犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム裁判>証拠調べ(「治水」に関する被告原告双方の証人の反対尋問)の結果

2013年05月24日 | 辰巳ダム裁判
 2013年5月22日(水)午後1時10分~5時30分、金沢地方裁判所新庁舎法廷205号(2階)で開催された。
 裁判官3名、書記1名、被告8名、原告7名。傍聴者が30名ほど。
 証言者は、前回と同じく、以下の2名である。
 原告証人:上野鉄男,国土問題研究会副理事長,工学博士
 被告証人:佐合純造,(財)日本建設情報総合センター 中部地方センター長

 前回5月10日の治水に関する主尋問に引き続き、今回は、反対尋問が行われた。前回は、それぞれ準備書面で主張していたことを同じ立場で証言する場であったため、準備書面の内容の確認という意味合いが強かった。今回は、原告、被告双方の尋問者は、相手方の証人に質問して相手の主張を崩そうとするやり取りであり、白熱した。

13:10-15:30(2時間20分)
被告証人:佐合純造,(財)日本建設情報総合センター 中部地方センター長
尋問者:鳥毛美範原告訴訟代理人、中山洋平裁判官
15:40-17:30(1時間50分)
原告証人:上野鉄男,国土問題研究会副理事長,工学博士
尋問者:国の代理人、中山洋平裁判官

 どちらかというと、国の代理人は、原告証人の証言に対して、どうしてそうなるのか、考えるのか、断言できるのか、などと厳しく迫ったが、これに原告証人は辛抱して耐えて答えた。結局は、どういう結論に導きたいのか、不明のまま、何となく、尋問が終わったというような感が残った。これに対して、原告の代理人は、一つ一つ、確認をしながら、結局は、国の証人が国の主張の根拠がそれほど科学的な合理性があるというわけでもなく、安全を見込み過ぎているのではないか、という終着点にいつの間にか着いていたということになった。検証のための比流量についても、検証にならないということをほぼ認めた証言もあり、その結果、国の証人の基本高水ピーク流量がほぼ妥当な結論だという証言もまったく説得性のないものとなった。

 前回、被告の佐合証人が全般の事項にわたり「安全性という観点から価値判断した」と証言したが、今回もこの文脈で証言していたが、原告の上野証人は、提起した問題点(対象降雨量、対象降雨波形、飽和雨量)や計算段階毎に安全側を見込むのは適切でない、特に新基準では棄却して残った群から最大を選択するということで安全を見込んだ考えとなっていることからも、他の事項で安全をそれぞれ見込むのは過大な答えとなるので誤りであるとした。

 いずれの証人の証言においても、ほとんどの点で、原告の主張の方が妥当であるということを補強したことになったのではないか。ただ、裁判官が「行政が負ける判決を書くことはほとんどない」(今後の出世に差し障りになる?(-_-;))ので、よほどのことがない限り、 原告勝訴はないかもしれない。

 そのため、今後、最終準備書面では、この裁判は、基本高水ピーク流量の過大さが無駄なダムが造られつづけていることになっているが、この裁判の判決でこの流れになにがしかの歯止めをかけることになれば、無駄なダムが抑制され、社会全体として大変有意義なことであるということを強調して訴えるべきかもしれない。

今後の証人尋問予定
6月19日(水)14:00~17:20、地すべりに関する原告証人の主・反対尋問。
7月18日(木)13:10~17:20、地すべりに関する被告証人の主・反対尋問。
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辰巳ダム裁判>治水に関する原告、被告双方の証人の反対尋問

2013年05月21日 | 辰巳ダム裁判
22日午後1時10分から開催。一般傍聴できます。

辰巳ダム裁判証人尋問(治水に関する原告、被告双方の証人の反対尋問)
日時:平成25年5月22日(水)13:10~17:20
場所:金沢地方裁判所新庁舎法廷205号
原告証人:上野鉄男,国土問題研究会副理事長,工学博士
被告証人:佐合純造,(財)日本建設情報総合センター 中部地方センター長

前回5月10日の治水に関する主尋問に引き続き、今回は、反対尋問が行われる。前回は、それぞれ準備書面で主張していたことを同じ側の立場で証言する場であったため、準備書面の内容の確認という意味合いが強い。今回は、原告、被告双方の尋問者は、相手方の証人に質問して相手の主張を崩そうとするやり取りになるので、論争の山場となる。

被告の佐合証人が前回、証言したことは、一言でいうと、「安全性という観点から価値判断した」というもの。提起した問題点(対象降雨量、対象降雨波形、飽和雨量、カバー率、既往洪水など)の各過程毎に安全側として余裕を見込んだ石川県の判断をすべて、安全性を考えると妥当だというもの。この過程を経て求められたピーク流量の検証もあやふやな形(比流量では検証できない!)でしかやっていないことも、妥当と評価している。

原告は、提起した問題点について、各過程に適切で合理的な判断をして、最後に求めたピーク流量を観測流量データで流量確率評価をして妥当性を検証すべきだった、データ数も検証できるだけの蓄積はあったという主張をしている。

今回の争点は以下のとおりであり、いままでのそれぞれの主張の大要はつぎのようなものである。
対象降雨量と対象降雨波形の決定について
被告(国):2つの評価基準(前者を極値3分布の適合度と安定性で評価、後者を12分布の適合度だけの評価)、そして、適合度(SLSC値0.04)を主張。
原告:一つの評価基準(両者を12分布の適合度と安定性で評価)、そして、適合度(SLSC値0.03)を満足するレベルと主張。

カバー率について
被告(国):結果的にどれだけカバーしたかを見るだけのもの、カバー率50%値では、半分がカバーできないというデメリットがある。
原告:カバー率50%値は統計的に最も確からしい値でこれと比較することに意義があり、この数値で直接、基本高水ピーク流量を決めているわけではない。

既往洪水について
被告(国):痕跡から得られたものでキチッとしたデータでなく、過小値になる場合もあり、これで100年確率値を変えるということにならない。
原告:過去の河川管理者が当時の技術水準で推定したものであり、信頼性はある。新旧問わず、基準では基本高水ピーク流量を決める際の考慮事項である。

流量確率評価について
被告(国):100年確率値を求めるためには24年では観測流量データが少ない。宝教授は、30~40年必要と言っている。
原告:宝教授は、誤差を10%に抑えるために30~40年必要と言っている。26年あれば、12%程度の誤差で推定できるので、流量確率評価はできた。

比流量による検証について
被告(国):本来なら、(基本高水ピーク流量を)流量確率評価で検証するのがベターだが、データが少ないのでできなかった。比流量で確認しており、可能な範囲で検討している。
原告:単に、河川相互間、本川支川、上下流のバランスを見るもので基本高水ピーク流量の大きさの妥当性は評価できない。

近年の豪雨について
被告(国):近年、豪雨が多発している。平成16年7月福井豪雨、平成20年7月浅野川豪雨、平成23年7月新潟・福島豪雨、平成23年8月台風12号 紀伊半島豪雨、平成24年7月九州北部豪雨など。辰巳ダム計画の対象降雨量、対象降雨波形は妥当である。
原告:いずれも100年確率を超える、200年から1000年確率のもので辰巳ダム計画の規模は、100分の1であり、妥当かどうか判断の対象にならない。

今後行われる証人尋問の日程はつぎのとおり。
6月19日(水)14:00~17:20、地すべりに関する原告の証人の主尋問と反対尋問。
7月18日(水)13:10~17:20、地すべりに関する被告の証人の主尋問と反対尋問。
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辰巳ダム裁判>10日の証人尋問結果の一部について

2013年05月15日 | ダム問題
主要な論点について、双方の証言結果は以下のとおり。
被告証人:佐合純造,(財)日本建設情報総合センター 中部地方センター長

犀川の基本高水の妥当性と検証の全般の適否について: 水文学の成果は、研究的に定まっていない。さまざまな方法があり、どれが正しいか間違いか議論がある。ある範囲の中で組み合わせ、データを使いながら、安全と経済性をどうするかであり、あくまで行政の裁量の範囲と考える。

基本高水ピーク流量の算定の妥当性について(対象降雨量、棄却基準、飽和雨量)
対象降雨量の算定について: 確率分布モデルが12個あり、そのうちの3個が極値3分布といわれる。極値とはあるデータの最大あるいは最小のものであり、これを取り込んだ分布形が極値分布という。水文量が∞で、裾野がつづくという分布が理論的に導かれて3つでてくる。少し、左寄りに山が傾いている分布形である。極値3分布といわれている。ほかの9分布は、形が似ているもので理論的に導かれたものではない。石川県は優先的にこの極値3分布を使っており、合理性がある。その結果、石川県はグンベル分布を採用した。原告はLN3Q分布の採用を主張しているが、そういう考えもある。しかし、この2つの分布を確率紙で確認すると、グンベル分布の曲線の方が右よりにあり、プロットされている黒点(実績値)よりも大きい、これは安全側になっていることを意味している。(LN3Q分布は逆にプロットされている黒点よりも左に振れているので安全側という観点からは劣る。)その結果、仮に12分布で検討したとしても、石川県のグンベル分布が採用される。

棄却基準の妥当性について: 対象降雨量の場合は、(適合度に加えて)安定性を評価している。対象降雨量では、データが入れ替わるごとに変動することになると後々影響することになるためで、それでjackknife法で安定性を検討したものである。安定性を評価して、棄却してはいけないものまで棄却しないようにするためである。棄却基準で安定性評価すると、デメリットとして、ある範囲でこんな波形は起こらないと棄却してしまうと、起こりうる波形を棄却してしまう恐れがある。安全性を重視してのことである。原告は、141.9mmについて400分の1を超えていると評価しているが、確率の比較の意味はない。判断基準として、3時間雨量141.9mm以下を採用しているのであり、この141.9を使って決めているわけではない。

棄却基準を、推定値+推定誤差としていることについて: (対象降雨量の時は、推定値、ここでは推定誤差を加えているが)ジャックナイフを使うための目的が違う。ここでは、棄却で捨ててはいけないものまで捨てないようにするためのものであり、妥当である。

飽和雨量について: 貯留関数法モデルのパラメータで、雨が降ったときにどれだけ浸透するかを表している。大きくなると、ピーク流量は小さくなる。実際に測れるものではなく、プロセスの中できめていくものである。どうやって決めるか、特に定まったものはない。石川県のように、まるめて100mmにしていることもいいと思う。実績を見て選んでおり、まるめて100mmにしたのは、安全側にもなっており、妥当だ。

検証の妥当性
比流量による検証について: 規模によって傾向がある。川の特性の違いによって説明できるかどうかで妥当性がわかる。浅野川、手取川の比流量はそれぞれ、8.9、8.0であり、犀川大橋地点での比流量がこの中間値になるはずという指摘があるが、浅野川の流域の特性は緩やかであり、急な犀川と比較して比流量が逆転しても理由があることである。犀川の比流量が大きすぎると言うことはない。

流量確率評価による検証について: 100年確率を求めるために、24年程度のデータでは精度が悪い。宝先生は30~40年のデータが必要と言っている。たくさんあれば、精度がよくなるが、必要最小限(30年は)必要である。

検証全般について: 本来なら、流量確率評価でやるのがベターだが、残念ながらデータが少ないので止むを得ない。比流量で確認しており、可能な範囲で検討されている。

まとめ: 自然災害を防ぐための治水が重要である。気象庁は、21世紀末に温度があがり、(1.4倍に豪雨が増える)と指摘している。減るということはないので、信頼ある対策をきちんとやらないといけない。石川県のやり方は、取りうるデータと方法でやられ、流域に配慮した結果になっている。


原告証人:上野鉄男,国土問題研究会副理事長,工学博士

本件の基本高水について一番の問題について: 治水計画で採用された基本高水のピーク流量が異常に大きいこと。その最大の理由は、異常な降雨波形を棄却するための基準が適切でなかったことで、(異常に大きい基本高水のピーク流量を、)流量確率を用いるなどして検証することなしに採用したことが重大な問題である。

基本高水の計算過程について(対象降雨量、棄却基準、飽和雨量)
対象降雨量について: 基本高水を決めるもとになる計画降雨量のこと。犀川では、計画規模を100年としているが、100年に一回の確率降雨量。石川県はこの対象降雨量を算定する際、12個の確率分布モデルのうち極値3分布のみを検討の対象としているが、12個の確率分布を検討するべきだった。
国は極値3分布は「理論的に」導き出された確率分布であり、その他の確率分布はその形状が極値の分布形状と似ているので「慣用的に」用いられているに過ぎないとしているが、極値分布は「理論的に」導き出された確率分布であると言っても、実際のデータに当てはめると、適合度がよくなかったり、安定性が悪かったりする。一方、その他の確率分布でも、適合度や安定性がよいモデルがある。このようなことがあるので、河川工学の教科書や研究論文においては、極値分布とその他の確率分布の間で優劣をつけていない。
実際の治水計画では、実用的に意味がある12個の確率分布モデルの全てを用いて対象降雨量を検討するべきである。石川県は対象降雨量を算定する際 SLSC値が0.035を示すグンベル分布を採用している。
● SLSC値が0.04を超えると 適合性のない確率分布。
● SLSC値が0.03となった場合 満足すべき適合度がある。
● SLSC値が0.02となった場合 十分な適合度がある。
そうするとグンベル分布は「適合性はあるが、満足すべき適合度はない」ということになる。
安定性について、石川県のグンベル分布は 100年確率のジャックナイフ推定誤差が 21.0mm。LN3Q分布は 100年確率のジャックナイフ推定誤差が21.6mm。21.6mmと21.0mmの差は率にすると、3%弱であり、差はほとんどなく、安定性は同等とみなしてもよい。
グンベル分布のSLSC値は0.035であるのに対して、LN3Q分布のSLSC値は0.024、30%以上小さいことになり、適合度の差は明白。LN3Q分布によると 100年確率によるジャックナイフ推定値は283.7mm。
石川県はグンベル分布を採用した結果、対象降雨量を314mmとしている。約10パーセント違う。基本高水のピーク流量は、(対象降雨量全体によるものではなく、その内の地面に浸透するなどの雨量を除いた有効降雨によってつくられるので、)対象降雨量の10パーセントの差は有効降雨としては10パーセント以上の差になり、基本高水のピーク流量としては、10パーセント以上の差になって算出される。

異常な降雨波形を棄却する基準について: 石川県は ①12個の確率分布の中から ②SLSC値が0.04以下で ③ジャックナイフ推定値と推定誤差を加えたものが 最大ものを 基準としている。石川県のやり方では、安定性が最も悪い確率分布モデルを選定して、それをもとに棄却基準を決めたことになる。この場面でも ジャックナイフ法による 安定性評価を 実施して、安定性が最もよい確率分布モデルを選定するべき。
(降雨データの引き伸ばしによって得られた降雨波形は,現実の降雨とはかけ離れたものとなってしまうので、)対象降雨量314まで引き伸ばした時に、実際に起こりえないものがでてきたら困るので、起こりえないものを棄却するために、棄却基準をきちんとしなければいけない。
新基準では、棄却して残ったものから、一番大きいものを選択するので、棄却基準で間違ったものを選ばないように、適合度を満たした上で、安定性のあるものを選ばないといけない。悪いととんでもない結果になる。
推定値に推定誤差を加えて、棄却基準を決めるが、起こりえない結果にならないように限度がある。石川県はLN3Q分布で141.9mmで400年確率を超えるような棄却基準を設定している。安定性も評価して設定した場合は、グンベル分布で125.6mmとなり、180年確率ほどになる。基本高水ピーク流量はかなり小さくなる。

飽和雨量について: 流出計算法の一つである貯留関数法において用いられる考え方。(降雨量が増加して、飽和雨量になると、降雨の全部が河川に流出すると考えている)境目の雨量。飽和雨量になるまでは、降雨の一部しか河川に流出しないから、「飽和雨量」が大きければ一部しか河川に流出しない降雨が増えるので、算出される基本高水ピーク流量は小さくなる。本件の飽和雨量は100mmで、石川県は ①犀川ダム地点 ②内川ダム地点 ③下菊橋地点 3つの飽和雨量を 平均して 100mm という数値を算定しているが、飽和雨量というのは、その地点よりも上流域の降雨について算出されるもの。犀川ダム地点や内川ダム地点の結果は、一部分の流域の結果にすぎないので、基準点に近い下菊橋地点の結果に含まれていると考えるべきで、同等に扱うのは問題がある。流域全体の飽和雨量を把握するためには、本件の飽和雨量としては、下菊橋地点の飽和雨量113mmを採用することが合理的。算出される基本高水ピーク流量は小さくなる。

基本高水の計算過程には大きく3つの問題があることについて: ①(対象降雨量を算定する際の確率分布モデルの不適切な取り扱いにより、)過大な対象降雨量が採用された問題、②(異常な降雨波形を棄却する際の)棄却基準とした雨量が大きすぎるため、異常な降雨分布が棄却されなかった問題、③採用した「飽和雨量」が大きすぎる問題がある。これらの3つは、いずれも基本高水ピーク流量を過大に算出する要因になっている。

流量確率評価について: データ数が少ないとしても検証はできる、少ないデータで検証した場合は誤差が大きくなるだけである。一般的には流量確率評価を行う際、10%以内の推定誤差に抑えようとすると、30~40個のデータが必要であると言われている。約30年分の観測記録を用いる場合には、推定誤差が10%以内になる。約26年分の観測記録を用いる場合には、推定誤差が10%を超える。データ数が26のときは、推定誤差が12%程度になる。推定誤差が10%か、12%か、ということは大きな差はないので、約26年分の観測記録しかない場合でも、流量確率評価は有効である。

比流量による検証について: 比流量は河川相互間のバランスを見るもので、基本高水ピーク流量の妥当性を検証できません。(被告は検討した比流量の図で)点線の中にあれば検証した、1050m3/sから2400m3/sの間に収まっているから、基本高水ピーク流量1750は検証されたといっている。2000を超えるような異常な値でも2400より小さかったら、比流量の点から見ると、異常に見えない。検証の意味のないものである。

本件の基本高水について: 治水計画で採用された基本高水のピーク流量1750が異常に大きいことが問題である。そのような結果となった最大の理由は、異常な降雨波形を棄却するための基準が適切でなかったことである。検証さえもしていない。流量観測データがあり、誤差を考慮すれば検討できたはずである。しなかったために、要らないダムがもう一つできたというのが感想である。
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辰巳ダム>貯留関数法についての石川県の返答

2013年05月09日 | ダム問題
 平成25年4月11日付けで石川県知事宛に貯留関数法に関する質問をした。「貯留関数法で求めた基本高水ピーク流量は誤りではないか」という内容である。これに対して、石川県は、5月9日に、文書回答ではなく、口頭で説明をした。

 質問の要旨は、つぎのとおり。冨永靖徳お茶の水女子大学名誉教授が岩波の月刊誌『科学』3月号で「貯留関数法」について方程式自体の誤りを指摘した。この誤った算定式を用いて、国の指導のもと石川県を含む日本全国のほとんどで、洪水防御計画の目標となる「基本高水ピーク流量」を決めている。この流出解析モデルによっては誤った計算結果が導かれている。石川県が計画した犀川・浅野川でも誤った運用がなされている。この点について、どのように考えるか、河川管理者石川県知事宛の質問書を提出したものである。

 石川県担当者の説明は以下のとおり。
「県から文書による回答はしない。県は決められた基準で適切に検討して決めており、指摘の文書を吟味して検討する立場にはないと考えている(ので回答しない。)。国(石川県の事業の担当は北陸地方整備局地域河川課)に連絡したが、返事はない。」

 当方の感想は、以下のとおり。
 国の返事がないということは、「間違いではない、その理由はしかじかである」あるいは「どこの文献を読め」などと簡単に説明できないのだろう。その内に何らかの反論がなされて、指摘の正誤が明らかになるだろう。国の研究機関で開発して全国的に普及させた方法であり、国にしたところで指摘について検討中だろうから、これを採用した石川県にその善し悪しを指摘してすぐに適切な返答を求めるのは難しい。ということで、この件はしばらくの間、保留する。
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辰巳ダム裁判>過大な基本高水ピーク流量についての違法性について

2013年05月09日 | ダム問題
辰巳ダム計画の基本高水についての一番の問題の要約はつぎのとおり。
 1.技術判断(技術根拠) 異常な降雨波形を棄却する基準が適切でない ⇒ 過大な基本高水   
 2.司法判断(違法性) この基本高水について(法的「基準」による)検証なし
 
 治水計画で採用された基本高水のピーク流量が異常に大きい。その最大の理由は、異常な降雨波形を棄却するための基準が適切でなかったことです。そして、異常に大きい基本高水のピーク流量を、流量確率評価などして検証することなしに、採用したことが重大な問題です。
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