オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

コインマシンやギャンブルゲームやカジノの歴史的エピソードとか、時々カジノ旅行記とか、たまにスポーツやマンガとか。

【予定変更】JAEPOショウ2020メモ

2020年02月09日 12時53分45秒 | メーカー・関連企業
【おことわり】今回は「ゲーセンと法律の話(3) 『新概念「特定遊興飲食店」の誕生』」を掲載する予定でしたが、急遽変更して、2月7日・8日に開催された「JAEPOショウ2020」の様子をお伝えいたします。

JAEPOショウとは、アーケードゲーム機メーカーや周辺機器業者などが集まって年に一度開催される日本のAM業界のトレーディングショウです。このようなトレーディングショウは、かつてはメーカー団体であるJAMMAが主催するJAMMAショウと、オぺレーター団体であるAOUが主催する「AOUショウ」の二つがそれぞれ年に1回ずつ行われていましたが、業界規模の縮小によりこの二つをJAEPOショウに統合する形で、年に一度の開催になりました。

今年のJAEPOショウは、例年通り幕張メッセで行われはしたのですが、今回は初めてメインとなる展示場1ホールから8ホールではなく、「離れ」となる9ホールで行われました。会場の規模としては妥当だったと思いますが、これも業界の規模の縮小に関係しているのかもと想像すると、業界の前途が心配になります。なお、メインの展示場ホールは別のコンベンション会社が主催するビジネス関連のショウに使われていました。

今回のショウでは、ホットトイズ・ジャパン社が昨年に引き続いて米国Stern社のフリッパー・ピンボールを出展してくれました。全6機種中新作は「ジュラシック・パーク」1機種のみでしたが、まだまだ灯が消えていないことを期待させてくれます。


米国Stern社のフリッパー・ピンボールを展示するホットトイズ・ジャパン社。このブースは、拙ブログを始めてからお知り合いになった方々と最も多く出会う場所だった。

それに比べて。昨年、やはりフリッパー・ピンボールを出展していたバンダイナムコテクニカ社は、今年はピンボールの展示がありませんでした。風のうわさでは昨年の出展ではバイヤーからの引き合いがほとんどなかったと聞いていますが、そこを我慢してもうひと踏ん張り頑張ってみようという意思は働かなかったのでしょうか。海外のエレメカ機を積極的に展開しようとしてくれている同社ですが、すぐに爆発的なヒットが期待できるような機種なんてないのだから、何をするにしても我慢が大事なのではないかと思うのですが。

コナミからは、久々に新しい抽選機構を備えたビンゴゲーム「DUEL DREAM」が出展されていました。数字が書かれているボールを風で吹き上げ、受け皿の穴に入ったボールが有効になるという抽選機構は「ワールドビンゴ(SEGA, 1986)」に通じます。筐体は撮影禁止とのことだったので、ブースの外に設置してあった遊び方説明の画像を上げておきます(筐体画像はこちらで見られます)。


DUEL DREAMの遊び方。同時に3種類のゲームができる。

複数のゲームが同時にできるというシステムは、コナミが「トリオ・デ・ビンゴ(1995)」以来よく取る手法ですが、これはつまりピンで勝負できるゲームではないとも考えられ、ワタシは否定的でした。しかし、メダル単価が下がってプッシャー並みのコインインを求められるようになってしまった今は、同じ時間内でインを稼ぐ一つの手法として認めざるを得なくなってきています。

コナミはほかに、昨年出展していた「MARBLE DROP」と、昔そこそこ普及したシングル機「DELTA MAGIC」を、海外向けのリデンプション仕様として出展していました。このような粘り強さもまたコナミの強みであると思います。

タイトーは、ドラクエの世界をメダルゲームにしたと謳う4Pプッシャー「星のドラゴンクエスト キングスプラッシュ」を出展していました。タイトーはメダルから撤退したと聞いていたのでこれ自体は喜ばしいことですが、でもやっぱりプッシャーなんですね。もうプッシャー以外は作っても売れない感があるので仕方がないとは思うも、少しガッカリです。フィールドから落とすボールが、中にモンスターが入ったガチャのカプセルのようになっているところがミソなんでしょうか(筐体の全体画像はこちら)。


「星のドラゴンクエスト キングスプラッシュ」。スライム好きには興味を惹かされる。

ナムコはまたもやプッシャーの海物語シリーズのニューバージョン「ラッキーマリンツアーズ」を、セガは「レッ釣りGO」と「バベルのメダルタワー」を出展していましたが、旧作みたいなものなので省略。

最後に、一昨年のJAEPOショウで発表され話題をさらったメカ式の「PONG」が、4Pプレイに進化していました。これを見て、4Pプレイのパドル&ボールゲームでやはりATARIが1980年に発売した「WARLORDS」というゲームを想起したオールドゲーマーも多かったのではないでしょうか。



4PのPONG(上)と、セガが頒布したウォーロードのフライヤー(下)。

しかし、「ゲーセンの未来を体感しよう」と謳って今年もいろいろなAM機が展示されたJAEPOショウですが、ここに展示された機械たちはこれからいったいどこに設置されるのでしょうか。以前はどこにでもあったゲームセンターが今では残っている地域の方が珍しくなってしまっている現実にあっては、AM業界はゲーセンという旧来の枠を打ち破る新しいビジネスモデルを開拓していく必要があると思います。その前には風適法という厚い壁もあるでしょうが、そこを何とかしなければ、ゲーセンに明るい未来を創造することは難しいです。来年もJAEPOショウが無事に開催されますように。