オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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SEGA MAD MONEYがやって来た!(2):MAD MONEYの解剖その1

2022年12月04日 21時19分47秒 | スロットマシン/メダルゲーム

今回譲り受けた「SEGA MAD MONEY」は、セガが1960年前後頃に開発したと推察される「スターシリーズ筐体」に収められていますが、その内部に残されている検査証には、インクが薄い上に染みが多く判読しづらいものの、「FEB. 4 1969」と読めるように思える印字がされています。

筐体内に残されていた検査証の日付部分。「FEB. 4 1969」であろうか。

1969年だとして、しかしスターシリーズの次世代機である「コンチネンタルシリーズ」の開発は遅くとも1966年には行われており、更にその次のシリーズで旧セガ時代の最後のメカスロとなる「ウィンザーシリーズ」は、1967年の時点で英国で新製品として発売されており(関連記事:セガ60周年記念・1960年以前のプレセガ期(4) セガのスロットマシンその2)、旧型機であるスターシリーズ筐体にそれらよりも遅い日付けが記されているのは、あり得ないことではないとしても、多少の違和感を感じざるをえません。

1969年にスターシリーズが製造され続けていた理由を何とか考えるならば、スターシリーズは稼働に電力を要しなかったので、新製品が出た後でもそのような旧型機にはまだ需要があったのかもしれません。もしくは、単に在庫部品があっただけなのかもしれませんし、更にアクロバット的推測をするなら、旧型機を整備して準新品としていたのかもしれません。この問題はこれ以上考えても答えは見つかりそうにないので諦めて先に進みます。まずはメカの中身の概観から見てまいります。

筐体の背面は、上部の青い部分は鋳物で出来た「トップ」、その下の黒い部分は板金で出来た「バックドア」となっています。

筐体の背面。上部の青い部分がトップ、下の黒い部分がバックドア。

まず鍵でバックドアを取り外し、次にトップを固定する左右ふたつの「トップロッキングレバー」を引いてトップを外します。

鋳物製のトップとバックドアを取り外したところ。左右の赤矢印はトップロッキングレバーの動きを示す。

次に、土台の下部にあるレバーを外すと、リールユニットが取り外せるようになります。このレバーは、1956年に発行されたミルズのユーザーズマニュアルにはなぜか記載がなく、名称がわかりません

リールユニットを取り外した後の筐体内。赤矢印はリールユニットを固定するレバー(名称不明)の動きを示す。

筐体の内側の、左右の壁の向かって左側は、ゲームを起動するハンドルが付いている側です。ここにはハンドルの操作によって作動する機構が見えますが、このどの部分がリールユニットのどの部分に作用しているのか、メカには暗いワタシには理解できていません。

リールユニットを取り外した後の筐体側面の、ハンドル側。この機構のどこがどのようにリールユニットに作用しているのだろうか。

反対側の壁にはメカはありませんが、トッパ―と筐体内の照明に使われている蛍光灯の安定器とスターターが4個ずつと、電源と思しき部品1個が並んでいます。しかし、これらはおそらくもう使い物にはならなくなっていることと思います。蛍光灯は取り外されていました。これら電気系統はミルズの時代にはなかったもので、ユーザーズマニュアルには記載がありません。

筐体側面の、ハンドルの反対側。並んでいる電気系統の部品は、トッパー、ペイテーブル、それにウィンドウ内を照らす蛍光灯のためのもので、これらが機能しなくてもスロットマシンとしては稼働する。

土台の下には、右側に「キャッシュボックス(Cash Box)」、左側には何やら意味ありげな部品があるように見えます。これは「ハンドルポンプ(Handle Pump)」と言って、ハンドルを引いた後、手を離したハンドルが勢いよく戻らないように抑制するための部品です。

筐体の中の下部。右はキャッシュボックス、左はハンドルポンプ。

ハンドルポンプの拡大図。暗くて見えづらい。

(次回「リールユニット編」につづく)