ミゾゴイは溝五位と書く。
さぎの仲間で冬はフィリピンや中国南部で越冬し、春になると繁殖のために日本に渡ってくる。日本だけで繁殖するという。どういうところで住むかというと、薄暗い森林や河川沿いの林で昆虫類、ミミズ、サワガニ、トカゲなどを餌としている。
日本の国土の7割は山地であり、日本列島は北から南まで細長く、どの部分にも山があり森林が発達して、川には清流が流れて豊富な餌がある。この自然環境をミゾゴイが気に入ったらしい。
用心深く、薄明や薄暮に行動することが多く、人影を見ると暗い藪の中に身を隠して人目につくことが少ないこともあってなじみが薄い。保護色で枯れ枝に似せた擬態を行う習性もあるとのことである。夜間にボーボーと陰気に鳴くので「ヤマイボ」とも呼ばれる。
ミゾゴイは50センチくらいの背丈で姿形は下のURLを見ればわかる。
ミゾゴイの写真
http://likebirds.exblog.jp/tags/%E3%83%9F%E3%82%BE%E3%82%B4%E3%82%A4/
越冬地であるフィリピンの森林が開発で消失したり、営巣場所である日本でも開発が山地に及び生息に適した自然環境が減少してきたのか、急速にその数が減ってきた。推定個体数は1000羽未満だとも言われている。環境省のレッドデータブック※1 では絶滅危惧種にあげられている。※2,※3
10年ほど前に、この鳥が辰巳ダム予定地付近で発見された。複数のつがい、営巣も確認された。付近の樹林に囲まれた湿地や犀川渓谷の河床に沿った休耕農地などが採餌場となっていたようだ。営巣は薄暗い森林であるが、ある程度人手が入って開けた水田などが餌場として好むようである。
人影を見ると身を隠してしまうほど用心深い鳥が巨大土木工事によって影響を受けないわけはない。と思うが、石川県の辰巳ダム建設工事の環境影響評価では、「影響は軽微」と予測する。そんなわけはないだろうと「辰巳ダム裁判」で主張を戦わせている。
被告の国と県は、「有識者である専門家の指導のもとに調査をしている。その結果、ミゾゴイへの影響は小さい。」と結論し、そっけない。
→ 被告第17準備書面第5の3
現辰巳ダム計画の以前の辰巳ダム計画があり、その計画に対して、石川県は,法律等により環境影響評価を実施することが義務づけられた事業ではないが,昭和62年度に環境影響評価書を行い、「水質汚濁」「植物」「動物」「景観」「辰巳用水」などの環境要素について調査,予測及び評価を行っている。環境保全目標を達成することが予測され,また,重要な動物・植物への影響についても軽微と予測している。
現辰巳ダム計画においても、平成16年度において,環境影響評価法によらない、環境影響評価もどきを実施して,環境保全目標を達成することが予測され,また,重要な動物・植物への影響についても軽微と予測している。
辰巳ダム堤体に接した林でもミゾゴイが確認されており、この林を伐採している。その下の採餌場と見られた水田もきれいに土砂で埋め立てられている。住むところも餌場も奪って追い払っておいて「軽微な影響」という結論になるのはどういうことだろうか。
工事の後でも付近で幼鳥が巣立ったから営巣環境が損なわれていない証拠だとか、鳥は飛んで移動することで適応できるということや、内川や浅野川沿いなど方々で確認されているのでどこにでもいる鳥で特別珍しいわけではないなどという意見もある。しかし、辰巳ダム建設工事によって追い立てられたのか、ダム付近にはいなくなり、上流の熊走付近に移動しているようで個体数もめっきり減っている。「軽微な影響か否か」という主張の戦いは続く。
※1:レッドデータブック(RDB)とは
野生生物の保全のためには、絶滅のおそれのある種を的確に把握し、一般への理解を広める必要があることから、環境省では、レッドリスト(日本の絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)を作成・公表するとともに、これを基にしたレッドデータブック(日本の絶滅のおそれのある野生生物の種についてそれらの生息状況等を取りまとめたもの)を刊行している。
※2:
「改訂レッドリスト付属説明資料 鳥 類」(平成22 年3月,環境省自然環境局野生生物課)によれば、
コウノトリ目 サギ科 EN(絶滅危惧IB 類)[←NT]
ミゾゴイGorsachius goisagi (Temminck, 1835)
日本固有繁殖種で、本州、四国、九州及び伊豆諸島などで繁殖する。南西諸島には渡りの時期に通過し、一部は越冬する。個体数は1,000 羽未満との報告もあるが繁殖分布を含め十分に把握されていない。しかし保護収容個体数の推移を見ると、1960 年以降全国で継続的に減少しており、とくに1990 年以降は顕著であることが明らかになった。最近の個体数減少は50%以上と推定されることからEN となった。その原因は主たる繁殖地である里山の開発や、越冬地での森林減少(11)などが考えられる。ハシブトガラスによる卵の捕食や、伊豆諸島では外来種のイタチの影響(52)も推測される。
【参考文献】 25)、29) 執筆者:尾崎清明(山階鳥類研究所保全研究室)
※3:
【他の参考文献】
執筆者:森岡弘之 によれば
鳥綱コウノトリ目サギ科の鳥。一名ヤマイボという。全長約50センチ。背面は赤褐色で、背や翼には暗色の細かい虫食い模様があり、下面は淡黄褐色で、のどと腹には黒褐色の縦斑(じゅうはん)がある。繁殖地は日本だけで、本州、四国、九州、伊豆諸島の山林で営巣し、冬はフィリピンや中国南部に渡るが、南日本で越冬するものもある。薄暗い林を好み、林の中の渓流や溝で昆虫類、ミミズ、サワガニなどをとって食べる。夜間ウォー、ウォーと陰気な声で鳴く。巣は樹上に小枝を集めてつくり、5、6月ごろ1腹3、4個の卵を産む。
さぎの仲間で冬はフィリピンや中国南部で越冬し、春になると繁殖のために日本に渡ってくる。日本だけで繁殖するという。どういうところで住むかというと、薄暗い森林や河川沿いの林で昆虫類、ミミズ、サワガニ、トカゲなどを餌としている。
日本の国土の7割は山地であり、日本列島は北から南まで細長く、どの部分にも山があり森林が発達して、川には清流が流れて豊富な餌がある。この自然環境をミゾゴイが気に入ったらしい。
用心深く、薄明や薄暮に行動することが多く、人影を見ると暗い藪の中に身を隠して人目につくことが少ないこともあってなじみが薄い。保護色で枯れ枝に似せた擬態を行う習性もあるとのことである。夜間にボーボーと陰気に鳴くので「ヤマイボ」とも呼ばれる。
ミゾゴイは50センチくらいの背丈で姿形は下のURLを見ればわかる。
ミゾゴイの写真
http://likebirds.exblog.jp/tags/%E3%83%9F%E3%82%BE%E3%82%B4%E3%82%A4/
越冬地であるフィリピンの森林が開発で消失したり、営巣場所である日本でも開発が山地に及び生息に適した自然環境が減少してきたのか、急速にその数が減ってきた。推定個体数は1000羽未満だとも言われている。環境省のレッドデータブック※1 では絶滅危惧種にあげられている。※2,※3
10年ほど前に、この鳥が辰巳ダム予定地付近で発見された。複数のつがい、営巣も確認された。付近の樹林に囲まれた湿地や犀川渓谷の河床に沿った休耕農地などが採餌場となっていたようだ。営巣は薄暗い森林であるが、ある程度人手が入って開けた水田などが餌場として好むようである。
人影を見ると身を隠してしまうほど用心深い鳥が巨大土木工事によって影響を受けないわけはない。と思うが、石川県の辰巳ダム建設工事の環境影響評価では、「影響は軽微」と予測する。そんなわけはないだろうと「辰巳ダム裁判」で主張を戦わせている。
被告の国と県は、「有識者である専門家の指導のもとに調査をしている。その結果、ミゾゴイへの影響は小さい。」と結論し、そっけない。
→ 被告第17準備書面第5の3
現辰巳ダム計画の以前の辰巳ダム計画があり、その計画に対して、石川県は,法律等により環境影響評価を実施することが義務づけられた事業ではないが,昭和62年度に環境影響評価書を行い、「水質汚濁」「植物」「動物」「景観」「辰巳用水」などの環境要素について調査,予測及び評価を行っている。環境保全目標を達成することが予測され,また,重要な動物・植物への影響についても軽微と予測している。
現辰巳ダム計画においても、平成16年度において,環境影響評価法によらない、環境影響評価もどきを実施して,環境保全目標を達成することが予測され,また,重要な動物・植物への影響についても軽微と予測している。
辰巳ダム堤体に接した林でもミゾゴイが確認されており、この林を伐採している。その下の採餌場と見られた水田もきれいに土砂で埋め立てられている。住むところも餌場も奪って追い払っておいて「軽微な影響」という結論になるのはどういうことだろうか。
工事の後でも付近で幼鳥が巣立ったから営巣環境が損なわれていない証拠だとか、鳥は飛んで移動することで適応できるということや、内川や浅野川沿いなど方々で確認されているのでどこにでもいる鳥で特別珍しいわけではないなどという意見もある。しかし、辰巳ダム建設工事によって追い立てられたのか、ダム付近にはいなくなり、上流の熊走付近に移動しているようで個体数もめっきり減っている。「軽微な影響か否か」という主張の戦いは続く。
※1:レッドデータブック(RDB)とは
野生生物の保全のためには、絶滅のおそれのある種を的確に把握し、一般への理解を広める必要があることから、環境省では、レッドリスト(日本の絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)を作成・公表するとともに、これを基にしたレッドデータブック(日本の絶滅のおそれのある野生生物の種についてそれらの生息状況等を取りまとめたもの)を刊行している。
※2:
「改訂レッドリスト付属説明資料 鳥 類」(平成22 年3月,環境省自然環境局野生生物課)によれば、
コウノトリ目 サギ科 EN(絶滅危惧IB 類)[←NT]
ミゾゴイGorsachius goisagi (Temminck, 1835)
日本固有繁殖種で、本州、四国、九州及び伊豆諸島などで繁殖する。南西諸島には渡りの時期に通過し、一部は越冬する。個体数は1,000 羽未満との報告もあるが繁殖分布を含め十分に把握されていない。しかし保護収容個体数の推移を見ると、1960 年以降全国で継続的に減少しており、とくに1990 年以降は顕著であることが明らかになった。最近の個体数減少は50%以上と推定されることからEN となった。その原因は主たる繁殖地である里山の開発や、越冬地での森林減少(11)などが考えられる。ハシブトガラスによる卵の捕食や、伊豆諸島では外来種のイタチの影響(52)も推測される。
【参考文献】 25)、29) 執筆者:尾崎清明(山階鳥類研究所保全研究室)
※3:
【他の参考文献】
執筆者:森岡弘之 によれば
鳥綱コウノトリ目サギ科の鳥。一名ヤマイボという。全長約50センチ。背面は赤褐色で、背や翼には暗色の細かい虫食い模様があり、下面は淡黄褐色で、のどと腹には黒褐色の縦斑(じゅうはん)がある。繁殖地は日本だけで、本州、四国、九州、伊豆諸島の山林で営巣し、冬はフィリピンや中国南部に渡るが、南日本で越冬するものもある。薄暗い林を好み、林の中の渓流や溝で昆虫類、ミミズ、サワガニなどをとって食べる。夜間ウォー、ウォーと陰気な声で鳴く。巣は樹上に小枝を集めてつくり、5、6月ごろ1腹3、4個の卵を産む。