犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム>会計検査院が改善要求→4項目の指摘

2014年10月31日 | 辰巳ダム
 ダムの維持管理の時代

 先日の「土砂流入で治水機能低下のダム、全国100か所」のニュースは、ダムの建設から、ダムの維持管理の時代に変わりつつあることを示唆している。

 会計検査院が国土交通大臣へあてた「改善の処置を要求したものの全文」の標題は、「ダムの維持管理について」であった。検査は、つぎの3点で、
(1)漏水量等の計測、設備等の点検等の実施状況、
(2)貯水池における堆砂等の状況等、
(3)緊急時における対応状況、
検査結果についての指摘が8項目となっている。

 会計検査院から改善要求された石川県内のダムで指摘された事項は5項目あり、該当ダムは以下のとおりである。
1.「一部の項目について計測が3年以上にわたり行われていなかったもの」我谷ダム
2.「洪水調節容量内に土砂が堆積していたもの」我谷、九谷、赤瀬、内川、辰巳ダム
3.「設定貯水量に堆砂測量の結果を反映していなかったもの」辰巳ダム
4.「ダム管理者が速やかに臨時点検を行うことができない状況となっていたもの」我谷、赤瀬、内川、犀川、辰巳、八ヶ川ダム
5.「燃料タンクの容量等から算出した予備発電設備の連続運転可能時間が72時間を下回っていたもの」我谷、九谷、辰巳、八ヶ川ダム

 わが辰巳ダム!は、4項目も該当している「注目のダム」となっている。
【改善の処置を要求したものの全文】の1行目には、
「標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり改善の処置を要求する。」とあるので、これは問題があるダムだとお墨付きをもらったようなものですね(-_-;)

【改善の処置を要求したものの全文】
表 各事態の管理主体数、ダム数及びダム名一覧
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犀川の河川整備>「浅野川水害相当規模洪水に対する対応についての公開質問状(2)」を石川県へ

2014年10月27日 | 犀川の河川整備
平成26年10月27日
石川県河川課長 殿

犀川の河川整備を考える会 中 登史紀(67歳)
石川県鳳珠郡能登町字中斉ワ部2
080-4251-8190

浅野川水害相当規模洪水に対する対応についての公開質問状(2)
――浅野川と犀川の治水安全の考え方が違うのはなぜか――

 9月30日付けの公開質問「浅野川水害相当洪水に対する対応についての公開質問状――浅野川水害が再来したらどうするのか――」で、平成20年浅野川水害規模の出水がふたたび発生した場合、県が計画した想定洪水を超えて洪水氾濫被害が起きることになるが、一体、県はどう考えているのか、について説明を求めました。

 9月30日付けの公開質問に対して、10月17日に別の公文書公開の際、河川課担当者から、9月30日付けの公開質問に対する回答が口頭でありました。これを当方がまとめた文書は、末尾に付記した【9月30日付けの公開質問に対する石川県回答】です。

 この回答内容を一言でいえば、
「平成20年浅野川水害規模の洪水が襲来しても溢れない」です。
 この回答を踏まえ、あらためて公開質問いたします。

(浅野川と犀川の治水安全に対する対応が違う)
 石川県は、6年前の平成20年7月浅野川洪水の最大流量を洪水痕跡などから推定して天神橋地点で最大流量を650立方メートル毎秒、浅野川放水路から放流した170立方メートル毎秒を合わせて、最大流量820立方メートル毎秒と推定しました。
この洪水を踏まえた上で、石川県は平成23年7月に策定した「河川整備基本方針」において浅野川天神橋基準点の基本高水ピーク流量は710立方メートル毎秒と決めました。従前の計画数値を変えず、平成20年7月洪水の最大洪水量820立方メートル毎秒よりも110立方メートル毎秒も小さい流量です。
 一方、犀川では、過去の最大規模の洪水が900立方メートル毎秒程度にもかかわらず、想定洪水を1750立方メートル毎秒としなければいけないという理由で辰巳ダムが建設され、過去の最大規模の洪水よりも800立方メートル毎秒以上大きい基本高水ピーク流量となっています。
 過去の最大規模の洪水を目安にすると、「浅野川は危険すぎる」のであり、一方「犀川は安全すぎる」のである。あまりにも治水安全に対する対応が違いすぎるのではないかと考えます。

(浅野川と犀川の治水安全の考え方の違いはどうしてか)
 石川県の公開質問に対する前記回答を具体的に述べるとつぎのようです。「浅野川の天神橋基準点の河道の公称の能力である計画高水流量は、460立方メートル毎秒である。この河道に570立方メートル毎秒、高水流量を110立方メートル毎秒超えても溢れないで流れる、つまり、河道の余裕高(1m)に収まり溢れない。」

 一方、犀川の大橋基準点をはさんだ中流部の計画高水流量は、1230立方メートル毎秒です。この区間の余裕高1メートルを加えた堤防高で想定した流下能力は、1700立方メートル毎秒ですが、辰巳ダムが無い場合の最大流量の県の想定は、1460あるいは1540立方メートル毎秒でいずれも流下可能であり、浅野川と同様に、堤防から溢れないことになります。

 現実の洪水(実際に起きている)に対して治水安全を緩く考えている「浅野川」と非現実(いろいろな仮定を入れて推定、起きるかどうかわからない)の洪水に対して治水安全を厳しくして辰巳ダムを造らないと安全度が保てないという「犀川」と比べて、どうしても「犀川」の治水安全を著しく高めないといけないという理由をお答えください。

 文書でご回答ください。

【9月30日付けの公開質問に対する石川県回答】
①(H20浅野川洪水の)天神橋基準点での最大洪水量はどれだけか(その根拠)
 650立方メートル毎秒
根拠は、「二級河川浅野川水防計画検証対策(設計)業務委託(放水路下流検討その1)報 告 書 平成21年3月」(4-11頁)
②(H20浅野川洪水の)浅野川放水路での最大洪水量はどれだけか(その根拠)
 170立方メートル毎秒
 根拠は、「二級河川浅野川水防計画検証対策(設計)業務委託(洪水流量検討)報 告 書 平成21年3月」(I-19頁)」
③(H20浅野川洪水の)天神橋基準点の基本高水ピーク流量に対応するピーク洪水量はどれだけか
 650+170=820立方メートル毎秒(基本高水ピーク流量710を110超過)
④H20浅野川洪水規模に対する対応と考えているか
 天神橋の高水流量は460立方メートル毎秒で、H20浅野川洪水規模では570立方メートル毎秒※ となるが、天神橋地点~常磐橋地点での検討※2 では、400~700流れても堤防を越えない。(筆者注:河道の余裕高の範囲に収まるので溢れないとしている。浅野川の余裕高は1メートル。)
※: H20浅野川洪水規模820に対して、浅野川放水路が全能力を発揮すると250立方メートル毎秒を放流できるので、残りの570立方メートル毎秒が下流の天神橋地点を流れることになる。
※2: 「二級河川浅野川水防計画検証対策(設計)業務委託(放水路下流検討その1)報 告 書 平成21年3月」(4-9頁)
以上。
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辰巳ダム>辰巳ダムも検査院に指摘された

2014年10月26日 | 辰巳ダム
 22日の北国新聞にダムに堆積する土砂についての記事が掲載されていた。会計検査院の調べで、全国のダムで土砂が堆積して機能が低下しているというものである。石川県では、辰巳ダムも洪水調節容量内に土砂が堆積していることが指摘された。

 会計検査院の指摘は、ダムの機能(洪水調節)の低下であるが、辰巳ダムでは、今のところ、堆積の量も少なく、機能が低下しているとまではいえない。機能低下というよりも、ダム建設以後、土砂やヘドロ、ゴミ、流木の堆積で河川環境が損なわれている点である。

 辰巳ダムは全国2番目の穴あきダムであり、常時は水が貯めることなく、通常の状態で川の流れを維持できるので、水流や土砂の連続性があり、魚が行き来できるなど自然の生態に優しいが謳い文句である。河川環境は良好に保たれるはずだった。

 ところが、河川環境を維持するために、通常のダムよりも土砂やヘドロ、ゴミ、流木の始末はやっかいになっている。通常の貯水型のダムは、出水があろうがなかろうが常に河道の障害物であるが、穴あきダムは出水の時に障害物であり、通常は障害物ではない。両方のケースに対応した設備と維持管理が必要となる。

 通常の貯水型のダムは常に河道の障害物であり、ゴミや流木は水面に浮いて流れに寄せられて集まる、土砂はダム湖に堆積し、水は流れ出る。設備も維持管理も基本的には変わらない。一方、穴あきダムは出水時に障害物であり、これを管理するためにダム堤体にはスクリーン、ダム湖の入口には流木止めなどの設備があり、湛水が終わると、土砂、ゴミや流木は各所に点在し、それまで湛水していた河道の斜面に白くヘドロが堆積していたり、ゴミや流木が引っかかっていたりする。水流がもとにもどると自然に綺麗な川に戻るわけではなく、ダムの管理や景観上、放置できないので大きな出水の度に除去作業をせざるを得ないことになる。

 降雨で川が増水する度に流れが穴あきダムのコンクリートの壁で阻害されて円滑に流れず、この障害物のために河道に土砂などが貯まることによる河川環境劣化が大きな問題である。
2014.10.26,naka

 北国新聞記事

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辰巳ダム>「辰巳ダム計画に伴う犀川七ケ用水の水利権量の見直しについての公開質問状」を知事へ

2014年10月25日 | 辰巳ダム
 河川担当部署は、ダムなどの建設事業というハード対策は熱心だが、水利にかかわるソフト対策はおろそかで抜けている、「仏作って魂入れず」である。肝心のことをやらなければ実質的に機能せず、目的を達成することはできない。

 昨日24日、河川課を統括する責任者の知事宛の「公開質問状」を秘書課へメールした。内容は、以下の通り。

「犀川の河川整備に関して、担当の河川課は、辰巳ダムなどのハード対策は熱心ですが、ソフト対策はまったく進んでいません。利水に関して、おおむね10年に1回の渇水に備えるために辰巳ダムの建設が必要ということで平成24年に完成しました。
一方、ソフト対策である「用水水利権量の変更」という件については、ダム建設よりもこのソフト対策が大きな貢献度あるにもかかわらずほとんど改善されていません。
河川課を管轄する石川県知事に対して、以下のとおり、「公開質問状」を提出致します。
平成14年4月24日 中 登史紀
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
平成26年10月24日
石川県知事 谷本正憲 殿

犀川の河川整備を考える会 中 登史紀(67歳)
石川県鳳珠郡能登町字中斉ワ部2
080-4251-8190

辰巳ダム計画に伴う犀川七ケ用水の水利権量の見直しについての公開質問状
――どこまで見直しされたか――

 辰巳ダム計画に伴い、かんがい用水が見直しされました。犀川流域のかんがい面積が約1800ヘクタールから約600ヘクタールまで3分の1まで減少しているという現実があり、犀川からの取水量は、見直しの結果、従来の約6トン毎秒から4トン毎秒程度にまで縮小することになりました。
 これによって、利水全体が見直しされ、辰巳ダムによる利水ダム容量が2既存ダムの利水ダム容量に加えられ、10年に1回程度の渇水に対しても河川維持用水の流量1.19トン毎秒を常時、流すことができるようになり、動植物の生息環境を保全できるようになるはずです。

 ハード対策である辰巳ダムを築造して残るはソフト対策である水利の適正運用であり、水利の適正運用のためには、各用水組合が水利権にもとづいて犀川から取水している水利権量の変更をする必要があります。主な用水は、犀川七か用水(寺津用水、辰巳用水、長坂用水、鞍月用水、大野庄用水、泉用水、中村高畠用水)です。

 かんがい用水の水利権の更新は10年に1回であり、平成16年に河川整備基本方針を策定して各用水の水利権量がオーソライズされており、平成26年現在、ほとんど変更した水利権量で水利権の更新が行われているはずです。

 現時点で各用水の水利権量の改定更新の状況を文書でご回答ください。
以上
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辰巳ダム>「辰巳ダム計画に伴う犀川七ケ用水の水利権量の見直しについての公開質問状」を知事へ

2014年10月25日 | 辰巳ダム
 河川担当部署は、ダムなどの建設事業というハード対策は熱心だが、水利にかかわるソフト対策はおろそかで抜けている、「仏作って魂入れず」である。肝心のことをやらなければ実質的に機能せず、目的を達成することはできない。

 昨日24日、河川課を統括する責任者の知事宛の「公開質問状」を秘書課へメールした。内容は、以下の通り。

「犀川の河川整備に関して、担当の河川課は、辰巳ダムなどのハード対策は熱心ですが、ソフト対策はまったく進んでいません。利水に関して、おおむね10年に1回の渇水に備えるために辰巳ダムの建設が必要ということで平成24年に完成しました。
一方、ソフト対策である「用水水利権量の変更」という件については、ダム建設よりもこのソフト対策が大きな貢献度あるにもかかわらずほとんど改善されていません。
河川課を管轄する石川県知事に対して、以下のとおり、「公開質問状」を提出致します。
平成14年4月24日 中 登史紀
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
平成26年10月24日
石川県知事 谷本正憲 殿

犀川の河川整備を考える会 中 登史紀(67歳)
石川県鳳珠郡能登町字中斉ワ部2
080-4251-8190

辰巳ダム計画に伴う犀川七ケ用水の水利権量の見直しについての公開質問状
――どこまで見直しされたか――

 辰巳ダム計画に伴い、かんがい用水が見直しされました。犀川流域のかんがい面積が約1800ヘクタールから約600ヘクタールまで3分の1まで減少しているという現実があり、犀川からの取水量は、見直しの結果、従来の約6トン毎秒から4トン毎秒程度にまで縮小することになりました。
 これによって、利水全体が見直しされ、辰巳ダムによる利水ダム容量が2既存ダムの利水ダム容量に加えられ、10年に1回程度の渇水に対しても河川維持用水の流量1.19トン毎秒を常時、流すことができるようになり、動植物の生息環境を保全できるようになるはずです。

 ハード対策である辰巳ダムを築造して残るはソフト対策である水利の適正運用であり、水利の適正運用のためには、各用水組合が水利権にもとづいて犀川から取水している水利権量の変更をする必要があります。主な用水は、犀川七か用水(寺津用水、辰巳用水、長坂用水、鞍月用水、大野庄用水、泉用水、中村高畠用水)です。

 かんがい用水の水利権の更新は10年に1回であり、平成16年に河川整備基本方針を策定して各用水の水利権量がオーソライズされており、平成26年現在、ほとんど変更した水利権量で水利権の更新が行われているはずです。

 現時点で各用水の水利権量の改定更新の状況を文書でご回答ください。
以上
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