犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

北河内ダム>北河内ダムの濁水

2011年11月30日 | 北河内ダム
 何事もいいことばかりではない。だが、ことを進めるにあたって、いいことしか言わないのが一般的である。行政も同じである。
 北河内ダムのパンフレットには、つぎのようにある。
 ・ダムは私たちの住むまちを洪水の被害から守ってくれます (治水)
 ・ダムは暮らしに必要な水をいつも貯水してくれています (利水)
 ・ダムができることで魚や生物が今より住みやすい川になります (環境)
 
 治水や利水については、一理もあるかなと思われるが、環境については疑問が多い。環境のキャッチフレーズのつぎに「ダムから安定した水量が河川へ補給されるため、魚や生物がより住みやすい川となります。」という説明がついている。水量が安定して補給される、つまり、水量を均して変動を少なくすると魚や生物が住みやすくなると主張している。自然の河川は、雨が多ければ川の水量は増え、晴天が続けば水は少なくなる、日照りになれば干上がることもある、特に日本の川はその変動が大きいのが特徴である。だからといって、昔は川に魚や生物が少なかったかといえば、逆に町野川では魚や川ガニが豊富でこれを食材にした料亭が上町川と町野川の合流点付近に何軒もあった。水量を補給しなくてももともと魚や生物が住みやすかったのである。ダムを造って水量を調節することで魚や生物がより住みやすい川になるというのはマユツバである。仮になにがしか効果があるものとしよう。水質についての説明はない。ダム湖に水を湛水すると①栄養塩が蓄積して富栄養化し、藻が異常発生したりすること、あるいは②豪雨の後に貯留された濁水による長期にわたる川の濁りなど水質悪化の問題がある。北河内ダム湖の場合、いずれの懸念もある。湛水して2年目の今年、早くもその懸念が現実化した。今年9月20,21日の2日間で300ミリ近い雨があった(輪島測候所日降雨量、19日31.0mm、20日157.0mm、21日120.0mm、22日42.0mm)。ダム湖は濁水で満杯となり、ダムからの放流で下流の川に濁水が流れつづけた。豪雨から、20日程度経過した10月12日の写真を紹介する。写真1は、濁ったダム湖のようすである。写真2は、ダム湖から1kmほど下ったところに位置する五十里橋測水所地点の濁水のようすである。30センチメートルくらいは透き通って見える(濁りの程度を簡易にあらわす透視度が30センチメートル)が、これは汚水が浄化槽で処理されたくらいの濁り具合である。川の水が全部汚水処理水になったといっても差程違わない。清流に住む魚はとても住めない。ダム湖直下にある五十里浄水場(ダム湖から直接取水している)では精密に濁り具合を測っており、濁度は20度であった(おおよそ透視度30センチメートルと同程度)。 幸いにも10月20日過ぎには改善が見られ、1ヶ月あまりで濁水がめだたない程度までになった。いつまでつづくのか心配したものである。その後、雨のたびに川の水は濁るが、上流にダムがない川と同じように1日ほどたてば改善している。ダムがなければこのような心配をする必要はなかったものである。造ってしまったものは仕方がないので末永くおつきあいをしていかなければならないのでしょう。ダムの維持管理は、奥能登土木総合事務所河川管理係のT主幹とT技師です。主幹は、落ち着いた、物腰の柔らかい方です。文句があってもあまりきつい文句はいわないようにしましょう(冗談です(^_^;))。
2011Nov30,naka
写真1



写真2

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雑感>死なせない薬――医療の無駄と公共土木事業の無駄――

2011年11月30日 | 雑談など
 あるご老人の女性の話です。
 お医者さんが処方してくれた薬をまじめに飲まないのです。まったく飲まなかったり、飲むときは大量に飲んで中毒症状を起こし入院したりしてお医者さんもたいへん心配をしていました。看護婦さんがきて飲みなさいというとき以外はまったく飲まないのでした。お医者さんは「ちゃんと薬を飲むようにならないと退院できませんよ。」とさとすのですが、わすれるのか、ぼけているのか、のれんに腕押しのようでらちがあかない様子でした。病院でも手間のかかる、札付きの患者でみんな困っていました。世話をしている身よりの人がそのおばあちゃんにいつも「おばあちゃん、どうして先生の言うとおりにお薬を飲まないの?」と尋ねても聞こえぬふりです。ある時、そのおばあちゃんがふとつぶやきました。「死なせない薬だから、、、、」。おばあちゃんはぼけているわけではなく、忘れているわけでもなく、ちゃんとわかっていたのです。この薬は、心臓を止まらないようにするだけ、体が生きているというだけで、なおすためのものではなかったのです。
ドラマの一シーンが思い出されます。医者が患者とつながったパソコン画面を見て「今日も心臓が動いていている、この薬の効き目はすごいぞ。」とつぶやきます。お医者さんは、懸命に患者の治療に専念していますが、患者の幸せにつながっていないのです。おばあちゃんは、自分の人生の幕引きをしたいと思っていたようですが、今日の医療はそのお手伝いをするのではなく、邪魔をしているようです。当方は、医療については門外漢で批判発言ははばかられるのですが、このような医療がお金の無駄遣いか、無駄遣いでないか、どう考えるかは難しいところです。おばあちゃんが、たんに延命のための治療なら止めて欲しいと宣言したのであれば、多分、それ以上の治療は無駄ということでしょう。けれど、延命に要する医療はすべて無駄とはいえるでしょうか。延命治療が無駄ということになれば、役に立たない人は死んでしまえということにもなりかねません。
 その点、公共土木事業の無駄は、ある意味わかりやすいものです。「使われるのであれば無駄ではなくて、使われなければ無駄なのです。」人や車の通らない橋や道を造れば無駄ということになるでしょう。治水ダムは将来のことを想定するので判断は少しややこしいことになりますが、いずれにしても使われるかどうかです。公共土木事業は人々の生活を豊かにするために造る社会資本です。使わない施設であれば、役に立たず、人々の生活を豊かにしないので無駄ということになります。
2011Nov30,中 登史紀
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原発>米国で原発の新規建設!

2011年11月30日 | 雑談など
 11月26日の読売新聞によれば、「米、34年ぶり原発着工へ」とある。2カ所の原子力発電所で合計4基の原発が年内にも着工されるという。
 河野太郎の講演会で話を聞いて、「アメリカでは経済合理性の観点から、もう原発の新設はない」という風に理解していたが、たいへん誤解をしていたようである。もちろん、原発のないところへ新規に立地することは、経済合理性からいってないということには間違いはない。すでに稼働している原発で増設する場合は、新規に増設することが経済合理性にかなうということのようである。考えてみれば、老朽化した原発を廃炉にする場合に1千億円という費用がかかるといわれており、民間の電力会社が、利益を生まない、まったくの持ち出しになることをできるわけはない。新規に原発を増設して、そこから生まれる利益で老朽化した原発の維持をしていくことになる。老朽化した原発は運転を止めても放射線は出し続け、延々と維持管理を続けていかなければならないのであり、どこからかその費用は捻出しなければならないのである。新規に原発を増設して、そこからあがる利益で老朽原発のお守りをすることになるのだろうか。そうなると、米国ではすべての原子力発電所は永遠に増設を繰り返しながら継続することになる。ドイツのように国家が計画的に原発廃止を決定しなければ原発と手を切ることはできないようである。

(2011年11月26日14時35分 読売新聞)
米、34年ぶり原発着工へ…年内にも東芝系新型
 米国で原子力発電所4基が年内にも着工する見通しになり、東芝が12月上旬にも、タービン周辺機器を米国向けに輸出することが26日、明らかになった。
 米国で原発の新規建設は約34年ぶり。4基はいずれも東芝子会社の米ウェスチングハウス(WH)の新型炉で、米原子力規制委員会(NRC)が近く建設・運転の一括認可を行う方向だ。米国で原発建設が再開すれば、日本からの原発輸出も本格化しそうだ。
 着工するのは、ジョージア州のアルビン・ボーグル原発3、4号機と、サウスカロライナ州のV・Cサマー原発2、3号機。2016年以降の運転開始を目指す。いずれも110万キロ・ワット級の新型炉「AP1000」を採用し、外部電源が喪失しても72時間原子炉を冷却できるなど災害にも強いのが特徴だ。東芝は、蒸気を水に戻すために必要な中核機器を輸出する。
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原発>河野太郎ではなくて、浦島太郎のその後

2011年11月26日 | 雑談など
うちの家内は関心をもつとつぎつぎ質問してきます。当方の断片的な説明では、イメージがわかないということらしい。
まるで、ホームズかコロンボです。
子供の時に、浦島太郎の結末を聞いて、その煙はなんだろう、どこへ行ったんだろうなどと母親に聞いて嫌がられたとか。
煙の中身は一体何だったのでしょうか........
河野太郎の講演会でその答えがありました。

【ブラックジョーク】
河野太郎ではなくて、浦島太郎のその後

 浦島太郎は絶対開けてはいけないと言われて持ってきた玉手箱の中をどうしても見たくてとうとう開けてしまいました。開けると一瞬に煙が立ちのぼり、この煙をあびてたちまち髪の毛は白くなり、顔は皺だらけとなり、老人のようになりました。
 これを遠巻きにして見ていた村の人たちの中に物知りがいて、「まるで10万ミリシーベルトの放射線を浴びたみたいだ。」とつぶやいたのでした。
呆然とした浦島太郎の前にころがっている玉手箱、その箱の裏には、おぼろげながら、アルファベットの大文字でT,E,P,C,Oというしるしが見えたそうです。T E P C O 、テプコとも読めます。この意味はだれもわかりませんでしたが、危険を知らせるために刻まれていたことだけはみんなにもわかりました。
 なお、TEPCO、テプコは、たまたまTokyo Electric Power COmpanyの頭文字を合わせたものと同じですが、東京電力とはまったく関係がありません!
2011Nov22,能登原発35㎞圏住人

追伸
21世紀の科学技術という玉手箱から原子力という煙がでてきたということでしょうか。
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原発>河野太郎金沢講演会、フクシマで注目の人に!

2011年11月24日 | 雑談など
福島以前から、原発の問題を追及していたという筋金入りの国会議員のオーラを見たかったので金沢市内で行われた講演会に足を運んだ。
昨日、イスタンブールのシンポから帰ったところだそうで、福島以後の世界の原発の流れはどう変わるかというシンポジウムだったんだそうな。自民党の総裁候補はタブーだった原発で復活してオーラが高まってきたようだ。シンポでは、福島があろうがなかろうが原発の時代は終わり始めているという結論だったそうである。
ピークは、2002年で世界の原発は444基であり、それからは建設されるよりも廃炉にされる方が多く、減少しつつあるという。これから増えるのは、ロシアと中国と韓国などでこれらが3/4を占めており、その他はほんのわずか。そして、先進国で造る原発は費用が高騰して、フランスのアレバ社の原発のコストは2から3倍に、米国では、年々上昇して7倍にもなった。経済的に割が合わなくなり、造る電力会社はなくなった。電力会社は、原発を持っていると評価の格付け?が下がるそうだ。100万キロワットの原発をつくると5000億円だが、コンバインドサイクル発電は同じ規模で500億円程度だという。経済合理性で見れば、原発が見合わない。
これに対して、日本の様子はいちじるしく違う。変な経済合理性と国策だ。変な経済合理性というのは、総括原価方式で、電力会社は、かかった費用はすべて電気料金に乗せていいという、その上に資産の3%も利益として電気料金に乗せることができる。資産が大きいと利益も大きくなるので資産の大きくなる原発をつくろうとする。地域独占企業だから利用者からびた一文まけず徴収できる。また、国策として、国は原発を推進、その理由は、一つの柱である火力は、外国に頼るエネルギーなので、これを補うもう一つの柱、しかも国産のエネルギー源が欲しかったのだという。そういえば2度のオイルショックがあった。ウランも輸入しなればならないが、原発で燃やして出来るプルトニウムは燃料として使えば国産と見なせるので、原子力は国産エネルギーという定義になっているそうだ。結果、国と電力会社は一体となって原発を推進してきた。
電力会社にとっての経済合理性と国にとってのエネルギー安全保障ということだから、この原発推進の力の惰性は大きく、簡単に止まらないということがよくわかる。プルトニウムを燃料とするために「文殊」があり、止まって成算の見込みもないのに確か2兆円もかけていまだに生き延びていたということも。福島がなければこれも延々と続いていたのだろう。ダムの無駄などと桁が違う。
米国は経済合理性で問題は解決の方向へ進行しているようだが、日本はもう少し、みんなが苦労しなければならないようだ。いまだに、国と電力会社は再生可能エネルギーを拡大に抵抗しているという。電力会社の圧力なのか、学会でスマートグリッドと言ったらいけないとか。東電のコマーシャルはなくなったが、他の電力会社はまだテレビなどで広告宣伝している、マスコミを買収していることだから、文句を言うべきと。
 河野太郎さんの話はわかりやすかった。もう一つ印象に残った話がある。ノルウェーとフィンランドの話である。ノルウェーは電気だけでまかなったが、フィンランドは、ペレットストーブなど再生可能エネルギーなどを工夫したおかげで、人口はノルウェーの倍なのに電気は同じ量、つまり、半分しか使っていないそうだ。日本でも工夫すれば、電気を半分くらいに、無理に生活を変えなくても40%くらいは節約できそうというのが河野さんの見立て。需要を減らし、再生可能エネルギーを開発すれば、原発をやめても、電気に不自由しないということでした。
もう少し聞きたかったが、時間が短かった。電力会社は金回りがいいわけだ。東電の売り上げが5兆円くらいとか、ほとんど電気料金で半分が水増しだったとしたら、2.5兆円、消費税1%分だ、全国の電気会社から召し上げれば、5%くらいでてきそうだ(^_^;)

追伸
河野太郎さんは、プルトニウムを燃料とするためにつくられた核燃料サイクルがすべての段階で破綻していることを図解して簡明に説明された。よくわかりましたm(_ _)m。(詳細は、河野太郎さんのホームページへhttp://www.taro.org/)。
核燃料サイクルの話
http://www.youtube.com/watch?v=yFCFKk5MOt0&feature=player_embedded講演会は、2011.11.22,金沢市文化ホール,19:00-21:30
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