いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

新冷戦・プーチン時代。 new era of cold war

2014-03-21 19:40:29 | 日記
 (1)ロシアのプーチン大統領は2期大統領を努めたあと、法律で3選が禁止されているとみるや息のかかった人物を大統領に据えて、一旦首相に転じて実権を維持しながら再び大統領に返り咲くという露骨な自己権力慾(desire of self authority)、私利私欲を全面に出したことが不評で、国内的支持、人気、評判を落としているという見方の中で、外交では欧米に対抗して政治、軍事、経済で協力支援関係にある中近東国の首脳を全面擁護する姿勢を鮮明にしてきた。

 (2)シリアでのアサド政権と反体制派勢力との内戦では、同政権による市民ほかへの無差別攻撃が国際的非難を受ける中アサド政権を擁護して、化学兵器使用により米国、仏の軍事介入がほとんど確実とみられていた情勢の中で、アサド政権の後ろ盾としての立場をいかしてシリア国内の化学兵器の国際管理下での廃棄措置をアサド政権に認めさせて提案、調停に乗り出して、米国もこれに軍事介入を直前になって中止せざるを得ない状況に追いやられてのロシア・プーチン大統領の国際的な評価を一気に高める結果となった。

 (3)直後の世界で最も影響力のある政治家としてはじめてプーチン大統領が選ばれて国内的不人気、不評からすっかり自信を取り戻した契機となった。
 威信を全面に出したソチオリンピック開会式では、西側主要国の首脳からは国内人道抑圧問題でこぞって欠席されたが、日本の安倍首相だけは北方4島返還問題の懸案解決を抱えてプーチン大統領との親密関係維持の立場から出席を選択した。

 (4)そこに降ってわいたのが隣国ウクライナの政変だ。親露派のヤヌコビッチ前大統領(本人は今も大統領と主張)がロシアに亡命して保護され、欧米など国際的非難の中でロシア系住民の多いウクライナ領一部のクリミア半島を軍事上(ロシア艦隊常駐)、国益上、今度は人道保護上(ロシア住民多数)プーチン大統領はロシア領に編入帰属させる決定を決断した。

 米国、EUが制裁対抗措置を示す中でのプーチン大統領の迅速な強硬措置発表だった。シリア調停工作の成功、今や世界で最も影響力のある政治家としての評価を背景にした自信のあらわれだ。

 (5)豊富な天然資源国としてEUをはじめ日本との経済関係のつながりも考慮したプーチン大統領の強きの外交戦略だ。
 欧米のロシアに対する経済金融制裁対抗措置も、ロシアにエネルギー供給を依存しているEU諸国では困惑も広がっていて、なかなか効果的な対応が打ち出せないでいる。

 日本としても北方4島返還問題を抱えているが、ロシアの領土搾取に対する西側主要国としてのロシア制裁に協力せざるを得ずに困った問題ではある。尖閣諸島、竹島領有権問題、北方4島返還問題を抱えて見過ごすことのできないロシアの領土搾取政策だ。火の粉は日本にも降りかかる重要外交問題となる。

 (6)あらたな米露冷戦時代のはじまりも予感されるが、それはかっての米国とソ連が直接対峙した冷戦時代と違って、それぞれが後ろ盾となった関係国内事情での影響力、存在感の新冷戦時代(new era of cold war)だ。

 ロシアの立ち回りの良さによる影響力、存在感が増して、それまで唯一の覇権国家として世界に存在した米国の財政不安、軍事費削減による影響力、存在感が低下して、互いに交差し合う新冷戦時代だ。プーチン大統領はなかなかしたたかだ。

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