通算28曲目。
4.chil
【泡みたいだな】
まるでどこか遠くの異国の地を髣髴とさせる詞と浮遊感のあるサウンド
そして滑らかなボーカルとの調和がとても心地良い
部屋で聴いていながら別世界に旅立てるような素敵な一曲・・・なんですが
その一方で厳しい現実だったり皮肉が混じっていて、ただ単純にきれいな曲でも終わらない
幻想的でありながら現実的
ノベンバの良い部分がいい塩梅で反映されているキャッチーでもある名曲。
ライブで映える・・・といった楽曲ではない為、演奏される頻度こそ少なめですけど
それでも間奏の煮え滾るようなアンサンブルは単純に燃えるし
美しさも際立ってる
割とファン人気的にも高い楽曲なのでは・・・と
個人的には思っています。ラジオでも大体この曲がリードトラックとして流れていた記憶があるし。
ここからは個人的な解釈の話になるんですけど
誰もを疑って、寄せ付けない、信用も信頼もしないで頑なに自分を守り続ける
その結果すぐに関係が壊れてまた個の世界に舞い戻ってくる
「光のスープの冷たい表面」
本当は光に混じって一緒になれる素質を持ってるのに、分かち合える力を持ってるのに
その冷たさだったり、排他的な思想のお陰で元々持っている光を発揮出来ない
そんな自分自身を例えて
「泡みたいだな」、と
築いた関係も、積み重ねた努力も、嬉しかったあの時も、悔しかったあの時代も
全部が全部、泡みたいに消え去って跡形すらも残らない
喜びも怒りも哀しみも楽しさも
泡みたいに消える
消えてなくなる
それがどう、だとか、だからこう・・・ってよりは
ただただそんな様子を描いて、俯瞰しているような、冷静に物悲しさが伝わって来る楽曲に仕上がってて
直接胡散臭いメッセージ性を打ち出されるよりは、個人的にはこっちの方が好きだなあ、と。
そんな風に思える自己批判的な内容も多々含む考えさせられる詞世界になってて。
【与えなければ 奪わなければ キレイなままで 隠せるのかな】
何かと関わって、軋轢が生じて、結果的に疎遠になるのならば
きっと遠くから眺めていた方がマシだった
空っぽの方が純真でいられた。
そんな紛れもない事実を描きながら、それでも最後は「さわらせてよ」なんて歌ってしまう
そんなどうしようもない人間くささが、どうしようもなく突き刺さる楽曲
それもまたある種のロックンロール
転がりながら生きる人生を描いてる楽曲なのかな・・・と
散々考えても悩んでも、「さわらせてよ」って気持ちは尽きないし止められもしない
そういう感情は否定したくても出来ないものなんだ、って本質を伝えてくれる見事な楽曲に仕上がってる
その意味でも、ただ表面的に幻想的美しいだけでなく、きちんと芯のある曲になってるな、と
個人的にはそう思います。
後悔や内省に対する処方箋なのと同時に、
それでも自分にとってきれいなものや豊かなものを追い求めることは間違ってない
それは決して止めることなんて出来ないものだから、向き合うべきだと。
厳しくも、優しさが伝わって来る素敵な楽曲です。