大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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大田区の、4か所の目、お金を払える人しか受けられない一時預かり事業にみる課題

2018年03月23日 | 都区制度・大阪都構想

大田区が四か所目の一時預かり事業をするための条例改正をしました。
一時預かりのニーズが高まっていることは承知していますが、4か所目といっても、区内全域ではなく地域に偏りがあります。900円払える人だけに限定し、拡大しているのも問題です。
事業を始めるに際しては、保育事業を開設できるほどの改修費用をかけていますが、であれば、待機児解消を優先すべきです。

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仕事の有無など理由を問わず、こどもを預かる一時預かり事業は、ニーズが増えています。

大田区では、現在も社会福祉協議会とこども家庭支援センター大森・仲六郷分室などで一時預かり事業を行っています。

いまでも、運営主体が大田区、社会福祉協議会と異なったしくみで行っている一時預かり事業ですが、今回児童館で一時預かり事業を始めるに際し、大田区は、既存の仕組みではなく、新たに事業条例を作っています。

今回の一時預かり事業は、児童福祉法第6条3第7項に基づき、

理由を問わず、保育を受けることが困難になった、3歳児未満の乳児、幼児を対象に、主に昼間、保育所や認定こども園で行い、児童福祉法第24条第二項の障害児は対象になりません。

 

民間でも行っている事業を大田区が行うのであれば、夜間や日曜日も開設し、民間では受け入れ困難な障害児も受け入れるべきですが、民間でもできる昼間の9時から5時、日曜休みで、障害児は受け入れません。

これでは、民間で採算の取れない事業を、大田区がかわりに民間より安い900円で利用料金を設定し、場所を提供して、委託事業者をもうけさせるようなものです。

私は、この事業は、このまま大田区が行うべきではないと考えます。

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複雑な事業体系

すでに、理由を問わない一時預かり事業には、こども家庭支援センターと社会福祉協議会で行うほぼ同じ2つの仕組みがあります。

事業を複雑にするべきではありません。

公平性から問題

一時預かり事業は、現在すでに、蒲田、大森、仲六郷で行われています。必要な、区民に求められる事業であれば、まだ設置していない調布地区に開設すべきです。大田区は、この一時預かり事業を、広げていくと言っていますが、他地域にどう広げていくのか、計画さえありません。だいたい、区内に一時預かり施設がこれで4施設になりますが、それほど何か所も必要でしょうか。

優先順位

そもそも、大田区が足りない保育園や学童保育整備に優先して行うべき事業でしょうか。

高い委託費

委託費が高いことです。

今回、学童保育事業が小学校に移転した萩中児童館の学童保育事業含めた児童館運営委託費は、4279万円。これが、学童の代わりに、一時預かり事業を行っていただき、年間4400万円に増額します。

常勤3名、ほか2名の職員5名体制で、一人当たりの人件費は500万円相当の金額が見積もられています。

 

一方、直営の児童館は、正規三人と非正規一人の5人体制で4900万円だそうです。

直営の方が高いように見えますが、児童館職員は退職不補充で、退職前の職員が多く、館長約900万円はじめ給与の高い職員です。

一時預かり事業は、職員全員に500万円支払っても、人件費総額は2500万円ですが、委託費は、年間4400万円ですから、人件費以外の経費が直営の児童館に比べ高いことがわかります。

高い委託費はどこへ支払われる

委託費は高額でも、現場の従事者に支払われるかどうかわからず、支払われない可能性が高くて心配なことです。

 

認可保育園の中に、受け取る公定価格の人件費基準相当額を支払わない事業者がいることから保育士のワーキングプアが大きな社会問題化していますが、今回の児童館・一時預かり事業含む委託で、委託費に計上されている500万円の人件費は、テンプスタッフウイッシュに雇われる、萩中児童館で働く5名の方たちにきちんと支払われるでしょうか。

 

これなら、直営で児童館の一般来館、乳幼児、と一時預かり事業を行ったほうが、人も定着してノウハウが蓄積されますし、ワーキングプアの心配もありませんし、委託に加え、職員が管理する仕事も不要ですから、良い事業になるのではないでしょうか。

児童館の活用方法として、適正か

そもそも、学童保育事業を学校に移転させて、事業が大幅に減った児童館で一時預かり事業を始めて委託することが、いま、最も大田区が優先的に行うべき事業でしょうか。

今回、区は、0、1、2歳児の一時預かりを二階でおこなうということで、1400万円をかけ、大規模な改修工事を行います。

二階なので、避難経路の確保やバリアフリー、ほふくスペースの整備などにかかるのだそうです。

 

これだけの費用をかけて改修するなら、保育園を整備すべきではないでしょうか。

 

地縁血縁の希薄な社会において、単に就労だけでなく、一時預かり機能が必要な場面があるのは承知しています。

 

そうした社会の変化に伴う行政需要を救い上げ、たまの息抜き含めた子育て支援事業を整備するなら、一人当たり利用回数の上限を定め、料金は無料にして、提供すするなどすべきです。

時間当たり900円は、民間のシッターサービスを使うには高いと躊躇する区民にとっては割引を受けたようなもので便利かもしれませんが、行政が他の施策に優先して行うべき事業かと言えば、疑問です。

しかも、この事業は民間事業者が事業参入しようとしながら、採算制で難しいと言われている事業です。

こうした採算性の難しい事業こそ、公や学校法人などが、一時預かりできる回数や時間数の上限などを決め、非営利で行うべき事業です。

気になる今後の展開

最後に気になるのが、一時預かり事業の条例にその他区長の定める場所という文言が何を意味するのかということです。

児童福祉法第6条3第7項の一時預かり事業は、保育園、認定こども園、その他の施設でできると定められています。

この条例の一時あずかり事業は、児童館で行いますから、区長の定めるその他の施設は、保育園や認定こども園ではないでしょうか。

一時預かりは、1階部分ではなく、あえて、二階部分を改修し、二方向の出入り口もつけていますから、保育事業も可能にしているということです。

仮に、児童館を認定こども園にするなら、私立幼稚園への影響も心配です。

いま、幼稚園は展望をしっかりみきわめなかった場当たり的な保育園の民営化で、危機的状況にあります。

仮に私立幼稚園の救済策としてこの事業を突破口に児童館を認定こども園にするならもっと広く議論すべきで、秘密裏に行うことにも反対です。

 


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