犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

公共事業>人口減少時代の水道の計画とはいかなるものか

2012年01月28日 | 公共土木事業評価監視
(能登町の情報公開)人口減少時代の水道の計画とはいかなるものか

 能登町の公開は、総務課で行われる。総務課は旧能都町役場で宇出津にある。柳田に比較して平生は雪が著しく少ない。ところが、昨晩から雪が降り続いている。雪の中、柳田から10キロメートルあまりのある宇出津の役場まで出かけ、1月27日朝一番9時に情報公開を受けた。「統合簡易水道事業(柳田地区全域)認可申請書一式」である。

 平成9年から平成18年の10カ年で計画が立てられている。主たる関心は人口減少時代の水道の計画とはいかなるものかということである。

 仮に自分が行政の担当者であり、無難な選択をするとすれば、将来、人口が減少するといっても、減少した人口を対象とする行政サービスが目標であると、現在の住民規模に対しては十分な行政サービスを提供できないという風にとられる恐れがあるので現状維持にしたいと考えるかもしれない。少なくとも現状を維持するという計画にしたいと考えるのが人情というものであろうか。住民の受けもいいかもしれない。
結論を言ってしまえば、このような考えは、人口減少の程度が著しく、看過すれば将来に禍根を残すのではないかと思われる奥能登では間違いなくまずいだろう。

 当計画書の公開を受けて、一目見てその想像が的中していることがわかった。平成9年の人口と10年後の目標年次の平成18年の計画人口がほとんど同じなのである。人口減少の傾向は勘案しているが、人口があまり減らない予測曲線を選んでいるらしく、10年で数%の減少を見込んでいるのみである。これでは1,2年で10年後の計画人口を下回ってしまうことになる。計画ではなく、単なる願望を数字にしただけのことである。
 
 それでも事業を起こし、国から補助金をもらうために必要な書類としては合格している。国のマニュアルに従って作成された根拠が添付されておればいいからである。実態を反映した数値であるのか、単なる願望の数値であるのかは問われない。作成者(担当者ならびにコンサルタント)は単なる願望であることはよくわかっているのか、作成して用が済んだ後は倉庫の隅に捨て置かれることが通例のようである。誰も毎年の数値の違いを確認して計画の是非を検討することもない。

 これでは、住人が減少するにともない、建設負担金(水道の場合は加入金)の収入が減少し、維持管理費用(水道料金)の収入が減少するという現実を認識しがたい。事業の費用の返済計画が狂ってくることにも鈍感になる。うやむやにしているうちに、経済環境の悪化などの要因が加わると一気に問題が表面化することになる。事業財政の悪化を経済環境の悪化などのセイにしたいのは人情であるが、根本的な原因は計画の誤りにある。

 今回の当事業見直しでは、町の財政悪化などの理由で事業の進捗が遅れたので計画目標年次を10年先送りして平成28年度とすることにしている。計画人口は変えていない。実態は20年で半減である。この乖離が将来、表面化することは明らかである。

 最もわかりやすい対応は、水道使用料金を支払う住人が半減するので収入を維持するために水道料金は2倍にするけれど、事業を続けますか、あるいは他の町民がこの負担を受け入れるかどうか、判断を仰ぐことだろう。何となく曖昧に議会で承認されているようであるが。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 辰巳ダム>犀川の水利用について | トップ | 辰巳ダム>犀川の治水 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

公共土木事業評価監視」カテゴリの最新記事