いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

学問の自由と授業料。 freedom of study and tuition fee

2024-06-04 20:32:47 | 日記
 (1)政府の諮問委員も務める慶大塾長が大学の質向上、公平、公正な競争環境促進のために国公立大の授業料を3倍に引き上げる提案をして話題を呼んだ。首都圏を中心に国公立大の学費値上げが続いており、少子化、国立大の独立法人化で独立採算制の大学経営がむずかしくなっている事情もある。

 (2)私大も同じ課題、問題を抱えており、減少する18才人口を巡って国公立大の授業料値上げにより私大と同じ教育負担経済構造での公平で公正な競争を求めるものだ。東大ではすでに来年度に10万円相当の学費値上げが検討(報道)されているといわれて、学生の学費値上げ反対の学内デモがみられる。

 (3)日本は政府の教育研究予算、投資が先進国に比較して相当低いといわれて、これが世界大学ランキングで日本の大学の評価、位置が下位に低迷するひとつの要因にもなっている。政府の教育研究予算、投資の低さは、大学が「学問の自由」(freedom of study)を保障するため国、政府の大学への権力の介入を否定する姿勢とかかわりがあると考える。

 (4)かっての全学連、全共闘時代で学生による学内封鎖が続いた時代でも警官、機動隊の封鎖解除の学内立ち入りには学部教授会には抵抗感が強かった。近年では菅政権時代に法律に基づく日本学術会議会員の申請、承認で政府に批判的な一部の大学教授が承認拒否されるという国家権力のあからさまな介入があった。

 (5)こうした政府と大学の「学問の自由」を巡る国家にとって重要な教育研究政策の質向上での対立関係が国、政府の教育研究予算、投資を抑えるというパラドックス(paradox)な関係につながっていると考える。
 最近は日本のノーベル賞授賞者も米国に次いで多く、政府も教育研究予算の重点配分方針でメリハリをつける政策がみられるが、それでもiPS研究開発のノーベル賞山中伸弥教授でも研究室の維持費用捻出に公募を求めるなど予算不足対策に追われていた。

 (6)教育の「機会均等」を考えるなら学費は低く抑えられることが必要で、冒頭の学費値上げ論は大学経営に偏向(bias)しており、政府の教育研究予算、投資、質向上に向けられるべきことだ。

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