旅限無(りょげむ)

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『第三の男』 其の弐

2006-02-09 01:29:48 | 社会問題・事件
■最初は沖縄からです。

県は全国ホテルチェーン「東横イン」の不正改造を受け、「県福祉のまちづくり条例」の適用施設51カ所の調査を年度内に行う方針を固めた。条例では施設が整備基準に適合しないことが認められた場合、施設設置者に対する指導や勧告、施設の立ち入り調査が行えると規定しているが、「調査の手法については、立ち入りや文書の提出も含め、調整中」(県障害保健福祉課)としている。……
琉球新報 - 2月8日

■リゾート産業が生命線の沖縄ですから、トバッチリを受けたら大変です。地方の復興だの町興しにも力になるような、注目企業だと持ち上げたメディアを幾つか記憶していますが、ホリエモン騒動の後でも、「自分の所は最初から怪しいと思っていました」という苦しいアリバイ工作に走っていたようです。テレビ信仰を全国に広めてから、「画面には悪い奴も映りますよ」と言われても、それは何時からの話なんだ?と問い返したくなるばかりです。


…建築基準法の容積率制限に違反していた「千葉幕張」(千葉市美浜区)の支配人らが7日、千葉市に改善報告書を提出した。改修工事が終わるまで容積率超過の状態が続くため、市は今週中にも客室の一部使用制限命令を出す方針。「千葉幕張」は、ホテル棟1階の駐車場(12台分)を会議室とレストランに無届け変更・増築。これだけで既に容積率超過だが、立体駐車場の敷地を図面上はホテル敷地と分割した形で建築確認申請をし、着工していた。改修工事で、会議室などを元の駐車場に戻すほか、立体駐車場の一部を撤去するなどして法定容積率内に収める。市は今後、立体駐車場に対する工事停止命令を出す一方、従来の建築確認を自主的に取り下げ、ホテルの敷地に含んだ形で新たに建築確認申請するよう要請する。また、障害者への配慮不足が批判を受けていることを踏まえ、東横イン側は「千葉幕張」に身障者用トイレを自主的に作り、「千葉駅前」にも当初あったように整備する計画も示した。市建築指導課は「現場が復旧すれば実害はないが、改善計画通り進まない場合や遅れる場合は、刑事告発を検討する」という。毎日新聞 - 2月8日

■事件は「刑事告発を検討」まで進んでいるのですから、さすがに元「上等な人間」の西田社長も進退は窮まってしまいました。ホリエモンが小菅の拘置所に収容されたと言っては、テレビ局のスタジオに3畳間を再現して「六本木ヒルズから3畳間へ」と貧乏人のヒガミ丸出しの企画を考える人が多いのですから、悪趣味なバルコニー付き赤絨毯?の御自宅を設計図やら謎の「知人」の訪問体験から再現するくらいは朝飯前でしょうなあ。○○御殿から3畳間へ!


14日にオープン予定だった「東横イン前橋駅前」(前橋市南町3、13階建て、218室)がエレベーターの押しボタン点字表示がなく、ハートビル法の基準を満たしていないと指摘されことについて、前橋市は7日、6日の現地調査で点字表示が整備されたことを確認、同日付で建築確認の検査済み証を交付したと発表した。県障害政策課や同市建築指導課は今月3日、同ホテルの検査を実施。県の「人にやさしい福祉のまちづくり条例」の基準に満たない4カ所7項目が見つかったほか、点字表示の未整備が見つかっていた。東横イン広報部は「条例についても基準を満たすよう努めたい」と話した。
毎日新聞 - 2月8日

■何だか北朝鮮の万景峰号に対して、長年遠慮していたお役所が不備をあれこれ言い立てて直させた話を思い出します。西田社長にとっては、ビジネス・ホテルの経営には障害者・子供・高齢者は邪魔で、福利厚生が整って昇給するような社員は存在しては行けないものなのですから、「点字表示」ごときが節約されるのは当たり前でしょうなあ。一種のカルトの教祖様みたいなものです。信者が俗世間の人々を騙して巻き上げたカネを吸い上げて贅沢三昧。文句が有る奴は「ポワ=解雇」してしまえば良いだけの話だったのでしょう。しかし、同じ原理で経営している困った企業が日本中に有る事は、誰でも知っているのではないでしょうか?


「東横イン鳥取駅南口」(鳥取市富安2、加納美佳支配人)で、身体障害者用の客室が会議室などに改造されていた問題で、ホテル側は7日、西田憲正社長の謝罪文と報告書を県に提出した。客室改造以外にも「県福祉のまちづくり条例」違反が明らかになっているが、ホテル側は「すべて改善する」とした。…報告書によると、改造工事の発注は本社の指示としたが、担当者の氏名や工期などについては「不明」と回答。改造工事を行った理由には「オープン前に会議室が必要になったと思われる」として、詳しい経緯は明らかにされなかった。県は1月31日、同条例に基づいて鳥取市などと同ホテルを立ち入り調査。身障者用の客室が改造されていたほか、▽トイレに乳幼児を置くための設備(ベビーキープ)▽車イス使用者用の高さに配慮した受付カウンターの設置――など、同条例で義務づけられていた整備基準を満たしていなかったことが判明している。
毎日新聞 - 2月8日

■園児のことを一切考えないで保育園を経営して失敗した人ですから、赤ん坊のためにカネを使うなんてトンデモないのでしょうなあ。御自身のお子さんにはカネを使っていたのでしょうが、他人のガキンチョはただの邪魔者なのでしょう。/font>

東横インの不正改造問題で、同社の峰野幸茂専務らは一連の改造について「運営者である『東横イン』が指示した」などとする西田憲正社長名の始末書と市内8ホテルの是正計画書を横浜市に提出した。
始末書は、不正改造について「東横インが指示し、東横イン開発が設計、東横システム電建が工事を行った」と、関連会社内で実施していた実態を説明。身障者用設備の改造には「特別な身障者用客室でなくても、従業員が補助することで利用いただいた実績があったため」と釈明した。また横浜市は、市条例に違反して駐車場を撤去した「東横イン横浜日本大通り駅日銀前」など2件について「計画的で悪質」として8日、是正勧告した。近く是正命令も出す。
共同通信 - 2月8日

■国であろうと地方自治体であろうと、お役人を怒らせたら御仕舞いです。マスコミが味方に付いたらお役人は最強の力を行使します。安月給でこき使われていた雇用者はさっさと転職するでしょうし、経営陣の中からも告発者や離反者が続出するのでしょうなあ。西田社長が、ウソ泣きではなく、本当に号泣する日も間近なようです。問題の「第三の男」は、いざとなったら面白い理屈を付けて胸を張って首相官邸から出て行く心算でしょうから、もう少しは頑張るでしょうが、自己陶酔が醒めてしまうまで踏ん張る心算はないでしょう。ポスト小泉は、反小泉となって行く流れが出来ました。「小泉チルドレン」と名付けられた議員達は、この名称を商標登録でもして勝手に使われないように工夫するかも知れませんが、あの選挙を決して忘れては行けませんぞ!『皇室典範』改正法案も、あの選挙での大勝が有ったからこそ、ゴリ押し可能と判断されたのですからなあ。「郵政民営化」が決まってしまえば、何も変わらない事がはっきりしたでしょう。ならば、あの時の投票理由は何だったのか?答えは出ないでしょうが、次の選挙までは忘れずに考え続けなければならないでしょうなあ。

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『第三の男』 其の壱

2006-02-09 01:28:54 | 社会問題・事件
■昨日2月7日、午後8時からNHK・BSでキャロル・リードの『第三の男』を放送するとの事で、とても楽しみにしていたのですが、大切な人との会見で観る機会を逸してしまいました。映像を保存しても、案外、再生する機会が無いのが情報化社会の悲喜劇ですから、余り録画に走らないようにしているのですが、今回は留守録しておかなかったのが残念な気もしていたのです…。
ところが、一夜明けたら映画よりも面白い『第三の男』が出現していて大笑いですなあ。


衆院予算委員会で答弁する小泉純一郎首相。皇室典範改正案について「じっくりと時間をかけ慎重に審議し、政争の具にしないよう取り運びたい」と、今国会にこだわらず慎重に対応する考えを示した8日午後 時事通信社

■さすがに皇室関連の事案なので、「その程度の公約破りは何でもない!」とか「出来ちゃったもの、しょうがないじゃないですか!」のような、下卑た大衆受けする開き直り発言は出来ないのでしょうなあ。小嶋ヒューザー社長・東横インの西田憲正社長に続いて、小泉純一郎さんが、突然、声色と言葉遣いを一変させたのです。あちこちから湧き上がっていた慎重論を鼻であしらうように、「拙速じゃない」「今、決めておかないと行けないから法案を出してんだ!」と相変わらずの自己陶酔型の聞き耳持たない開き直りで徒襲うとしていたのに…。まあ、それよりも見っともないのは、以下の御二方ですなあ。


自民党の山崎拓元副総裁と加藤紘一元幹事長は4日、山形県最上町で講演、小泉純一郎首相が目指す女系天皇容認の皇室典範改正を支持する考えを表明した。山崎氏は「神武天皇以来の男系の歴史と伝統を守れという意見があるが、現実的におそろしく難しい。天皇制を守る方が大事で、現実に可能な典範改正案を本国会で成立させた方がいい。首相がぶれていないのを評価する」と述べ、今国会で典範改正を実現すべきだとの考えを示した。加藤氏は「女系でも血はつながっていることを大切に考え、皇室制度を守りたい。急がずまとめていけば、首相案に落ち着く」と指摘した。また、加藤氏は首相の靖国神社参拝に言及。「靖国問題は日米問題になりつつある」と述べ、靖国神社の先の大戦をめぐる歴史観を米政府が容認できなくなるとの見方を示した。産経新聞 - 2月5日

■これではYKKは、ただの「三馬鹿大将」ですぞ!田中角栄さんの政界人脈に喧嘩を売ったドンキ・ホーテ作戦は、奇妙な幸運に恵まれました。日曜日のニュース・ショーで旗揚げした三人組は、田原総一郎さんお得意の空騒ぎに乗って知名度を上げ、今でも拾い物の映像が、貧乏なテレビ朝日の貴重なスクープ映像として「会社の至宝」となっているのが良く分かります。しかし、全共闘時代に大活躍した加藤紘一さんには、常に矛盾する発言が目立ちますし、山崎拓さんはバイアグラのCMにでも出た方が良いような悪い印象の陰で、外交や防衛に立派な見識を持つ人物として報道する向きも有りますが、新米と親中国という無理な合わせ技を看板にしている危うさが付き纏う人です。「友情と打算のYKK」が売り文句でしたが、「打算」だけの話題づくりだった事はバレてしまいました。

■ポスト小泉が風雲急を告げている!と張り切って出て来て見たら、コウノトリさんに赤っ恥をかかされる。見識も何も有ったものではない、当時の自民党ではこんな人材しか育っていなかったという話のようです。「第一の男」の小嶋社長は、先のブログ記事で予想した通り、被害者のマンション住民に「国と地方自治体を相手に大喧嘩」しましょう!と共闘を呼び掛ける文書をファックス送信したそうです。マスコミ相手にハシャイでいると墓穴を掘ると学習した小嶋社長は、ユニークな弁護士の助言を受けて、反体制派の闘志を自認する事にしたようですなあ。時代遅れのセンスなのですが、御本人は気にしていません。そこがますます哀れを誘うのですが、「前のめりにぶっ倒れる」だの「生きさらばえても…」など、意味不明な日本語を使って見せる人ですから、酔っ払いががなり立てる「自慢の演歌」だと思って見ているしかないでしょう。カラオケ愛好者はプロではないので、ブーイングには弱いそうですから、国会証人喚問以来、「芸風」を変えてしまったのでしょうなあ。次はヒップホップかラップの「カセット・テープ」でも売り出すかも知れませんが、賠償金に当てるほどは売れないでしょう。

■「第二の男」の、元「上等な人間」だった西田憲正社長は、八つ当たりする相手も責任転嫁する同じ穴のムジナも居ないので、法的な制裁は文字通りの急転直下で進んでいるようです。よほどの人物でなければ、ヘラヘラしてはいられないでしょうなあ。


…横浜市は7日、建築基準法(容積率制限)違反が明らかになった「横浜西口」と「横浜関内阪東橋」について、違法な改造で増やした客室計31室などの是正命令と使用禁止命令を出すと同社に通知した。10日にも命令が発令される。同市によると、今回の問題で自治体が是正命令などの発令を通知するのは初めて。是正命令は4月30日までに両ホテルの容積率を基準内に戻すよう求めるもので、従わない場合は同社の刑事告発も検討する。使用禁止命令は「横浜西口」の20室とリネン庫、「横浜関内阪東橋」の11室が対象で、「横浜西口」に入居している店舗には発令しない。
読売新聞 - 2月8日

■横浜市は、「第一の男」からも面白くない生意気な反論を受けているので、手っ取り早く意趣返しが出来る相手が出て来て大喜びかも知れません。小嶋社長の分までネチネチと苛められるのでしょう。同じお役人の怒りが連鎖しているようですぞ!余り褒められる機会の無い人達ですから、マスコミに正義の味方として取り上げられるので、大いに張り切っているいるでしょう。(其の弐に続きます)