犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム>辰巳ダム便り

2017年07月18日 | 辰巳ダム
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 2017(平成29)年7月4日、梅雨前線が台風3号に刺激されて犀川で久しぶりに大きな出水があった。
 辰巳ダムでは、平成24年6月に供用開始して以来、4回目の洪水(辰巳ダム地点で80m3/秒以上)となり、平成25年7月29日の最大流量(17:59,Qpeak=190.19m3/秒)に次ぐ、2番目の大きさの出水(6:10,Qpeak=149.58m3/秒)となった。

 辰巳ダム地点の降水量は、時間最大雨量(正時)23mm、総降雨量87mm、
 犀川ダム地点の降水量は、時間最大雨量(正時)23mm、総降雨量122mmである。

 13日の昼に辰巳ダム現場を見てきた。(写真1-全景)

 平成26、27年にそれぞれ、93、88m3/秒の洪水が発生したが、流木の発生は少なかった。今回、発生した流木はかなり多い。(写真2-最上流の流木留めの閉塞状況、写真3-瀬領と鴛原の連絡通路地点の閉塞状況、写真4―堤体の穴の閉塞状況を上流から見る、写真5―低水放流設備の穴の入り口の閉塞状況)

 強い降雨や降雪の度に、峡谷の斜面の一部で崩壊があるが、今回も瀬領集落の少し上流の右岸で発生していた。(写真6-崩壊の様子)

 瀬領集落の背面の山を地すべり土塊と指摘する識者もいるが、山を切り開いて林道が造られつつあるようだ。(写真7-瀬領集落の背面の山の様子)

 湛水位は、8:50に、標高112.54m(水深15.54m)まで上昇した。上段の穴の底の高さが標高120mで、下段の鋼製のスクリーンの上端が標高110m付近である。右側の壁面に流木等が堆積しているのが見える。河道整正工の上端の高さは、標高110mであるので、2.5mほど水没した。
(写真8-ダム堤体を上流から望む)
(写真9-河道整正工右岸の流木等の堆積状況のその1)
(写真10-河道整正工右岸の流木等の堆積状況のその2)
(写真11-河道整正工左岸のヘドロ堆積)

 写真の中央に取入口のスクリーンが見える。(写真12-辰巳用水東岩取入口の様子)


写真4―堤体の穴の閉塞状況を上流から見る

(写真10-河道整正工右岸の流木等の堆積状況のその2)


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辰巳ダム>辰巳ダムで洪水

2017年07月05日 | 辰巳ダム
 辰巳ダム地点で、洪水は80m3/秒と定義されている。

 今年、初めての洪水があった。
 石川県河川総合情報システムのダムデータ(10分間隔)によれば、
 平成29年7月4日6:10の最大流入量Qpeakは、149.58m3/秒であった。
 水位は、8:50に、112.54m(水深15.54m)まで上昇した。
 河道整正工の上端の高さは、110mであるので、5mほど水没したことになる。

 辰巳ダムが平成24年6月に供用開始して以来の毎年の最大流量は以下のとおり。
平成24年9月1日17:59  Qpeak= 26.52m3/秒
平成25年7月29日17:59  Qpeak=190.19
平成26年3月30日22:58  Qpeak= 92.82
平成27年4月3日18:00(正時)  Qpeak= 87.99
平成28年9月20日18:00(正時)  Qpeak= 64.89
平成29年7月4日6:10  Qpeak=149.58

 辰巳ダム地点の2年確率ピーク流量(犀川ダム調節後)は、207m3/秒である。まだ、これを超える流量は発生していない。
 この6年間のデータをもとに近似曲線を引いて求めた2年確率値は、91.94m3/秒である。辰巳ダム計画で想定した数値とは、かなりの差がある。

 ちなみに、犀川大橋地点の2年確率流量455m3/秒(犀川ダムと内川ダムの調整後)であるが、1978(昭和53)年に下菊橋測水所で観測開始以来、40年目に入っているが、2008(平成20)年7月28日の時の433m3/秒が最大でまだ、一度も2年確率流量を超えていない。

 想定した数値と現実に観測された数値と乖離がでる理由は、以下のとおりである。
 最大洪水を想定する時に、流量のサンプルではなく、雨量のサンプルを集める。データの蓄積が多い、比較的正確に計測できるなどの理由からである。集められたサンプルに傾向と規則性があるものとして、確率(辰巳ダムでは100年に1回程度発生する頻度を想定)を与えて雨量を求める。この雨量から流出計算で最大流量を求める。計算の過程でさまざまな係数値を設定するが、ゆとりをみて安全サイドに設定する傾向があり、最終的に求められる数値は過大になりやすい。辰巳ダム計画では、犀川大橋地点の100年確率値が1750m3/秒となった。これに対応する10年確率値は922m3/秒、2年確率値は408m3/秒である。
 ただし、犀川ダム、内川ダムの調節後は、それぞれ1455m3/秒、925m3/秒、455m3/秒である。ダム調節で流量が大きいところは低減するが、小さいところでは逆にいくらか増大している。

 傾向と規則性があるものとしているので、100年確率値を大きくすると、これに引きずられて、頻度の低い確率の数値も引き上げられることになる。そのため、100年確率値を過大にすると、2年確率値も大きくなり、実際に発生して計測される流量と乖離がでる。
 公には話されないが、事情通によれば、だいたい10倍して考えると実態と当たっているという。つまり、それぞれ1000年確率、100年確率、20年確率だそうだ。
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その他>日本国憲法を考えよう(その31)

2017年07月01日 | その他
憲法第一条
 
 「象徴天皇」が気になって第一条にもどる。

(日本文)第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
(英文)Article 1. The Emperor shall be the symbol of the State and of the unity of the People, deriving his position from the will of the people with whom resides sovereign power.

 日本国のシンボルとは何だろうか。日本国国旗のようなものか、あるいは、国土の上にただよう雲か霞か、曖昧模糊とした存在でどうも当方には理解しがたい。
 これを論理的に裏付けようとして、後半の文章がある。主権という力を持つ人達(意志)によって支えられているものだというわけである。確固とした筋立てだと思うが、意志(will)など変わるものだから、変えてもいい(革命?)ということにもならないか。
 本来は、2千年の歴史と伝統の上の存在であり、意志(will)がどうあろうと、変わる存在ではないのではないか。
 だから、
(日本文)第一条 天皇は、日本国の元首である。
(英文)Article 1. The Emperor shall be the head of the State.
でいい。
 元首、つまり、日本国民の代表であるということだ。
 米国の大統領であれば、
「大統領は、米国の元首であって、この地位は、主権の存する米国民の総意に基く。」である。

 二千年の歴史と伝統の上の存在であり、意志(will)で変わる存在でないことは、第二条でわかる。

 憲法第二条
(日本文)第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
(英文)Article 2. The Imperial Throne shall be dynastic and succeeded to in accordance with the Imperial House Law passed by the Diet.

 日本文では、世襲とあるが、王朝(dynastic)であり、王様は選挙で選ばれるわけではなく、意志(will)で変わる存在でない。

ここらで、ひとまずお休み!
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