旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

孟母三遷

2006-02-19 14:13:36 | 教育
■儒教の思想家として有名な孟子には、本人よりも有名な母親が居たそうです。今でも子供の教育には環境が何よりも大切だ!という典型的な例として愛用されている国が有ります。日本でも、数十年前まで漢籍の教養として愛読されたので、結構、有名な話として語り継がれていました。その名を「孟母三遷(もうぼ・さんせん)」と言います。『列女伝』という本に記録されたお話は実に単純で、孟子も孔子様と同様に母子家庭で育ったのだそうですが、母子が最初に住んでいたのは墓地の近くで、ちっちゃい孟子は墓堀人夫の真似ばかりして遊んでいました。それを見た母親は我が子の将来を心配します。直ぐに引越しを決意して、次に住んだのが市場の近くで、息子は直ぐに商人の真似を始めます。またまた驚いた母親は、二度目の引越しを決意。

■三度目に住んだ場所は、儒者が開いていた塾のそばだったので、孟子は 祭祀 ( さいし ) の道具を並べて、「礼」の真似をするようになりました。これを観た母親は、我が子の養育には最適の場所を得たと大いに喜んだのだそうです。考えてみれば、墓地の管理や市場の仕事をしている人達に対して、実に失礼な偏見に満ちた職業蔑視ですなあ。社会は無数の職業によって構成されているのですから、犯罪者以外は共に社会生活を営むのに欠かせない大切な人達です。アホな思い込みで権力者や一般人が、職業をランク分けして馬鹿馬鹿しいカースト制度のような差別思想を生み出してしまうものですが、近代国家では「職業に貴賎なし」との結論が出ています。

■孟子が活躍したのは戦国時代と呼ばれる時代で、紀元前372~289年頃と推定されていますから、仏教はまだ伝わっておりません。孟子の母親が安心したという「礼」というのは、自分の家系の御先祖様を祭る儀礼の事で、まったく内輪の自分の一族の繁栄だけを願う行為だというのが重要です。国家のことは王や役人が世話をするし、公共道徳に関する興味はほとんど無いサバイバル状態での話です。日本にもこの「家の思想」が伝わって様々な影響を今でも及ぼしております。孟子の母としては、自分の死後の墓守と定期的な儀式をしてくれる息子を得た事が何よりも嬉しかったというわけです。儒教では、男子にしか祖先を祭る資格を認めていませんので、この点も重要です。

■現在の北京政府は、日本政府が羨むような人口抑制を目的とした「一人っ子政策」を取り続けていますから、男女の産み分けやら戸籍の改変やら大変な苦労をして、長男を獲得しようと涙ぐましい努力が続けられているそうです。こうした事情の中で長男に恵まれると「小皇帝」とも言われる過保護と過大な期待が親や祖父母の間に生まれて、社会問題にもなる困った子供達が増えているとも聞きます。


滋賀県長浜市で同市新庄寺町の会社員、武友利光さん(29)の二女、若奈ちゃん(5つ)と同町の会社員、佐野正和さん(33)の長男、迅(じん)ちゃん(5つ)が刺殺された事件で、殺人容疑などで逮捕された中国籍の鄭永善容疑者(34)が18日、長浜署捜査本部の調べに対し、「自分の子供が他の子供となじめないのは周りの子供が悪い」と動機について供述を始めた。「このままでは自分の子供がだめになってしまうので殺した」と話しており、捜査本部は、子供をめぐって不安にさいなまれて事件を引き起こしたとみて、さらに詳しく調べている。

■衝撃的な幼児殺人事件の更に衝撃的な続報が出て来ました。遣り切れなくなる話ですが、容疑者の女性は「孟母三遷」の話を知っていた可能性は有ります。一戸建て住宅を購入するというのは大事業ですから、自分が好む環境を自由に選んで転居を繰り返すような事は出来ないでしょう。同じ年頃の子供を共同で育てようとする試みは、地域の崩壊が叫ばれる時代にはとても良い事のはずなのですが、ちょっとした原因から惨劇に発展する事も有るのでしょうか。非常に残念で、同じような試みを実践している若い親たちが受けたショックは想像するに余り有るものです。


これまで犯行の状況を淡々と供述しながらも、動機については口を閉ざしてきた鄭容疑者は、この日の取り調べで「周りの子供が悪い」と、初めて動機について踏み込んだ供述をした。ただ、殺害された二人については「憎しみはない」とも供述、複雑な心境を吐露している。調べなどでは、鄭容疑者は幼稚園に通う長女のことを心配し、頻繁に園側に通園時の様子を聞いていた。また、幼稚園のグループ登園について「娘がなじめず、嫌だった」といった趣旨の供述もしていた。家族の話などから、鄭容疑者が最近、眠れない状態だったことも判明。捜査本部は鄭容疑者が慣れない日本での生活に加え、長女のことで悩み、疎外感を深めていったとみている。

■育児に悩んでノイローゼ状態に陥るのは、国籍や人種に関係が無い問題でしょう。まして異文化の壁と新しい生活環境という二重三重の疎外感の種を背負い込んだ若い母親の心の中には、他人には分からない苦しみが有ったのでしょうが、別の解消法が無かったのか?と手遅れとは知りつつも考えてしまいます。

 
鄭容疑者は「無言で殺害場所を探し、無言のまま二人を刺した」「二人を車に乗せた後、どこで刺そうかと思い、幼稚園を通り過ぎて約10分間、人けのないところを探した。子供たちとはほとんど会話を交わさなかった」と犯行当日の様子も詳しく供述している。鄭容疑者は、平成16年の春、長浜市内に転入し、当初は殺害された2園児の一家とも家族ぐるみで付き合っていた。しかし同年4月に長女が幼稚園に入園して以降、周囲に悩み事を漏らす言動が目立ってきたという。産経新聞 - 2月19日

■思い違いや思い込みによって、被害妄想や過剰な自己防衛に走ってしまう事も良く有る事ですが、それを仲裁する役目を果たせる人が居なかったようです。無事に生まれて育つ幼子に関して、どこの親も過剰に心配したり大喜びしたりするものです。それを愛すべき「親馬鹿」だと自他共に笑って過ごせる環境こそが必要なのでしょうが、ムキになって自分の子供を溺愛することから、様々な大きな事件が起きているのも事実です。自分の子供だけを偏愛するのは哺乳類の本能ですから、それを互いに認め合い、自分でもそれを認識する余裕が無ければ子育ては苦しくなるばかりでしょうなあ。自分の子供が世界で一番愛らしく、美しく、頭も良く、運動能力も抜群だ!と勘違いしない親など居ないでしょう。それが過剰な期待であり、虚しい夢なのだと気が付く時が来て、子離れ親離れの時期を迎えるのが望ましいのですが、周囲がまったく目に入らなくなって極端に独善的になって固まってしまった親の心はなかなか解けない結び目のようなものなのでしょうなあ。

■残された子供、夫、その親族、そして、容疑者の祖国に暮らす親族、被害者の遺族や友人達、衝撃的な悲しみの輪がどんどん広がって行くのでしょうが、事件が起こった幼稚園では集団登園を中止したとの報道も有りました。それはちょっと違うのではないか?と思いますなあ。まだまだ、全貌が見えない暗いニュースですから、静かに続報を待ちたいと思います。

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皆が北朝鮮に飽きている 其の弐

2006-02-19 09:57:35 | 外交・世界情勢全般
■世界の主要国が核保有国のインドに注目し始めると、イランと北朝鮮の開発中の核兵器が喉に刺さった小骨のように気になり出します。しかし、この2つの国に対する世界の態度はまったく違うようです。イランの問題は世界の問題になるにつれて、北朝鮮の問題はどんどん小さな地域の問題にされて行くように見えるのは、自壊現象があちこちから垣間見えるからではないでしょうか?

近年、韓国訪問で人気を博している北朝鮮の“美女応援団”のメンバーが帰国後、韓国についての土産話が問題になり、強制収容所に送られたという。17日付の朝鮮日報が北朝鮮からの脱出者の話として伝えたもので、「同じ民族」といって親・北朝鮮ムードが広がっている韓国とは異なり、依然、統制が厳しい北朝鮮の内部実態を物語るものとして注目されている。朝鮮日報によると最近、北朝鮮から中国に脱出してきた収容所出身者が「昨年11月ごろ、咸鏡南道端川にある大興収容所に21人の若い女性が収容されてきたが、いずれも韓国でのスポーツ大会に応援団として行ってきた者だった。理由は、韓国で見聞きしたことは一切口外してはならないという誓約書に違反したためだ」と語っているという。

■韓国にも変な大統領や、それを御神輿に載せてはしゃいた人も多かったようですが、間も無くその時代も終わります。先代の金大中さんの跡継ぎとして登場した今の韓国大統領に、余り大きな期待を持っては行けません。前々から、日本の菅直人さんが間違って総理大臣になってしまったようなものだろう、と同情しつつ眺めておりましたが、外交的には失敗続きで、意地と面子でがんばっては居ますが、いつも通りに任期が切れると同時に、逮捕・死刑判決・恩赦などの催し物が続くのかも知れません。その伝統が崩れる事を祈ってはいますが、報道機関に対する強烈な圧力が問題視されている昨今、任期が切れて権力を失ったら大きな揺り返しが来るのは避けられないような気もします。


北朝鮮からは2002年の釜山アジア競技大会、2003年大邱でのユニバーシアード大会、2005年仁川でのアジア陸上選手権に若い女性からなる100-300人規模のいわゆる“美女応援団”が相次いで送り込まれ、派手な演出で内外の話題になった。彼女らは舞踊や音楽などを専攻するエリート学生や各種宣伝要員で、韓国世論の関心を引き韓国社会にさらに親・北朝鮮ムードを広げることを狙ったものだった。彼女らは韓国派遣に先立ち国家安全保衛部(秘密警察)に誓約書を提出することになっているが、その内容は「敵地では金正日将軍さまの戦士らしく戦う」とか「帰ってきても南(韓国)で見たり聞いたりしたことは一切口外しない。違反した場合はいかなる処罰でも受ける」などだという。問題の強制収容所は主に“経済犯”を収容するところだという。産経新聞 - 2月18日

■将軍様の肖像を印刷した横断幕が雨で濡れたの、皺(しわ)になっているのと「テレビ・カメラに向って」先を争うように泣き叫んでいた娘さん達の演技力が足りなかったのか、韓国のアホな男達を熱狂させた濃い化粧が仇となったのかは分かりませんが、任務は立派に果たしていたように思えましたが、可哀想な話です。日本のマスコミでも大きく取り上げられて、「美女軍団」などと呼ばれてしきりに映像が流され、あの勢いでは日本国内にもファンが生まれていたかも知れませんなあ。

■オリンピックなどの国際的なスポーツ大会の結果によって、将軍様から高級住宅やら高級外車をプレゼントされたり、危険な炭鉱労働をさせられたり、「根性」に問題がある場合には収容所で骨身に沁みる「思想教育」を命じられたりしていたそうですが、そのトンデモ情報が外に漏れたので、あまり露骨な事はやらなくなったとの情報も有りますが、こうした懲罰を決定する部署が有る限り、何だかんだと理由を付けて収容所に放り込まれる人は無くならないでしょうなあ。悪名高いソ連のラーゲリ・収容所群島が廃止されたのは発案者のスターリンが死去してからですからなあ。


北朝鮮で最大の祝日である金正日労働党総書記の誕生日(今月16日)の直前、平壌の幹部専用アパート(集合住宅)で韓国旗が掲げられ、北朝鮮当局が幹部や家族を取り調べているとの情報を、韓国政府の関係当局が入手していることが17日、明らかになった。韓国政府は、北朝鮮内部で金正日体制への不満が高まっている可能性があるとして、詳細の確認と分析を急いでいる。 
時事通信 - 2月18日

■米国からの経済制裁で偽札商売が出来なくなって、金詰りになったら「贈り物」が減って上層部や側近からも不平不満が噴き出しているのかも知れませんが、こういう小さなニュースがぽろぽろと出て来るようになりますと、独裁政権の脆(もろ)さが露呈する前兆となりそうです。日本生まれの後妻が産んだ息子を後継者にしたとの噂が飛び交っていますが、失敗続きの国内政策に変更は期待出来ないのですから、絶望に狂った暴発が近いような気もします。北京政府とワシントンとの間でどんな交渉が進んでいるのか、ロシアが何を認めているのか、外交の裏側は窺い知れませんが、北朝鮮の核兵器とミサイルは、イランの核兵器とは違う扱い方で処理される可能性が高くなっているのではないでしょうか?石油のような有力な輸出品が無い北朝鮮ですから、重厚長大な一時代前の軍備が足枷や重荷となって、勝手に自壊して行く運命を辿るなら、米国が無駄な予算を使って軍事行動に出る事も無いでしょう。

■日本との拉致事件に関する交渉でも、行き当たりばったりの投げ遣りな姿勢が目立って来たのは、当てにしていた日本からの1兆円が貰えそうにないので、手練手管を使う元気を失っているのでしょうなあ。今年の秋には日本の首相が代わり、来年には、韓国に新しい大統領が登場します。北朝鮮の後始末というトンデモない大問題を一緒に話し合う2人ですから、よほどの実力者を引っ張り出さないと行けませんなあ。ロシアと中国の権力にはしばらく変化は無いでしょうが、米国の次の大統領はブッシュ政権が手を着けた大仕事を引き継がねばなりませんから、北朝鮮に対して急に優しくなる事は考えられません。いよいよ、最後の数年が始まったと言えそうです。

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皆が北朝鮮に飽きている 其の壱

2006-02-19 09:56:02 | 外交・世界情勢全般
■日本には国営放送は無いはずなのですが、1972年の日中友好条約締結直後から、台湾からの情報がぱったり入らなくなりました。偶に台湾が取り上げられるのは、「北京が怒っています」というニュースになる時だけですなあ。ですから、台湾で何が起こっているのか、台湾の政界がどんな動きをしているのかを良く知っている日本人はほとんど居ませんし、若い世代は台湾が日本の統治下で近代化の基盤を整えた話も知りません。それなのに、「正しい歴史観」を声高に主張する人が居るのは実に変ですなあ。戦中の疑惑?を報道する時にも、「北京政府が言うことにゃ」とか「韓国政府が言うことにゃ」と言うような前置きをしなければならないようなニュースが、絶対の真実のように報道されるので、日本国内の世論が分断されて馬鹿馬鹿しいいがみ合いが起きたりしますなあ。

日本からの募金で撤去の危機を免れ台湾北部・烏来郷で今月8日に落成式があったばかりの「高砂義勇兵」慰霊碑について、一部地元メディアや立法委員(国会議員)から「軍国主義的だ」との批判がおこり、設置された公園管理者の台北県政府(県庁)は17日、遺族団体に碑の撤去を求めた。

■戦後の台湾は、米国に見棄てられた中華民国政府が雪崩れ込んで大混乱した後遺症で、「内省人」と「外省人」との対立が今も続いていますし、それに加えて「内省人」と区別される先住民族も居ますから、国論が統一される事など有りません。ですから、台湾からの報道を受け取る時には慎重に選り分けて聞かねばなりません。ここに出て来る「高砂族義勇兵」という名前には、「霧社事件」がセットになる場合が多いようですが、日本の台湾統治の歴史は別の機会に考えます。


県当局は「行政のミスもあったが、環境規定などに適合しておらず、碑文も公有地に建てるものとしては不適切」として、1週間以内に設置者が撤去しなければ県が強制撤去するとしている。碑は、日本統治下の台湾から日本兵として従軍した台湾先住民を慰霊するもの。先住民タイヤル族の団体「台北県烏来郷高砂義勇隊記念協会」(簡福源理事長)が設置。落成式では李登輝前総統や日本の対台湾交流機関「交流協会」台北事務所代表らが祝辞を述べた。

■注意すべきは、この義勇兵が活躍した時代は国共内戦や中華人民共和国政府が成立する前の事だということです。これに文句を言う人は、日本軍と戦った中華民国軍の系統を継ぐ人か、北京政府と裏で繋がっている人です。どちらも台湾が日本と仲が良かった歴史が大嫌いです。特に、北京政府と結び付いている台湾の人達は、靖国参拝に真正面から反対出来ない立場でもあるので、こういう小さな話で「反日」ぶりをアッピールして見せなければなりません。しかし、こういうポーズは日本政府に向けられたものではなく、北京政府に向って行なわれていると考えるべきでしょうなあ。


17日付の台湾紙「中国時報」は一面トップで「公園が日本に占領された」との見出しを掲げ「碑文は天皇に対する忠誠心を称賛している」などと報道。また対日批判活動で知られる高金素梅・立法委員は同日、県政府を訪れ、県の対応を求めた。一方、簡理事長は「設置は県に正式に申請したもの。碑は慰霊のためで政治的意図はない」と話している。西日本新聞 - 2月18日

■「A級戦犯」合祀問題と同じトーンを感じる人も多いでしょう。外交は戦争の一部門なので、言葉とパフォーマンスが飛び交います。それは日本の新聞が大雑把に「アジア」と一括りにする広大な地域の特徴です。もしも、昨日の新聞に「日本人に親しみを感じる」話が掲載されていて、翌日には「日本人は戦争中に……をしたヒドイ国た!」という記事が掲載されたとしても、右往左往する必要は無いようです。欧州のキリスト教を背負った連中がアジアでやった事を凌駕する事など、最期まで日本人には出来るはずもなかったのですし、文句を言って相手にして貰えないのを承知で、あれこれ騒ぐ者も居ないのです。おかしな難癖話を拾い集めるのが仕事だと思い込んむような変な外交官を使っている国には、困った情報が流れ込んで、政府もマスコミも右往左往するのは当然の話です。


米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は15日(現地時間)、初の議会証言にのぞみ、「米国経済を窮地に陥れるほどの資金力を中国は持っていない」との考えを示した。17日付のチャイナデイリー(英字紙)は外電を引用し、「バーナンキ議長、中国脅威論を否定」とのタイトルで報じた。またバーナンキ議長は、「中国自身の利益に反する」として、中国が大量に保有している米国債を手放す可能性を否定した。一方で、「仮に、外国政府が米国債を売却したり、購入額を減らしたりしても、米国は混乱に陥らない」とも付け加えた。なお、スノー財務長官も1月上旬に、「仮に中国政府が米国債を売却しても、次の買い手はすぐに見つかる」などと中国側を牽(けん)制する発言をしている。
サーチナ・中国情報局 - 2月18日

■民主党の前原代表が、中国の軍事的脅威を指定したと言って騒ぐ人達も、言った本人にしても、歪んだ情報を前提にした内輪の空騒ぎをしているだけのように見えます。


ミャンマーのソーウィン首相は18日、5日間の中国公式訪問を終える。同首相は胡錦濤国家主席をはじめ中国指導部トップ3人と相次いで会談し、関係強化を確認した。中国はミャンマーの国際的な孤立に憂慮を深めており、経済自立を促すことで国際環境の改善を支援する方針だ。毎日新聞 - 2月18日

軟禁状態のアウンサン・スーチーさんの人権問題ぐらいしか報道しない日本の新聞を読んでいると、欧州系の勢力と中華系の勢力との暗闘は分かりません。上っ面だけの情報の破片を頼りに投資したり、騙されて引き上げたりしている間に日本の技術と資本が際限も無く拡散して消えて行きます。タイとインドに挟まれた旧ビルマは、日本にとってもインド洋の戦略拠点でしたが、その海を良く知らない米国に負けただけで力を失った大英帝国の旧支配に戻るかと思いきや、国際情勢は休むことなく変化して、インド洋は文字通りのインドの海になりつつあります。既に、日本政府は三番手四番手の位置にいますから、毎日危険な給油作業を続けている海上自衛隊の苦労も水の泡になる可能性が高いようですなあ。