超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

あねどきっ 3巻(最終巻)

2010-04-03 23:10:34 | 漫画(新作)


あんまり最終巻とか、悲しくなるから言いたくないんですが
現実を直視しないと、って訳で昨日「あねどきっ」の最終巻が発売されました。
本誌で打ち切りを食らった後も一定の売り上げは保っているようで
そこは非常に嬉しいのですが
ぶっちゃけ、だったら移籍でもしたら良かったのに・・・と思ってしまうのは
単なるファンの未練タラタラの欲求でしょうか。

しかし、こうやってまとめて読んでみると
実は最終回付近でいきなり、唐突に終わった感の強かった物語が(本誌ではね)
それより前から終わりを意識して描かれてたのでは?と感じる構成になってるのに驚いて。
 結構、洸太となつきとちあきで一つの家族みたいになってる話が多いんですよ。
これって最終回付近の展開を盛り上げるためにわざとそういう類の話を増やしたのかな、って。
終わる頃にはみんなでバーゲンに行くほど仲が良くなっていて
何よりそれぞれの連係プレー(?)で、最凶の姉「はるき」の魔の手から脱出したエピソード、
あれで更に他人同士だった3人の絆が強くなった気がしていて。
確かに押し掛けは押し掛けだったけれど
なつきやちあきの登場によって洸太が成長できた部分もかなりあるような気がしてるんですよ。
それと、やっぱりあの家に一人きりじゃ相当寂しかっただろうしね。
お互いが何だかんだ言いつつ助け合ってるような、そういう感覚がきちっとあって
その感覚を描写出来ていたからこそ最終回付近の展開が盛り上がったのだと思います。
 ちゅーことで、個人的には結構前から宣告食らってたと思うんだけど、実際はどうなんだろう?
もし順調に人気を博していたら文化祭がもっと違う切り口で描かれていたような気がしてならないんですが。
ま、これも単なる想像の一つに過ぎないですね。

んで、その最終回付近なんですが
あまりに洸太がいじらしくていじらしくて・・・(笑)。
なんかもう正に思春期真っ只中!って感じの心理描写の数々で
男性の描写が女性と比べてやや苦手っぽい印象もあるっちゃあった河下水希が(それでもファンでしたけどね)
ここまでキレイにそれを描けてるのに長年のファンとして感慨深さを感じつつ
最終ページ付近の彼の表情には思わず目頭が熱くなって、
とってもやるせない気持ちになってしまいました。
そのやるせなさも、好きなんですけど。
 ついでに言えばそのやるせない気持ちには続きがあって、それが後日談3ページとして収録されているのですが
そのエピソードがねえ、本当に・・・
感無量って印象を受けるものになっていて。
もちろん3ページですから、情報も描写も曖昧でサラッとしたものになってもいるんですが
それでも本当のラストシーンはね。
素敵!って感じの終わり際でした。
 ちあきだけ4年後の姿が描かれなかったのがちと可哀相。
スピンオフのストーリーとかやらないかなあ・・・
というか、売り上げ良いんだからこれも「初恋限定。」みたくメディア化しないかな。
って流石にそれは無理か。
一つの短編としてキレイにまとまりましたが、欲を言えば消化されて無い複線の数々を読んでみたい欲求もあり
特にちあきのストーリーが一番読んでみたいのです。
だってペンダントの複線、超あからさまだったじゃないですか!
余談だけど、あの話つくづく完成度高いよなっ。



ここからが本題なんですが(!)、
実は私この3巻読んでいて不意に泣いてしまった部分がありまして。
それはもちろん桜井さんの失恋なんですけれども。
ぶっちゃけ、河下さんは昔から大ファンで、いつも面白いなあって思いながら読ませてもらってるんですけど
彼女の漫画で涙した事は一度もなかったんです。
それは、もちろんそういう類の漫画、漫画家さんじゃないってのもあるんですけど。

でも、その失恋エピソードが描かれている第25話「告白」の、桜井さんのラストシーン、
彼女が洸太に背を向けて隠れて涙するところ
そのシチュエーション自体はそこまで特異なものではないんですけど
そこで描かれていた彼女の表情。
それに完全にやられてしまって、それ見た瞬間にもの凄いスピードで涙が出てしまいました。
こんな涙の流し方、めったにないから自分でも驚いた(笑)。
なんかその表情がね、すごい崩した、言ってしまえば全然キレイでも可愛くもない
キャラのイメージを損ねてでも悲しみを表現したいって感じのものになっていて。
ここまで踏み切ったか!ってのも一気にブワッときた理由だったのかもしれない。
 この3巻は全体的に急展開が多いため
名作の連発だった2巻ほどのカタルシスはこの時点まで感じてなかったんですが
ここでもう、一気にカタルシスが加速していった感が個人的はありましたね。
それを受けての最終回もオーソドックスですが非常に盛り上がったと思うし。 
やっぱり桜井さんの貢献は大きかった、
って思います。
最初は微妙にネタキャラ臭かったのにね!
彼女のシリアスなエピソードは珠玉だらけだったと思います。
洸太は潔くなつきを選んだので、結果的に彼女は恋に敗れてしまったんですが、挫けずに幸せになって欲しい。
てか、彼女のスピンオフエピソードもだな・・・ってキリがなくなるのでここで止めときます。



ってな訳で「あねどきっ」最終3巻を通して
自分なりに思ったことをダラダラ綴ってみました。
最終巻読んだら悔しい、って気持ちが勝っちゃうんじゃないの?って実は読む前にちょっと思ったんですが
実際は意外とそこまで悔しさはなく
もちろん続けば続けばで確実に良いものになったと思うんですけど
一つの作品として一応のまとまりは見せた締めになっていると個人的には思うんで
それを考えると、正直どこかで納得している部分もあります。
 やっぱりこの人話まとめるの上手いなあ。


今はただ素直にお疲れ様!って言いたいです。
それに加えて、ありがとう、って感謝の言葉も。
次回作ももちろん期待させて頂きます!(当分は読切だろうけれど)


 

Angel Beats!第1話「Departure」 感想

2010-04-03 03:13:21 | アニメ
1話を見る限り、確実に面白くて、魅力的な世界観で、続きが気なる作品でした。
個人的に、一発で気に入った。
という訳で今期初の感想は「Angel Beats!」に決定です。
余程の事が無い限り毎週書くつもり。
むっちゃ面白いからね。



まずは監督が個人的に好きな岸誠二ってだけでもちょっとワクワクしてたんですが
そういえばこれって原作麻枝准だよね?って事を思い出しまして
加えて制作がP.A.WORKSってことで(true tears大好きだー!)何気に豪華な布陣なんだなあ、と。
で、その布陣が制作したらここまでの作品になるんだよ、ってことを証明してくれた作品になったと思います。
少なくとも、この1話に限ってはね。
「ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド」の1話をなんとなく思い出した。
似てるとかじゃなくて、1話でいきなり絶頂みたいな。
30分がえらい早く感じました。

と、いうのもこれってあんまり観た事ない世界観なんですよ。
私的には。
「死んでたまるか戦線」とかのネーミングセンスや
ゆりのキャラ付けとか
この手のアニメではお決まりの一つになった演奏シーンとか、
そういったベタな部分はベタな部分であるんですけれど
そうじゃなくて、雰囲気的に明るいのか暗いのか、非常にはっきりしてないところが新しいなと。
死後の世界で消されないために天使に抵抗する、という文字にしてみればむちゃくちゃなストーリーなんですけど
作中の雰囲気とか、作画の雰囲気とかが相俟って、そういう風に感じられる世界観を作り出しているというか。
要は作中に変なリアリティがあると思うんですよね。
それと、虚ろな感じもね。
 個人的にこういう不穏な世界観というか、虚構の世界観は大好物なので(笑)
そういった意味でも観ていて面白かったです。
ずっと鳴り止まないマシンガントークも魅力的でした。

ただ、ここからの展開どうするんだろう?とは思った。
「死んでたまるか戦線」・・・ではなく「死んだ世界戦線」は、死後の世界を乗っ取るのが最終目的らしいですが
乗っ取ったところで何があるのか、
そしていずれ天使に消されたとしたら、どんな世界が待っているのか。
そもそも死後の世界なんで死んでも大丈夫らしいけど、
そこに限界はないのか?とか。
あの天使がどういうキャラかも掴めてないしね。
 でも先が読めなくて不安、っていうよりは未知な展開に単純にワクワクした、ってのが近いかもしれません。
だってこういう世界観見たことないもの。
や、昔もしかして似たようなの観た事あるかもしれませんが
最近はこういうの全くなかったですよね。
極端に退廃的というか。
 元々今期では1番かというくらいに期待していた作品なので、
これからも力を入れて感想を書いていこうと思います。
今回も傑作に仕上げてくれよ>岸誠二監督!
こういう明らかに他と違うものを作ろうとしてるような作品はとても好きです。
期待大です!



あと細かいところ語っていくと、まずゆりっぺ、こと「ゆり」ってメインキャラの女の子は中々好きですね。
後々デレてくれそうで(笑)。
話も聞いてると何気に面白いもんなあ。「よく使われるジョークなんだけど」の下りとか。
それを取り囲むキャラたちも何気に面白そうな奴らばかり。
フジツボ~あたりもちょっとだけ笑ってしまった(笑)。
 演奏シーンは個人的に「まなびストレート」っぽいな、って思ったり。

それと、食券が空を舞うラストのシーンは、とても美しかったと思う。
ああいう感じのシーンが沢山あるといいな。
作画に関しても、今のところは期待できそうです。
頑張って欲しい。