いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

オウム事件解明の肩すかし。 one sided coaxing to elucidate the aum affairs

2014-03-08 20:17:03 | 日記
 (1)17年の逃亡のあと自首して逮捕された元オウム真理教信者の平田信被告の一審裁判員裁判が結審した。事件から19年が過ぎてオウム裁判としては初めての裁判員裁判となり、被害者参加制度を利用して遺族が検察席で裁判を傍聴して被告に質問し、すでに結審確定した同事件死刑因3人も証言台に立つというあたらしめづくしの裁判となった。

 オウム真理教事件は指名手配されていた3人以外はすべて結審して同事件で逮捕された元信者たちは同教団の代表の松本智津夫の指示、命令に従ったと証言し、その松本智津夫は裁判では事件核心を何も語らないという、結果として同教団が引き起こした地下鉄サリン事件をはじめとする反社会的犯罪についての核心は闇の中のまま、同被告の多くが死刑判決を言い渡された。

 (2)その後指名手配の3人が11年末の平田信の自首逮捕から次々と全員逮捕されて、今回の平田信被告の裁判ではあらたな事件真実が解明される(to elucidate the aum affairs)のかの期待も高まり、同死刑因の証言という異例の対応もはかられた。

 17年の逃亡の末の覚悟の自首から平田被告からは裁判では事件真実が語られるものとの期待はあったが、結局は判決文にあるとおり「自己の関与について不自然な弁解を続けて」(判決報道)自己保身に走り、出廷した同死刑因3人の証言もくい違いを鮮明にするだけで、これまでのオウム裁判との領域を踏み出すものとはならなかった。

 (3)しかも同死刑因のひとりが仮谷さん監禁致死事件で「これは殺人だったと示唆する」(報道)あらたな証言をしたが、同判決では「証言は誇張や記憶の混同があるのではないかと疑問が残る」(同)と信用性がないとされた。事件発生から19年経過の時間の障壁だ。

 同死刑因の異例の出廷証言にはいまさら自己保身もないことから、事件真実の証言が期待されてのものでもあったが、裁判では信用性がないものとみなされた。
 公正、公平な裁判審理の中での判断なのだからそういう心証であったのだろうが、それではすでに十分審理をつくして判決確定した同死刑因の再度の出廷証言の意味、意義などなかった(いまさらの新証言などあってはならない)ことになる。

 (4)同死刑因の自己保身を離れた事件解明への真実の証言がなされるものとの判断、期待は当初から課題、問題はあったが、結果としてそのとおりただくい違いを鮮明にするだけで意味も意義もなかった。

 土台そもそも当該裁判で十分な審理がなされた結果の死刑判決なのだから、いまさらさらに何の新証言を求めての同死刑因の再出廷による証言だったのかは不可思議な判断対応であった。

 (5)事件発生から19年も経過しての平田信被告の裁判であり、首謀者の同教団代表の松本智津夫死刑因も同事件の核心を語らない中での証言だけでは、事実の積み重ねもおぼつない、釈然としないオウム裁判をみせられた。

 カルト教団内での人間性の自己破壊なのか、化学テロによる国家転覆を狙ったものなのか、何なのか、オウム事件の真実解明の作業は続く。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする