オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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「Continental Bingo」(Bally, 1972)

2020年09月13日 14時31分40秒 | スロットマシン/メダルゲーム
「Continental Bingo」は、米国Bally社が1972年に発売したスロットマシンですが、Bally得意のピンボールのビンゴにも「Continental」という機種があるのでたいそう紛らわしいです。本文の以降に出てくる「コンチネンタル」や「Continental」は、全てリールマシンの方を指しているものとご認識ください。

前回の記事、「「謎のフライヤー」の追加情報」に、カナダ在住のピンボールプレイヤー&ゲームコレクターであるCaitlynさんから、「特にBallyの『Continental Bingo』が好き」とのコメントを拙ブログにいただきました。「Continental Bingo 」は日本のゲーセンではレア物と言うほど珍しいものではありませんでしたが、それでもコンチネンタルシリーズの中ではそれほど多く普及した機種ではなかった印象があります。


今回取り上げる、リールマシンの方の「Continental Bingo」のフライヤー。

リールマシンと言えば、普通はペイライン上に同じシンボルが揃えば良いのに対して、「Continental Bingo 」は、ペイライン上に停止した数字でビンゴゲームを行うという、リールマシンとしては極めて特殊なルールを採用しています。停止した番号が反映されるビンゴカードはトッパ―に掲示されており、同一線上に3個以上並んで点灯すれば勝ちとなることを原則として、他にもスーパーライン、スーパーカード、BINGOのスペルという当たり方もあります。


筐体のトッパ―部分。上半分がペイテーブル、下半分ビンゴカード。

ペイテーブルには、「スーパーカード」、「レギュラーカード」、「スーパーライン」、「スペルネーム」の4種の配当が掲示されています。

■「スーパーカード」とは3x3のビンゴカードのことで、どのラインでも3個並べば20倍、4コーナー全部が点灯すると250倍となっています。

■「レギュラーカード」とは5x5のビンゴカードのことで、同一ライン上に3個並びで2倍、4個並びで20倍、5個並びでは200倍となっています。

■「スーパーライン」とはレギュラーカードの最下段にあるラインで、赤色で示されています。スーパーラインはその他のラインと異なり、とにかくどこでも2カ所以上点灯すれば勝ちとなります。このライン上の2カ所点灯で2倍、3カ所点灯で5倍、4カ所点灯で100倍、5並びで250倍となっています。ただし3個点灯と4個点灯は、5ベットまたは6ベットすると、オッズがそれぞれ10倍、200倍と、4ベット以下の場合の倍の配当になっています。

しかし、ワタシが日本のゲーム場では見たものは全部、3カ所点灯は1ベット目から10倍だったし、4カ所点灯も1ベット目から200倍でした。おそらく同じ型番の枝番にそういう仕様のものもあったのでしょう。そしてワタシは、この4カ所点灯200倍を、4回か、ひょっとすると5回ヒットさせた経験があります。コンチネンタルシリーズの他の機種で200倍以上の役を当てたことは1回しかなく、「コンチネンタルビンゴは大当たりが当たりやすい機械」と言う良い印象が残っています。

■「スペルネーム」は、5つのリールに左から順に配されている「B」、「I」、「N」、「G」、「O」の文字列が3つ以上連続して停止すれば勝ちというものです。「BIN--」または「-ING-」または「--NGO」が2倍、「BING-」または「-INGO」が20倍、「BINGO」が揃えば100倍になりました。センターライン上にこれらの文字が停止すると、スーパーカードの右にある「BINGO」の文字の該当する部分が点灯しました。ワタシは「BINGO」を完成させたことは1度しかありません。

Continental Bingoのフライヤーには95通りの勝ちパターンがある(95 WAYS TO WIN)と書かれています。これはつまり、レギュラーカードの全てのラインで3並びから5並びまで全て成立し得るということです(そうでないと勝ちパターンは95通りにならない)。そしてそれはつまり、一つのリールには5種類の番号が振られているということでもあります。

そこからリールのシンボルの配置を推測すると、一つのリールには、5種類の番号と、BINGOの文字1種類の合計6種類のシンボルが配されていることになります。ストップ数は他のコンチネンタルシリーズと同じ22ストップでしょうから、5種類の番号が4個ずつに、BINGOの文字が2個、配置されていると思われます。なぜかというと、番号によって出現率に差があると、ペイアウトの計算が滅茶苦茶面倒になるからです。実際はどうであるのか、シンボルの配置を見て答え合わせをしてみたいものです。
(取り消し線の部分、大嘘でした(^^;)。試しにこの前提で計算してみたら、スーパーラインだけでペイアウト率が100%超えてしまいました。まあ、普通に考えればそうかもねーとは思います。事前にある程度検証してから書けばよかったのですが、手を抜いてしまいました。ゴメンナサイ。(2020.09.15追加))


Caitlynさんはコメント欄で「I hope to find one some day.」(いつか見つけ出したい=手に入れたいということ?)とおっしゃっていますが、スロットマシン史研究家のマーシャル・フェイ氏は、1994年に出版した著書「Bally SLOT MACHINES Electro-Mechanicals 1964-1980」の中で、「This 6-coin multiplier was not popular for casino play. Consequently, the number of surviving Bingo slots are few.」(この6コインマルチプライヤーはカジノでは人気が無く、現存する機械は極めて少ない)と言及しています。ひょっとすると、日本国内の方が多く存在していたかもしれません。もし、拙ブログをご高覧下さっている方の中で現存する機械をご存知という方がいらっしゃいましたら、ご一報いただけるとありがたく存じます。そのCaitlynさんのブログ「so I bought a pinball machine」は、オールドゲームファンには一見の価値があるコンテンツがたくさんあるので、興味がある方はぜひ一度訪れてみてください。

最後に重箱の隅。フライヤーをよく読むと、「95 WAYS TO WIN」の欄に、「筐体画像では第一リールに11、第二リールに21、第五リールに22で、レギュラーカードの4番目の横ラインに22-11-21が点灯して、3並びの勝ちができている」と説明されています。


フライヤーのゲーム説明文。問題となるのは青色の下線部。

しかし、ワタシが見たところ、この筐体画像では第四リールの1があるので、4並びの勝ちができています。


筐体画像のリール部分(上)を、ビンゴカードに対応させた結果(下)。レギュラーカードに4並び(20倍)ができている。

アメリカのゲーム機の広告ではこの種の杜撰さがしばしば見られる気がするのですが、気にする人は少ないのでしょうか。