犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム>浅野川洪水は200年に1回?

2012年07月26日 | 辰巳ダム
ところで、
浅野川洪水は200年に1回と石川県は主張するが、
洪水と雨の発生確率は1対1に対応しないので、
まず、平成20年7月28日の浅野川洪水の際の雨は、何年に一回の雨か

(流域平均2日雨量で見れば)
平成20年7月28日の雨の2日雨量は、芝原橋で287mm、医王山では140mm、ちなみに金沢地方気象台では23.5mmである。天神橋地点流域平均2日雨量は、186.7mmである。確率計算結果(天神橋2日雨量)によれば、10年確率で195mm付近であるから、おおむね10年に1回のよくある雨ということになる。

(流域平均3時間雨量で見れば)
3時間雨量で見ると、芝原橋で251mm、医王山では110mm、金沢地方気象台23.5mmである。天神橋地点流域平均3時間雨量は、146.6mmである。確率計算結果(天神橋3時間雨量、データ件数41件)の12の確率分布のうち、3分布が適合度(SLSC値が0.04以下)を満足しているが、安定性(ジャックナイフ推定誤差)が圧倒的に良好なSqrtEt分布によれば、100年確率137.7mmと150年確率148.2mmの間に位置して100年確率を大きく超えている。流域平均3時間雨量を求めるに際してティーセン分割法を用いているが、流域内の雨量観測地点が少なく、芝原橋の雨量が浅野川上流域(65km2)の48%の面積を代表していることで平均雨量が異常に大きい芝原橋の雨量に影響されているので現実にはもう少し低いかもしれない。観測点がバランスよく、配置されていなければわからない。時間的に集中して降ったので3時間雨量で評価すると、計画規模の100年確率を少し超えたような豪雨だったということか。

(時間雨量で見れば)
芝原橋で114mmを記録している。金沢気象台で過去76年間に観測された最大は77mmであるので、100年確率をはるかに超える数百年規模の雨ということになる。

雨の評価は降り方によって様々である。洪水災害という観点から考えると、洪水被害を被った地点の支配的な降雨継続時間が問題となる。川の上流では、時間雨量が大きいとその影響で大きな出水があり、板ヶ谷地区などに土石流が発生して大きい被害が生じた。中流では時間雨量の影響が減じて小さくなり、それよりも長い3時間雨量が洪水量に反映してはんらんが起きる。という観点から、浅野川上流では数百年規模、中流では100年規模程度であったということか。

(ただし、雨が大きいからといって、洪水量が大きいとは限らない。流域平均146mmであれば、山林土壌の浸透能力をあまり超えていないという技術的知見もあり、想定洪水量710立方メートル毎秒を超えてはいないのではないか、石川県が洪水痕跡等あるいは貯留関数法から推定した洪水量820立方メートル毎秒は過大ではないかという疑いもある。
資料をにらみながら、熟慮中!(-_-;))
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

辰巳ダム>「妥当な浅野川の想定洪水」について

2012年07月21日 | 辰巳ダム
 犀川では、想定と実績との乖離があまりにも大きいのでその“出鱈目さ”加減が明らかであるが、浅野川はそれほど明瞭ではない。というよりも、想定洪水が的を得ているように見える。つまり、想定洪水がほどほどなのである。

 浅野川の想定洪水は、天神橋地点で710立方メートル毎秒である。
これに対して既往の最大規模洪水は、昭和28年8月24日洪水で、574立方メートル毎秒の出水があった。そして、平成20年7月の浅野川洪水である。
 石川県は洪水のピークの観測に失敗したので洪水量を推定している。天神橋地点で820立方メートル毎秒(浅野川放水路の最大分流170+天神橋付近の洪水痕跡の推定650、貯留関数法でも検証)である。洪水痕跡の推定と貯留関数法による検証のいずれも過大に算定されている疑いがあるが、それでも想定洪水に近い出水があったことは間違いない。

 なぜ、ほどほどの想定洪水になったのだろうか。
 それは、石川県のこれまでの行動パターンから想像できる。石川県の治水の総元締めの元河川課長が言っていた。「(河川整備にあたって流量を)大きく見込んでおかないと後から大きくできない。」と意図的に想定洪水を大きく見積もる意志が働いていたのである。川の大きさを一旦決めると後からさらに川幅を広げるのは無理なのは誰でも想像できる。大きく見込んだところで容易に川幅を確保できるのであれば、問題は少ない。ところが限界がある。河道で負担できない分は、ダムで調節ということになる。犀川は、想定洪水を3回も大きく見直して3つの治水ダムを造った。浅野川はどうだろう。上流にダムの適地がない。だから、想定洪水の見直しでダムの代わりに浅野川放水路(内川ダムとセット)を造ったのである。もう一つ、導水路が必要ですとはさすがに言えないので、想定洪水を大きく見直しができなかったので、想定洪水はほどほどに収まったのである。これが当方の見立てである。

 このことは、大聖寺川でも当てはまる。
 我谷ダムに引き続いて九谷ダムを造っている。
 大聖寺川は、犀川、大野川水系浅野川に続いて、石川県で3番目の重要な河川であり、計画規模は1/80である(ほかの主要な河川は1/50である)。敷地天神橋地点の流域面積は、138.2km2であり、想定洪水(基本高水)は1600立方メートル毎秒、比流量は11.6m3/s/km2である。ほぼ犀川の想定洪水に匹敵している(犀川の犀川大橋地点の流域面積は、150.2km2であり、想定洪水(基本高水)は1750立方メートル毎秒、比流量は11.7m3/s/km2である)。

 犀川、大聖寺川に比べて、浅野川の天神橋地点の流域面積は80km2と小さく、少なくとも比流量11.6以下にしようとすればできたはずである。換算すると930立方メートル毎秒である。ところが、ダムを造るところもなく、二つ目の放水路も無理なので想定洪水を大きく見直しできなかっただけなのである。というのが、当方の見立てである。

 つまり、如何様にも想定洪水の数字は作れるということなのである。犀川、浅野川の想定洪水の算出には、全く同じ手法で行われている。どこが違うのだろうか。今のところ、当方の不明で追及できていない。手掛かりはある。洪水計算手法の「貯留関数法」である。この方程式の欠陥で、定数を決めるに際して用いた実績洪水と同規模の洪水であれば、再現できるが、大規模の洪水は過大になるという「小規模-大規模問題」と「飽和雨量の設定による数字合わせの問題」である。
(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

辰巳ダム>「緑のダム効果」について

2012年07月20日 | 辰巳ダム
 戦後の高度成長の時代は、社会資本が不足しているのでとにかくどんどん造ればいい、造れば何か役に立つだろうという考え方の土木エンジニアが多かった。当方もその一人である。役に立つかどうか、まじめに考える必要がなかった。適当な比較検討案があればいいのである。

 辰巳ダムは、この思想?の産物である。造ることが目的で理由はつぎつぎと変えられてきた。治水目的は最初からあったが、単に数字合わせで中身はなにもないものである。
けれど、不思議というか何というか、何の役にも立たないだろうと思いながら、ひょっとして想定外の雨(^^;)があったら、何か役に立つだろうという気がないわけではないということがずっと引っかかってきた。おおむね100年に1回の洪水が900前後としても、200年確率では、400年確率では、1000年に1回の雨が明日有るかもしれないというわけである。

 ところが、よく考えてみると、大雨が有ったとしても被害で困るわけではない。雨によって引き起こされる洪水の被害で困るのである。雨と洪水は別物であり、大雨だからといって大洪水となるとは限らない。はげ山では小さな雨があれば大きな洪水になるが、森林に覆われた山では大きな雨でも大きな洪水になるとは限らないし、降り方によっても違う。
石川県は洪水の実測流量が少ないからといって、雨のデータから大きな雨を推定して洪水量を計算しているがこれは架空の洪水である。100年確率で1750だ。いろいろな仮定を設け、実測データから検証されたと称する、作られた定数を挿入して算定されたものである。
100年確率はおおむね100年に1回以上発生することを意味するが、20世紀の100年間で最大規模の洪水は900前後である。ということは、県の言っている、想定洪水は出鱈目で、単なる脅しということになる。

 このような出鱈目の数値が学識経験者のお墨付きがもらえる背景の一つは、「緑のダム効果」は計算上評価できるほどのものではないという考えである。当方もだまされていたようである。「コンクリートダム」よりは、「緑のダム効果」の方が著しく大きいようだ。
月給だけを見て貧乏サラリーマンと評価されて、3億(犀川ダム、内川ダム、辰巳ダム)貯めないと老後は安心できないといって乗せられたようなものである。貧乏だと信じ込まされていたが、実はたいへんな資産家だったようである。
 一方、浅野川の洪水はどう考えるか。 
(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

辰巳ダム>辰巳ダムが出来たのに、なぜ浅野川放水路のゲートを全開しないのか。

2012年07月19日 | 辰巳ダム
 「辰巳ダムが出来れば、浅野川の洪水も無くなる」と森喜郎代議士がサンデープロジェクトで説明していたように記憶する。石川県もそう説明していたはずだ。
 ところが、先月、辰巳ダムが運用開始されたが、浅野川放水路はもとのままだ。
犀川の治水/利水にかかわる、関連の犀川ダム、内川ダム、新内川ダムは、辰巳ダムの運用開始とともに、ダム操作規則等が変更されている。
 これは何を意味するのか。
 浅野川放水路と辰巳ダムは何の関係も無いということなのだ。
 つまり、「辰巳ダムが出来れば、浅野川の洪水も無くなる」のではなく、「辰巳ダムが出来ても浅野川の洪水は無くならない」のである。
また、同じ豪雨があれば、浅野川は氾濫する。
 石川県の推定によれば、平成20年7月の浅野川洪水の出水は天神橋地点で820立方メートル毎秒(放水路で170流しているので天神橋で650)である。放水路はそのままだから、天神橋で流すことができる水量は460と変わっていないので、650が流れればまた溢れるのである。
 浅野川放水路のゲートを全開すれば、170ではなく、250を流すことができるので80は減るから、天神橋で570となり、流すことができる水量460を超えるが溢れる量は小さくなる。いずれにしても、すぐに開けておくべきと思うが、石川県は放置している。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

辰巳ダム裁判>第22回口頭弁論について

2012年07月18日 | 辰巳ダム
辰巳ダム裁判は、4年を過ぎて22回も口頭弁論が開催されています。
裁判官への勉強会などもあり、提出した準備書面の立証もこれからの段階であり、終結にはまだまだ時間がかかりそうです。
第22回の内容はつぎのホームページで。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする