犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム裁判>上告受理申立の理由書の内容について

2016年07月31日 | 辰巳ダム裁判
「上告受理申立理由書」は、以下のURLでアクセスできる(長文です!)
http://www.nakaco.com/tatumiDAM-sosho/2016/20160119_tatu_jyokokujyuri-riyu.doc
上告受理申立理由が法令の解釈に関する重要な事項を含むかどうかで判断されるが、「理由書」治水目的の項のp.5とp.69で「原判決における重要な法令の解釈適用の誤り」を指摘した。
前者は、原判決には、土地収用法20条3号の「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」の解釈適用について重大な誤りがあること、
後者は、土地収用法20条4号の「土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること」の解釈適用について重大な誤りがあることを指摘した。

前者について、原判決は「本件基本高水ピーク流量の決定又は検証の過程に関する石川県又は処分行政庁の判断内容に不合理な点があったことを認めるに足りる事情は見受けられない」旨判示したが、本件事業認定においては、本来最も重視するべき基本高水ピーク流量の妥当性という根幹事項について、その計算過程において著しく過大な流量を算出する危険性が認められ、このことが一見にして明白な状況にあったにもかかわらず、新基準の定める過去の既往洪水の考慮や実効的な検証等が全く行われておらず、この重要性を不当に軽視し当然尽くすべき考慮が尽くされていない。原判決には、土地収用法20条3号の「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」の解釈適用について重大な誤りがあると指摘した。

後者について、仮に3号要件を満たして、本件事業内容に合理性があるとしても、必ず、4号要件の「土地を収用する公益上の必要性がある」ということにはならない。時間の経過によって合理性の判断が変わる可能性が明白であったのであり、裁判所の判断に誤りがあることを指摘した。

また、河川法16条の2第3項においては「必要があると認めるときは,河川に関し学識経験を有する者の意見を聴かなければならない」とされているが、地すべりに関して、学識経験者に意見を聴かなかった。一審、二審の判決は、「地すべりの危険性については意見聴取手続きを実施しないとした判断は不合理であったとまでは認められない。」としているが、「理由書」地すべりの項のp.71で、河川法16条の2第3項においては「必要があると認めるときは,河川に関し学識経験を有する者の意見を聴かなければならない」とされており,規定上は,河川管理者の裁量に委ねられているが,まったくの裁量に委ねられているものではなく,本件のように河川整備計画に疑義がある場合には,意見聴取の手続きをとる必要があると解するべきであることとし、法令の解釈に誤りがあることを指摘した。

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辰巳ダム裁判>辰巳ダム裁判の上告中だが

2016年07月30日 | 辰巳ダム裁判
 上告(正確には、上告をあきらめ、上告受理申立をしている)の受理あるいは不受理の案内がまだ届いていない。

 上告には上告理由書を提出しなければならないが、上告理由ついて、辰巳ダム裁判の場合は憲法29条の財産権の侵害などの厳格な合理性の基準が必要だなどと記載することも考えられるようだが、受理されることはほとんど無理とのことである。
 上告受理申立理由については、もう少し、間口が広くて理由も書きやすく、受理の可能性もないことはないとのことである。今回は、上告の理由書の提出は取りやめ、上告受理申立てについて理由書を提出することになった。

 高等裁判所へ提出後、審査を受け、最高裁判所へ送られて3ヶ月程度経過した後、受理/不受理が決定される見込みであるとのことであるが、期限はない。上告受理申立理由が法令の解釈に関する重要な事項を含むかどうかで判断され、受理されると審理に入る。受理されて裁判が継続されるか見通しは不明である。

(現在までの上告の経過と結果)
 辰巳ダム裁判では、平成27年11月の二審判決後、上告し、現在に至っているが、経過は以下のようである。
 
2015.11.9 11月9日(月)に控訴審判決言い渡しがあり、判決の主文は、「本件控訴を棄却する。」

2015.11.10~ 
 最高裁判所へ上告する場合は、2週間以内に上告状と上告受理申立書を控訴審裁判所(名古屋高裁金沢支部)へ提出することになる。原告団の委任状(14人分)を用意して、弁護団へ提供した。

2015.11.20 代理人を通じて「上告状兼上告受理の申立書」を高等裁判所へ提出。
 控訴審判決を不服として最高裁判所へ上告することになるが、高等裁判所への控訴審とは異なり、上告理由を厳格に求められ、ハードルが高いために慎重な検討が要するとのことであった。弁護団の協力を得て、11月20日付で代理人を通じて「上告状兼上告受理の申立書」を高等裁判所へ提出し、最高裁判所へ上告するための手続きをとった。

2015.12.1 高等裁判所から、「上告提起通知書」、「上告受理申し立て通知書」を受け取り。
 憲法の解釈に誤りや憲法の違反があることなどを主張する場合は、民事訴訟法第三百十五条に基づいて、上告提起通知書を受け取った日から、50日以内に「上告理由書」を高等裁判所へ提出することになる。
 また、最高裁判所あるいは高等裁判所の判例と相反する判断あることその他の法令の解釈に関する重要な事項を含むことがあると主張する場合は、民事訴訟法第三百十八条にもとづいて、上告受理申立て通知書を受け取った日から、50日以内に「上告受理申立て理由書」を高等裁判所へ提出することになる。
この際、いずれも解釈の誤り、憲法違反、判例と相反する判断があることを主張するために、裁判所、事件番号等を明らかにしてその判例を具体的に示すことになっている。

2016.1.19 上告状の理由書は提出せず、上告受理申立て理由書を高等裁判所に提出。
 理由書は、上告理由書と上告受理申立理由書の2本立てとなっており、上告理由書は、憲法解釈に関わることなどの理由として記載、上告受理申立理由書は、判例違反、法令の解釈に関する重要な事項を含むかどうかなどの理由を記載することになる。

参考:提訴と控訴と上告
 一審の訴えは提訴、一審の判決に不服があれば、上級審へ訴えることを控訴といい、二審の判決に不服があって上級審、つまり、最高裁へ訴える場合は、上告という。
 上告とは、一審、二審の裁判所の判断(被告の行政の判断は違法ではない)は誤りで、憲法や既になされた裁判の判例に相反すると主張するものである。
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ダム問題>小規模ダムのダム管理費は

2016年07月29日 | ダム問題
犀川ダム、内川ダム、辰巳ダムのような総貯水量1千万立方メートルの中規模ダムの年管理費は5千万円程度を要するが、総貯水量が3百万立方メートル程度の小規模ダムでも4千万円程度かかる。

能登の小規模ダム(総貯水量約三百万立方メートル)の例を紹介する。
小屋ダム、八ヶ川ダム、北河内ダムの維持管理費用は、それぞれ年あたり43百万円、42百万円、38百万円であり、ほかに不定期の大規模修繕がある。

詳細は、以下のホームページで参照できる。

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辰巳ダム>犀川水系の3ダムの管理費用

2016年07月28日 | 辰巳ダム
-穴あきダム(辰巳ダム)の管理費用は安価となるか-

犀川には3つの洪水調節目的のダムがある。
最初の犀川ダムは昭和41年(1966)、2つ目の内川ダムは昭和50年(1975)、3番目の辰巳ダムは平成24年(2012)に供用を開始している。
前者の2ダムは洪水調節目的を含めた多目的ダムであるが、辰巳ダムは洪水調節専用で穴あきダム形式で洪水調節に際して制御するゲートなどがなく、無人で遠隔監視するだけの施設である。

したがって、常駐の管理職員は不要でダム管理費の大きい割合を占める人件費が大幅に減らせるので管理費は安価となり、メリットは大きいということになっている。

実際には、どうだろうか。

犀川ダムの年間管理費は、56百万円
内川ダムの年間管理費は、46百万円
合計で102百万円
この内、洪水調節目的の負担割合は、約半分で50百万円ほどである。
一方、辰巳ダムの年間管理費は、50百万円でほぼ前2ダムの管理費と同等である。

洪水調節機能は、前2ダムで△330m3/秒(1870→1540)、辰巳ダムで310(1540→1230)であり、これも同等である。

結局、「看板に偽りあり」で安価とはなっていない。
さらに、常駐しないと言っても点検監視が必要な設備は多くあり、管理職員は必要であり、これらの人件費は犀川ダム管理費に含まれていること、地元対策の道路整備の一部負担金として毎年2千万円負担していることから、年間管理費に計上されていない負担が隠れている。

東京オリンピックと同じか。既存の施設を使用して3千億円ほどの費用でコンパクトに実施するという方針だったような気がするが、最終的には、2兆円を超すとか。単に見積もりが杜撰だったということばかりではなく、当初、軽微に考えていたものが状況の変化で費用が膨大にふくれたものもある。徹底的なテロ対策など削減することのできない費用だ。

辰巳ダムの場合も同様で、従来のダム事業と異なり、環境配慮の観点からダム完成後も環境調査の費用が嵩むこと、地元対策として過重に?整備した公園などの施設の管理費用が嵩むなどのためか。

犀川ダム、内川ダム、辰巳ダムの管理費の内訳等の資料は以下のところで参照できる。
辰巳ダムの維持管理費用は!
中規模ダムのダム管理費用は!(犀川ダム、内川ダム、辰巳ダム)
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辰巳ダム>辰巳ダムの維持管理費用は!

2016年07月27日 | 辰巳ダム
年あたり5千万円ほど
 調査委託料が大きな比重を占めており、動植物の環境調査、貯水池内斜面の観測・解析、堤体観測、水質調査、堆砂測量など。
 無人に管理で常時の職員は不在、必要に応じて犀川ダム管理職員が対処することになっているので、人件費は計上されていない。
 他に、ダム建設の地元対策である市道整備の石川県費用負担金が毎年、2千万円加算される。

 ダム管理の費用の内訳は、「表1-辰巳ダムの毎年の管理費内訳集計表」のとおりである。

 数値は、石川県が毎年作成している「ダム管理費予算調書」による。支出した結果である「精算調書」によっていないのは、辰巳ダムの事業目的が洪水調節だけであり、別事業者との費用按分する必要がないので石川県は精算調書を作成していない。

 ちなみに、辰巳ダムの諸元は以下のとおり。
名称 辰巳ダム
所在地 金沢市上辰巳町、相合谷町
工期 H20.4~25.3
目的 洪水
総貯水量 600万立方メートル
ダム型式 重力式コンクリートダム
ダム堤高 47メートル
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