犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

公共事業>人口減少時代のインフラ整備について(その4)

2012年06月26日 | 公共土木事業評価監視
―――能登町水道―――
 人口減少時代の社会インフラの計画あるいは事業運営についての問題を考えている。
簡易水道事業の計画の事業計画書を見せてもらって少し分析してみたが、人口減少の実態を反映させていない、架空の計画であり、何の役にも立たないことがわかった。国からお金をもらうための形式的な書類で無駄以外の何ものでもない。ただ、役場の人が悪いわけではないが、給料をもらっているのだから、もう少し本気で考えてほしいような気もする。
 
 架空の話はどうでもよいので、実態を知ろうということで、他の水道事業の計画書の検討はやめて、水道事業の財政の実態を調べるために、上水道の企業会計や簡易水道/下水の特別会計の資料を公開請求して少し分析してみた。会計のことは門外漢なので担当の方に教示を願った。会計上は帳尻があっているように見えたが、教示の結果はかなり悪化していることはおぼろげながら理解した。

 今年5月使用分から、水道料金が値上げされた。基本料金が1470円から180円上げて1650円になる。1割以上で小さくはない。これでどうなるかというと、上水道は年に4千万ほど黒字になり、簡易水道は4千万ほどマイナスが減るが8千万円ほど赤字らしい(赤字は町の財源から補填されて帳簿上は収支均衡)。下水は事業の特徴から赤字が普通であり、能登町全体では、毎年1億から2億前後の大きさになっている。この赤字も町の財源から補填されている。町の財源というのは、町民から集めた税金と考えていいので、直接の水道料金のほかに間接の水道料金を税金の形で納めていることになる。大雑把にいって年に一人1万円から1.5万円、月に一人千円、一家族3人として3千円となる。これでは少々料金値上げ(一家族で180円値上げということになるのか?)してもあまり変わらない。

 料金、税金、いずれの形にしても町民が負担しているのだから、問題ないといえば問題ない。ただ、社会福祉などの費用は増えるのだから、これに当てる費用は確保したい。受益者がはっきりしている水道料金は受益者から集めて、これから増える分野にお金はまわしたいはずである。

 さらに、人口が20年で半減するスピードである。負担する者がどんどん減っている。赤字がどんどん増えていくことになるのだろう。見通しも明らかでないまま、料金値上げだけしか方策はないのだろうか。

 国の消費税増税と一緒で財政が大変だから、何とか少しでも上げたいから、というのは分かるが、上げたからといっても、当面の問題も解決しない。毎年25兆円の穴があいているから、5%で12.5兆円確保したとしても穴が半分になるだけである。後はどうするのか、誰も答えられない無責任な解決である。

 これと同じで、能登町の水道の値上げもとにかく大変だから、赤字の穴を埋めたいから、水道料金の値上げをすることになったが、一部の穴埋めだけで(上水道だけは黒字になるが、簡易水道や下水は赤字のまま)問題が解決したというわけではない。

 値上げだけで先の見通しを示されないと、節約意識が先行して期待したほどの収入増がない恐れもあることも共通している。どうしましょうか?
2012.6.26,naka
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