アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

本「国民は知らない「食糧危機」と「財務省」の不適切な関係」森永卓郎・鈴木宣弘著

2024-07-01 00:02:05 | 映画とドラマと本と絵画

  本書の3分の2は二人の対談。あとの3分の1は鈴木氏の文章という構成。帯には、「アメリカの言いなり 「ザイム真理教」が 日本人のほぼすべてを 餓死させる 悪夢のシナリオ!」「資本主義の限界、記録的猛暑、国際紛争・・・そして、日本で最初に飢えるのは東京と大阪!」・・扇情的な文言が踊っているように思えますが、読み進むにつれ、大げさな文句などではなく、これが今の現実なのだと、ひしひしと感じます。

  「鈴木 日本でわざわざ食糧を生産しなくていい。海外の安い農産物を輸入するほうが効率的なんだと、そういう考えの人が政府の議論を仕切っています。実際には中国の爆買いや、円安の悪影響で、輸入も簡単ではなくなってきている。・・・・本当に有事になれば、有事立法を作って、食糧の配給制などを実行することになるでしょう。机上の計算では、お花畑を潰してイモを作り、一日三食芋を食べていれば、なんとか一日二○○〇カロリーは賄えるはずだと。

森永 お花を育てている農家が、「そんなことできるわけねえだろ! 農水省はバカじゃねんのか?」と怒っていましたよ(笑)。」

  政府の方針で、水田を潰して畑地にしていることにも言及。でも、日本の備蓄米は他国に比べるととても少なく、やっと20日だったか2か月だったか国民が食いつなげるしかないそう。それでも、24年ぶりに改定する(された?)「食料・農業・農村基本法」の「議論の内容を見て驚いた。・・・食糧自給率という言葉すらでてこないのである。」と鈴木氏。続けて、上記の、悪い冗談のような政府の考えに対して、鈴木氏は具体的に持論を展開しています。

「政府が何を言いたいのかというと、このままの状況が続けば、日本国内での食糧生産業者はどんどん潰れていくが、それに対して抜本的に何かを変えようという議論はしたくない。「平時」は輸入でいい。だが平時ではない状態「有事」になると輸入はできない。だから有事に対応する法案だけは新たに作るということだろうか。」

  それが、花き農家に、いざとなったらサツマイモを植えろ、ということになるらしい。農業にド素人の私でも無理な話と思うことを、官僚や政治家たちが法律として施行しようとしているとは、嘘寒くなるはなしです。

「日々一生懸命に食料を作っている農家には何の支援もしない。食料は輸入し、農家はどんどん潰れればいいという政策を取っておきながら、有事には国の命令に従ってサツマイモを作り、国のために供出しろというわけだ」

 本はだいたい寝る前に読む習慣なのですが、この本を読んでいると、つい苛立ちや怒りで目が冴えてしまい、困りました。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 福田村事件 | トップ | 映画「コスタリカの奇跡」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画とドラマと本と絵画」カテゴリの最新記事