あんまり最終巻とか、悲しくなるから言いたくないんですが
現実を直視しないと、って訳で昨日「あねどきっ」の最終巻が発売されました。
本誌で打ち切りを食らった後も一定の売り上げは保っているようで
そこは非常に嬉しいのですが
ぶっちゃけ、だったら移籍でもしたら良かったのに・・・と思ってしまうのは
単なるファンの未練タラタラの欲求でしょうか。
しかし、こうやってまとめて読んでみると
実は最終回付近でいきなり、唐突に終わった感の強かった物語が(本誌ではね)
それより前から終わりを意識して描かれてたのでは?と感じる構成になってるのに驚いて。
結構、洸太となつきとちあきで一つの家族みたいになってる話が多いんですよ。
これって最終回付近の展開を盛り上げるためにわざとそういう類の話を増やしたのかな、って。
終わる頃にはみんなでバーゲンに行くほど仲が良くなっていて
何よりそれぞれの連係プレー(?)で、最凶の姉「はるき」の魔の手から脱出したエピソード、
あれで更に他人同士だった3人の絆が強くなった気がしていて。
確かに押し掛けは押し掛けだったけれど
なつきやちあきの登場によって洸太が成長できた部分もかなりあるような気がしてるんですよ。
それと、やっぱりあの家に一人きりじゃ相当寂しかっただろうしね。
お互いが何だかんだ言いつつ助け合ってるような、そういう感覚がきちっとあって
その感覚を描写出来ていたからこそ最終回付近の展開が盛り上がったのだと思います。
ちゅーことで、個人的には結構前から宣告食らってたと思うんだけど、実際はどうなんだろう?
もし順調に人気を博していたら文化祭がもっと違う切り口で描かれていたような気がしてならないんですが。
ま、これも単なる想像の一つに過ぎないですね。
んで、その最終回付近なんですが
あまりに洸太がいじらしくていじらしくて・・・(笑)。
なんかもう正に思春期真っ只中!って感じの心理描写の数々で
男性の描写が女性と比べてやや苦手っぽい印象もあるっちゃあった河下水希が(それでもファンでしたけどね)
ここまでキレイにそれを描けてるのに長年のファンとして感慨深さを感じつつ
最終ページ付近の彼の表情には思わず目頭が熱くなって、
とってもやるせない気持ちになってしまいました。
そのやるせなさも、好きなんですけど。
ついでに言えばそのやるせない気持ちには続きがあって、それが後日談3ページとして収録されているのですが
そのエピソードがねえ、本当に・・・
感無量って印象を受けるものになっていて。
もちろん3ページですから、情報も描写も曖昧でサラッとしたものになってもいるんですが
それでも本当のラストシーンはね。
素敵!って感じの終わり際でした。
ちあきだけ4年後の姿が描かれなかったのがちと可哀相。
スピンオフのストーリーとかやらないかなあ・・・
というか、売り上げ良いんだからこれも「初恋限定。」みたくメディア化しないかな。
って流石にそれは無理か。
一つの短編としてキレイにまとまりましたが、欲を言えば消化されて無い複線の数々を読んでみたい欲求もあり
特にちあきのストーリーが一番読んでみたいのです。
だってペンダントの複線、超あからさまだったじゃないですか!
余談だけど、あの話つくづく完成度高いよなっ。
ここからが本題なんですが(!)、
実は私この3巻読んでいて不意に泣いてしまった部分がありまして。
それはもちろん桜井さんの失恋なんですけれども。
ぶっちゃけ、河下さんは昔から大ファンで、いつも面白いなあって思いながら読ませてもらってるんですけど
彼女の漫画で涙した事は一度もなかったんです。
それは、もちろんそういう類の漫画、漫画家さんじゃないってのもあるんですけど。
でも、その失恋エピソードが描かれている第25話「告白」の、桜井さんのラストシーン、
彼女が洸太に背を向けて隠れて涙するところ
そのシチュエーション自体はそこまで特異なものではないんですけど
そこで描かれていた彼女の表情。
それに完全にやられてしまって、それ見た瞬間にもの凄いスピードで涙が出てしまいました。
こんな涙の流し方、めったにないから自分でも驚いた(笑)。
なんかその表情がね、すごい崩した、言ってしまえば全然キレイでも可愛くもない
キャラのイメージを損ねてでも悲しみを表現したいって感じのものになっていて。
ここまで踏み切ったか!ってのも一気にブワッときた理由だったのかもしれない。
この3巻は全体的に急展開が多いため
名作の連発だった2巻ほどのカタルシスはこの時点まで感じてなかったんですが
ここでもう、一気にカタルシスが加速していった感が個人的はありましたね。
それを受けての最終回もオーソドックスですが非常に盛り上がったと思うし。
やっぱり桜井さんの貢献は大きかった、
って思います。
最初は微妙にネタキャラ臭かったのにね!
彼女のシリアスなエピソードは珠玉だらけだったと思います。
洸太は潔くなつきを選んだので、結果的に彼女は恋に敗れてしまったんですが、挫けずに幸せになって欲しい。
てか、彼女のスピンオフエピソードもだな・・・ってキリがなくなるのでここで止めときます。
ってな訳で「あねどきっ」最終3巻を通して
自分なりに思ったことをダラダラ綴ってみました。
最終巻読んだら悔しい、って気持ちが勝っちゃうんじゃないの?って実は読む前にちょっと思ったんですが
実際は意外とそこまで悔しさはなく
もちろん続けば続けばで確実に良いものになったと思うんですけど
一つの作品として一応のまとまりは見せた締めになっていると個人的には思うんで
それを考えると、正直どこかで納得している部分もあります。
やっぱりこの人話まとめるの上手いなあ。
今はただ素直にお疲れ様!って言いたいです。
それに加えて、ありがとう、って感謝の言葉も。
次回作ももちろん期待させて頂きます!(当分は読切だろうけれど)