旅限無(りょげむ)

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テロの季節?

2008-11-24 12:29:33 | マスメディア
■旧厚労省事務次官連続襲撃の事件は、「年金問題」「義憤」「政治テロ」などとは何の関係もない地方出身の寂しい男の、思い込み・八つ当たりの犯罪として片付きつつあるようです。周辺情報として昔の「ピアノ騒音殺人事件」を思い出す人格の歪みや、対人関係が不得手で孤立してしまう性格などが取り沙汰されているようです。出頭後の様子などから宅間守死刑囚を思い出す人生の幕引きを決意した人間の表情も読み取れそうですが、どうやら、容疑者の「供述」を大真面目に聞かない方が良さそうな感じがしますなあ。巷で囁かれる「黒幕説」は消えないでしょうが……。
 
■武器か美術工芸品かの区分けと判断が難しい刃物が凶器に使われる犯罪は、事前に予防や予測をするのは困難で、どんなに『銃刀法』を改正したところで、身近にある包丁・カッターや鋏まで没収したら社会生活が破壊されてしまうのですから、身辺に異変を感じたら即座に逃げて難を避けるしかなさそうです。宅配便を装った者に狙われて襲われるという事態は、極極稀なことなのですから、針小棒大の騒ぎを起こすのが仕事のマスコミに踊らされる必要はないでしょう。同じ「装う」なら、家族に成り済ましたり、公的機関の役人に成り済まして電話を悪用する詐欺犯罪の方が何千倍も身近に迫っているのですし、いろいろ問題のある自動車が襲い掛かって来る確率もずっと高いのですからなあ。

■世界的に見ても治安の良さは日本が誇れる美点の代表なのですから、我が身の自衛と生活防衛を考えるのなら、しっかり危険度のランクを認識しておくべきでしょう。


午前10時2分、高知市 22日午後11時35分ごろ、高知市南はりまや町の食品卸業「旭食品」本社で、爆発のような音がしたと通報があった。……約30キロ離れた高知県芸西村のゴルフ場では18日、クラブハウスのガラスが爆発物で破壊された事件があった。旭食品の竹内克之会長はゴルフ場を経営する「黒潮観光開発」の役員を兼務しており、県警は23日、同一犯による事件の可能性もあるとみて捜査本部を設置、建造物損壊容疑で調べている。竹内会長は県公安委員も務めている。……ゴルフ場は27日から開催される男子プロゴルフトーナメント「カシオ・ワールドオープン」の会場。
2008年11月23日 産経ニュース

■この報道の前日に県は違いますが同じ四国で発した連続爆破事件に関するニュースがありました。


徳島市で10月、創価学会徳島文化会館など2か所のビルのドアが爆発物で壊された事件で、徳島県警徳島東署の捜査本部は21日、徳島市不動東町、無職堀たかあき容疑者(35)を爆発物取締罰則違反などの疑いで逮捕した。堀容疑者は「自宅で爆竹の火薬を使って爆発物を作った」と容疑を認めているが、動機について「以前から右翼関係の本を読んでいた。敵対する団体を狙った」と供述しているという。……堀容疑者は10月13日午前1時20分頃、同市南内町の、県日中友好協会の入った民間ビル1階に仕掛けた爆発物でドアを壊し、同日午前4時半頃には、同市南沖洲の創価学会徳島文化会館正面入り口ドアを爆破した疑い。
2008年11月22日 読売新聞

■標的にされたのが公明党の支持団体だったからか、日中友好関連の機関だったからか、マスコミの報道は不自然に小さな扱いだった印象がありました。今回の事務次官連続襲撃が「政治テロ」なのかどうかの議論が、容疑者が出頭する前には盛んでしたが、この徳島市での爆破は明らかにテロ行為でしょう。第一報を聞いた時に「連続」という点が妙に気になったのを覚えておりますが、これが小泉毅容疑者に何かのインスピレーションを与えたのかどうかは分かりません。

■渋谷区で火薬類の専門家が大きな爆発炎上事故を起こしたニュースを思い出しますが、この犯人は市販の爆竹をバラして利用しているようですから、詰め込み作業で事故を起こさなかったのは御近所の皆さんにとっては幸いでした。犯人が創価学会と日中友好協会を「敵対する団体」と見なしていたのですから、これは間違いなく「政治テロ」でしょう。人的被害が無かったから事務次官連続襲撃事件のような大騒ぎにならなかったのだとしたら、「昭和初期に似ている」と危機感を煽る一部のマスコミは平衡感覚に欠けていると申せましょう。


高知県芸西村のゴルフ場と、高知市の食品卸売会社の玄関ガラスが爆発物で破壊された2つの事件で、いずれも手榴弾が使われたとみられることが24日、高知県警の調べで分かった。……両現場には、手榴弾の破片とみられる金属片や安全ピンが落ちていたほか、爆発の衝撃でできたとみられる穴が床に開いていた。……
2008年11月24日 産経ニュース

■拳銃の密輸や変造に関する報道がめっきり減ったと思っていたら、何処かから手榴弾が入り込んでいたというのは衝撃的です。破片や安全ピンが発見されているのなら、おそらく手製ではないでしょう。手榴弾にも多くの種類がありますから、優秀な鑑識が製品を特定してくれるでしょうが、さてさて、何処の国が製造した物なのでしょう?日中友好の暗黒面につながっているのか?不良米兵が小遣い稼ぎをしているのか?東南アジアの某国か?はたまたロシア製か?

■高級官僚が狙われた時だけ大騒ぎしていると、本当にテロの季節がやって来たのかどうかが分からなくなるというお話でした。
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