いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

K・ヤイリの巨人逝く。 memorial address for giant's death of k・yairi

2014-03-10 19:36:05 | 日記
 岐阜県可児市に本社工場のある(株)ヤイリギター(K・ヤイリ)は世界的な高質ブランド(high quality brand)の手作りギター(handmade order guitar)会社だ。
 ポール・マッカートニーさんが90年の世界ツアーで YD-88BKNモデルを使用し、90年代に財津和夫さんが同アコースティックギターをステージで愛用していました。
 「AY(アルバレズ・ヤイリ)」マークの輸出用ブランドで全面黒塗りのサウンドホールのない実に乾いた響きの心地よい高質アコースティックギターだ。

 その縁もあって95年に可児市のヤイリギター(K・ヤイリ)本社工場を訪ねて同型(AYマーク)アコースティックギターの製作を依頼したことがあります。
 道路の喧騒がうそのように静かで大木がなびく古色然とした敷地の中央に木造2階建ての本社工場はあり、素朴で古びた感じの事務所の入り口を入ると中央に大きな木のテーブルが置いてあり、職人さん風の初老の人が座っていました。

 奥からプロモニター(pro-monitor ギター製作と故障を見抜く調整資格者)の松尾さんが出てきてギター製作の依頼をして、打ち合わせのために2階のギター展示室(最近の姫野達也さんのブログ写真で姫野さんが写っている部屋。姫野さんはヤイリギターの愛用者で松尾さんの話では月に1回は電話が入るとのこと)で詳細なギター製作の打ち合わせをしました。

 松尾さんはまるで少年のように目を輝かせて「うれしいな」ととても喜んでくれたのが印象に残っています。
 その後、松尾さんの案内で広いギター製作工場内を製作工程に合わせてていねいに説明案内(今は土曜日の予約制)をしていただいたのが記憶に残っています。
 松尾さんをはじめとして木造の工場内からはギター製作への強い愛着と自負が伝わってきました。
 矢入社長のそのスタイルからK・ヤイリの品質優先、商品重視のコーポレート・ガバナンス(corporate governance)がよくわかるものでした。

 実はあとでわかったことですが、事務所のテーブルに職人帽子にジーンズの作業着スタイルの無言のまま座っていた小太りの初老の人が社長の矢入一男さんだったのです。
 ヤイリギター(K・ヤイリ)の社長で「現代の名工」に選ばれた矢入一男さんが今月5日に死去されたという報道がありました。

 矢入社長と松尾さんはその後、沖縄三線とギター融合のヒット商品の楽器「一五一会」を製作してNHK TVにも話題登場しています。
 矢入さんに最後にお会いしたのは、同本社工場近くの可児芸術創造センターで開催されたヤイリギター主催の楽器「一五一会」講習イベントの会場でした。
 参加者に混じって目立つこともなくあのスタイルで会場内を静かに回っておられたのが記憶に残っています。

 岐阜県可児市の山間(報道によると戦争疎開地)の古色然とした木造の本社工場から世界に向けて多くの音楽家、トップミュージシャンに愛用され続ける高質ブランドのK・ヤイリギターを生産、届ける心意気と心情と自負と、それでいて静かで控えめな「巨人」そのままの矢入一男さんだったのが思い出されます。

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