超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

名カップリングシリーズvol.4/いつかの電車の音がする

2010-04-08 22:14:59 | 音楽

ようやく風邪が治りかけてきた。
って訳で(?)名カップリングレビューです。
この企画も4回目ですね。


今回は、本日ドラムス石川龍の脱退ライブを行っているランクヘッドからの一曲。
 曲のエッセンス的にもこの時期にはピッタリかもしれない。
春って色々新しい季節ではあるけれど
同時にちょっと虚ろな季節でもあるじゃないですか?
少なくとも自分の中では。
そんな気分の時に聴く曲としてはとても良い部類に入るんじゃないかと思います。

「プリズム」というシングルに入っている「いつかの電車の音がする」、っていう曲です。
確実に名曲だと思っています。



まず、タイトルがいい。
「いつかの電車の音がする」。
これだけでちょっとノスタルジックな雰囲気が出てるような。
しかも、電車ってのがまた微妙なところを突いていていいですね。
すごくシンボル的なものでもないし、かといってその要素が無い訳じゃない。
 と、タイトルの時点で既に好きになっていたんですが(当時は)
実際に聴くとそのタイトル以上の懐かしさとかふんわりした気持ちが漂ってくるような名曲になっていて。
これが埋もれてるのはちょっと惜しいなあ、って思うわけですよ。
だから書こうと思ったんですけど。
 表題曲の「プリズム」も大好きな曲で名曲だと思ってるのにカップリングでそれとタメを張るクオリティ、
更に云えば3曲目の「桜子」って曲も何気に良い曲なんですよね。
だからもう、シングル自体の完成度が高い訳で。
最近ファンになった~って人にも聴いてもらいたいシングルです。


具体的にどこが良いのかというと、不安定なところ。
メロディは非常にキレイだしアンサンブルも良い感じの広がりを見せている水準の高い曲なんですけど
小高芳太朗の声とか詞が何故かそれらと反してかなり虚ろというか、空しさを煽るようなものになっていて。
どことなくフラフラとしているような。
元々高水準な曲に、そういった儚げな匂いを演出するアプローチのお陰で
正にランクヘッドにしか出せないような、独自の表現が息づいているようなナンバーになっていると思うのです。
 今にも消えてしまいそうな、心や感情の揺れ動きを感じさせるサウンドは聴いててとても心地いいんですが
もっと素晴らしいと思うのは
この曲ってよくよく歌詞を読んでみると
悲しい気持ちを表現しているのかそれとも嬉しい気持ちを表現しているのか、
が、あんまりよく分からない仕様になっていることでして。
どっちにも捉えられるというか、
良い意味で白黒ハッキリ付いてない感じ。
でもそれが逆に気持ち良く響いてるんですよね。
虚ろな気分の時に聴いてもフィットするとは思いますが、案外ぼんやりしていて
ボーッとしたい時とかに聴いても上手い具合にフィットするかも。
 ま、そんなシチュエーションに括らずとも純粋に良い曲でもあるんですけど。
嘆いているのか、受け入れているのか、そのどちらでもないのか。  中間的な楽曲の世界観。
「曖昧」っていう一つのポイントを見事に切り取っているかのような曲中の雰囲気は
個人的に凄く魅力的に映っていて
それは多分この先大人になればなっていくほど沁みるようになりそうだな、って予感もします。
人気/不人気で云えば多分そんなに人気は無い曲だと思いますが
それでも自分的には今でも大切に聴く曲の一つなのです。


夕暮れの時間帯や、それを眺めている時になぜ胸の奥が熱くなるような気持ちになるのか?
ってことの理由の一つが
この曲を聴く事によって少しだけ分かったような、そんな気もしていました。
 ちなみにこのシングルはジャケットも水が飛び散っているキレイなものになっているので
視覚的にもかなり良い感じだと思います。
そういった意味でも是非手に取ってもらいたいシングルであります。
 


てなわけでvol.4はランクヘッドのメジャー2ndシングル「プリズム」に収録されている
「いつかの電車の音がする」、でした。 また次回!