いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

自発的、自主的な復興動力論。 reconstruction by spontaneous & independently dynamism

2014-03-11 20:01:44 | 日記
 (1)東日本大震災が発生して今日で3年が経過した。メディアが調査分析した被災者の「政府や行政への要望」の1年と3年目の比較検証が出ていた。
 ①経済支援が21%(1年目)から9%(3年目:以下同じ)に減り、②情報提供が19%から7%に減り、③住宅建設が26%から16%に減り、一方で④教育支援が1%から9%に増え、⑤医療支援が6%から17%に増えて、あらたに⑥除染、⑦原発賠償、⑧移住支援が要望として出てきた。

 震災発生から3年経過して復興実像は一向に目に見えて進まないが、被災者の意識の中には生活復興に向けて確実に変化は出てきている。

 (2)現在も26万人以上が避難生活を余儀なくされ、そのうち47%がすでに移住したと答え、39%が移住を考えていると合わせて86%が帰宅を困難と思う復興現状だ。
 阪神大震災を経験して今も月に1回は東北被災地を訪れている作家が、災害規模の違い、放射線被害の違いはあっても、阪神大震災では高速道路は倒れ、繁華街はがれきの山だったが「1年目には元に戻った」(報道)と、東日本大震災の復興の遅れを指摘した。

 大阪に隣接する被災地神戸という立地都市環境もあっての早い復興であったと考えられるが、それにしても東日本大震災での復興スピードはあまりに遅い。

 (3)政府は震災発生から3年経過を目前にしてようやく復興加速をスローガンに4月から一部避難指示を解除する地区を決定した。しかし、福島第一原発事故は収束へ向かうどころか汚染水漏れが続き、事業者東電の技術的欠かんのうえに増え続ける汚染水対策に根本的な科学的解決策も打ち出せない現状の中で、そのお膝元地区の避難指示をいくら解除してみせても住民の安心安全の生活など保障できない、政府の復興加速のスローガン先行の空虚な復興政策だ。

 (4)冒頭のアンケート結果では被災者の復興意識への変化も見られる中で、「震災や被災地のことが風化し始めている」と70%が感じている(回答)被災者の実感もある。

 震災発生から3年経過して被災地ではボランティア活動も目に見えて減少しているというニュースも伝えられる。復興の遅れの最大原因は当然のように政府の行政能力の不足だ。震災後の復興構想会議で打ち出したのはせいぜい高台移転で、壊滅的な「ゼロ」からの復興グランドデザインの指針が描けずに、被災地で起きたのは住民間で意見のまとまらない「まち」づくり構想に、全体像もない中で動きのとれない自治体の無力感だった。

 (5)復興予算は地元被災地との思惑、要望、距離感、時間の壁の格差、ひろがりにあって、未消化分が増え続けるばかりで効果を生んでいない。
 地元被災地からはもっと自由に使える復興予算への要望が多く出され、迅速執行の法整備も求められている。
 こうした地元被災地の声に寄り添い、応えていくのが政府の役割でもある。

 (6)本来は政府が東北被災地の行政機能、機構改革を含めた復興グランドデザインを示しての復興スタートが必要であったが、もはや被災地もより自発的、自主的に独自復興(reconstruction by spontaneity and independence)に向けてまい進するしか復興を加速する動力論(dynamism)はない。

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