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妄想 ホリエモン・メールは北京発信か? 其の四

2006-02-25 14:51:15 | 外交・情勢(アジア)
■冗談かと思っていた「歴史共同研究」が本当に動き出しそうですぞ!

日本政府は昨年5月に京都で開かれた日中外相会談で、歴史共同研究を提案し、中国側も賛同する考えを表明。今年1月に来日したゼーリック米国務副長官は、日米中三カ国の歴史学者による第二次世界大戦中の歴史共同研究を始める構想を提示しており、中川氏の提案にはこうした動きが念頭にあったものとみられる。一方、同じく基調講演に立った公明党の井上義久政調会長は「靖国問題を解決する方策として、首相、官房長官、外相などの閣僚は公式参拝を自粛することが必要だ」と述べた。産経新聞 - 2月21日

■「創刊50周年」記念の『週刊新潮』3月2日特大号、191頁にジャーナリストの船木洋介さんのコメントが掲載されています。記事の題名は『「靖国」「海底ガス」田棚上げ日中友好を賛美する「池田大作」と「王毅大使」』というものです。


1972年に田中角栄、周恩来両首相によって成った日中の国交正常化、その実現の地ならしをしたのが池田名誉会長その人なのだと、過去、創価学会はしきりに喧伝してきた。…「当時、社会党などの野党議員たちがさかんに訪中していた。当時の竹入義勝・公明党委員長もその流れに乗り遅れてはならじと、71年に訪中。そして、3度目の訪中でようやく周恩来との会談に成功する。その際に周恩来は、賠償請求権の放棄など日本側が呑める案を示した。そして、帰国した竹入が角栄にその案を伝えたことが、日中国交正常化に繋がって行った。もともと竹入は角栄と仲が良く、中国はその関係と角栄の親中派思想を見抜いていたからこそ、竹入をパイプ役に選んだのです」

■何ともすっきりした解説です。日本の政界の裏側までお見通しの相手と外交交渉する時は、余ほど注意しませんと、「賠償請求権の放棄」というのが、実は半永久的な経済援助の約束と同義だったりしますから、ご用心、ご用心。日本ではなかなか肉声を拝聴する機会の無い池田名誉会長ですが、北京中央電視台の特別番組では、じっくりと1時間枠のインタヴューを視聴する事も出来ましたなあ。『週刊新潮』の記事によりますと、「井戸を掘った功労者」がいつの間にか角栄さんから池田名誉会長に代わっているのだそうですが、一般の新聞報道では分からない話です。小泉さんとしては自民党内の北京大好き議員団と公明党の皆さんを束にして、天秤ばかりの一方の皿の重石にしているつもりかもしれませんが、このバランスはちょっと危険ですなあ。


自民党の中川秀直政調会長ら与党訪中団は21日、中国共産党と政治、経済、外交など幅広いテーマで意見交換する「日中与党交流協議会」の初会合を北京市内のホテルで開いた。中国側代表の王家瑞対外連絡部長は基調講演で「こう着した局面打開の核心は、政治関係を良くすることだ。靖国神社への参拝を続けることは、決して小異ではない」と述べ、小泉純一郎首相や後継首相の靖国参拝中止が関係改善の前提になると強調した。靖国問題について、中川氏は20日の講演で「小異は棚上げし、共通の利益に注目して日中関係を発展させることが利益になる」と述べていた。王部長の発言はこれを念頭に置いたもので、「参拝を続ければ両国関係の基礎が必ず弱められる」と警告した。

■相手に「警告」されに出掛けたのなら、世話は有りませんが、こういう大ニュースが脇に押しやられて、永田議員とか言う小物をマスコミが大挙して追い掛け回しているのは、事態を知り抜いてやっているのなら恐ろしい事ですが、視聴率と販売部数ばかり追い掛けているのが本心なら、これはエライことになるかも知れません。何事かが起こった時に、国民一堂阿呆面さげて「そんなこと聞いてないよぉ」などと泣きべそをかいても後の祭りという物でしょうなあ。


続いて行われた自由討論では、自民党議員から「中国側が日本の国民感情を理解しなければ、日本側は圧力と感じる」「中国の教育を戦後に重点を移せないか」などの意見が相次いだ。しかし、中国側は「靖国問題は外交カードではない」「この話が片付かなければ、首脳会談も日程に上らない」などと主張、双方の溝は埋まらなかった。時事通信 - 2月22日

■馬鹿正直に「正眼に構えて」まっすぐに面打ちに行って、ピストルで眉間を打ち抜かれたようなものですなあ。相手に聞く耳が有ると信じ込んでいると、こんな間尺に合わない「自由討論」で恥をかかされ続けますぞ!飛んで火に入るのは夏の虫だけですが、春先には北京辺りにも飛んで行くのでしょうか?


中国共産党の王家瑞対外連絡部長は21日、自民党の中川秀直政調会長らが出席して北京で開催された「日中与党交流協議会」で講演し、日中関係の現状について「メディアの感情的な扇動によって国民感情の対立がもたらされることを座視してはいけない」と述べ、日本メディアの対中報道が両国関係に悪影響を与えていると非難した。王部長は、小泉純一郎首相による靖国神社参拝など政治問題以外の関係強化を強調。経済協力や文化・スポーツ・青少年交流に加え、「両国の世論と国民感情を正しく有効に導き、ナショナリズムによる両国の対立を防止する」と提案し、メディアの役割の重要性を指摘した。時事通信 - 2月21日

■こうした発言は、東京に在る中国大使館の同志諸君に向けての工作活動奨励メッセージのようにも聞こえますが、こんな話を大人しく同じ檀の上で聞いていると、「仰せご尤も」と全面的に同意したと思われてしまいますなあ。「国民感情を正しく導く」ようなマスコミ捜査は日本では法律で禁止されている事ぐらいは反論しておくべきでしょうに!こんな「粗忽訪朝団」を正しく導いたのは北京の日本大使館の方々でしょうが、こんな百害有って一利無しの茶番劇をいつまで繰り返すのかなあ?と思っていたら、ちゃんと答えが出されていました。


政府は24日の閣議で、阿南惟茂中国大使の後任大使に宮本雄二沖縄担当大使を充てる人事を決定した。宮本氏は外務省のチャイナスクール(中国語研修組)で、中国要人との関係が深い。靖国問題などで冷却化している日中関係改善が課題となる。宮本氏の後任には、重家俊範・南アフリカ兼スワジランド兼ナミビア兼ボツワナ兼レソト大使を起用する。いずれも3月3日に発令される。
読売新聞 - 2月24日

■重家さんの職名がスゴイ!のに驚きますが、こんなに複雑で広大な地域を任地として大活躍された方なら安心かと思えば、取り立ててアフリカ南部で日本政府が目立った動きを見せたとも聞いておりませんから、大過なく過ごされて、目出度く「古巣」の北京に栄転というわけなのでしょうなあ。きっと、張り切っておられる事でしょう。とかくの批判が多かった阿南さんが退任というので、どんなサプライズ人事を小泉さんが見せるかと思ったら、お役人仲間の双六遊びに付き合っていただけのようです。これで任期いっぱい、外務官僚とも仲良くできるし、民主党は自爆して絶対絶命と見えた「4点セット・5点セット」は何処かに消えてしまったし、歴史に刻まれる暴挙となりそうだった皇室典範問題もうやむやになったし、小泉さんは運が良い、とマスコミは書き立てたいのでしょうが、小泉さんに敵対すべき人達がマヌケなだけです。

■中川さんと別行動を取った二階さんは、中国メディアでは大人気だそうですなあ。実質的に尖閣諸島の地下資源を放棄するのも同然の発言をしている人ですから、北京政府は下にも置かない熱烈歓迎ぶりとか……。それを日本の新聞は書きもしないで、ホリエモン・メールの疑惑解明に夢中です。永田議員が長期入院隠遁生活しようと、辞職しようと、あるいは頭を剃って四国で御遍路さんをしようと、大勢にまったく影響は有りません。それどころか、民主党が分裂して消し飛んだところで、また同じような寄せ集め野党は一夜で作れるのですから、これも大した問題ではないでしょうに!偉そうにしていた野党幹部や、ポスト小泉競争で盛り上がっていた自民党幹部もすっかり大人しくなってしまった「ホリエモン疑惑メール」は、一体、何処から発信されたものやら…

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妄想 ホリエモン・メールは北京発信か? 其の参

2006-02-25 14:50:34 | 外交・情勢(アジア)
■自民党が北京詣でをするなら、必ず同道するのは公明党です。

自民党の中川秀直、公明党の井上義久両政調会長は20日午後、中国共産党の李長春政治局常務委員と北京市内の人民大会堂で会談し、小泉純一郎首相の靖国神社参拝をめぐり応酬を繰り広げた。李氏は首相の靖国神社参拝について「中国人民の感情と日中政治の基礎を傷つけた。憂慮すべきは日中関係が国交正常化以来、最も深刻な困難に直面していることだ」と批判。中川氏は「小泉首相が日中の政治的な基礎を壊したとの指摘は当たらない。両国に意見の相違があるからこそ、首脳間の対話を絶やしてはならない」と述べ、日中首脳会談の再開を求めた。

■これも練りに練った作文だと思われます。「意見の相違」を前提にした「首脳間の対話」など一度でも行なったら、北京の中南海は大騒ぎになりますぞ!北京政府の見解が唯一絶対の正義でなくなったら、中華人民共和国は瓦解してしまいます。靖国参拝を中止してしまった中曾根さんの真意は、個人的な信頼関係を結べたと思い込んだ胡耀邦さんが失脚する恐れが有ると聞いて決断したものですから、北京政府の主張が正しいと認めてその「厳命」に従ったのではないのです。しかし、相手は決定的な得点源を手に入れたと狂喜したことでしょう。昔を回顧して大御所ぶっている中曾根さんは、自分が下した決断の意味を誤解している節が有りますから、ご本人が靖国参拝に関して発言する度に、話がややこしくなりますなあ。中曾根さんと宮澤さんを定年退職に追い込んだ事だけが、小泉さんの功績として記録されるかも知れません。前者は靖国参拝問題で、後者は教科書問題で、北京に大きな外交上の財産をプレゼントしたのですからなあ。


中川氏はまた「首相が参拝したからといって、日本が軍国主義に戻ることはあり得ない。首相は参拝について私的であり、A級戦犯を参拝しているのではないと明言している」と強調した。
共同通信 - 2月20日

■「A級戦犯」という歴史用語を使わざるを得ないのなら、この種の発言は慎むべきしょう。それに北京政府は日本が軍国主義に向っているなどと考えてもいません。本当にそんな心配をしているのなら、さっさと米国との一戦を覚悟して台湾を飲みこんで、ロシアと軍事同盟を結んで上で、北朝鮮に核武装させて先兵にこき使うでしょう。第二次朝鮮戦争を起こして今度は釜山まで進撃した後、しっかり踏みとどまって北による南北統一を実現してしまえば、日本は完全に裸になってその存在を無視して、対米交渉だけを進めれば良い、そんな乱暴な戦略で行動を始めるでしょうなあ。しっかり憲法9条を抱きしめている日本である限り、北京政府は安心してオンボロ軍隊を近代化し続けられるのですからなあ。


自民党の中川秀直政調会長は21日午前、北京市内のホテルで開かれた自民、公明両党と中国共産党が意見を交換する「日中与党交流協議会」の初会合で講演し、「歴史の事実を歪曲(わいきょく)する議論を破綻(はたん)させるためには、科学的な実証主義で対抗すべきだ」と述べ、日中両国で日中戦争についての歴史共同研究を始めることや、必要があれば米国などを念頭に公正な第三国の歴史研究者に加わってもらう構想を提案した。

■「米国…公正な第三国の歴史研究者」とは誰の事を念頭に置いているのでしょう?まさか、米国の学者なら常に正しく、かつ日本の側で仕事をしてくれる、などと中川さんに吹き込んだ悪いヤツがいるのでしょうか?客観的な視点で「原爆投下」関連の資料を展示することさえ許さない米国に、どんな公正な歴史観を期待できるのでしょう?『敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人』や『容赦なき戦争 』などを書いてくれているジョン・ダワーさんなどを念頭に置いて、甘っちょろい幻想を抱いている誰かさんが作文を書いたとしたら、後ろからワシントン発の雷が襲ってきますぞ!米国では『レイプ・オブ・ナンキン』などというトンデモ本がベストセラーになり、近々、大作映画まで製作されるそうではないですか?


また、中川氏は小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「首相は私的参拝と明言している。公式参拝との違いは、私的参拝は対象を限定できる」と述べ、A級戦犯を対象から外しているとの認識を示し、「心ならずも家族を残して命をささげた戦没者一般に参拝している」と強調した。中川氏は「首相は過去の一時期の植民地支配と侵略を、誤った国策と明言している。言葉のやりとりを絶つべきではない」と述べ、首脳会談の再開や与党間交流の重要性を強調するとともに中国メディアの責任についても言及。「戦後日本の平和的発展をとりわけ青年に伝えられるようになれば、日中関係安定化に寄与する」と指摘した。

■最近よく聞くこの種の言い訳が本当ならば、小泉首相は「A級戦犯」として処刑されてしまった人達の御遺族にきちんと手紙を出すなり、オペラ鑑賞を1回取りやめて相応の場所に招いて、「私は貴方達の御先祖を拝んでいるんじゃないからね。そこんとこヨロシク」と公式に伝えるべきでしょうなあ。まあ、小走りで一般参拝者が利用する拝殿に参拝して、ズボンのポケットから小銭を抓み出して賽銭箱に投げ込んで帰って来るような参拝なら、御遺族の皆さんも願い下げでしょうが……。


中川氏はこのほか、
(1)投資や知的財産権保護を含む体制の調和を図る日中経済連携協定(EPA)を締結する
(2)平成20年の対中円借款終了後は、自民党が高度経済成長期に推進した「国土の均衡ある発展」の政策を中国に伝え、調和ある発展を支援する
(3)アジアで国境を越えた諸問題解決のために一緒に行動する枠組みを創設する-ことなどを提案した。

■(1)が実現したら奇跡ですから、欧米諸国から大絶賛されるでしょうが、正式が文書を交わした後も海賊版が横行していたら世界の笑い者になるわけですが、それを御承知なのでしょうか? (2)は、日本中の都市をミニ東京にする政策でしたから、ミニ北京とミニ上海を人民国の領土中にゴマンと造り、熊ならぬ羊と豚しか通らない高速道路を全土に造り、不法労働者の大移動を可能にする新幹線網も整備するという愚かな大計画が考えられているのでしょうか?しかも、その財源は日本の税金と国債なのですかな?むしり取られたら未来永劫、返済不能の借金が残りますが、それをどうする御積りか?何より、自民党は「国土の均衡ある発展」をまったく反省していないという事なのですな!東京湾横断道路も瀬戸内海を跨ぐ三本の吊り橋も、業客のいない地方空港も、全部正しかったと考えているなら、日本は自国とチャイナの土建屋さんをこの先数百年かけて養う事になりますなあ。

■(3)は、誰かさんがハシャイでいる「東アジア共同体」プランの言い換えでしょ?そんな危険なホラ話がいつの間に政府の方針になったのでしょう?独断専行の極みではないですかな?外交は相手国のご機嫌取りとは違うのだ、という常識がまだ日本の外務省には定着していないようですなあ。

妄想 ホリエモン・メールは北京発信か? 其の弐

2006-02-25 14:47:59 | 外交・情勢(アジア)
■外務官僚を叱ってる振りをして、実は問題の隠蔽と先送りに与しているとしか思えない麻生さんは、他にも面白い発言をしているようです。

麻生太郎外相は18日、…「靖国問題が決着したら日中関係のその他の問題が解決するかといえば、いろいろもめている点はある。この問題にこだわりすぎると話が難しくなり過ぎ、不必要な摩擦をおこす」と述べ、小泉純一郎首相の靖国神社参拝を理由に首脳会談を拒否している中国側の姿勢を批判した。また、麻生氏は会見に先立ち開かれた外務省主催のタウンミーティングで、一昨年5月に在上海日本総領事館員が自殺した問題に言及。中国側から女性問題に付け込まれ、領事館員が「暗号の乱数表を渡せ」と強要されたと明かした。その上で「(中国側は)追い込みをかけたみたいなもの。断固対応するのは当然だ」と述べた。同種の問題の再発防止については、「(異性が)来たら、『危ねえな』と思うような訓練をしなくてはいけない。訓練、教育、しつけは非常に大事。外務省は真摯(しんし)に反省すべきだ」と強調した。産経新聞 - 2月19日

■この産経の新聞記事も変ですなあ。「靖国」にこだわり過ぎると「話が難しくなり過ぎ」るのではなく、単純明快になり過ぎるのが問題なのですし、この麻生さんの発言は「中国側の姿勢を批判」などしていません。国内向けにそう見えるような作文を読んでいるだけです。威勢の良い中国批判をしているかのように書き立てると、読者が混乱したり誤解してしまう危険が有りますなあ。上海総領事館事件をやっと認めた外務省は、恥とも思わないし危機感も反省の念も持ち合わせておりません!「追い込みをかけたみたいなもの」ではなく、中国の情報機関が仕掛けた馬鹿馬鹿しいほど初歩的な謀略は「追い込み」そのものです。

■「みたいなもの」などと、先代金馬の『居酒屋』じゃあるまいし、「の・ようなもの」などと政治家が発言しては行けません!それは、北京政府に対して激烈な非難攻撃を絶叫しておいて、最後に「時々、ふとそんな気がする昨今です」と言っているようなものです。国内向けには主文をひけらかし、相手国向けには文末に「アリバイ」工作しておくような姑息な作文をし続けている限り、口喧嘩は負け続けますなあ。情報戦の仕来りに従えば、被害に見合うダメージを相手に与えねばなりませんが、中国大使館員に対して謀略を仕掛けて仇討ちをするほど、日本の外務省はマトモではないでしょう。麻生大臣が今頃「訓練、教育、しつけは大事」などと言っているのですから、戦後60年、一体、どんな「追い込み」を在外公館はされていたのやら、はなはだ心配ですなあ。嗚呼!これはムネオ議員の専門分野ですから、この方面の質問趣意書もどっさり提出してくれる事を期待しましょう。


中国を訪問中の自民党の中川秀直政調会長は20日午前、上海市内の華東師範大学で講演し、小泉純一郎首相の靖国神社参拝で冷え込んでいる日中関係に関連し、両国の経済を糸口に関係打開を進めるべきだとの認識を示した。日中関係全般については、「日中のどちらかが一方的な敗北になるような小異は棚上げし、共同の利益に注目して日中関係を発展させることが両国民の利益になる。(日中関係は)対立と対話、摩擦と協調が並存する関係に成熟すべきだ」と指摘。また、小泉首相の対中政策について、「中国の経済発展は、『脅威』ではなく好機だという認識だ」と強調し、首相の靖国神社参拝に関し「歴史的復讐(ふくしゅう)を念頭に置いてはならない」と述べ、未来志向の関係構築が重要との認識を示した。日中の経済協力については特に、東アジア共同体構想の推進に加え、農業、金融、環境、エネルギー、知的財産問題などで両国の協力を推し進めるべきだとの考えを示した。産経新聞 - 2月20日

■低音を響かせて無表情に語るスタイルの中川さんも、テレビを利用して大きな誤解を国民に刷り込む人のようです。次期政権での重要ポストを得ようと、ホリエモン騒動の真っ最中を狙って訪中したのですから、相当に力が入っています。このタイミングで日中関係を見事に改善してみせたら、重要ポストどころか、次期総理の目も出て来ますからなあ。誰かさんが練りに練った作文を頭に入れて江沢民さんの地元に乗り込んで「講演」するくらいですから、誇大妄想の極致に達しているのかも知れません。「どちらかが一方的な敗北になるような小異は棚上げ」とは、良くぞ捻り出した屁理屈ですなあ。これは実に見事な「空振り」です。「小異」=歴史認識=靖国問題なのですから、この土俵に載っている限り敗北するのは「どちらか一方」ではなく、「日本だけ」です。

■「歴史的復讐」とは新しい表現ですが、一体、誰が発明したのでしょう?「どちらかの一方的な敗北」と同じように、当事者が誰なのかを暈(ぼか)した巧妙な作文ですなあ。「良くぞ戦って下さいました。次の国難にもしっかり備えているので、安らかにお眠り下さい」と英霊に対して祈る魂鎮めを目的とする靖国神社ですから、当然、米国や旧ソ連に対する「復讐心」がその祈りには込められます。ですから、中川さんの発言は日本国民に対して「復讐心は捨てましょうね」という教示とも取れますし、北京政府に対して「今度は人民解放軍が日本列島で暴れ回ってやるぞ!」などと復讐心に燃えては行けませんよ、というお願いにも聞こえます。そのどちらでもないのなら、靖国問題に関する不毛な「水掛論」の応酬は止めましょうよ、という温和なお願いなのかも知れません。そうだとしたら、まったく用を為さない空疎な言葉でしか有りませんなあ。靖国論争は、北京政府にとっては決して無駄な「水掛論」などではなく、最強の切り札になっている事を中川さんはまだ分かっていないようです。

妄想 ホリエモン・メールは北京発信か? 其の壱

2006-02-25 14:46:51 | 外交・情勢(アジア)
■2月16日の木曜日に民主党の永田議員が怪しい電子メールを振りかざして喚いて見せてからの10日間、日本のマスコミの目と耳は完全に機能を奪われてしまいました。永田議員を材料にした記事や報道番組を作ろうにも、取り立てて政治的に価値の有る内容など望むべくもありません。東大出身の元大蔵官僚、それを「エリート」だと短絡させる古い悪弊に始まり、国会で傍若無人に振舞ったという空疎な話を繰り返して報道するばかりです。マスコミが愚かなのではなく、それを面白がっている視聴者や有権者が驚くほど多いという証左なのでしょうが、田中真紀子さんの映像がしつこく放送された頃を思い出しますなあ。

■真紀子さんブームの熱狂を上手に利用した小泉さんは、濁声(だみごえ)を張り上げる真紀子さんの横にはいつも黙ってニヤニヤして手を振っていましたなあ。小泉さんはすっかり有名になって総理大臣にまでなってしまいましたが、真紀子さんは最も適さない「外務大臣」に就任して政治家としての能力がまったく無い事を嫌と言うほど晒して追い出されましたなあ。外務省の恥部が少しばかり表面化したのは怪我の功名でしたし、火の粉を浴びたムネオ議員は底力を見せて復活したのは最近の話題でしたなあ。真紀子さんに持ち上げられていた頃から、小泉さんは靖国参拝を強行すると公言していたのですから、真紀子さんが去って小泉さんが残った時に問題の大きさに気が付いても遅いのです。

■クリントン時代に本格化した日本に対する市場開放と同義語の「構造改革」を引き継いで、中身がさっぱり分からない「改革」をひたすら連呼して5年、東京の地価がじわじわと上がり始めると同時にまたぞろ銀行が土地を担保の馬鹿貸しを始めるかと思えば、インターネットのバーチャル空間から奇怪なカネが湧き出して、国境を跨いで怪しげな国につながるパイプや、日本国内の地下水脈ともつながった闇のカネがホリエモン現象を引き起こしている一方で、地道な生産業は中国との関係を深めて、貧乏人用の安物を大量に作って売り捌くようになりました。食糧関連の業種でも、昔は高級品だった牛肉が、すっかり庶民の昼御飯になり、焼肉は特殊な料理ではなくなっていました。商品を買う時に、安さばかりに夢中になって、「どうしてこんなに安いのか?」と考える暇を消費者に与えない詐欺商法ばかりが増えている日本です。

■気が付けばライブドアの株主が22万人もいて、インターネットで会社名も業績も知らない記号でしかない株式を売買する事が賞揚され、安物牛肉を食べて日用雑貨は100円ショップで調達し、衣類も中国製の既製品で済ませている内に、日本国内の丁寧な仕事をしていた企業や職人が職を失って中国やアジア諸国に逃げ出してしまいました。米国からの注文に応じてあれこれ、ツギハギだらけの「改革」を続けていたら、飛行機は落ちるし、証券取引所はパンクする、外国人犯罪は多発してパチンコ屋とATMが集中的に襲われる、嫁不足の解消に日中友好を利用したら残虐な事件が発生する。イラクに自衛隊が出て行っても北朝鮮に拉致された同胞は取り戻せないばかりか、国連でも赤っ恥をかく。島根県の「島」が韓国に削り取られて、島根県が古代の「根の国」に逆戻りしそうですし、東シナ海の領海内で見つかった地下資源の半分は確実に中国に吸い取られる事が決まりかけています。

■問題が大き過ぎて、どこから手を打たねばならないか、さっぱり分かりませんが、北京政府はとても親切に「問題の核心は靖国だ!」と教えてくれます。経済問題や食糧と環境の安全についても、軍事バランスの急速な変化についても、まったく問題としないで北京政府は「靖国」だけが問題だと言い続けています。元々、諸々の外交事案とはまったく関係の無い「靖国問題」ですから、財界からは面倒臭いから相手の注文に応じるように政府に対する無責任な圧力がかかる。政治資金と選挙対策が最重要課題の自民党は、党是など無いが如くに右往左往しているようですなあ。ホリエモンのメールが本物か偽物か、自民党が毎度お馴染みの裏金を誰かさんから貰っているかいないのか、そんな事はどうでも良いのです。そんなスキャンダルを暴き立てて政権交代が起こった所で、今度は野党になった自民党が総力を挙げてスキャンダルの逆襲に血道を上げるだけでしょうなあ。そんな愚かな騒動が起これば、一番喜ぶのは隣の国ですぞ!


麻生太郎外相は18日、東京都内での「外務省タウンミーティング」で、日中関係について「靖国(神社参拝問題)だけの話か。他にもいろいろ問題はある。日本とつき合った方が国益に資する、利益が双方に出る、という形で話をしなければならない」と述べ、青少年交流事業などを通じて改善を図っていく考えを示した。そのうえで「両方とも熱くなるのがもっとも不幸な結果を招く」と指摘した。在上海総領事館の男性職員が04年に自殺した問題については、中国当局から機密情報の提供を強要されたのが原因との見方を示し、「引っかかりやすい話だが、危ないと思う訓練をしておかなければならない。外務省として真摯(しんし)に反省すべきだ」と語った。毎日新聞 - 2月18日

■声と口調の印象で、きっぱりと物を言っているような錯覚を与える麻生さんですが、前段の北京政府にとっての「国益」は、完全に相手の術中に嵌まる愚かな考えです。「靖国」だけを言い立てる事こそが「国益」に最も適うことを北京政府は経験的に知っているのですぞ!そういう学習をさせたのは自民党政府です。以前は社会党の幹部連中もオコボレに預かっていたそうですが、その後釜に座り込んだのが公明党でしょう?「青少年交流事業」は中曾根政権時代の「留学生10万人受け入れ」政策の焼き直しです。靖国参拝を中止してチャイナの「就学生」を受け容れた後、何が起こったか麻生さんはすっかり忘れているようですなあ。案外、外務官僚の悪口を言っているような振りをしながら、御役人が作った作文をちゃっかり読まされているのが麻生さんの正体のようです。

貴方ならどうする?

2006-02-25 03:26:24 | 日記・雑学
■毎日続く理不尽な残業でぼろぼろに疲れている身体を少しでも労(いた)わろうと、断固として確保している週に1回の針やマッサージ治療を予約して、避けられない残業をてきぱきと終わらせて会社を出ます。貴方は万一の場合を考えて自転車で駅に向います。いつもよりずっと早い時間に退社したというのに、路線バスに追い抜かれながら自転車を走らせます。突発的なトラブルが発生したら、バスの定期など無駄なだけですし、定時に仕事が終わった経験がほとんど無いからです。「IT革命」が起これば、事務系のデスク・ワークは個人のライフ・スタイルに合わせた快適で効率的なものに変わる!とアルビン・トフラーが『第三の波』で予言したはずなのに…、などと本気で腹を立てる人は居ませんし、「ペーパーレス社会」という無責任な単語を覚えている人も随分と少なくなりました。紙もリアル・タイムの電話連絡も何倍も増えてしまっているのはどうしたわけでしょう?

■午後9時まで稼動している駅前の「現金自動預け払い機」にぎりぎりのタイミングで飛び込んで、治療代と当面必要な現金を引き出そうとします。とても便利な生活になったと喜ぶべきか、真っ暗になった道端でガラス張りの箱の中で一人で現金を出し入れする危険も自己責任にされる事を怨むべきか、そんな事を改めて考える日本人は居ないようですなあ。そして、貴方は新聞やネット・ニュースを読んでいるので、手軽に預金を引き出せる文明の利器である「現金自動預け払い機」のあちこちを点検します。夜の闇を背景にしてガラス扉に映る、実にマヌケな自分の姿を笑っている余裕は有りません。何処に盗撮カメラが仕掛けてあるか分かったものではありませんから、自分の情けない無様さを忍んでカード挿入口の上下左右に、変な物体が貼り付けられていないかを確認しなければなりません。

■本当は、最新式の盗撮カメラの大きさも形も知らないのです。間も無く、御裁縫に使うマチ針の頭のようなカメラが出現するでしょうし、紙のように薄いカメラとは呼べない機械も出現する勢いですが、カタギの生活をしている人には必要の無い奇怪な機械ですから、そんな新製品の知識など有るはずもありません。一応の探索と確認をして、不自然に貼り付けられている物体が無い事が分かって、念には念を入れてカード挿入口の上に寸止めの空手チョップを振り出し、目にも止まらぬ速さでカードを挿入口に嵌めこみます。万一、カードが傷付いり折れても、再発行して貰えば良いのですし、その手間は預金の全額を引き出された上に、身に覚えの無い借金を背負うよりは遥かに軽い負担ですからなあ。

■少しでもカードの表面を盗撮されるのを防ぐ悲しい技術も上達している貴方は、空手チョップを繰り出した手を下に移動させて、今度は暗証番号を打ち込む指を覆い隠します。最近は念の為に頭や上半身まで使って番号を打ち込む癖が付いてしまいました。「現金自動預け払い機」に喧嘩を売っているような姿のままで、引き出す金額を打ち込もうとした時、盗撮カメラを探索した時には気付かなかった物体が盤面の隅に落ちているのに、貴方は気が付きます。それは一枚の銀行カードです。日本の犯罪事情が気になっている貴方は、視界に入った一枚のカードが放置されている理由を瞬時に推理します。「ピッキング」か「スキミング」、「データ読み取り機」「盗撮カメラ」に「犯罪集団」、「偽造カード」や「ハッキング」…随分と犯罪用語に詳しくなっている貴方です。通帳とハンコを持って顔見知りの銀行員に預金の引き出しを頼んでいた時代など、貴方は知りません。

■恐る恐る、自分の指紋が付くのも忘れて、気が付いたら貴方はそのカードを手に取っていました。決してバカな事を考えていたのでは有りません。昔ながらの「落し物」「忘れ物」に対する当たり前の行動です。ここで貴方は時代の変化に真正面から激突します。大切な銀行カードを置き忘れた人は困っているだろう、という当たり前の同情心が動いて手に取ったものの、万一、違法に他人の預金を引き出した後の証拠隠滅を目的とした工作だったら、素手でカードに触れてしまった自分が、その口座を空っぽにした上に、高額な借金まで押し付けた「容疑者」になってしまうのではないか?

■貴方は、大急ぎで自分の用事を済ませて最寄の「交番」に走ります。週に1回の針・指圧の予約時間が迫っていますが、自分が重大な犯罪に巻き込まれてしまっているかも知れない!と思うと治療はキャンセルしても惜しくは有りません。まだ宵の口で、駅周辺の盛り場にはこれから一杯機嫌になろうと思って歩いている素面の人が沢山歩いている時間です。ところが、駅前の交番に走って行った貴方が見る物は、「無人交番」です。電話の留守機能に吹き込んである録音メッセージみたいな、「今、留守です。急用の人は110番してね」という意味のプレートを見た貴方は愕然とします。

■プレートの指示通りに110番したら、タクシーにでも乗らないと行けない遠方の警察署に来るように言われるに違いありません。馬鹿馬鹿しくなった貴方は、カードを破棄して何事も無かった事にしようという悪魔の囁きを聞きます。しかし、「袖擦り合うも他生の縁」と思い直して、もう一度、善意のうっかり者が急いで現金を引き出した後でカードを忘れただけの、他愛無い出来事だったら、今頃電車で帰宅したか、お目当ての店に入ったうっかり者が蒼褪めている様子を想像して困惑します。その時、少し離れているけれど、駅の反対にも交番が設置されている事を思い出した貴方は、早くこんな厄介事から解放されようと、一心不乱に駅を突っ切って反対側のロータリーを駆け抜け、小雨模様の寒い夜だというのに汗ばんで、希望を繋いだ交番に辿り着きます。

■しかし、この交番も「無人交番」で、お気楽な「連絡してね」プレートが掲示されています。もう、歩道に出来ている水溜りにカードを浸けて指紋を消して立ち去ろうかと思います。しかし、もしもそのカードが単なる忘れ物だったら、それを拾う者が「しめしめ」と思ったら自分が新たな犯罪の発端になってしまうと考える善良な貴方は、体中から力が抜けているのに、頑張ってカードの裏表を検(あらた)めます。何と!そのカードは銀行再編成の騒ぎで吸収合併されて消えて無くなった銀行のカードなのです。都市銀行は、お客様の為に「バンクス」とか言うカードに互換性を持たせるサービスを始めているので、今は無くなった銀行が何処の銀行と合併して、今は何と言う名前の銀行になっているのか、そんな馬鹿馬鹿しい知識が無ければ都会では生きて行けなくなっている現実に笑いが出ます。

■何故なら、そのカードの裏には、「このカードを拾われた方は下記の銀行に御連絡下さい」と書かれていたからです。既に存在していない銀行に、どうやって連絡するのでしょう?その辺の通行人に、銀行再編成に詳しい人を探して、「今の名前」を教えて貰う努力をしなければならないのでしょうか?駅周辺を走り回って「ネット・カフェ」を探して料金を払ってインターネット検索でもしなければならないのでしょうか?そして、そんな努力をした結果、まったく関係の無い方向に向う電車やタクシーを使って「最寄の銀行」に行かねばならないのでしょうか?愚かなバブル時代の乱脈融資の後始末で、国から税金を恵んで貰いながら、無人の「現金自動預け払い機」だけを残して「閉鎖」「合併」を続けて顧客の生活や仕事を不便にしてしまった銀行の罪深さを、貴方は改めて考えます。余りに馬鹿馬鹿しいので、カードを拾った「自動現金預け払い機」のボックスに戻って、自分が浪費した時間を悔しいけれど、無かった事にして、次に機械を使う人に責任を「丸投げ」すれば済むのでしょうか?

■ここまで読んで悩んで下さった方のために、隠されていた小さな事実を書き添えて安心して頂きましょう。貴方が拾ったカードの表面に(それが本当に必要なのかは知りませんが)所有者のローマ字が浮き出ていて、それが偶然にも同じ会社の別の部署に所属している同僚の珍しい苗字と同じだったのです。草臥れ果てた貴方は、まだ理不尽な残業をしている同じ部署の同僚に電話を入れて、緊急連絡先を問い合わせつつ、手短かに事情を説明したのです。そして、不安と困惑の実に嫌な気分のまま、電車に乗って予約していた針灸院に向っていると、やっと待ちに待った連絡が入ります。あれこれと最悪の事態を考えてじたばたした自分が愚かに思えるような、単なるうっかりした忘れ物だった事実が判明します。

■小泉総理大臣は、所信表明演説で、「無人交番を無くす」と公言していた事を、納得の行かないまま帰宅した後でネット検索して知るのです。そして、全国に「無人交番」が急増した事と、文部科学省が「ゆとり教育」を言い出した事とが同じ政策から導き出されたらしい根拠を見つけるのですなあ。公務員の「週休二日制」を実現するのは、日本人が大好きな国連に所属するILOの指示に従うという大義名分が有りましたし、公務員の労働団体も大賛成でした。突然、休日が増えれば、あちこちに大穴が開くのは当たり前なのに、その手当てをしないまま、休日だけを増やしたのは誰なのだろう?貴方は誰も教えてくれない大問題にぶつかって、何故か馬鹿馬鹿しくなって考えるのを止めて眠りに就くのですなあ。

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減ったのは摘発者の数です。

2006-02-24 13:16:48 | 社会問題・事件
■ボビーと呼ばれるアフリカ出身の人物が、年末に元横綱の曙を叩きのめしたと聞きます。曙が弱いだけなのでしょうが、ボビーという格闘屋もなかなか強いのかと思ったら、別に格闘の専門家ではないそうですなあ。正体不明の「芸能人」らしいと分かったのは、自分が所属する芸能プロダクションの事務所で素人相手に「格闘技」を披露したという馬鹿馬鹿しいニュースを知ったからでした。歌がうまいわけでもなく、漫才をして笑わせてくれるわけでもなく、どうやら変な日本語を話すアフリカ人というだけで、テレビ局がオモチャにしていた人物のようですなあ。これは人種差別の裏返しで、一般的な差別よりもたちが悪いとテレビ局の関係者は考えないのでしょうか?

■本職が何なのか、来日の目的が何なのかがさっぱり分からない外国人が、時々、テレビに顔を出して「仕事」をしているようですが、こんな奇怪な現象が起こっているのは日本だけでしょうなあ。立派な仕事や才能を認めて視聴者に紹介するなら分かりますが、オモシロイから、というだけの理由で商売道具にするのは止めた方が良いでしょう。勿論、それを囃し立てる視聴者が一番悪いのですが……。

■昨年、日本で起こった外国人犯罪に関する数値が発表されました。何度読み返しても、安心して良いのか、心配した方が良いのか分からない報道です。マスコミとしても、徒に不安を煽って外国人に対する差別や迫害が起こっては困るのでしょうが、それにしても素人には解釈が難しい、非常に不親切な記事が目立ちますなあ。


昨年1年間の来日外国人による犯罪の検挙件数は4万7874件(前年比1.6%増)で、過去最多だったことが23日、警察庁のまとめで分かった。検挙人員は2万1179人(3.0%減)で、中国人が4割を占めたほか、住宅への侵入盗や自動車盗などの増加が目立った。一方、不法滞在以外の犯罪に関与していない場合、入管当局に直接引き渡し、早期に強制退去させる入管難民法65条の適用対象者は5706人(40.0%増)と急増した。時事通信 - 2月24日

■この時事通信の短い報道が、比較的分かり易いような気がします。但し、「検挙率」が示されていないので、警察を信頼して良いのかどうか、迷いますなあ。犯罪報道で中国人と分かりきっている場合にも「外国人」としか書かない新聞が有る!と怒っている人も居るようですが、この記事で捕まった容疑者の4割が中国人だと分かります。素人の日常的な感覚では「半分」と同じ事でしょう。圧倒的に人数が多い事と、祖国での反日機運からの影響も有ると思われますが、この比率は記憶しておくべき数値でしょうなあ。強制退去者が4割増しとなったのは、東京都などが「不法滞在者」の摘発に力を入れた結果でしょうが、犯罪予防の面からも少し安心する内容でしょう。


昨年1年間に全国の警察が摘発した来日外国人(永住者らを除く)の犯罪は……統計を取り始めた1980年以降、最多となったことが23日、警察庁のまとめで分かった。……共犯者がいる事件の比率(共犯率)は前年を3・6ポイント上回る72・6%で、統計のある90年以降で最高となった。日本人(昨年16・9%)に比べ極めて高く、組織化が進む外国人犯罪の実態が浮き彫りにされた。……殺人や強盗などの凶悪犯は同9・0%減の314件だが、住宅を対象とした侵入盗が同16・3%増の8145件、自動車盗が同23・0%増の1178件に上り、全体を押し上げた。共同通信 - 2月24日

■来日外国人と「永住者ら」とを区別しているのは親切です。そして、「共犯率」が7割を超えて最高値を示している点も重要です。日本に来てから知り合った悪いヤツなのか、始めから徒党を組んで犯罪目的で来日しているのか、もしも後者ならば、相手国の警察との連携や外交上のテーマにもなりますぞ!たとえ、相手が絶対に謝らない国であっても、客観的な数値に基づく事実を伝えて正当な抗議や要請をするのは当然の話でしょう。そうでないと、甘く見られて図に乗るバカ者が増え続ける危険が有りますし、

■一説によると、日本で捕まっても親切な取調べと穏やかな裁判、そして医療サービス付きの清潔な刑務所が好評を博しているなどというふざけた話も有るそうで、プライバシーなど一切考慮されず、アップで顔出し、住所氏名は全部公表、公開でのつるし上げ裁判の後は公開処刑や家畜以下の待遇しか受けられない刑務所などなど、恐ろしい目に遭う祖国に比べれば、日本で逮捕されるのは大して恐ろしくない!と思われていたら大変ですぞ!


…中国人や南米系の外国人グループによる空き巣や事務所荒らしなどの窃盗が約6割を占めており、被害額も75億3000万円に上った。……国籍別では、中国の8689人(41%)が最多。窃盗は前年より1008件増えて2万8529件となった。中でも侵入盗や自動車盗などが横行しているという。読売新聞 - 2月24日

■銀行に預けても利息は付かないし、うっかり有料サービスを受けたら持ち出しになる、その上、変なカメラで覗かれて預金全額を下ろされるばかりか、ローンまで背負わされるよりは、自宅に仕舞って置こうと言う日本人が多い事がバレているのでしょうなあ。銀行も自宅も安全でないのなら、いつも持って歩けば良いのかと言うと、後ろから追い越しざまに引ったくり……。持ち家も御馳走も諦めて、あれこれ節約してローンで買った自慢の自動車が生き甲斐という人生も悪くは有りません。しかし、ろくに乗ってもいないのに、万一の為に盗難防止装置も付けたのに、一夜明けると車が消えている。これは生き甲斐の喪失であると同時に、社会に対して逆恨みするモラル・ハザードの入り口でもあるのですから、徹底的な捜査と摘発が望まれます。

■日本製品は高品質を認められて世界中で高く評価されているのは目出度い事ですが、買うより盗みに行こうと思う輩が集まって来る事は許せませんなあ。日本では作っては行けない物を売り込みに来る者も居ます。


財務省は23日、2005年に全国の税関で摘発された密輸入の集計結果を発表した。覚せい剤や大麻などの不正薬物の押収量が前年から半減の679キロと、3年ぶりに減ったほか、摘発件数も前年比40%減の340件で、4年ぶりに減少した。ただ、薬物を国内に持ち込む手口は年々巧妙化しており、財務省は今後も摘発強化を進める方針だ。薬物では、このところ増加傾向にあった合成麻薬「MDMA」などの錠剤型の薬物が同42%減の24万9000錠と、5年ぶりに減少した。

■この記事はうっかりすると、麻薬犯罪が減少しているような錯覚に陥る可能性が有るので注意が必要です。減っているのは「摘発件数」と「押収量」なのですから、税関が見事に裏をかかれているという恐ろしい記事です。


一方、成田空港から入国した外国人が約1・7キロの覚せい剤を水に溶かし、洋酒の瓶につめて手荷物として持ち込もうとしたケースや、大麻約27グラムをピーナツバター入りのプラスチックの容器内につめて国際郵便で送ったケースなど、手口が小口化、巧妙化している。読売新聞 - 2月23日

■先日も、成田空港には裏の通用口が存在していた事が発覚しています。洋酒に見せかけるとか、ピーナツバターの容器に入れるとか、日本は完全に舐められているとか思えません。犯罪が巧妙化するのは当たり前の話で、それを取り立てて書くよりも摘発体制の不備や遅れを指摘する報道姿勢が必要でしょう。気が付いたらアヘン戦争当時の清朝末期と同じような状態だった、などというのは御免被ります。「夜回り先生」の本がベストセラーになるような国も日本以外には無いでしょうから、麻薬に対する認識がまだまだ甘いのでしょうなあ。煙草撲滅運動に費やすエネルギーの半分を、麻薬撲滅に向ければ随分と効果が上がるような気がします。隣の国のように、「麻薬犯罪は死刑」という単純明快な厳罰主義の国から、温情主義の日本に「商品」が流れ込むというのは、どう考えても理不尽です。

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塩と水の教え 其の弐

2006-02-24 02:16:56 | 歴史
■この事件は案外と深刻なパニックだったようですぞ。

黒龍江省・牡丹江市の浄水場汚染問題で、「3-4日間にわたって断水になる」などとでたらめな情報をSMS(ショートメッセージサービス)で送信したとされる男が21日、地元の警察当局により拘留処分となった。23日付で人民日報が伝えた。

■グーグルが高性能の検索サービスを提供すると言うので、米国内ではちょっとした騒ぎになっていましたが、背に腹は変えられないという今のアメリカの本音丸出しで、中国での「監視サービス」を始めるようですが、この牡丹江の男をどうやって見つけ出したのか?正体不明の微生物よりも、そちらの方が恐ろしい!


男の話によると、男はバスで移動中に「飲料水の汚染のために、4-5日間にわたって断水になる」という乗客の会話を耳にした。その後で、春は水質悪化が懸念されるため、市民に飲料水を煮沸するように呼びかけるニュースを報道で知った。その上で、「3-4日間にわたって断水になる」「関係部門が解決にあたっているが、あなたも水を貯めておいてください」などというメッセージをSMSで送信。男は容疑を認めているという。一方で、同省・環境保護当局によると、汚染の原因となった微生物は、藻の一種だという。種類の特定や危険性について詳しく調べるために、サンプルを北京市に送った。

■この報道が正しいのなら、悪質なデモでもウソでもない、親切心で緊急事態を知らせただけのように思えます。市当局が危機感を抱くほどの大規模なパニックが起きたのでしょうなあ。あちこちで暴動が頻発していますから、水に渇いた民衆が日頃の不満を爆発させたら手が着けられなくなる事を良く知っているのでしょう。


また、パニックに陥った市民が20日からミネラルウォーターの買い占めに走ったが、21日午後には平穏を取り戻したもよう。同市内にあるスーパーマーケットの多くでは、十分なミネラルウォーターの在庫を確保しており、価格も通常通りだという。
サーチナ・中国情報局 - 2月23日

■川が枯れたら地下水、水道水が止まったらミネラルウォーター(これが安全だと信じるしかないのが怖い)、そんな具合に代替品が見つかれば暴動は起きませんが、代わりになる物が無い「塩」が断たれると大変です。チベットを併合した御蔭で、使い切れないほどの塩資源に恵まれている今のチャイナは良いとして、ロシアでは中世のような事件が起きています。

ロシアの中部ウラジーミルやニジェゴロドなどの各州で、市民が塩の買いだめに走り、店頭から姿を消す異常事態が起きている。当局側は塩の在庫は十分と説明、騒ぎの沈静化に躍起だが、ロシアには「塩がなくなるのは戦争の前触れ」との言い伝えがあり、国民の行政不信や社会不安の表れとの見方も出ている。買いだめが始まったのは約1週間前。この地域に塩を卸しているウクライナの会社がロシア側の契約業者を変更、一時的に供給量が減ったのがきっかけらしい。市民らは店に行列をつくり塩の1キロパックを買い込んでいる。ウラジーミル州のある老人は民間テレビNTVに、最近のウクライナとの天然ガス紛争を念頭に「ウクライナが塩を止めたんだ」と苦い表情で話した。共同通信 - 2月21日

■塩と戦争を結び付けて考える感性が、今も生々しく残っている場所が有る事は知っておくべきでしょうなあ。山のような残飯を捨てながら、塩分控えめ、油控えめ、水太りに注意して暮らしていられる生活をしみじみと見直す事も大切ですが、水と塩が欠かせない生き物として歴史を受け継いでいるのが人類である事を忘れない事がもっと大切です。本当に困った時には、「塩と水」の豊かな土地を求めて大移動するのも人類なのですからなあ。

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塩と水の教え 其の壱

2006-02-24 02:15:40 | 歴史
■遠い昔と今の世界を結び付けるお話です。


中国河南省内黄県の三楊庄で、約2000年前の黄河の洪水による土砂で埋まった前漢時代(紀元前202-後8年)末期の大規模な農村遺跡が、同省文物管理局の発掘調査で21日までに見つかった。中国各紙が伝えた。火山の大噴火で埋没したイタリアの都市国家ポンペイの遺跡と匹敵する遺跡という。出土した貨幣などから、前漢時代の遺跡とみられている。広大な農地が残されており、中国農業史を書き換える可能性もあるという。農村はポンペイのように突然の災害に見舞われたとみられ、遺跡からは建築中だった家屋や耕作中の農地などが見つかった。同文物管理局などによると、2003年夏から発掘が続けられており、瓦屋根のある家屋7カ所のうち4カ所の発掘が終了。農地は家屋の前にあり、周囲には水路があった。池や道路なども発掘されたという。共同通信 - 2月22日

■チャイナの地は水と塩を手に入れる為に最大限の努力が必要な歴史を刻んで来ました。この遺跡から見つかった「水路」「池」は、水を確保する為に欠かせない設備で、「道」は交易路であり貴重な塩を運んで来たと考えるべきでしょう。王朝が転覆して革命が起こる時、塩の販路を握っていた集団や個人が大きな役割を演じ、そのまま皇帝になっていまう事も有った国です。川沿いの文明や内陸国は、海岸で生産される塩か、地中から掘り出される岩塩が手に入らなければ滅びる運命に耐えねばなりません。日本の武田信玄と上杉謙信の「塩を贈る」逸話が有名ですが、広大な内陸部を持つ国は塩で苦労したようです。例外は世界中の需要を数千年も賄えると噂されるチベットぐらいだったかも知れませんなあ。

■その水の話です。松花江とアムール川を汚染した化学工場の爆発事故は記憶に新しいのですが、その強い後遺症が残っているようですなあ。政府の発表を信じない人々ですから、意地になって「安全宣言」などと発表していると、ますます疑心暗鬼(当たっている事が多いそうですが…)に陥ってちょっとした事でもパニックになります。


四川省を流れる越溪河で14日、川の水にペースト状の黄色い沈殿物が混じっていることが発見された。検査の結果、基準を超えるフッ素化合物、アンモニア性窒素、揮発性フェノールなどが検出され、流域では水道水のための取水を停止した。20日付でボイス・オブ・アメリカ(VOA、中国語版)などが伝えた。断水に見舞われたのは、同省南東部にある宜賓鎮。VOAは、14日に給水が停止され、19日までに再開したとしている。消防車などが給水に出動したが、住民たちは「4日も体を洗うこともできなかった」と不満を述べた。

■「体が洗えない」というのは米国向けに作った話のようにも思えますが、降雨量が多くて比較的真水に恵まれている四川省ですが、こんなに猛毒物質で汚染されては堪りませんなあ。安い外食が無ければ生活に支障を来たす人が多いですから、あちこちの屋台や食堂で大騒ぎが起こっていたことでしょう。生水は飲まない人達ですから、日本人が遠慮したいような水でも日常的に沸かして利用するのですが、給水が止まるとさすがに困りますなあ。困るからと言って、暴動を怖れて強引に給水を再開するというのも、別の意味で不安が残ります。


越溪河の上流にある火力発電所が出した廃水が原因ではないかとの見方が強まっている。同発電所は18日に運転を停止した。同発電所を運営する会社の幹部は「操業開始から18年が経つが、廃水の管理には気を使ってきたので、これまでに汚染事故が発生したことはない」と説明している。一方で、同発電所の別の関係者は「品質の悪い石炭を燃料に使ったことが原因」とコメントしている。
サーチナ・中国情報局 - 2月21日

■安全な水を確保できるかどうか、世界中で心配されている「水戦争」はチャイナの内戦として勃発するかも知れません。「百年河清を待つ」はずの大黄河が渇水して川ではなくなるのですから、あちこちの地下水を使い果たしたら何が起こるか分かったものではありません。


黒龍江省・牡丹江市にある浄水場で19日午後、ネバネバした「謎の微生物」が大量発生しているのが見つかった。「3日にわたって断水になる」とのSMS(ショートメッセージサービス)が飛びかったことから、一部の市民がミネラルウォーターの買い占めに走り、パニック状態に陥ったという。…牡丹江市の市長助理や報道官らは20日午後に記者会見を開いた。原因について、「気温の高い日が続いていたため、酒造工場が排出した大量の酒かすにより、微生物が増殖した」と説明した。「牡丹江は松花江の支流だが、松花江と同じような汚染事例ではない」「飲料水に問題はなく、住民には安心してもらいたい」と呼びかけた。また、一部の地域で断水が起きたことについては、浄水場が微生物を除去するために大量の水を使用したためなどと説明。微生物の性質や「人体に有害か否か」に関しては、「現在、調査中」と回答した。…酒造工場は生産を停止しているという。サーチナ・中国情報局 - 2月22日

■他人の迷惑を考えない逞しい人達ですから、環境問題に開眼させるのは世界的な課題かも知れません。この牡丹江市側の説明も、分かったような分からない話です。結果的には「安全かどうかは不明」という事なのですから、「飲料水に問題が無い」というのは解せません。でも、そんな事を気にしていたら生きていけない国ではありますなあ。(其の弐に続きます)

イラク暫定政府 其の弐

2006-02-24 01:13:10 | 外交・情勢(アジア)
■実感として「内戦」が近付いている事態を一番喜んでいるのは、裁判所で元気に暴れているサダム・フセインさんかも知れませんぞ。自分の統治方法が正しかった事が日に日に明らかになっていると笑っているような気がしますなあ。

イラク内務省筋は23日、警官・兵士の休暇をすべて禁止するとともに、バグダッドなどの都市に発令していた夜間外出禁止令の適用時間を拡大したことを明らかにした。…治安部隊は現在、最高度の警戒態勢を敷いている。バグダッドでは、夜間外出禁止令の適用時間を夜8時─翌朝6時に無期限延長する。これまでは夜11時─翌朝5時だった。ロイター - 2月23日

■これを「内戦」と呼ばずに何と呼ぶのでしょう?夜8時には家に閉じ籠らねばならないのなら、6時頃には全ての商業活動も生産活動も止まるでしょう。石油関連施設や報道機関は例外扱いかも知れませんが、こんな緊張状態が続けば流言飛語があちこちから湧き起こって収拾が付かなくなるでしょう。


中東の衛星テレビ、アルアラビーヤによると、同局のイラク人女性記者、アトゥワル・バフジャットさん(26)を含むテレビクルー計3人が22日、イラク中部サマラの聖廟爆破事件の取材後に武装集団の待ち伏せ攻撃を受けて殺害された。バフジャット記者はサマラ出身。イラク戦争後、衛星テレビのアルジャジーラのバグダッド特派員を務めてきたが、今年に入り、アルアラビーヤに移った。父母はそれぞれイスラム教スンニ派とシーア派で、自身はスンニ派を信仰していた。22日の聖廟爆破事件後、イラク各地でシーア派民兵がスンニ派モスクへの報復攻撃を仕掛けるなど宗派対立が先鋭化している。ロイター通信によると、事件後24時間にバグダッドだけで53人が殺害され、死者のほとんどはスンニ派住民とみられている。
毎日新聞 - 2月23日

■こうした状況下でも情報を掻き集めて発信しているロイターは流石です。日本は自国の自衛隊員の様子も分からず、何とかなるだろう、と確たる情報も無いのに呑気に暮らしています。派遣が決定される時の「非戦闘地域」という奇怪な法解釈はどうなってしまったのか、偽物メールで内輪揉めしている場合ではありませんぞ!情報が欧米系のメディアからしか入らなければ、情勢分析も意思決定も結局は「あなたのお望みどおりに」となるしか無いのです。


…フランス公共ラジオによると、首都バグダッドなどで23日までに少なくとも計127人が遺体で発見された。聖廟爆破への報復感情を背景に、宗派間の対立が激化、緊張が高まっている。スンニ派の有力会派「イラクの調和」は23日、シーア派主導の移行政府がスンニ派に対する襲撃事件を公式に非難するまで、新政府樹立に向けた連立政権協議を凍結すると表明。聖廟爆破事件が、イラクの安定を目指す「国民融和政権」に向けた協議に大きな影響を及ぼすのは必至だ。共同通信 - 2月23日

■フランスも独自の情報収集を続けているのが分かります。遺体の数を確認する作業の危険と過酷さを考えると、「非戦闘地域」を議論していた日本が情けなくなりますなあ。戦場報道から身を引いている日本のマスコミに政府を批判する材料と資格が有るのかどうか、はなはだ疑問です。橋田 信介さんが惨殺されてから、イラクは本当に遠い場所になってしまい、テレビで眺める嫌な場所になっています。そんな事なら、自衛隊を派遣するべきではなかったのでしょう。マスコミがこぞって、自分達の身の安全の為に取材活動も報道も出来ないから、そんな物騒な場所に自衛隊を出してくれるな、と正直に言えば反対運動の盛り上がり方も違ったかも知れませんし、それでも派遣するのだ!と政府が確固とした決意を示せば、マスコミ各社も覚悟を決めたかも知れません。誰も傷つかない戦争など存在するはずのない世界で、奇妙な「軍事行動」を取る日本が国連で発言力を持てるはずも無いですなあ。


イラク中部サマラのイスラム教シーア派の聖地「アスカリ聖廟」の爆破をきっかけに拡大したシーア派による報復はイラク各地で23日も続いた。ロイター通信によると、爆破事件後の24時間にバグダッドだけで53人の遺体が発見され、治安当局は死者の多くがモスクで銃撃を受けたスンニ派住民だとしている。毎日新聞 - 2月23日

■シーア派にはシスタニ師が居て、イランという強い見方が控えています。スンナ派が待ち望んでいるのはサダム・フセインの復活しか無いでしょう。どんな残虐な支配者でも、シーア派信者よりはマシだと思える。分裂しない限り、イラクはそんな国として「暫定政府」のままで苦しみ続けるのでしょうなあ。

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イラク暫定政府 其の壱

2006-02-24 01:12:27 | 外交・情勢(アジア)
■ブッシュ大統領によりますと、無事に選挙が終わって、イラクに新しい政府が生まれのだそうです。それに合わせて、用済みになるので日本の陸上自衛隊も帰国できると言うので、それを真に受けて日本中が安心しているようですなあ。そんなに米国政府の見通しは信頼できるのでしょうか?イラクでの自爆テロや爆破事件は、雪道や高速道路の交通事故ほどの衝撃も与えなくなっているのは、自国の軍隊が派遣されている国の中では日本だけではないでしょうか?イランとパレスチナの新政権が手を結ぶとか、そのイランはロシアの口利きで原爆開発を続けられそうだとか、イラクの周囲では物騒な話が積み上がっていますぞ。勢いづくイランの力を背景にしてイラク国内のシーア派は、イラク在住のイラン国民の気分になっているかも知れませんし、そこまで行かずともイランの存在感がどんどん大きくなれば、石油も出ないチグリス川流域に暮らすスンナ派は不安が募るばかりでしょうなあ。

■このまま、すんなりと新政府など出来ないだろうと思っていたら、とても分かり易いメッセージがスンナ派から出て来ました。

イラクの首都バグダッド南西部ドーラ地区で21日、爆弾が仕掛けられた車が野外市場で爆発し、市民ら少なくとも22人が死亡、28人が負傷した。…市場は当時、買い物客らで混雑しており、死傷者はさらに増える可能性もある。現場近くにはイスラム教シーア派住民が多く住む。読売新聞 - 2月22日

■以前なら新聞の一面に大きな写真を載せて報じられるはずの大事件ですが、イラクの悲劇は、こんな惨劇が起こっても世界中がまったく驚きもせず、同情もしなくなっている事でしょうなあ。100人を超える犠牲者が一度に出れば、世界中のマスコミも騒ぐのでしょうが、市場や市街地での爆弾テロは建物の間に通っている道が現場となるので、犠牲者は数十人規模になるのでしょう。恐ろしいのは、大勢の人間が集まる大型の建築物が標的にされる時です。


イラク中部サマラで21日、イスラム教シーア派の重要な聖地「アスカリ聖廟(びょう)」が爆破され、黄金のドームが崩壊した。死傷者などは確認されていない。シーア派最高権威のシスタニ師は同日、聖廟破壊に抗議するよう信者に呼び掛け、サマラ市内でシーア派住民数千人が抗議デモを行った。ルバイエ移行政府顧問(国家安全保障担当)は中東の衛星テレビ、アルアラビーヤに対し、スンニ派の過激派組織が「イラクに内戦を引き起こすため」に行った犯行との見方を示した。イラクで続くシーア派とスンニ派の宗派対立がさらに激化する恐れがある。ジャファリ首相は、22日から3日間を国民的な服喪期間とすると発表した。共同通信 - 2月22日

■シーア派の指導者シスタニ師は父親がフセイン政権時代に惨殺されているので、自分がイラク国民だとは思っていないような気がします。勿論、多くの信者に囲まれて暮らしているのはイラクの領土内ですが、スンナ派とバース党が支配していたイラクは彼にとって許されざる邪悪な国であったはずです。これを聖なる場所に変えるには、同じシーア派の教えを共有しているイランの後ろ盾を得て、独立するしか有りません。ペルシア湾岸の油田を抱えて独立して、隣国イランと強い軍事同盟を結んでメッカを睨む。それにはイラク南部を浄化しなければなりません。


イラク南部バスラで22日、武装勢力が警察の拘置施設からイスラム教スンニ派の容疑者ら11人を拉致、殺害した。ロイター通信が伝えた。中部サマラで同日、シーア派の聖地「アスカリ聖廟(せいびょう)」が爆破されたことに対する報復とみられる。イラク国内では宗派対立が激化する恐れが強まっている。聖廟爆破事件では犯行声明は出ていないが、スンニ派過激派組織の犯行との見方が有力。タラバニ大統領は同日夜、地元テレビでの演説で、事件の背後に「内戦を引き起こす狙いがある」と指摘し、「われわれは協調してこの危機に立ち向かわねばならない」と宗派間の融和の必要性を強調した。バスラの事件では、武装勢力は警官の制服を着用していた。被害者らは武装活動に関与した疑いで拘置されていたという。
共同通信 - 2月23日

■こんな状態で新生イラクが独力で治安を回復できると考えているブッシュ大統領という人の思考回路が読めません。新政府が立ち上げられたら、後は「国内問題」として無視を決め込む心算でしょうか?元々、イラクの石油利権などは二の次、三の次で、イスラム原理主義者に本土を攻撃された事の明確な報復が必要だっただけのイラク攻撃ですから、既に再建しても次々に爆破される石油関連設備の仕事は見棄てられているとも言われますからなあ。隣国から武装勢力が入り込んで、唯一の輸出品である石油が生産出来なくなっても、それは「国内問題」ですから、やられたらやり返す面子を守れた事を記録して、さっさと引き上げる腹積りなのでしょう。


…シーア派聖地の「アスカリ廟」が爆破され、金色のドームが崩壊したことを受け、宗派間の報復合戦に発展している。南部バスラでは、警官の制服を着た武装グループが警察の拘置所から多数のスンニ派容疑者を拉致し、そのうち11人を殺害したが、聖地爆破の報復とみられている。また、バグダッドなどでは、複数のスンニ派モスクが襲撃される事件も起きている。…タラバニ大統領は両派の指導者を招集し会議を開催するなど、国家を内戦に陥れないよう呼び掛けている。ロイター - 2月23日

その名はJRA 其の弐

2006-02-23 21:12:46 | 歴史
■テレビの短いニュースしか観ない人は、「このオバサンは誰だろう?」と思っているうちに、「次のニュースです」という流れになって記憶にも残らないのでしょうが、そう簡単に忘れては行けない事件が沢山起きた事を知っておくべきだと思いますなあ。

重信被告は主文言い渡しを聞いて被告人席に戻るとすぐに弁護人にメモを手渡した。弁護人によると「判決は おわりにあらず はじまりと まつろわぬ意志 ふつふつとわく」と詠んだ歌がしたためられていた。さらに「国策として報復が行われており、判決は司法がその補完の役割しか果たしていないという現実を示した。判決は事実を事実として検証せず、もっぱら論告をなぞっている。法に忠実な権威ある判決ではなく、現在の権力に迎合する不当な判決だ」との判決批判が書いてあったとい

■何でも、帰国して逮捕されてからは、自己流で和歌を詠んでいるとの報道が有りますから、ちょっと不自然な「ワレワレハー」の演説口調から日本語の基本リズムに回帰しているのかも知れません。でも、和歌で世界革命を詠むと、きっと元気の出ないもの寂しい歌になるでしょうなあ。国際法も国内法も無視して暴れていた時代と、法廷で「法の正義」を議論する闘争の現在が、支援者には何の矛盾も違和感も無く結び付くのでしょうが、マルクス・レーニン主義で括れない世界の複雑さと歴史の重さを少しばかり知った日本人には、さっぱり分からない「闘争」になってしまいましたなあ。


メイさんは「判決は公平ではないし、公平というものが大切でなくなっているのが残念。法律が政治のツールになっていることを変えないといけない」と話した。

■家族も祖国も捨てて革命の現場?に出発した闘士達が、最後に頼るのが我が子だったり、祖国だったり、思えばマルクスがドイツ人として持っていた矜持や、レーニンの凄まじいロシア人意識を出版物からは読み取れなかったのが悲劇の始まりかも知れません。毛沢東も金親子も、革命と言う名の権力闘争が専門でした。東西冷戦時代に、ソ連の影響下に入ったアラブ諸国に民族社会主義という奇妙な運動が起こって、社会主義とイスラム信仰が結び付くような幻覚が日本にも伝染していた時期が有ります。それは、単なるイスラムに対する無知が原因だったと、今の世界を見れば誰にでも分かりますが、当時の日本では難しかったのでしょうなあ。

空港乱射事件や大使館占拠、ハイジャックなど数々の事件を引き起こし、世界を震撼(しんかん)させた国際テロ組織、日本赤軍。現在も奥平純三容疑者(57)らメンバー七人が国際手配中だが、リーダーの重信房子被告(60)の裁判闘争の弁護費用負担や支援者の高齢化など、国内支援組織は維持するのがやっとの状態で、テロ組織の“落日”は著しい。今月11日、東京・新宿のライブハウスで判決を控えた重信被告の支援集会が開かれた。参加者によると、集まったのは過激派活動をしていた関係者や、重信被告の明大時代の友人ら約100人で、高齢化が進んでいるという。治安当局幹部は「法廷闘争を維持するための経済的負担が大きく、党勢拡大に向かう余力はないだろう」と指摘する。

■北朝鮮に非合法に渡った闘士達は、本当はカストロに憧れてキューバに行こうとしたところが、直行便は無いし海外旅行経験も無く、噂を頼りに北朝鮮経由でキューバに行こうとしていたという話も有るくらいですから、日本の若者はとてもナイーブでした。


日本赤軍は学生運動から変質した最過激派、共産主義者同盟(共産同)赤軍派が起点。日本革命のため海外に軍事拠点を確保し、軍事訓練を積んで日本に再上陸、武装蜂起する-という「国際根拠地論」を唱えていた。その第一弾が昭和45年3月の日航機「よど号」乗っ取り事件だったが、北朝鮮側の反応は予想外に冷淡で、メンバーは「政治亡命」しただけの形に終わり、計画は最初から行き詰まった。

■それもそのはずで、「世界革命」どころか自国が崩壊しないように中華人民共和国は核武装に必死でしたし、北朝鮮は朝鮮戦争の敗北から立ち直る労働力を得ようと日本からの引揚者を受け容れたものの、その「後始末」に大童(おおわらわ)の頃ですからなあ。


翌46年2月、次はアラブに根拠地を建設するとして、奥平剛士容疑者(射殺)と偽装結婚した重信被告がレバノンに渡り、反イスラエル急進派のPFLP(パレスチナ解放人民戦線)と接触し「赤軍派アラブ支部」を創設。47年5月の岡本公三容疑者(58)らによるテルアビブ・ロッド空港乱射事件などを経て49年以降、「日本赤軍」として認知された。

■PFLPは、先のパレスチナ評議会選挙で、目出度く3議席を手に入れています。複雑怪奇な中東情勢を簡単に切り取ると、空港乱射事件を起こすようになるのでしょうが、この事件はアラブ諸国を熱狂させたものです。その後、アラブ諸国の支配者やアラファトさんが社会主義とも世界革命とも何の関係も無かった事がバレてしまいましたなあ。


その後、世界各地でハイジャックや欧米の在外公館を武装占拠するなどのテロ事件に関与したとされ、人質を取って仲間を奪還する荒々しい手口が特徴だった。治安当局者は「日本赤軍は解散を表明しているが、テロ集団としての本質的な危険性は変わっていない」としている。産経新聞 - 2月23日

■こんな新聞記事を読んでも、何が何だか分からない日本人が増えましたし、始めから読もうともしない日本人の方がもっと多いでのしょう。アラブ地域から帰った赤軍の闘士も、北朝鮮から女房子供を先に帰国させて、その後に続いて帰国しようとしているハイジャック犯、すっかり無関係を装って他人事のように新聞記事を読んでいる人の中に、重い責任を負わねばならない人が沢山いるような気がするのですが……。

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その名はJRA 其の壱

2006-02-23 21:11:50 | 歴史
■「JRA」の文字を見て、高速で走る四本足の大型哺乳類を直ぐに思い浮かべる人には、どうでも良いニュースでしょうが、1987年に「日本中央競馬会」が名称変更したと同時に略称まで変えてしまった時、特に日本に駐在している海外メディアの中から驚きと当惑の声が上がったのでした。この団体の略称はは、元々、「NCK」だったそうですなあ。何かと思えば、日本語名のローマ字表記 Nippon Chuo Keiba-kai を英語風に頭文字?を取って並べただけの事です。皆様の NHK が「日本放送協会」のローマ字表記から頭文字?を取ったまま使っているのと同じです。横文字に馴染んでいない日本人にはハイカラ(死語かな?)に思えて、英語に通じている人には意味がまったく分からないという、和魂洋才の典型例みたいな省略造語です。NHKの「N」は「日本」のことだろうと分かる外国人も増えたでしょうが、後の2文字はまったく意味不明ですなあ。海外向けの放送事業は、海外の聴視者から「受信料」を徴収していないから、この名称でも大丈夫なのでしょうか?

■何はともあれ、1987年、世はバブルの絶頂期に向ったの空騒ぎの真っ最中で、競馬場は赤鉛筆を耳に挟んだオジサンだけの殺気だった博打場から、何と家族連れや若い女性も気楽に遊びに来れる場所に変貌しようとしていたのでしたなあ。東京都内には、仕事帰りのOLさんを呼び込もうと、ジンギス汗もやらなかった夜の競馬を始めた頃のことです。既に、意味不明のローマ字表記では笑われるくらいには、日本人の英語力が向上していたらしく、中央競馬会は「Japan Racing Association」という外国向けの名称になり、その(正真正銘の)頭文字を取って略称にしたのが「JRA」でした。何だかウルトラマン・シリーズに出て来る組織名みたいですが、競馬の時代が変わったような気分を醸し出すのには成功したようです。

■しかし、この外国人にも通用すると日本人が思い込んだ「JRA」という名称は、既に辞書に載っている固有名詞だったから大変です!日本中央競馬会の方では、そんな事を知ってか知らずか、名称変更を大々的に宣伝したものですから、ポスターやらテレビ広告やらに大金をつぎ込んで日本中に「JRA」の文字が乱舞したのに腰を抜かしたのが、世界を飛び回ってハードな記事を書いているジャーナリスト達でした。一時は連名で日本中央競馬会に、「悪い冗談は止せ!」と抗議文を送ったとか送らなかったとか…。世界にその名を轟かせていた「JRA」とは、日本赤軍だったというお話です。長い黒髪がトレードマークだった女性赤軍闘士も、還暦を迎えてすっかり毒気が抜けてしまったようです。


…「主文、被告人を懲役20年に処する」。裁判長の声が法廷内に響くと、還暦を迎えた女闘士は、強気の笑顔が一転し、しばらく硬直したように立ち尽くした。元日本赤軍最高幹部、重信房子被告(60)への23日の東京地裁判決。重信被告は弁護人や傍聴席の支援者に気丈にガッツポーズをしてみせたが、表情はこわばったままだった。

■何だか痛々しい感じもしますが、元の戦場だった中東が民主化されるのされないのと、世界はすっかり変わってしまいました。別路線を採ったグループも、北朝鮮で寂しい老後を迎えるのが嫌だ!とすっかり里心が付いているようですし、「革命」を売り物にして散々儲けた人達はすっかり好々爺になって、昔の「熱き日々」を時々思い出して年金や恩給の振込み日を楽しみにしているとか、いないとか…。嗚呼。


午前10時前、東京地裁の104号法廷に姿を現した重信被告は眼鏡を掛け、ベージュのジャケットにセーター、黒のスラックス姿。事件当時のトレードマークだった長い髪は短く整えられ、白いものが交じる。ハンカチを手にした重信被告は、長女のメイさん(32)らの座る傍聴席に向かって手を振り、右手の親指を立てた後、落ち着いた様子で被告人席に着いた。証言台の前で判決主文を聞くと、深く頭を下げ、被告人席に戻る際に再び右手を握って軽く突き上げた。

■パレスチナ生まれのメイさんは、なかなか面倒見の良い予備校の英語講師をしているとか…。日本国籍を取るの取らないと一時騒動が有りましたが、母の世界同時革命の夢が適っていれば、国籍など無くなっていたはずなのですが、世界はそのようには動きませんでしたなあ。


主文の後は、メモの手を何度も止め、ぼんやりと宙を見つめたり、傍聴席に笑顔を向けた。無罪を主張し続けたハーグ事件で殺意を認定されると、裁判長を鋭く見つめ、時折強く唇をかんでほおを震わせた。判決言い渡しは約一時間半。判決後、裁判長から「無期懲役にしなかったのは、あなたがリーダーとして主導したと断じることはできない。しかし、責任は重いということです」と言葉を掛けられると、軽くうなずいて被告人席へ。傍聴席に向け「頑張ります、ありがとう」と笑顔を見せると、何度もガッツポーズを繰り返し、退廷する傍聴者を見送った。判決後、重信被告の長女、メイさんと弁護人が記者会見。弁護人は「謀議の日時や場所も特定していない不当な判決」と、判決への不満を述べた。

■法律の外に出て、革命の為ならどんな手段も正当化されると信じていた人が、法廷で「頑張る」姿は悲しいものを感じさせます。パレスチナでは重信さんが知らないハマスが第1党になって、武器を持ったまま政府を作ろうとしているのですから、皮肉なものです。

偽造大国

2006-02-23 18:02:55 | 外交・情勢(アジア)
■「地上の楽園」は悪質な冗談としても、「千里馬運動」やら「経済改革」もどうやら大失敗で終わり、「拉致はでっち上げ」だの「拉致問題は解決済み」だのと、日朝両側で木霊していた時代は遠い昔となりました。その後で聞こえて来たのは、案外、北朝鮮のIT技術はなかなかの物らしい、そんな風の便りも聞こえて来た事も有りましたが、やはり、本当の主力輸出品?はまったく別の物だったようですなあ。

22日付のモンゴル紙「ズーニー・メデー」は、北朝鮮の外交官らが21日に100万ドル(約1億1900万円)分の米ドルと、2億円分の日本円をひそかに持ち込もうとして、モンゴル当局に摘発されたと報じた。外交官らはモンゴル当局に対し、金をモンゴルの銀行口座に預けると説明したという。通貨持ち込みの狙いや偽札の有無、外交官に対してどんな措置がとられたかなどは不明だが、北朝鮮による巨額の資金洗浄(マネー・ロンダリング)の疑いが浮上している。

■既に米国政府からは、一切の逃げ口上を許さない要求が次々に出ているそうで、「偽札の原版を出せ!」「ドルは新札に切り替えるぞ!」と頭ごなしに畳み掛けているそうですなあ。不思議に北朝鮮からは「デッチ上げだ!」という大合唱も、「前はやってましたが、もう止めました」という声も出て来ません。通常の意味での話し合いが出来ない相手だと、そろそろ日本の政府も学んでも良い頃でしょうなあ。


米国は、北朝鮮が偽造ドル紙幣や麻薬密売で得た資金の資金洗浄を行っているとして、昨年9月に北朝鮮関連口座があるマカオの銀行に対し、金融制裁措置をとった。これに対し、北朝鮮は通貨偽造について「米国のねつ造」と非難しながらも、「国際的な反資金洗浄活動に積極的に合流していく」(外務省報道官)と主張していた。
読売新聞 - 2月23日

■一応は開き直って見せてはいても、「反資金洗浄活動」などという聞いている方がくすぐったくなりそうな、使い慣れない用語を出されると、こっちの方が恥ずかしくなりますぞ!その内、「国際的な反拉致活動」にも積極的に合流して来るかも知れませんから、ご用心、ご用心。その手始めに、日本に対して関西大学の李先生を始めとする「拉致犯人」を引き渡せ!と言い出していますから、面倒臭いと思わずに、一つ一つ、虱(しらみ)を指先で潰すようにブチブチと相手の寝言を否定して置かないと、忘れた頃に「あの要求はどうなったんだ?」と平気で聞いて来る相手ですから、これも、ご用心、ご用心。それにしても、マカオがダメならモンゴルだ!というのは、いよいよ追い詰められていますなあ。モンゴルならば、ロシアン・マフィアの縄張りですから、何とかなると思ったのでしょうが、豊かな石油資源などで(本物の)大金を稼いでいるロシアン・マフィアが本気で相手をするかどうかは疑問です。


韓国野党ハンナラ党の金文洙議員は23日、北朝鮮によるドル紙幣偽造問題と関連して、中朝国境の中国側に位置する丹東で今年1月、北朝鮮の貿易会社の現地駐在員が偽100ドル札を70ドルで売っていたと明らかにした。韓国の人権団体関係者が1枚購入したものと説明しており、一見しただけでは本物と見分けがつかないほど精巧だという。問題の偽札は2003年製で、昨年10月から出回っているとされる。時事通信 - 2月23日

■世界一の偽物生産高を誇っている本家本元のチャイナですから、こういう「商売」も行なわれるのでしょうが、この報道だけでは取り引き総額はまったく分かりませんなあ。まだ世界一のハード・カレンシーとして通用している米ドルですから、本国に還流する事無くあちこちで流通しているのでしょうが、モンゴルで発見されているように日本の円まで「製造」しているとすると、巡り巡って日銀が回収して見たら、刷った枚数の何倍にもなったらどうするのでしょう?外為市場も国債市場も大混乱に陥ることはないのでしょうか?大日本帝国時代の登戸研究所で中華民国の通貨を大々的に偽造して経済を混乱させようとした事が有ったそうですが、北朝鮮も米国や日本で正体不明の悪性インフレを引き起こしてやろうと計画しているのでしょうか?

■将軍様への献金が、今年の御誕生日に如何程日本から届けられたのかは知りませんが、その中に自国製の偽札が混ざっていたりすると、やっぱり、将軍様は激怒なさるのでしょうか?それとも、長年日本で暮らしている同胞達にさえ見分けが付かない精巧な品質を絶賛するのでしょうか?


このほど発売された韓国の月刊誌「新東亜」3月号は、北朝鮮の金正日労働党総書記の長男・金正男氏がマカオのカジノで偽造ドル紙幣を使用する場面を撮影したビデオが存在し、複数の米政府当局者がそのビデオを見たと証言していると報じた。ビデオの撮影時期には触れていないものの、マカオのカジノが偽札流通の舞台だったもようだと指摘している。正男氏が紙幣の偽造・流通に関与していたのが事実ならば、金総書記も事態を知っていると考えるのが妥当だ。その場合、偽ドル造りは「国家ぐるみの犯罪」だった可能性が濃厚となる。時事通信 - 2月20日

■これが本当ならば、マカオの「黒社会」も舐められたものですなあ。まあ、万一、博打に大勝しても、しっかり偽札で払い戻ししてくれるのかも知れませんが…。普通は非合法な品物を扱っている人達の間には「商品には手を出すな」という鉄の掟が有るはずなのですが、自分で刷って自分で使っているというのは不思議な話です。それならば、将軍様が愛用していた英国煙草のロスマンも、自国製の偽物だったのでしょうか?ついでに、自慢の麻薬も時々は愛用なのでしょうか?心配な事です。いえ、将軍様の御健康のことではなく、薬の影響でうっかり戦争を始められたら近所迷惑だという話です。


北朝鮮の紙幣偽造やマネーロンダリング(資金洗浄)に対して米政府が金融制裁を発動し、監視が厳しくなったのを受け、北朝鮮が偽1万円紙幣の製造・流通に重点を移したとの観測が出ていることが21日、明らかになった。貿易業界筋によると、中国と北朝鮮の国境地域を往来する商人たちの間で昨年末ごろから、こうしたうわさが広まったとされ、日本政府も情報を入手して事態を注視している。北朝鮮は紙幣のほかに、外国たばこを偽造している疑いも持たれている。たばこに関しても「偽造する銘柄の中心を米国の『マルボロ』から日本の『マイルドセブン』に変更した」(貿易業界筋)との説が流れているという。時事通信 - 2月22日

■英国煙草は生産していないようですなあ。側近を集めて頻繁にふるまうと言われる強い洋酒も、どうやら本物なのでしょう。それにしても、ライブドアが売り捲くった株券は「偽札」同然でしたし、ヒューザーが売ったマンションも「偽物」でしたし、総研が建てさせたビジネス・ホテルも張りぼてのぺこぺこビルでした。国会が大騒ぎしている一通のメールも、どうやら「偽物」と認定されたようです。信じられるのは現金だけだ!と思って箪笥(たんす)や壷に仕舞い込んでいると、北朝鮮製の偽札が紛れ込む恐れが出て来たというわけですなあ。建国の歴史やら将軍様の本名やら、何かと本物と偽物との見分けが付き難い国ではありますが、偽物の日本人を仕立てて工作活動させるのは止めて欲しいものですなあ。飛行機を乗っ取って革命家になりに行った人達も含めてですが…。

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民主党自爆! 其の参

2006-02-23 14:38:11 | 政治
■マスコミがどうでも良い小物の国会議員を追い回している間に、肝腎な事がなおざりにされていると大変な事になりますぞ!

地村保志さん(50)、蓮池薫さん(48)両夫妻の拉致事件で、警視庁と新潟、福井両県警は、北朝鮮工作員の辛光洙(シングァンス)容疑者(76)と、北朝鮮で「チェ・スンチョル」と呼ばれていた工作員がそれぞれ実行犯としてかかわっていたとして、23日に国外移送目的略取容疑で逮捕状を請求する。逮捕状が取れ次第、警察庁を通じて国際手配の手続きを進める。日本に帰国した拉致被害者の事件で、逮捕状が請求されるのは初めて。

■民主党の自民党追及が下手くそである事は立証されましたが、外交政策の方はもっと下手くそである可能性が高いのです。シングァンス=韓国で死刑宣告=恩赦で釈放=帰国して英雄、という連想が浮かびますが、この連想に挟み込まれている人名は金大中さんと、日本の菅直人さんと土井たか子さんでしょう?前原さんを追い落として、またぞろ菅さんが動き出したとか、またニヤニヤしながら拉致問題を誤魔化すのでしょうか?


調べによると、辛容疑者は1978年7月7日、福井県小浜市の海岸沿いの展望台で、地村さんと妻の富貴恵さん(50)を複数のメンバーとともに襲い、船で北朝鮮に連れ去った疑いが持たれている。一方、「チェ」工作員は同月31日、新潟県柏崎市の海岸で、蓮池さん、妻の祐木子さん(49)に「たばこの火を貸してくれ」と言って近づき、複数のメンバーと袋詰めにして船で拉致した疑い。地村、蓮池両夫妻はいずれも北朝鮮に向かう船内で、辛容疑者と「チェ」工作員から日本語で話しかけられたことや、平壌市内の施設で朝鮮語や現地の風習を教えられたことなどを昨年末、警察に証言していた。辛容疑者は、77年11月の横田めぐみさん拉致事件でも、曽我ひとみさん(46)に「拉致したのは自分だ」と打ち明けていたことが判明しており、警察当局は引き続き捜査する。…80年6月の原敕晁(ただあき)さん拉致事件で、2002年9月に旅券法違反容疑などで国際手配されている。「チェ」工作員も85年3月、北海道出身の小住健蔵さんになりすましていた事件に絡み、「朴(パク)」という通称名で旅券法違反容疑などの逮捕状が出たが、その後、失効したため、警視庁はこの事件でも逮捕状を請求する。読売新聞 - 2月23日

■「国交正常化」の機運が雨散霧消しているのに、外務省は知らん振りですし、乗せられた小泉総理大臣もオモチャに飽きた子供のような態度です。菅直人さんや土井たか子さんにも是非コメントを求めなければならないのですが、尾羽を打ち枯らしている2人ですから同情されているのでしょうか?北朝鮮外交よりも大きな問題が日中関係です。国会の党首討論ではその破片も出て来ないのは実に嘆かわしい事です。


中国訪問中の中川秀直自民党政調会長は22日夜、北京の釣魚台国賓館で唐家セン国務委員と会談した。唐氏は、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について「両国関係の政治的基礎を破壊し、相互信頼を損なった」と批判。その上で「この重大な原則問題で妥協はできない。誤りを正さなければ当面の両国関係は打開できない」と述べた。 
時事通信 - 2月22日

■中国利権がまだ残っていると思ったらしい中川さんは、妙に張り切って北京に乗り込んだようでうですが、ただ日本を代表して怒られに行ったようです。何が面白いのでしょう?


冷え切っている日中関係を打開しようという動きが活発化してきた。中国を訪問中の二階俊博経産相が22日、温家宝首相と会談したほか、日中与党交流協議会では日中戦争をめぐる共同研究の開始を大筋合意した。しかし、中国側は小泉純一郎首相の靖国神社参拝に厳しい態度を崩しておらず、「ポスト小泉」をにらみ、「靖国問題」でゆさぶりをかけている。…自民、公明両党と中国共産党が政治、経済、外交などをめぐり意見交換する初の「日中与党交流協議会」が22日、閉幕した。協議会では、中国共産党の王家瑞対外連絡部長が、自民党の中川秀直政調会長が提案した日中戦争に関する歴史共同研究について「中国側は正しい歴史認識のために役立つと考える。今後、協議の上で一緒に推進していくべきだ」と述べ、前向きに検討する意向を示した。前日の協議で中国側は、共同研究について言質を与えていなかった。

■「歴史の共同研究」などという話は誰が言い出したのでしょう?自民党の政調会長個人の腹案とか内輪の提案では終わらない話ですぞ!こんな安請け合いをして、小泉首相が辞任した後にも火種を残す事になるのではないでしょうか?どんな原稿を日本側が書いても、共産党認定の「正しい歴史」と一致する可能性は限りなくゼロに近いのですが、両論併記などという姑息な策を弄しても北京政府に新たな暴動の理由を与えるようなものでしょうなあ。


…中川氏は「日中関係は川を逆流する船のように、進まなければ退く関係だ。中国側のリーダーがリスクをとったときには、私どもも最大限協力、努力をする」と述べ、日中首脳会談の再開を要請。これに対し、王氏は「協議で最も観点が異なったのは靖国問題だ。日本の与党に正しい認識を持ってもらいたい」と述べ、小泉純一郎首相による靖国神社参拝を重ねて批判した。協議会は日中両国の若手議員による交流の枠組みを整備するとともに、東京で次回会合を開くことで合意した。産経新聞 - 2月23日

■チンピラ議員に振り回されているふりをして、自民党の一部は本当はこんなに重大な事に世間の注目が集まらないようにしているのではないでしょうか?民主党は自民党の親中派と裏取引した上で「自爆」して見せたとしたら、最悪の国対政治ですぞ!北京政府と仲良くしたくてうずうずしている政治家は何処の政党にもいますから、政界再編の一つの軸ともなるでしょうが、中川さんはすっかり読みを間違えたかも知れません。出発前には、難問山積で小泉政権の終わりが見えていたのですから、「泥舟から逃げ出すネズミ」現象を起こしかけていた自民党だったのに、民主党の永田・前原・野田トリオの「自爆漫才」によって、小泉政権はしばらく安泰です。息を吹き返した小泉さんが待ち構えている官邸に、「帰国報告」する足取りは重いでしょうなあ。「靖国参拝、怒ってましたよ」「ふん、そうかい」それで終わりです。

■油断のならないのは二階経産大臣でしょう。北京政府の追い風に乗ってポスト小泉を狙おうとしているのなら、由々しき問題ですぞ!メールの真贋論争などは小さな小さな問題でしたが、永田議員の稚拙な功名心だけでは済まない大問題が起こっている事の方に目を転じなければなりません。オリンピックでは「残念な報道」が続いているのは選手層の薄さが原因ですが、国会も重みを失ってしまったのは人材不足が原因でしょう。民主主義の国なのですから、その責任は有権者に有ることを改めて確認した次第です。

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民主党自爆! 其の弐

2006-02-23 14:37:26 | 政治
■前原さんが喚けば喚くほど、メールが偽物に見えて来ますぞ!

16日の衆院予算委でメールの存在を指摘した永田寿康氏が報道陣に配ったのは、自らパソコンで打ち直したメールの本文だけ。自民党は当初から「メールは偽物」と激しく批判した。永田氏は翌17日の再質問で有効な反撃ができなかった。野田佳彦国対委員長は同日夜、メールのコピーを公表したが、本物なら堀江前社長を示すことが明白なはずの送信者欄を黒塗りにしたためかえって「偽物論」を加速させた。自民党は平沢勝栄衆院議員が永田氏と同一というメールを入手し、「メールは偽物」との主張に説得力を持たせた。

■北朝鮮による拉致事件では、被害者を自分の選挙対策用に利用したとかで、評判が悪くなった平沢議員ですが、さすがに昔執った杵柄(きねづか)で警察官僚出身の凄みを存分に見せ付けて見せ場を作りましたなあ。

 
永田氏が情報提供者とは友人のフリー記者を通じて接触したと発言し、直接会っていないとみられることも、情報の精度に対する詰めの甘さを党内外に印象付けている。党内からは「永田に(質問を)やらせたのが間違いだった」という声が、公然と出始めた。これ以上メールの真偽論争にこだわり続ければ不利になると判断した民主党は20日夜、前原氏や鳩山由紀夫幹事長ら幹部が東京都内で「メール問題」への対応を協議。メールが本物だと立証するのは困難とみて、銀行口座の情報をテコに「資金の流れ解明」に焦点を当てる戦術に転換した。

■この話も奇妙です。銀行の名前と口座番号を公表したところで、国勢調査を銀行に拒否されたら終わりとも聞きますし、マスコミ対策で調査に応じて銀行が口座の中身を提示しても、それが空振りだったら、営業妨害や名誉毀損で訴えられるかも知れませんし、何より顧客を売るのか!と外国から軽蔑と冷笑の嵐がその銀行を襲って来るでしょうなあ。民主党は銀行一つぐらい潰しても平気なのでしょうか?


「党首討論でえげつないことをするのはどうか」。党首討論を前にした22日の執行部の協議では、玄葉光一郎幹事長代理らがメール問題に触れないよう進言したが、前原氏は「触れないわけにはいかない」と党首討論に臨んだ。しかし、この問題を取り上げたのは終盤のわずか10分足らず。党内では「作戦ミスだ。あれでは逃げたと思われてしまう」(中堅)との声も漏れた。……党首討論を聞いた民主党内には「(信ぴょう性について)あそこまで強く言っていたのにがっかり」(中堅)と、事態打開につながらなかったことへの失望感も出始めた。 …幹部の1人は「うちの党も稚拙だな。『(前原)チルドレン』がしっかりしないと」と、若手中心の党運営に不満を漏らす。…前原氏に批判的な小沢一郎前副代表に近い若手議員グループ「一新会」は、党首討論前の22日昼の緊急幹事会で「いざという時は代表を支える」ことを確認した。出席した松木謙公衆院議員は「言いたいことがあっても、我慢して団結することが大切。小沢先生もそう望んでいる」と語る。

■本籍地が自民党の小沢さんがうろうろしても、民主党の分裂が早まるばかりでしょうが、豪腕と策謀を使い分ける小沢さんが裏でシナリオを書いているのではないでしょうな?!民主党と自民党がぐしゃぐしゃに壊れて政界の再編成に持ち込むには、丁度良い時期かも知れませんが…


…自民党の細田博之国対委員長は記者団に「(二男)本人が『この口座番号で(入金記録を)出してくれ』と言えば、銀行は出す」と述べ、二男と民主党関係者が一緒に金融機関を訪ねる案を示した。
 自民党は「資金提供の確証を得ている」と明言した前原氏の質問に対し、懲罰動議の提出も検討している。「勝負あった。待てば待つだけ、民主党の論理が苦しくなる」(国対幹部)として、時間をかけて追及しようとする動きも出ている。…安倍晋三官房長官は会見で「全く期待は裏切られた。メールは本物でないという認識が深まった」と批判した。以上、引用は毎日新聞 - 2月23日

■一夜明けての国会は、自民党が花見気分なら、民主党は台風襲来に備えた戸締り穴籠りのようです。

民主党の野田佳彦国対委員長が、…メール問題をめぐり、周囲に辞意を漏らしていることが23日分かった。複数の党幹部が明らかにした。メールの信ぴょう性の立証が困難と判断したことを踏まえたものとみられる。野田氏は事態の推移を見極めた上で、最終的な判断を下すとみられる。この問題を衆院予算委で追及した民主党の永田寿康衆院議員も23日午前にも記者会見し、進退問題を含めて対応を説明する見通し。共同通信 - 2月23日

■菅直人さんの「未納三兄弟」発言の時に、「スットコドッコイ」発言で合いの手を入れたのが野田さんでしたなあ。民主党の国会対策の親分で、永田議員は弟分のようですが、この人が辞任したところで、大した影響は無いのでしょうな。そんな事より、国会が空騒ぎしている間に日本の外交に関する重大が動きが出ていますぞ!