犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム>ダムによる地元への恩恵

2016年04月26日 | 辰巳ダム
 ダムの目的は治水と利水で、建前では地元への利益は全くない。
 しかし、実際には迷惑施設を受け入れる替わりにつぎのような「地元への恩恵」がある。

 ①橋替わり
渓谷を横切って県道と同じ高さに橋を架けるには数十億円の費用がかかるが、少数の住民のために建設することができないので、辰巳ダム堤体を橋替わりに使用しようという考えで地元の意志が統一された。ちなみに、相合谷、下鴛原、鴛原の住民の総数は、平成24年現在で105名である。

②優先的に道路や橋、上下水道などの社会インフラの整備
 市道、上下水道などの社会インフラの事業が優先的に財源配分されて整備された。
 県は市に対して、「市道改良負担金」を毎年、支払っている。H17~H33で、平成27年度は、19,255千円である。辰巳ダム建設に際し、金沢市が整備した市道340号上辰巳・熊走線について、金沢市との覚書に基づき、整備費用の一部を負担。県は総額27億円を負担する。

③補償金
 事業費240億円のうちの半分の120億円は本体工事費用であるが、残りはいろいろ条件がついて支出を余儀なくされる費用であり、土地家屋などの補償名目で10億円ほどの費用が支出され、地元の人たちの懐に入っている。

④建設中は、地元業者が建設業務を受注
 例えば、斜面安定対策工は、全体の施工面積は1万平方メートル、総額で4億6千万円ほど。特殊工法によるもので地元業者が施工できるようなものではないが、すべて地元業者が受注している。地元零細業者が受注できるように請負額を3千万円弱に20ほどの工区に分けて発注され、受注した地元業者は専門業者に下請けさせた。

⑤建設後は、地元業者が管理業務を受注
辰巳ダム広場管理業務委託(H25)110万円、(H26)139万円
 貯水池内除草 (H26)213万円
 流木処理 (H25)376万円 (H26)116万円
貯水池斜面観測 (H25)862万円、(H26)918万円
 堤体観測監視 (H25)423万円、(H26)567万円
 動植物調査 (H25)953万円、(H26)912万円 など

⑥地元住民も直接に雇用の場を確保
 辰巳ダム周辺広場等維持管理業務委託(町内会が公園管理組合を作って随意契約で受注、広場巡回等) (H25)128万円、(H26)157万円
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その他>日本国憲法第九条第二項は究極の理想主義か

2016年04月25日 | その他
――日本の安全保障は、鰯の頭も信心から――

 「軍隊を持ちません。戦いません。」はいいけど、国がこんなことを決めてどうする。国民をどうして守るんだ。

 これからも、米軍に守ってもらおうと考えるのはいいが、いつまでも守ってくれると保証してくれているわけではない。

 こちらが困った時は助けて! あなたが困っても助けない!
という片務ではいずれ破綻するのは明らかだ。他人の命を支えるためになぜ自分が犠牲になるのだ、に答えはない。

 戦後、武装解除するためにGHQが作らせた日本国憲法は、日本が独立するときに作り直すべきだったが(「軍事」はタブーだったのでとても無理だったが)、アメリカの戦争に巻き込まれないようにするためには役に立った(吉田首相は朝鮮戦争に参戦させられないように憲法を理由に米軍の要請を断ったとか)が、これで自らの手足も縛ることになった。

 日本人の良識的といわれる知識人の考え方は、
「平和というものの意味をしっかりと考えないといけない、今の平和があるのは、どうしてか。戦前の日本は、軍部が侵略戦争を起こして結局は悲惨な戦争になった。戦争は起こしてはならない。だから、憲法九条は守らなければならない。」であるが、情緒的で、論理的でない。

 戦争を起こしてはならないはわかるが、戦争は相手のあることだから、こちらがしませんと宣言(9条)しても戦争を防ぐことはできない。偉い先生が、それなら、台風が来ないように憲法に書いておけと言ったそうだが、法律を作っても防ぐことはできない。

 結局、戦うことを考えない、勝つことも負けることも考えない、平和をしっかり考えて平和を念じることで相手もわかってくれる、これで国民の生命と財産を守ることができると考える。
 戦後の日本人は、精神も武装解除されたままだ。

 攻撃目標になると米軍基地反対運動があったが、米軍が居るから攻撃されないということになったのか、今は静かだ。三沢、横須賀、横田、岩国、嘉手納などなど日本中に米軍基地がある。日本に軍隊がないので、これからも米軍に守ってもらわないと平和を維持できないということになろうか。戦後70年、こんな独立国がどこの世界に存在するのか不思議だ。安全保障に関しては、米国の一部のままだ。

 「鰯の頭も信心から」ではないが、GHQが1週間で作成したという憲法を平和憲法などと神棚において信心するのは止めなければならない。

 イタリア在住の作家、塩野七生さんは主張する。「勝たなくてもよいが絶対に二度と負けないこと。安全保障問題とは、これに遂きるとさえ思う。」
 小生も同感だ。

 負けないようにするべきだ。
 朝鮮などは、この100年間、日本から莫大な経済的な支援に加えて、社会インフラ整備、法律制度、教育制度などの支援を続けてきたが、戦後、戦勝国側の立場に立つため(米国の差し金が大きい!)に歴史を作り替えた。その歴史を韓国国民と日本に強要するため、「日本人は正しい歴史認識を持て」と強弁する。そんな実体はないので破綻するのはいずれ目に見えているのだが、少しずつ、主張を修正しながら、ディスカウントジャパンを繰り返している。日本を腐さし続けないと、自分の作り替えた歴史を主張できない。中国も同じだが鬱陶しい限りである。これも戦に負けたからで100年ほどは祟るということだ。
 
 日本の大学に「軍事」の講座はない。学問を積んだ人ほどというのは言い過ぎだが、矛盾だらけの現実を見るよりも理想主義的な主義主張を突き詰めていくと、憲法九条信者になりがちだ。困ったものだ。「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。」が削除されて、武装解除条項が無くなるのはいつのことだろうか。

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辰巳ダム裁判>辰巳ダム裁判集会と現地視察の報告

2016年04月24日 | 辰巳ダム裁判
八ッ場ダム裁判は、2004年にスタートして、昨年2015年に最高裁の判断が示されて終結したようだが、12年かかっている。辰巳ダム裁判は、2008年に始まり、今年2016年でまる8年になる。

辰巳ダム裁判は、昨年の11月に二審の判決があり、現在、最高裁へ上告中である。まもなく、受理/不受理の判断があるらしい(はっきりしたことは分からない)。受理されると裁判が継続されて審理される。不受理になると、いわゆる門前払いということで、そこで終結である。上告件数の9割方、不受理らしい。

裁判が終結すれば、辰巳ダム問題は解決するわけではない。平成24年に供用が開始されてから、毎年、5千万円ほどの経常的な費用がかかっている。完成してしまったのだから、今さら撤去するわけにもいかないと放置しておける問題ではない。

4年間を経過して、情報公開等で得られた資料と現地の情報を合わせて状況を確認中であるが、ダムの目的である、治水と利水に関して改善効果の兆候はない。

裁判の進行と平行して、現場視察も必要ということで、裁判集会の前に、ダム周辺の視察をした。今回は、3カ所、①ダム湖最上流部の流木止め工、②鴛原超大規模地すべり地の末端部、③ダム堤体付近である。

①については、穴あきダムで自然環境にやさしいなどと喧伝していたが、ダム湖の上流部で河道を横断してこのような障害物が設置されている。
②については、地すべりは起きないと太鼓判を押していた。地すべりに直接に結びつくものではないが、一昨年の12月に末端で土留めのコンクリート壁とともに斜面の一部が崩壊した。ここには北電鉄塔(3年前に移設)があったところで、北電が修復工事を行った。
③河川維持用水を確保するために、用水取水量の見直しが行われたが、書類上だけのもので、辰巳用水の取水量は従前と全く変更されていない。

現場視察の後、近江町交流プラザ(4F)研修室で裁判集会を催した。原告団長の碇山から、裁判の状況と経過、中から、辰巳ダムの現状報告を行った。
その時の配布資料は、以下のところに収納してある。
http://www.nakaco.com/tatumiDAM-sosho/tatumi-leaflet.htm
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辰巳ダム> 無駄な巨大事業は、芽の内に摘まないと

2016年04月23日 | 辰巳ダム
(動き出したら止まらない)
 何事もそうであるが、巨大な事業が動き出すと止めることができなくなる。その理由の一つは、大きなお金が動くからである。
 関係の人たちの期待がどんどん、膨らんで止まらなくなる。
 辰巳ダム建設以前の昔の話だが、地元の人から、「犀川ダムの時は、取り損ねたけれど、今度は、県からしっかり取らないと、」という主旨の話を聞いたことが思い起こされる。
 今回は、しっかりと確保されたようである。

(お金がからむととんでもないことも起きる)
 住民の期待が膨らんでくると、とんでもない事件も起きる。
 某県会議員による「カチ殺せ」発言である。
 これは、地元への工事発注が妨害されて滞る(お金が落ちてこない)ことを懸念しての発言だったようである。ことの真相は、以下の当方のブログで確認できる。
http://blog.goo.ne.jp/nakatoshiki/d/20150720
「宇野邦夫と辰巳ダム」当方のホームページより
http://www.nakaco.com/tatumi-dam/2015/20150720-uno/20150720-uno.htm 

(迷惑施設が打ち出の小槌に)
 ダムの目的は治水と利水で、建前では地元への利益は全くない。
 しかし、実際には迷惑施設を受け入れる替わりにつぎのような「地元への恩恵」がある。
 ①橋替わり
 渓谷を横切って県道と同じ高さに橋を架けるには数十億円の費用がかかるが、少数の住民のために建設することができないので、辰巳ダム堤体を橋替わりに使用しようという考えで地元の意志が統一された。ちなみに、相合谷、下鴛原、鴛原の住民の総数は、平成24年現在で105名である。
②優先的に道路や橋、上下水道などの社会インフラの整備
 市道、上下水道などの社会インフラの事業が優先的に財源配分されて整備された。
 県は市に対して、「市道改良負担金」を毎年、支払っている。H17~H33で、平成27年度は、19,255千円である。辰巳ダム建設に際し、金沢市が整備した市道340号上辰巳・熊走線について、金沢市との覚書に基づき、整備費用の一部を負担。県は総額27億円を負担する。
③補償金
 事業費240億円のうちの半分の120億円は本体工事費用であるが、残りはいろいろ条件がついて支出を余儀なくされる費用であり、土地家屋などの補償名目で10億円ほどの費用が支出され、地元の人たちの懐に入っている。
 ④建設中は、地元業者が建設業務を受注
 例えば、斜面安定対策工は、全体の施行面積は1万平方メートル、総額で4億6千万円ほど。特殊工法によるもので地元業者が施工できるようなものではないが、すべて地元業者が受注している。地元零細業者が受注できるように請負額を3千万円弱に20ほどの工区に分けて発注され、受注した地元業者は専門業者に下請けさせた。
 ⑤建設後は、地元業者が管理業務を受注
 辰巳ダム広場管理業務委託H25,110万円、H26,139万円
 貯水池内除草 H26,213万円
 流木処理 H25,376万円 H26,116万円
 など
⑥地元住民も直接に雇用の場を確保
 辰巳ダム周辺広場等維持管理業務委託(町内会が公園管理組合を作って随意契約で受注、広場巡回等) H25,128万円、H26,157万円
 自分たちの使用するところを自分たちのために掃除をすると報酬が受けられるのであるが、このようなことは良くも悪くもよく起きる。
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辰巳ダム>河川管理上の洪水は

2016年04月22日 | 辰巳ダム
当方は、いつも河川管理者を批判ばかりしているが、担当のみなさんは、年に1,2回はある洪水発生に際して、昼夜をとわず、洪水警戒業務に専心されていることを考えるとこの点に関しては「ご苦労様です」と心から申し上げるm(_ _)m

 ところで、洪水が予測される場合は、河川管理者は洪水警戒体制を取らなければならないので、洪水の定義を明確にしておかねばならない。辰巳ダムの洪水は、ピーク流量が80m3/秒を超えるものと定義される。これは、年に1~3回程度生起する流量、さらに下流の流下能力等を勘案して決めている。犀川ダムでは、95m3/秒となっている。
 定義された洪水は、
 犀川ダム 95m3/秒 > 辰巳ダム 80m3/秒

100年確率の対象洪水は、
 犀川ダム 700m3/秒 > 辰巳ダム 600m3/秒
 なので、定義された洪水と同じ傾向だが、
 石川県の基本計画資料で示された各確率の推定のピーク流量は、
 1/2 犀川ダム 140m3/秒 < 辰巳ダム 207m3/秒
 1/3  169 < 227
 1/5  212 < 287
 1/10  289 < 351
 と逆転しているのは、矛盾している。

 「辰巳ダム管理基本方針ヒアリング資料(平成20年4月石川県)」によれば、辰巳ダムの年に1~3回発生する流量を犀川ダム流域に降る雨を流域案分で算出している。
 1回/1年 207m3/秒,2回/1年 146m3/秒,3回/1年 110m3/秒。
 
 平成24年からの実績によると、4年間の最大が190m3/秒である。
 推定値 1/1が207 > 実態 1/4が190
 この場合は、定義された洪水と同じ傾向だが。

 しかし、1/4の数値の方が大きくなるはずだから、推定値の1/1の方が誤りと考えていいだろう。辰巳ダム流域からの出水は、上流の犀川ダム流域からの出水に比べてかなり小さいと考えると辻褄があう。
 実態のデータを解析して推定値を求めているはずだが、推定の過程で操作をするので、実態の傾向と乖離がでてきて、だんだん訳がわからなくなる。
 下手な分析にお付き合いしていただいて申し訳ない!


 辰巳ダムの洪水調節機能を調べているが、
 平成24年の辰巳ダム供用開始以来の最大は、平成25年7月29日の出水である。犀川ダムでの流入のピーク(正時)は、268m3/秒で1/10に近い、辰巳ダムの流入は184m3/秒(正時)で1/2に満たない。このケースでは、
 犀川ダム > 辰巳ダム である。
 「図 犀川ダムと辰巳ダムの流入量と放流量」 160m3/秒ほどの洪水が、辰巳ダムで100m3/秒ほどに低減されることが、辰巳ダムの治水効果があったと判断できるかどうか。
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