けてた訳なんですけど
読者層には合ってなかったと思うし
やっぱり最初の方向性で人気を取れなかったのは痛いと思う
それでも、この最終巻を読むと如何なる時でもまくらが計佑の行動の基準であったのは凄く伝わって来る
何で自分が最後まで夢中になって記事まで書けていたかと言うと、やっぱりね
その一番大事な芯だけは最後まで一回もブレなかった事が大きいね。
先輩との廃墟デート(?)の時でさえ、
計佑は終始まくらの目線を気にしていたしレイプ魔から助けた時もその心配を欠かさなかった
幽霊卒業後の展開も、まくらと自分との差異を気にしての行動だった・・・と考えると
結局は究極的にまくらと計佑の物語だったのかな、とは思います
意識的にも無意識的にもずっと気に掛けて来た
その芯だけは、揺らいじゃないけない芯だけは最後の最後まで一回もブレなかった
恐らくあとがきの描き方からするに本意でない展開を受け入れなければいけない悔しさも感じるけれど
そのいっちばん大事な部分を最後まで譲らなかったのは正直評価されるべきことだと思います。

・・・まあ、ここでもう一つ本音を言えば
2巻までは自信満々に薦められたんだけど、3巻は如実に編集部のテコ入れと
テコ入れした割にはあっさり切ってしまう嫌らしさが感じられる為
あんまり自信満々には薦められない節もあるんだけど(笑
作家が可哀想。
だけど、やっぱりこれってある意味ではハッピーエンドだとも思うからさ。
一部バッドエンドっぽい部分もあるけど、全部がハッピーなんて方がウソくさいですし(笑
散々振り回された連載だったけど、最後までまくら至上主義を貫き通した
その意味では傑作と呼べる出来ではある
まあ少なくとも私はそう思いますよ、って事で。
連載では常に下位に置かれてたから最終話付近の展開は「遂に来たか!」って感じでしたが
単行本で読んでる人はきっと「えっ もう終わり?」と思うに違いない(笑
だって新展開の後だし・・・。
それでも、少年特有の哀愁だったり
ケジメの付け方の切なさだったり
苦悩の上の再会だったり・・・最終話付近の内容は本当に濃かった。なんかもう、作者の本質全部出てた。
だからこそ、この才能は是非次の舞台で存分に活かして欲しいな、と・・・。
今はそう祈るばかりですね。
なんて熱く書いてしまうくらいこの漫画には最後まで期待してたのでした(笑)。
割と不幸な作品だと思ってるけど、それでも熱い支持者もちらほら見られたのが救いだったかな。







なんか、本誌の時は納得もしつつ、だったんですけど
改めて単行本で読むと、正直天文部が文化祭で好評を成し遂げるまでは
やらせて欲しかったなあ・・・って思ってしまって
素直に読めませんでした。
いつか他のジャンプOBみたいにその辺の裏話暴露してくれれば少しスッキリもするのかも(笑
でも、やっぱ、それでも個人的には大好きな漫画でした。
愛してるぜパジャカノ!



恋染紅葉 1巻/坂本次郎 ミウラタダヒロ

2012-10-04 16:54:47 | 漫画(新作)







坂本次郎・ミウラタダヒロ「恋染紅葉」1巻読了。








一応読切版も収録されてますが
どっちかといえば連載版の方が質が高いかな~って並べて読んでいて思いました
それは何故かって言うと単純に連載版の場合はとんとん拍子に行かないから
読切では割とあっさりキスまで済ましてしまうんですけど
あれは読切だからこそ出来た芸当であって
連載の場合だとそこまでは簡単には行かない、というか、行けない。それが非常にいいな、と。
要するに割と堅実に段階を踏んで物語は進行していく印象で
それが個人的な世代感には嵌りやすい
すぐに結果(両想い)が出ないのって今時はあんまり受けないのかもしれないですけど
それでも、徐々に徐々に、段階を踏んで近づいていく二人の描写は面白く
これから先の展開も往々に楽しみになる漫画で。
正直すっごく面白いですね。改めて。


多分都合の良い設定とは言え、そこまで引っかからずに楽しく読めるのは
きっとキャラクターのバックボーンの描き方の上手さも確かにあったりして
割と合理的に出来てると思うんですよね。
電撃が走った!とか
何となく、とかそういうものではなく(笑)。行動の理由に一貫性があって真剣に読める。
女優一筋で生きてきたからこそ、天然っていう部分もあるけど擬似恋愛に走り
きちんと演技、仕事に活かそうと努力する
ただ、
だからといって「誰でも良い」なんて軽い考え方でもなく、翔太が紳士的だったからこそ
彼女もその役割に指名した訳で・・・その辺は由比ちゃんとの対峙の時によく表れてますけど
そういう背景の部分に一切手抜きがないのが「恋染紅葉」の面白い部分であり
だからこそ、そんな仕事一筋な彼女が恋を学んでいく過程は
素直にニヤニヤ出来る内容にも仕上がってる
最終的に一言で表すのならば「懇切丁寧」って言葉が似合うようなラブストーリーかと。
あんまり端折ってると思われる部分がないので、その意味でも真っ当に楽しく読めると思う
ここまでコメディ云々でなくガッツリ恋愛そのものにフォーカスを絞った作品も珍しいと言えば珍しい
(WJ的にね)
ので、是非頑張って生き延びて人気を博して、それなりの位置に立って欲しいな、と。
内容が真っ当に良いのに読者層のお陰で評価されないのが一番勿体無いから。

また、由比ちゃんってもう一人のヒロインも良いんですよね。
何が良いって、ポッと出の新キャラって訳じゃなく
実は第一話からちょこっと出てる
しかも、恋愛ベタの主人公の元片想いの相手だけあって、ライバルとしての資格も十分に思える
それでも翔太の頭の中には紗奈ちゃんが優先的に浮かぶところも含めて
実に流れが良く出来ていると思います
またこの由比ちゃんってキャラが行動にオリジナリティがあって、読めなくて
でも人間らしい部分も所々に描かれてて非常に今現在の美少女キャラの中でも際立って個性的に感じられる
そこもまたナイスな部分なんですが
多分これ、元々昔好きだった女の子って理由があるので
ふと傾いても読者的には「仕様がないかな」って思える隙間がある
その辺は過去を引き摺る男ならではの描写ですけど(笑
それもまた人間らしい描写ですが
まあ、メインヒロインは紗奈ちゃんですから波乱と言う波乱は起こらずには終わるんでしょう
それでも、「きれいだから」「可愛いから」以外の理由で傾いちゃう要因を用意してきたのは流石。
そういった部分も含めて、堅実に、誠実に、読者が納得出来る流れで作られてるかなー、と
多分アンケ的に受けが悪いのはコメディの部分があんまないからでしょうね(笑
その分
真面目な恋愛物を求める方には結構向いてるかと
多少お色気パートも挿入されてますが、そこが本質ではないので。
そこばっかり取り上げたり指摘する時点で逆にきちんと読んでないんだろうな、って
そんな風にも思いますけど(笑
とはいえ、そういう箸休めが入ってるのは読者の事を考えてる証拠
「本筋」も「サービス」もそれぞれに気合を入れて頑張って欲しい作品です。
絵柄が嫌いじゃなければ
丁寧な展開なので読み応えはあると思う
展開はスロースターターなんですけど、でもジェットコースターよりは全然良いよね、って事で。
基盤が丁寧なので、オートマティックに読んでニヤニヤ出来る、そんな1巻でした。
来月発売の2巻もまた楽しみです!!





とはいえ、本誌でも追いかけてるのでネタバレしない程度に今の状況を言うと
キャラがどんどん動き出してこの時期よりも面白さは増してますね(笑
それもまた積み重ねの賜物、って事で
更に深化していく恋模様を2巻以降も楽しんでもらえれば個人的には嬉しいです。
私的に毎週ずっと楽しく夢中で読んでる作品なので。

読切の感想も一応置いておきます
恋染紅葉/坂本次郎・ミウラタダヒロ

今となっては連載版のが好きですけど、これも恋のドキドキは上手く伝わって来る仕様になってます。


・・・それにしても表紙の出来は素晴らしく良いねえ!
なんかもう、ムチムチしすぎてておいどんはたまらんですばい!って感じ(笑
勿論前述の様にお話も真摯だからこそ「好きだ」って言えるんですけどね。
いつかメディアミックスでも見てみたい。