オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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「きゅぽかの(ボウリング漫画)」の単行本を買った話

2016年11月21日 00時11分19秒 | スポーツ・マンガ
半生中継は一回中断させていただいて、本ブログで初の、ゲームとは関係ない話をしておきたいと思います。

実はワタシはボウリングのファンです。もちろん自分でもマイボールとマイシューズを持って投げますが、五十肩を患ってからは肩関節の可動域が狭まり、球威は落ち、ストライク率も下がって、現在のアベレージは170くらいです。それでもアメリカのプロ団体であるPBAのゲームは好んで視聴しますし、「P★League」も毎週録画して観ています。

さて、先週の金曜日(11月18日)、「きゅぽかの」という漫画の単行本が発売となりました。


きゅぽかのの表紙

「きゅぽかの」は、ストーリーの軸をボウリングに置き、ボウリングにハマっている3人の女子高生を主人公とする漫画です。ボウリングファンとしては、ボウリングテーマのマンガが現れること自体は歓迎したいところですが、しかし、大きな不安がありました。

と言うのは、これまでボウリングをメインテーマに据えた漫画はいくつかありますが、どれも短命で、実際読んでみても面白いと思えるものが皆無なのです。

古いものでは、1971年、「美しきチャレンジャー」というドラマがありました。元々は当時のボウリングブームに乗ったTVドラマですが、後に吉森みきを、小形啓子両先生によりコミカライズされています。

このドラマが公開された当時、漫画界ではいわゆる「スポ根」ブームで、その代表ともいえる「巨人の星」の「大リーグボール」のような荒唐無稽な「魔球」を以てトップを目指すというストーリーが多かったものでした。「美しきチャレンジャー」も同様で、(7)-(10)のいわゆる「大スプリット」をスペアメイクする「魔球」を「特訓」して、いざというときに窮地を乗り切るのがドラマの一つの見どころになっていました。

当時子供だったワタシは、それでも固唾を飲んでお話を見守っていたものでしたが、今考えると、(7)-(10)なんてスプリットは、10ゲームに1回も出ないような、まれな残り方です。そんなレアケースに備えて特訓なんかするよりも、1投目でそんなスプリットを出さないようなアキュラシー(正確さ)を磨くことの方がリーズナブルな考え方です。

まあこれも、ワタシが成長するに及んでボウリングに対する理解が深まったからこそ言えることではありますが、とにかく、あの時代だからこそ許されたドラマであり、「エースをねらえ」や「ガラスの仮面」のように、後世に語り継がれる名作と呼ぶことは逆立ちしても無理です。それでも、ボウリング漫画の中でも最大のヒット作とは言うべきかもしれません。以降、思い出したように描かれるボウリング漫画は、この「美しきチャレンジャー」にすら及ばないものばかりでした。

そんな経緯があった中、今回「きゅぽかの」は描かれたわけです。掲載誌は秋田書店の「ヤングチャンピオン烈」で、少年誌よりはいくぶん高い年齢層に向けた雑誌であると聞き及んでいますが、これがまた不安を膨らませました。エンターブレインや青林工藝舎、そこまで行かなくても、講談社のアフタヌーンやイブニングのように、必ずしも大衆受けするネタではないことを承知の上で、独創的で新たな漫画表現を掲載する雑誌であればともかく、ワタシには、秋田書店はバリバリの商業出版社で商売にならないと見れば無情に切り捨てるイメージがあったのです。そんな出版社から出る雑誌で、元々ストーリーが作りにくいスポーツであるボウリングをテーマに、ハードコアなボウリング漫画なんかが掲載されるのかと思っていたのです。

しかし、これによって少しでもボウリングが啓蒙されればと言うかすかな期待もあり、ダメ元で、まったくご祝儀のつもりで、発売日のその日、買ってまいりました。

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確かにボウリングがテーマではあります。ボウリングに関する描写はかなり真面目です。しかし、それは逆に、一般的な読者には理解不能なマニアックな領域です。これで押すのでは、読者は付いてこないでしょう。というわけで、「きゅぽかの」は、「ボウリングをダシにして、萌えキャラ女子高生3人組のじゃれあいっこを見せる漫画」となっておりました。ワタシは読んだことはありませんが、「けいおん」という萌え漫画の、ボウリング版ということなのかもしれません。

この漫画を読んで面白いと思える人は、萌え漫画ならとりあえず広く受け入れることができるタイプの人でしょう。願わくば、そんな人たちの中に、俺もボウリングやってみるかなと思いつき、案外奥の深いこのスポーツの面白さに目覚めてくれる人がわずかでも出て来てくれますように。

ところで、ワタシはこれまで、(7)-(10)を3回カバーしたことがあります。しかし、そのうちの1回は、(6)-(7)-(10)のスプリットのうち、(7)-(10)のみをテイクしたというものです。これがワタシの最も劇的な珍プレイです。