いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

教科書と沖縄の対立。 textbook vs. okinawa affairs

2014-03-29 20:08:04 | 日記
 (1)普天間飛行場移設問題は、昨年末に沖縄県知事が政府から提出されていた移設先の辺野古沖埋め立て申請を許可する決定をして、しかし年が明けて辺野古のある名護市長に移設反対の市長が再選されて表向き動きが止まったように見える。

 政治も安倍首相の憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認がクローズアップされて、また経済、社会は4月からの消費税8%引き上げの影響、景気動向が注目されて、沖縄問題は今は影が薄い感じだ。
 4月末のオバマ大統領の訪日を迎えて沖縄問題は関心にはのぼるだろうが、1泊2日の強行日程では日韓関係の改善、ロシア制裁問題、TPP交渉問題と外交、経済が中心となって、沖縄問題は影が薄い印象はぬぐえない。

 (2)そんな沖縄問題で、沖縄県の竹富町と文科省の中学教科書選定問題が訴訟にまで発展しそうな様相をみせている。
 初等、中等教育は国民の全国の教育水準の公正確保のため義務教育化(compulsory education)されており、使う教科書は数ある中から自治体で構成する地区協議会が選定採択したものを共通して使用する(費用は国が負担)ことになっているが、竹富町は中学が使う公民の教科書を採択されたものとは別の独自の判断による別出版社の教科書を使用している。
 採択教科書が「沖縄米軍基地の記述が少ない」(報道)などの理由で独自の教科書を住民の寄付で別途購入して使用している。

 (3)国は教科書無償措置法に基づき費用を負担して、各教育委員会のもとで採択した教科書を共通使用する教育行政を行っており、竹富町の中学教科書(公民)の独自の使用は国の教育行政に反する自治体の判断ということになる。

 国の是正勧告にも竹富町は独自の判断、選択の正しさを唱えて応じずに、文科相は「竹富町は法律を知らない」とばかりにこれを批判して、訴訟に打って出る構えだ。
 国の文科相と沖縄の小さな一自治体竹富町とのこれも「沖縄問題」のひとつに発展した。

 (4)沖縄米軍基地の取り扱い(記述量)が焦点となっての国と沖縄の竹富町との全面対立だ。国の義務教育化による初等、中等教育制度上の観点からは竹富町(教委)の独自の判断、選択は認められないものではあるが、制度上(教育指導要領)の義務教育化を否定するものでもなく、その中での教育指導ディテールとしての教科書の選択使用の問題としてここまで国ないしは自治体、教育委員会が強制関与することが教育の自由にとってふさわしいのかの観点だ。

 (5)そうなると、教員の日常の授業方法、伝達方法、語り、言語、指導にまで規制、関与されることにもなりかねず、土台、国の教育関与にも制約はある。
 義務教育化は国の教育指導要領に基づいて全国の教育水準の公正確保を目指すものであり、そのフレームワーク(frame work)の中で一定の柔軟性(flexibility)を教育現場に持たせることは、国の規制の届かないところでもあり致し方のないものだ。
 文科相の言う「法律を知らない」ではなく、「法律を見直す」ことが必要だ。

 (6)事は、教科書選択問題を通り越しての国と沖縄の米軍基地問題の対立が根底にある。竹富町からすれば、共通選択教科書での米軍基地記述の少なさはあっても授業内容、方法論で補うことは可能で、独自のサブノート、レジメを作成して関心を高めることもできるし、一方、国としても沖縄の事情を考慮して補強教育材を認める手立てはある。
 教育は型どおりのものではなく、発展性のある柔軟性の高いものだ。

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