超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

LOSTAGE「ECHOES」全曲レビューその4「DOWN」

2012-10-31 21:03:40 | LOSTAGE 全曲レビュー







文字通り、数日前歯痛でダウンしてました。という訳で今回はこの曲。








4.DOWN







「SF」をマイナーチェンジさせた感覚が印象的な結構古参のファン向けの楽曲なんですが、
それにしてもこの苛々っぷりというか、溜まってる鬱憤を全部吐き出して消化してしまうような
憤りのオーラの噴出感は過去の楽曲にも負けないくらいのインパクトがあります
攻撃性や臨場感に関して言えば「SF」の方が上ですが
その分、
「DOWN」は繰り返し聴ける良さがあるんですよね。
前者が所謂ビックリ箱だとしたら、後者は正にスルメ的な印象で。
元々個人的に「SF」って楽曲が大好きなのもあってそのアプローチの復活は嬉しかったし
「LOSTAGE版SF」みたいなノリはある種リメイクの要素もあって楽しい。
ロック的にガツンと来るのが「SF」なら
オルタナ的にじっくりと聴けるのが「DOWN」みたいな感じ
何よりも、こっちの方が割と感情をストレートに詞に出している節があり
その何の比喩も用いない裸の表現?がとってもシンプルで新鮮に聴こえたのが本音。
LOSTAGEは聴き手の怒りや欲求不満に多大に作用する音楽だと思ってますが
その中でも直でシンパシーを感じ取れる、
ある意味便利な曲になってると思う。
この夏は、私生活で色々とあったのも含めてこの曲に大分助けられた感じがしますね(笑)。真面目に。

ただ、だからといって良い方向に進んでいる訳ではなく
それで反抗や反骨を促す訳ではなく
もう何の他意もなしに
どうしようもない気持ち、ただ下がっていくだけの気分、腹立たしくも届かない感覚
そういう感情だけがずうっと渦巻いたまま終わる楽曲にもなっているので
安易に快方には向かわせないリアルさを含む曲でもある
だからこそ物凄く潔いし、そんな無力感と苛立ちの中に身を置いて自身を確認する事も出来る
シビアと言えばシビアですけど、これが現実でもあるから、っていう。
だからこそまた這って生きようとする訳で。







【真下に落ちていくだけ】

非常にシンプルな詞ですが、その分感覚はよく分かる
浮上している感覚や何かを手にした感覚をずるずるこの手の内から失って
円の中心から
世界の中心からただ落ちていくだけ
でも、逆に考えれば落ちたからこそ、底を見たからこそ分かる事だって確認出来る事だってある。
だから、落ちていく事が一概に悪いとは言えないし、余計なものを振り払ったとも言える。
重要なのはそこからどう動くのか、生きていくのか、選択していくのか。
その辺は落ちれば落ちるほど経験値があがっていくので
そこで賢さを得るべきだとは思う。
そう考えると、あながち後ろ向きでもない気がしてくるから不思議です。

だって、落ちて悲しいんじゃなくて「だけ」ですから。
その分「何か」は得てるんじゃないかと思うんですよね。
個人的な聴き方ですけど。



【さっきまで つい今まで 何処へでも行けたのに
 嫌な奴等だ 突き落とそ ここから】

ストレスの捌け口にはピッタリの攻撃性を含んだフレーズになってますが
「ここから」っていうのは意識の事を指しているのだと考える事も出来ると思う
そう考えると、やっぱシンプルなだけじゃない奥深さがあるなあ、と
その辺のバランスに関してもやっぱり最高な一曲です。

価値観の押し付けや、
安易な共通認識程厄介な、
縛るものもないですけど
それらに対して全力でファックサインを投げつけてる
この曲が堪らなく大好きですね。これからの定番にもなり得る勝負曲の一つ、です。
苛立ってる時にハッピーな音楽を聴けるほど柔軟な人間ではないですから。