アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

自然食料理の店・庵

2013-07-20 15:22:11 | たべもの
   先月末に、京都大阪に5日ほど滞在しました。ほぼたべあるきの旅だったのですが、帰宅してからあわただしい日が続き、まだわずかしかブログで紹介できていません。これからしばらく、折を見ては、報告したいと思います。

   さて、まず京都の料理屋さん、庵から。京都に行ったらぜひ寄りたいと思っていた、右京区宇多野にあるお店です。

   こちらのご主人、山崎かほるさんは、30年前に、私がマクロビオティックの雑誌の編集に携わっていた頃のお知り合いです。当時、いまほどは自然食もマクロビオティク(正食)も一般には知られていなかったのですが、それでもちらほら、体にいい食べ物を食べさせてくれるお店ができていました。

   仕事柄、そうしたお店にもあちこちでかけたのですが、そのなかで、この庵の料理は格別でした。今から思えば、「体にいいから、おいしいような気がする」料理をだすお店が多い中、こちらは、しみじみ味わい深かった。

   マクロビオティックの雑誌編集をやめてフリーになり、地方局のラジオ番組の構成にかかわっていたとき、山崎さんにスタジオにお越しいただき、玄米菜食の食事法についてお話してもらったことがあります。そのおり、彼女は、動物性食品を一切入れない、玄米散らし寿司を作ってきてくださいました。

   私以外は、玄米ご飯もマクロビオティック料理もほとんど初体験。でも、スタジオに居合わせたスタッフ全員が口をそろえて、「おいしい!」と言いました。薄焼き卵のかわりにおすしの上に散らしてあった黄色いゆばがきれいだったことを、何十年も経った今でも思い出します。

   それからずっとご無沙汰しているのですが、今回はぜひとも再訪したくて、旅行二日目の夕方、友人二人と一緒にお邪魔しました。

   京福電鉄宇多野駅のすぐそばに、変わらぬたたずまいで庵の暖簾がかかっていました。山崎さんは私よりちょっとだけ上の世代の女性ですが、あいかわらずお元気そう。きびきびした身じまいや話しぶりは昔と変わりません。

   旧交を温めた後、出してくださった八寸。数が多くてボリュームが多いのに、一同びっくり。

   いま、手帳を見たら、こちらの料理について、ほとんどなにもかいてありません。食べるのとおしゃべりに夢中だったみたいです。だから、それぞれの料理名をよく覚えていないのですが、たしか右上、はもに似たものは、お鮨、右側はみりんかすを使ったこぼれ梅、青唐辛子にはクズのようなものの詰め物がしてありました。どれもひとつひとつの味にメリハリが利いています。

  最近のマクロビ系のレストランでよく見られるのは、とにかく全体が優しい味になっていること。それはそれでおいしいのですが、せっかくの晴れの外食、インパクトがほしい。その点でも、こちらの料理は見ても食べても楽しい。

   次はたしか、豆腐の蒸し物が出てきたような気がしますが、写真を撮り忘れました。これが、おいしかった! おだしは、昆布と椎茸でとっていると思うのですが、味が奥深い。豆腐を上から崩して行くとだんだん違う味にあたります。最後の百合根がこれまた素晴らしかった。

   次が炊き合わせ。ぎりぎりまでの薄味。それだけに、野菜の味がしっかりします。右側の油揚げの巻物がとくにいい味でした。

   次がてんぷら。上に載っている長いのは、アスパラです。衣は米の粉なのか、カリカリしていて香ばしい。

    ゴマ豆腐です。ねっとり濃厚。これまでの料理と違って濃い味の醤油がたっぷりかかっています。

    焼き物は加茂なすの田楽。なすのとなりはたしか百合根の焼いたのです。このころになると、かなりおなかいっぱいに。途中、わたしだけ、玄妙という名前の純米酒をいただきました。精米歩合65%というのに、すっきりしたお酒です。

    こちらはたしか、生麩。枝豆かソラマメの煮汁のようなだしの味がおいしかった。

    もう、はいりそうにない、といいながら、「いつでもストップしますよ。遠慮なく申し出て下さいね」と、給仕に出た山崎さんのむすめさんがおっしゃってくださったにもかかわらず、次に何が出てくるかが楽しみで、食いしん坊のわたしは、中断せずに最後まで持ってきていただきました。で、最後に運んでくださったのが、こちらのお膳。これで、ご飯は締めです。

    締めにしては、立派なお膳です。玄米ご飯、味噌汁、漬物に和え物2種。それと、そうめんをサービスして下さいました。

    デザートはこれ。一番下は梅、上はブルーベリー、真ん中は豆腐の寒天寄せです。すべてぺろりと平らげ、大満足の豪華なディナーが終わりました。

    夕方の4時にうかがって、おいとましたのは8時。4時間近くかけておいしいご馳走とおしゃべりを楽しみました。こちらは、完全予約制。この日は、わたし達3人だけだったので、気兼ねなく長居してしまいました。お店の中の写真をとるのを忘れましたが、山崎さんのお宅のお座敷に招かれて、おいしい料理をご馳走していただくような感覚で過ごせます。

    庵
    京都市右京区宇多野御池町20-13
    ℡ 075-461-5911 
    午前11時半~午後6時半までに入店 
    不定休
    コース料理 3500円、4000円、4500円

    ちなみに、私たちは4500円のコースをいただきました。同行した京都在住の友人は食が細く、食事中何度も、「この先食べられるかしら」と気にしていましたが、結局わたし達と一緒に完食。あとで電話で話したところによると、危惧した胃もたれはまったくなかったとのこと。「こんなこと、珍しい」と感心していました。

   
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梅びしお

2013-07-20 11:23:47 | 手作りのたべもの
   今年は、家の梅は不作だし、よそからもらえそうにない、とあきらめていた梅ですが、友人から「もらってくれる?」と声がかかりました。

   ずっと昔、新聞記事で見つけて一度だけ作ったことがある梅漬けがあります。とてもおいしかったのですが、かなり面倒だったという記憶があります。最近になって、あの梅漬けをもう一度食べてみたいとおもったのですが、名前すら忘れていたので、探しようがありませんでした。

   梅をもらってから、ふと思いついて、昔のスクラップブックをめくってみたら、すぐに見つかりました! それで作ったのが、梅びしおです。紫錦梅(しきんばい)ともいう、水戸に古くから伝わる梅漬けだそうです。

   つくり方は単純です。梅の実と塩と赤紫蘇を漬けるだけ。普通の梅干しと同じなのですが、最初が違います。梅の実をすべて割って、種をのぞくのです。

   この工程が昔はやたらめんどうだったのです。でも、いま、わたしは梅の実割り、という道具を手に入れているので、簡単でした。この道具は、草木染めでクルミの青い実や渋柿を割るために買ったのですが、本来の役割を果たしたのは今回が初めて。けっこう楽しい作業です。

   この梅漬けは、落ち梅や完熟しすぎの、梅干しにならないような梅を処理するための加工食品。でも、私が友人からもらったのは、表面こそそばかすが出ていますが、まだりっぱに青い状態の梅です。完熟を待とうかとおもいましたが、熟さずに傷んでしまいそうだったので、青いまま、漬けることにしました。
   
    種をのぞいた梅2300gに、塩を、その2割の460g容器に入れ、混ぜます。その後、様子を見てはかきまわしました。新聞の切抜きには、「ガラス瓶に入れてよくまざるように振る」とありましたが、たくさん作ったので振るのは不可能。それで、手でかきまぜたのですが、これでは酵素ジュースを作るときと同じなので、酵素が出てしまってよくないかな、と途中で気がつき、しゃもじを使うようにしました。

   全体がなじみ、カビの心配がなくなった頃、赤紫蘇を梅の重量の1割用意します。よく洗ってから、紫蘇の量の1割の塩でよくもみ、固く絞ってから、梅漬けの上に広げます。そして、全体をかきまわします。そうしておいて一晩経ったのがこちら。

   まだ、赤いところと青いところがありますが、いずれ梅干し色になるはずです。ただし、昨夜紫蘇を入れた段階で、水気が少ないのが気になり、梅酢を足してやりました。

   完熟梅を使っていないので、じゅくじゅくした感じが少なくて、前に作ったときとは様子が違います。でも、そのうち、多分なじむのでしょう。この梅漬け、干す手間もないし、出来上がった梅の種をとる必要もないので、楽。和え物に使うときとかにも、すぐに利用できそうです。

   ところで、新聞の切抜きには、取り除いた種を煮出して漉せば、ふきんなどの消毒用に使える、と書いてありました。それで、何回も煮出して1リットルのペットボトル分1本半ほど液を作りました。ときどき、洗い物が終わったあと、流しに振り掛けたり、ふきんをつけておいたりして使っています。
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