犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム裁判>知事発言に抗議

2014年05月30日 | 辰巳ダム裁判
 今朝、知事発言「辰巳ダムがもう少し早くできていたら浅野川水害の被害が少なかった」に対して、抗議をしてきました。ダム事業者としての妥当性を主張する「政治的発言」ですが、このような発言をすれば、また抗議するとクギを刺してきました。
 秘書室の前で騒いだので、というのは冗談ですが、少しはニュースバリューがあったか、テレビが1社だけ、取材にきました。
 その後、河川課で課長と課員に説明をしたあと、向こうの言い分も聞いてきました。
 辰巳ダム事業も含めて、犀川、浅野川の治水を見直して進めてきて犀川の整備も進み、十分に受け入れることができるようになった段階で、浅野川放水路の流量制限を解除することができたのだ、犀川の治水の整備と浅野川の治水の整備に辰巳ダムを入れて一体的に整備を進めるようにしたきたのであのような知事発言になったというような主旨の説明でした。
 浅野川の治水は、もともとの計画も、見直した後の計画も、浅野川水害の見直しの後も、途中に辰巳ダム計画がでて、その後も全く変更はなく、浅野川と関係なく、辰巳ダムは犀川の増強という意味だけだ、
 今後も知事があのような発言をすれば、抗議にくるとここでも説明してともかくも引き上げました。
 (4月から、異動でまた新しい課長でした。もう、何人とおつきあいしているのでしょうか、数え切れないほどになりました。だいたい、いい人?ばかりで、話しの内容はトゲトゲしいのですが、個人的に喧嘩をしているわけではないので、対話はいたってなごやかな雰囲気です。(^_^;))

 それから、ついでに水管理グループ経由で、辰巳用水の水利権のことを確認しました。
 辰巳ダムで辰巳用水を含めたかんがいの水利量を見直して水量を小さくして、そこから捻出した水量で、新たな河川維持用水を確保することになっています。犀川大橋地点で1年を通じて維持用水1.19立方メートル毎秒を確保して、渇水にならないように対応するというわけです。その水利権量を変更して、いつオ(-_-;)ーソライズするのか、水利権量を変更することによって、やっと実効性を発揮するはずです。ところが、辰巳ダムの運用が始まって2年、水利権量の変更はうやむやになっているようです。水利権量の更新が10年おきということですが、次回の更新のときに、変更すると明言もできないようで、現実には渇水にならず、問題はないようだとかいう、言い訳でむにゃむにゃしか返答がありませんでした。
 建設は熱心ですが、ソフトの変更ということになると、まったく力がはいらず、ほったらかしのようである。実際の変更となると、変更交渉に相当のエネルギーがいるようで、指摘されなければ、永久にほったらかしというようです。(-_-;)
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辰巳ダム裁判>辰巳ダムに関する知事発言に抗議

2014年05月29日 | 辰巳ダム裁判
 辰巳ダム裁判の判決について、知事は、以下のように述べたとマスコミが伝えた。
 これは誤解であり、このような誤った風評が流布することのないように明日、30日に抗議することにした。

 北国新聞ニュース2014年5月27日、36面によれば、
「辰巳ダムは犀川だけでなく、浅野川の治水にも貢献している。浅野川水害クラスの水害でも役割を果たしてくれると思う」と語り、浅野川水害クラスの洪水でも浅野川治水に貢献すると強調したということだ。
また、谷本知事は2008年の浅野川水害に触れ、辰巳ダムの供用などで浅野川から犀川への放水路の流量制限が解除されたことを挙げ、「あれほど(の水流量)を想定しておいて良かった。もう少し早く辰巳ダムができていたら、水害も大きな被害にならなかったのではないか」と述べたという。

 以前に、森喜郎前首相が、辰巳ダムができていれば、浅野川水害がなかったと主張していたが、いずれも大きな誤解である。

「辰巳ダムが出来ていたら水害も大きな被害にならなかった」ではなく、「辰巳ダムがなかったら、水害も大きな被害にならなかった」である。
 浅野川水害の原因は、辰巳ダムだ!

 抗議文等は以下の当方のホームページへ。
 
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辰巳ダム裁判>原告住民の主張はすべて認められず、請求は棄却された

2014年05月28日 | 辰巳ダム裁判
 平成26年5月26日(月)、金沢地方裁判所において、辰巳ダム裁判の判決言い渡しがありました。判決結果は、残念ながら、原告住民の主張はすべて認められずに請求は棄却されて、敗訴となりました。

 当日、14時5分より、金沢地方裁判所新庁舎法廷205号において、4月の異動で新しく就任した、藤田昌宏裁判長が代読して(判決文を作成したのは、結審時の源孝治裁判長)、主文が読み上げられ、「原告らの請求をいずれも棄却する。」の一言で閉廷しました。あっさりしたものでした。
 
 原告住民の主張は理由がないとことごとく退けられ、他方、被告である国の主張は、合理的であると断定はしていないものの、不合理であるとはいえない、不合理であるとは認められない、などとすべての点について認めました。

 司法の世界の方の話しでは、判決というのは、一つの点でも勝てれば、勝ちのなのだそうです。その意味を自分なりに解釈すると、結論にいたる構成要素の一つの点でも勝てれば、負けるという結論に導く論理構成が破綻してしまうと言うことです。

 逆にいうと、結論が負けと言うことになると、すべての点で負けということになります。そのため、今回は、国の主張を認めて国勝訴、原告敗訴という結論※ とすると、被告の国の主張が、いくつかの点で少々、怪しくても、著しく不合理だとはいえない、一定の合理性があり、その判断が不合理であるとは言えないなどとすべての事項で国と県の言い分を認め、一方、原告の主張は、そのマイナスと評価できるところを徹底して洗い出して認めないということになるようです。
(※: 最後の口頭弁論、いわゆる結審のときには、裁判長の判断が確定しており、辰巳ダム裁判では前年の12月19日には原告敗訴の判断が確定していたことになる。判断が決まらなければ弁論が続き、結審しない。)

 例えば、新基準では、基本高水ピーク流量を流量確率評価などで検証しなさいということになっている点についてですが、被告の検証は、検証というには怪しい「比流量」でしか、していません。
石川県の比流量の検証では、図表で最もらしく検討しているのですが、実質は、基本高水ピーク流量1750立方メートル毎秒が1050~2400立方メートル毎秒の範囲間に位置しているだけのものです。原告は、これは検証になっていないと指摘したのですが、いくつか理由をあげて裁判所の判断は、「意味を持たないとはいいがたい」というものでした。
 一つは、新基準の記載があること(新基準に流量確率評価をしないあるいはできない場合の逃げ道としかいいようのない形で記載がされている)、
 もう一つは、原告の指摘の意図の逆手をとる形での判断でした。
(原告は、比流量は検証にならないと主張していた。被告のように、もし検証になるとしたら、現実の隣の流域の比流量と犀川の比流量と逆転していておかしいではないかと指摘したのですが、これに対して裁判所は、こちらの比流量による指摘は比流量の単純な原理からいってその指摘は認められないと判決で指摘した。認められないのは、被告のもともとの検証であり、原告の仮にした反論の検証ではなかったはずである。)
 このように、すべての事項で、原告が負けるように組み立てられる。

 原告が、国が認めた基本高水つまり想定洪水が過大であると主張して国と県の治水行政に真っ正面から異議申立てをした辰巳ダム裁判であり、治水の歴史の歯車を転換しようとした試みでしたが、司法の厚い壁に跳ね返されてしまったということですが、そのところの事情を、京都大学の今本博健名誉教授が、判決に関する感想として述べています。
 住民の感覚からして過大と感じても国の基準に従うと問題ないということに導かれるという不条理についての説明したものです。以下に全文を記載します。

 「行政側の言い分をほとんど認めた判決だ。想定洪水量の計算に関する基準は国が決めているため、その基準に従えば『問題ない』という判決が導かれるのは当然だ。妥当とも不当とも言い難い。
 治水には、まだまだ分からない部分が多い。洪水量の計算には、ダムの建設事業者の恣意的な決め方が入る余地がある。結果として『百年に一度』の想定が、実際の人間の感覚とずれて過大になるケースが出てくる。裁判にはそぐわない論点だ。こうした計算の妥当性について、もっと学会で検証方法などについて議論を深めていくべきではないか。」(北陸中日新聞2014年5月27日朝刊)

2014.5.28,naka

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辰巳ダム裁判>辰巳ダム裁判の判決を前に

2014年05月23日 | 辰巳ダム裁判
 ダム湖の中の共有地を強制収用するために、石川県が土地収用法にもとづいて手続きをしたのが、平成19年、年末に国の処分がおりて、石川県はすぐにダム工事に着工。
 これに対して、半年後の平成20年5月に処分の取り消しを求めて提訴して以来、まる6年です。
裁判中もダム工事はストップしないのが、日本の法のしくみで、残念ながら、おととしの平成24年にダムは完成してしまいました。
 この辰巳ダム裁判は、全国のダム裁判の縮図のようなものでダム問題のほとんどのことを包含しています。7つの争点に分けています。
 まず、2つの争点は、ダムの目的である、洪水調節の治水、渇水対策の利水で、ほとんど理由がないものです。
 つぎの2つの争点は、ダムによって破壊あるいは毀損する、犀川渓谷の自然環境、辰巳用水という文化遺産です。
 5つ目は、ダムに代わる、河川改修という簡単な代替案、
 6つ目は、今回採用されたダム形式は、新規の未成熟な技術である穴あきダムということ、7つ目は、ダム湖に接して存在する日本有数の鴛原超大規模地すべり地という、地すべりという争点です。
 これらの多くは、土木技術にかかわり、裁判傍聴者にとっては、専門的で難しい議論になりました。少し、盛り上がりに欠けたきらいはあるかもしれません。
 学術論争をしているわけではないので、技術の中に入り込み過ぎたかもしれませんが、反面、中途半端では議論になりません。かなり、踏み込んだ中味となり、大変でした。
 治水ダムの根拠である、基本高水つまり想定洪水が過大であると、国と県に対して真っ向からぶつかり、異議申立てをした裁判でした。
 司法の場では、治水行政の裁量の範囲が幅広く認められるのが一般的で、裁量権の逸脱、濫用はなく、違法とは言えないと棄却されるのが普通のようですが、
辰巳ダム裁判では、いくらかでも主張が認められなければ6年間のがんばりの甲斐がないというものです。
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辰巳ダム裁判>判決言い渡しの案内

2014年05月21日 | 辰巳ダム裁判
 平成20年5月提訴、平成25年12月19日に結審した辰巳ダム裁判の判決言い渡し期日についての案内です。
 2ヶ月延期されて5月26日、来週の月曜日です。
 場所: 金沢地方裁判所新庁舎法廷205号
 期日: 平成26年5月26日(月)14時~
 判決言い渡しは、短時間で終わる見込みで、その後、向かいの北陸会館に移動して、原告団/弁護団の記者会見、関係者及び支援者に対する報告集会を行う予定です。
 どなたでもご参加できます。
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